転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0176話

 キラとカガリの行方不明事件から数日。向こうで入手したアークエンジェルで使用可能な弾薬等も無事に届き、現在はアークエンジェルのメンバー大半により補給作業が行われている。

 そんな中、俺とマリュー、ナタル、ムウの4人は明けの砂漠の指揮所で砂漠の虎を相手にどう対処するのかを相談していた。

 

「この辺りは、廃鉱の坑道だらけだ。そしてこっちには地雷原を仕掛けてある。戦場にしようってんならこの辺だろう。向こうもそう考えてくるだろうし、折角仕掛けた地雷を使わねぇって手はねぇ」

 

 サイーブの声にはそこはかとない覚悟が宿っている。確かに地雷原は強力な武器である事は間違いない。実際、明けの砂漠と初コンタクトした時の戦いでは数機のバクゥを纏めて撃破しているのだ。だが……

 

「本当にそれでいいのか? 俺達はともかく、あんたらの装備じゃ被害はかなり出るぞ」

 

 そうムウは俺の懸念を代わりに口に出して尋ねた。レジスタンスは基本的に自走砲がメインの武器となっている。そしてその自走砲には生身のままで乗り込んでいるのだ。その状態でバクゥと戦えば当然その被害は大きくなる。実際、タッシルの街を焼いた後での追撃戦では明けの砂漠側に莫大な被害が出ていた。

 

「虎に従い、奴の下で奴等の為に働けば確かに俺達にも平穏な暮らしは約束されるんだろうよ、バナディーヤのようにな。女達からはそうしようって声も聞く。だが支配者の手は気まぐれだ。何百年、俺達の一族がそれに泣いてきたと思う? 支配はされない、そしてしない。俺達が望むのはそれだけだ。虎に押さえられた東の鉱区を取り戻せばそれも叶うだろう」

 

 支配はされない、そしてしない……か。こういう所がオーブの獅子であるウズミ・ナラ・アスハと友誼を結んだ理由なのだろう。

 

「こっちはあんた達の力を借りようってんだ、それでいいだろう? 変な気遣いは無用だ」

「……俺はOKだ。マリュー?」

 

 そんなサイーブの様子を見ながら、マリューへと声を掛ける。

 

「分かりました。ではレセップス突破作戦へのご協力、喜んでお受けいたします」

 

 こうして、アークエンジェルと明けの砂漠による対砂漠の虎の作戦は練られていった。

 

 

 

 

 

 アークエンエンジェルの食堂で小さい振動を感じる。明けの砂漠のメンバーと共に移動を開始したのだろう。砂漠の虎との決戦。その戦場へと移動しているのだ。

 原作通りなら、デュエルにバスターも向こうの戦力に組み込まれているだろう。幸い砂漠に対応したOS調整をしていない奴等にとっては、このリビア砂漠は碌に動く事も出来ない戦場だ。

 となると、俺はバルトフェルドの操るラゴゥを担当してデュエルとバスターはキラや明けの砂漠の任せた方がいいか? そうも思ったが、バルトフェルドを生き残らせる事を考えるとやはり原作通りにキラに任せた方がいいのかもしれない。

 俺の精神コマンドに手加減があれば良かったのだが……

 

「はぁ……」

「はぁ……」

 

 ……ん? 何やら同時に溜息が聞こえたかと思い周囲を見回すと、丁度同じく周囲を見回していたキラと目が合う。

 

「悪い、気が付かなかった。キラも食事か?」

「はい」

「おいおい、二人して溜息付いてどうしたんだ? ぼおっとしてないで早く食えよ。ほら、これも。アクセル、お前もだぞ」

 

 いつの間にか近づいてきていたムウが俺とキラにケバブを渡してくる。

 そして自分の分へとかぶりついて幸せそうに味わっている。

 

「んー、やっぱり現地調達のもんは美味いねぇ」

「少佐、まだ食べるんですか?」

「俺達はこれから戦いに行くんだぜ? 食っとかなきゃ、力出ないでしょ。ほら、ソースはヨーグルトのが美味いぞ」

「……ま、そうだな。こんな所でうじうじ悩んでいても始まらないか。もらうよ」

 

