転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1907話

 スーパーで適当におにぎりやサンドイッチ、弁当、お菓子、ペットボトルのウーロン茶や紅茶。それと日本国産の小麦粉100%という讃岐うどんを5袋と、烏骨鶏の生卵、エリンギ、水菜、鶏肉のササミ、鰹節、長ネギ、ミョウガといった夕食用の買い物を終えてアパートに向かう。

 途中は特に何かイベントらしいイベントもなく……ああ、でも野良猫がブロックの上で春の日差しを浴びて昼寝をしてる光景を見たが、それ以外は特に何もなくアパートに到着する。

 そうして部屋の扉を開けるも……何故か半ば殺気染みた空気が部屋の中から漂ってくる。

 何があった? と思いながら、それでも何か急ぐべき事ではないだろうと判断し、部屋の中に入る。

 するとそこでは、笑みを浮かべたゆかりが三馬鹿トリオに勉強を教えているところだった。

 ……ゆかりは笑みを浮かべているのだが、順平達はそんなゆかりの笑みに目を奪われるでもなく、必死に何かの問題を解いていた。

 うん、きちんと勉強が行われているようで何よりだ。

 何故かこちらに助けを求める視線を向けてくる順平達を綺麗に無視し、俺はスーパーで買ってきた物を冷蔵庫にしまっていく。

 取りあえずまだ勉強は始まったばかりだし、おやつの時間はもう少し経ってからでいいよな。

 ただ、飲み物はあった方がいいだろうと、紙コップにウーロン茶を注いで部屋に向かう。

 いつもゆかりや荒垣が来てる時は、ペットボトルとか缶紅茶で済ませてるからな。

 そろそろコップも買った方がいいか?

 いや、空間倉庫の中に以前どこかで買ったのがあったような、なかったような……けど、洗わなくてすむ使い捨ての方が便利なのは間違いないし。

 そんな風に考えながら、テーブルに移動する。

 ……ゆかりの表情は、俺が帰ってきた時よりも幾分か柔らかくなっているように思える。

 少しであっても時間が経った事で落ち着いたのか?

 

「で、勉強の具合はどうだ?」

 

 部屋に戻ってそう告げると、テーブルの上に教科書とノートを広げていた面々が顔を上げる。

 ……順平、友近、宮本の三馬鹿トリオと呼ばれる3人の顔に浮かんでいるのは、絶望。

 俺がスーパーに行く為に別行動をしてから、30分程度。

 そんな短時間で、何だってこんなに絶望の表情を浮かべてるんだ?

 

「ゆかり、どうしたんだこいつら」

「……正直なところ、色々と駄目としか言えないわね。このままだと、恐らく赤点間違いなしよ」

 

 順平の場合は、影時間の関係があって勉強に集中出来るような状況ではなかったので、それで納得してもいいのだが……もっともそれを言うなら、俺はともかく他のペルソナ使い達は皆が成績いいしな。

 

「取りあえず冷たいお茶でも飲んで落ち着けって。今から難しい顔をしていても、勉強はそこまで進めないだろうからな」

 

 その言葉に、三馬鹿はそれぞれがすがるような視線をこちらに向けてくる。

 見捨てられる事はないと、そう思ったのだろう。

 勿論それは間違っている訳ではない。訳ではないが……

 

「教えるところをきちんと教えて、それでも駄目ならそれはこの3人の努力不足って奴なんだから」

 

 あっさりと、そう告げる。

 この3人には、しっかりと危機感を持って貰う必要があるからな。

 危機感を持てば、普段よりも集中して勉強に専念出来る……筈。

 うん、きっと……多分、間違いない。

 

「それもそうね」

 

 ゆかりも俺の考えを悟ったのか、それとも本気で言っているのか……その辺りは分からなかったが、ともあれそんな風に告げてくる。

 そんな俺達2人の言葉に、三馬鹿トリオ達は追い詰められたかのような表情となる。

 

「ほら、とにかく勉強をするぞ。お前達の成績がそこまで悪いと、テストまでに赤点を回避させるのも難しそうだ。……言っておくけど、カンニングとか馬鹿な手段は考えるなよ」

「当然だろう!」

 