 ムウから渡されたヨーグルトソースをケバブに掛けて口に運ぶ。香辛料の効いた羊肉に、ヨーグルトソースのさっぱりとした酸味がマッチして美味い。

 そんな俺とムウの様子を見ながら、何かを思い出しているキラ。

 

「坊主、どうした?」

「いえ、虎もケバブにはヨーグルトソースが合うと言ってたから」

「ふーん、味の分かる男なんだな。けど、敵の事なんか知らない方がいいんだ。早く忘れちまえ」

「え?」

「これから、命のやり取りをしようって相手の事なんか知ってたってやりにくいだけだろう」

 

 その言葉にアスランの事を思い出しているのか、考え込んでしまうキラ。そんな様子を眺めながら俺はケバブを口に運ぶ。

 

 ドガアアアァァァァァァァッッ!

 

 そんな爆発音が聞こえてきたのは、丁度ケバブを食い終わった直後の事だった。

 この衝撃の伝わり方は艦内で起こった爆発ではない。となると、外……あぁ、なるほど。ザフトの地雷処理か。

 原作知識を持っている俺はこの爆発の理由を知っているのでそれ程取り乱さずに済んだが、食堂で食事をしていた面々にとってはまさに青天の霹靂だった。

 ムウとキラの2人と頷き、食堂にある通信装置でブリッジへと通信を送る。

 

「マリュー、今の爆発は?」

「明けの砂漠が仕掛けた地雷原の方で起こった爆発よ。恐らく……」

「砂漠の虎の地雷処理、か」

「ええ。アクセル、そこにフラガ少佐とヤマト少尉もいるのね?」

「ああ」

「じゃあ3人ともすぐに出撃準備をして頂戴。恐らくすぐに来るわよ」

 

 それだけ言うと、通信が切れる。ブリッジもブリッジで戦闘準備で忙しいのだろう。

 

「という事らしいな」

 

 後ろを振り向くと、ムウもキラも厳しい表情で頷いていた。

 

「きつい戦闘になりそうだな……2人とも、行くぞ」

 

 ムウがそう言って走りだす。俺とキラもその後に続いてパイロット控え室へと向かった。

 

 

 

 

 

「そうだよ。1号機にランチャー、2号機にソードだ! なんでって……換装するより俺が乗り換えた方が早いからだよ!」

 

 パイロット控え室では既にパイロットスーツを着たムウが格納庫にいる整備員達へと指示を出していた。以前に俺が言ったように換装よりも乗り換えの方が柔軟に行動できると踏んだのだろう。そんな様子を眺めていた俺とキラにムウが視線を向けてくる。

 

「連中には悪いが、レジスタンスの戦力なんぞはっきり言って当てにならん」

「ええ」

 

 ムウの言葉にキラが頷く

 

「となるとMSに対抗出来るのはMSという事で、アクセルとキラ、お前達2人に頼る事になるが……2人とも、踏ん張ってくれよ。もっともアクセルの操縦技術や、最近のストライクの動きを見ている限りでは心配ないと思うがな」

「こんな所で艦を沈められる訳にはいかないからな。俺としても全力は尽くすさ」

 

 艦内に響くアラーム音を聞きながらそう返事をして、MS格納庫へと向かう。背後でキラが『バーサーカーって何ですか?』とか聞いていたが、ムウが答えているのでそのまま任せる。あるいはバーサーカーとはゴットハンドという能力を持っていて蘇生魔術の重ね掛けをしている英霊だ、とでも言えば面白い事になったかもしれないが。……いや、単にキラを混乱させるだけか。

 

「兄ちゃん、装備はどうする?」

 

 いつもの如く、マードックがそう尋ねてくる。

 

「巨大ビームライフルと突撃機銃を頼む。敵はとにかく数が多いらしいからな。持久戦になった時の為にブリッツのエネルギーはなるべく温存したい」

「あいよ。こっちはすぐに準備するから兄ちゃんはコックピットに乗って待っててくれ」

 

 マードックの言葉を聞きながら、ブリッツのコックピットへと乗り込む。すると素早くマードックの用意した巨大ビームライフルと突撃機銃が用意され、ブリッツにそれを装備させてカタパルトデッキへと移動する。

 

「ブリッツ、アクセル・アルマー、出るぞ!」

 