 カンニングをするなという俺の言葉に対し、即座にそう返してきたのは宮本。

 だが、順平と友近の2人は返事をするまで一瞬の間があった。

 ……まぁ、本気でカンニングを実行するつもりはなかったにしろ、その方法があると少しでも考えたのは、間違いのない事実なのだろう。

 だが、カンニングというのは見つかれば基本的には0点になるし、親を呼ばれたり、停学になったりもする。

 個人的には学校の勉強というのは世の中に出てもそこまで必要とされないのだから、カンニングくらい……と思わないでもないが、他の生徒達が真面目に勉強をしているのだから、それに合わせるのは当然だろう。

 

「ちなみに、言うまでもない事だが……もし俺やゆかりから勉強を教えて貰っているのに、カンニングなんて真似をしようものなら……どうなるのかは、言うまでもなく理解出来るよな?」

 

 笑みを浮かべてそう告げると、自分の行動に何か思うところでもあったのだろう。

 順平と友近の2人は、真剣な様子で何度も頷いていた。

 

「分かって貰えたようで何よりだ。さて、じゃあ早速だが勉強を始めるか。言っておくが、俺はゆかりみたいに優しくはないからな。しっかりとその身に刻み込んでやるから、そう思え」

「ちょっ、刻むって……」

 

 その言葉に何か感じる事があったのか、順平の身体が小さく震える。

 順平はタルタロスでの俺の戦いを見ているだけに、文字通りの意味で身体に刻みつける……と、そう言われても納得出来てしまうのだろう。

 いっそ、本当にゲイ・ボルクの穂先で刻みつけてやろうか。

 ふとそんな事を考えたが、まさか実際にそんな真似をする訳にもいかないだろう。

 身体に何らかの単語とかを刻むというのは、それこそカンニングになりそうな気がするし。

 

「さて、まずはどの科目からやる? 無難なところで数学からか?」

 

 数学というのは、慣れればパズルみたいな感じで、決して難しいという訳ではない。

 だが、逆に……どこか1ヶ所を分からないままにしてしまうと、パズルのピースが足りないままとなってしまい、それ以降で詰まる事が多くなってしまう。

 つまり、数学をやる場合はどこからが分からないのかというのを、しっかりと自覚する必要があるという事だ。

 それこそ、中学まで戻って……という事になっても、別におかしな事ではない。

 いや、三馬鹿トリオの成績の悪さを考えれば、下手をすると小学校まで戻らないといけない可能性すらある。

 

「さすがに、分数の掛け算、割り算とかは出来るよな?」

「当然だろ」

「勿論」

「さすがにそれくらいは余裕だ」

 

 順平、友近、宮本の3人が、それぞれそう言葉を返してくる。

 うん、よかった。もしこれで、実は分数の計算とかも出来ないとか言われたら、どうしようかと思った。

 

「なら次は……」

 

 そんな感じで、自然と数学を教えていく。

 基本的に簡単な問題を解かせて、それが分からなければ俺とゆかりが教えるという形を取っていたのだが……

 

「って、何でそんなところも分からない訳? さっき教えた事の応用じゃん」

「おい、宮本。そこはこっちの公式を使えばいいって、さっき言っただろ? 友近は使う公式が違う。2ページ前の問題をしっかりと見直してみろ」

 

 そう、三馬鹿トリオと言われるだけあって、かなりの手間が掛かってしまう。

 ちょっと予想以上に大変な状況に、少し安請け合いしすぎたか? と若干後悔する。

 ともあれ、そんな感じで勉強を教える事、1時間程。

 そろそろ太陽も夕焼けになりそうな頃……不意に携帯にメールが着信する。

 丁度順平に対して教えたところだったので、そのまま携帯に目を通す。

 するとそこには、生徒会の仕事が予想外に早く終わったので、これからの時間は空いている、という桐条からのメールだった。

 これ幸いと、俺は待っている旨を書くと返信する。

 ……よし。取りあえず、これで俺とゆかりで三馬鹿の面倒を見るといった真似はしなくてもいいな。

 その事に安堵していると……

 

「アルマー、これを教えてくれー」

 

 友近からのヘルプが入る。

 ぬぅ……我慢。ここは我慢だ。

 そう判断しながら、友近の詰まっている場所を教えていく。

 

「サプライズゲストがもう少ししたら来る。楽しみにしててくれ」

「え? サプライズゲスト? 誰だよ、それ?」

 

 勉強に退屈していたのか、友近が俺を見ながらそう聞いてくる。

 いや、俺の方を見ているのは友近だけではなく、順平と宮本……更にはゆかりまでもが、俺に視線を向けてきた。

 