 リニアカタパルトで射出されるブリッツ。するとすぐ目の前には既にザフトの戦闘ヘリの姿があった。

 

「ちぃっ、さすがに戦力の展開が早いな」

 

 文句を言いつつもPS装甲を展開し、戦闘ヘリから発射された機銃をPS装甲で弾く。

 

「勿体ないが、食らえ!」

 

 ヘリに狙いを付け、左腕に持っていた巨大ビームライフルのトリガーを引く。放たれたビームは俺に攻撃してきたヘリと、その後ろにいたヘリの2機をその光に呑み込んで爆散させる。

 チラリと周囲を確認すると、既に明けの砂漠のメンバーは自走砲に乗って散っており近くにはいない。こちらの戦闘の巻き添えを食らわせるという事はあまり考えなくてもいいだろう。

 群れとなって襲いかかってくる戦闘ヘリに、アークエンジェルの各所に装備されているイーゲルシュテルンから弾丸が大量に発射され、少なくない数の機体を撃破してその部品を砂漠へと撒き散らす。

 その様子を見ながら、砂煙が段々とこちらへと近づいてくるのを発見する。バクゥだ。

 

「キラ、バクゥが来たぞ。戦闘ヘリばかりに気を取られるな!」

 

 ブリッツのすぐ後に射出されたエールストライカーパックを装備したストライクへと通信を入れる。

 

「はい、分かりました!」

 

 キラもまた、頭部に装備されているイーゲルシュテルンで戦闘ヘリを撃破しつつ返事をする。

 

 ドゥンッ!

 

 腹の底に響くような発射音が聞こえ、同時にアークエンジェル近くの砂が爆発した。レセップスからの砲撃だ。

 MSや戦闘ヘリだけではなく、敵の援護射撃にも気をつけないといけないな……っと!?

 

 猛スピードで近寄ってきたバクゥが、その口の部分に装備されたビームサーベルで斬り付けてくる。足下へと襲いかかったその変則的な一撃を、スラスターを噴射して上空に跳躍する事で回避。すぐにまた空中でスラスターを噴射して位置を変えると、つい数秒前までブリッツのいた位置を後続のバクゥから放たれたレールガンの弾丸が貫いていった。

 

「甘いんだ……よっ!」

 

 そのまま先程ビームサーベールの一撃を食らわせてきたバクゥの背中へと着地し、その背中に装備していたレールガンを踏みつぶす。同時に至近距離から巨大ビームライフルを発射する事でその胴体を貫通する。

 そのままバクゥの背を蹴ってスラスターを使い跳躍すると、次の瞬間にはバクゥが爆散した。

 

「次……ちぃっ!」

 

 爆発したバクゥを煙幕代わりに、2機のバクゥが新たにブリッツへと襲いかかってくる。今撃破されたバクゥと同じく足下を斬り付けるようなビームサーベルの一撃と、跳躍して上から上半身をビームサーベルで狙ってくる一撃の連係攻撃。

 このままでは同時に攻撃を受ける。となると……しょうがない。

 巨大ビームライフルを振り上げて跳躍してきたバクゥの胴体へと思い切り叩き付ける。

 射撃武器ではなく、その巨大さを活かした鈍器として利用された巨大ビームライフルは見事に上空から迫ってきていたバクゥを吹き飛ばす事に成功するが、その代わり銃身がその中程で砕け散る。

 くそっ、威力はないとは言えブリッツのエネルギーを使わないで攻撃出来る武器だってのに。

 だが、そんな事に一々構っていられる程にこの戦場は温くはない。次!

 そのまま跳躍すると、視界の隅でムウの乗っているスカイグラスパーがザフトの戦闘ヘリを次々に撃墜しているのが目に入った。

 その様子を軽く一瞥し、先程の連係攻撃を仕掛けてきた一機目のバクゥへとトリケロスに内蔵されているビームサーベルを振り下ろし……ちっ、素早いな。

 既にバクゥはその場から姿を消し、距離を取ろうとしていた。

 砂漠の虎相手の前哨戦はこうして始まった。




名前:アクセル・アルマー
LV:35
PP:540
格闘:246
射撃:264
技量:256
防御:253
回避:281
命中:303
SP:422
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:265

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