「驚かせるからこそ、サプライズゲストなんだ。ここで誰が来るのかを喋ったら、面白くないだろ」

 

 その言葉に不満そうにしながら、それでも結局三人は渋々と勉強に戻っていく。

 

「……で?」

 

 自分にも内緒なの? と視線を向けてくるゆかり。

 

「あー、そうだな。取りあえず、教える方が3人になるから、俺とゆかりの負担は減ると思う」

「……ま、いいわ。今のところはそれで納得しておいてあげる」

 

 微妙に俺って信用ないよな。

 自業自得? と思わないでもないも、取りあえず今はその辺は置いておくとしよう。

 そんな訳で、俺とゆかりはそのまま勉強を教え……それから30分程経つと、チャイムの音が鳴る。

 

「お、来たか」

 

 その言葉を聞き、当然のように他の面々の視線が俺に向けられる。

 ……これで、実は新聞を取りませんかとか、そういう用事だったらちょっと面白いな。

 ちなみに、特に俺は新聞とかはとっていない。

 ニュースにしろ、TVの番組表にしろ、ネットとかですぐに知る事が出来る為だ。

 それに、新聞紙とかって結構場所を取るんだよな。

 まぁ、どうしても新聞が見たかったら、それこそコンビニにでも行って買ってくればいいだけだし。

 そんな風に考えながら、俺は立ち上がり、扉の前に行く。

 そうして扉を開けると……

 

「アルマー、メールで連絡した通りに来たのだが、問題はなかったか?」

 

 ……何故かそこには、私服姿をした桐条の姿があった。

 いやまぁ、このアパートから巌戸台分寮まではもの凄く離れているって訳でもない。

 学校から一旦寮に戻って、着替えてからここまでやって来ても、おかしくはなかった。

 俺を含めて全員がまだ制服姿だから、目立つのは間違いないが。

 

「ああ、教える方が少なくて困ってたんだ。上がってくれ」

「うむ。任せて貰おう。うちの寮の者も世話になっているらしいしな」

 

 そう告げた桐条を、部屋の中に案内する。

 

「げ! 桐条先輩!?」

 

 俺の部屋は狭いので、当然ながら勉強する為に集まっていた連中は、桐条が入ってきたのを見れば、即座にそれが誰なのかを理解する。

 特に、今悲鳴を上げた順平にとっては、桐条がここに来るというのは完全に予想外だっただろう。

 桐条は、向こうのパーティを率いている存在であり、順平にとっては絶対に頭の上がらない存在だ。

 そのような人物が、まさかここに姿を現すとは……完全に予想外だったのだろう。

 

「生徒会長の桐条先輩!? マジかよ!」

 

 そんな順平とは裏腹に、喜色満面といった声を上げているのは友近だ。

 基本的に年上好きの友近にとって、年上で美人という桐条と仲良くするのは嬉しいのだろう。

 普通であれば、年上好きであっても1つ年上のだけの桐条は友近にとってはストライクという訳ではない。

 実際、友近が熱を上げている叶は、教師なのだから。

 ……倫理の教師なのだが、その叶が倫理を踏み出させるような真似をしているのは……いやまぁ、その辺りは個人の判断なんだろうけど。

 ともあれ、桐条はかなり大人びた容姿をしており、以前も社長秘書と間違われた事もあって、とてもではないが友近よりも1つ年上とは思えない。

 つまり、友近にとって桐条は十分好みの範疇なのだ。……まぁ、最大の問題は、桐条が友近を相手にするかどうかって事だが。

 ぶっちゃけ、桐条にとって友近は俺、ゆかり、順平の友人Aという認識しかないだろう。

 そして、宮本は……取りあえず桐条を見ても生徒会長というくらいしか興味はないらしい。

 寧ろ、一番驚いているのはゆかりだった。

 まさか、ここで桐条が出てくるとは思わなかったのだろう。

 サプライズ成功って感じだな。

 

「ちょーっ! ちょちょちょ!」

 

 ぐい、とゆかりは俺と桐条のすぐ側までやってくる。

 

「な、何で桐条先輩がここに!?」

「言っただろ? サプライズゲストだって」

「……私はそれは止めた方がいいと思ったのだがな。アルマーがどうしてもと言うから、受け入れたのだが。やはり不味かったか?」

「えーっと、その……不味いって言えば色々と不味い事もあるような気がするんですが。とにかく、桐条先輩がアクセルの家にってのは……」

「うん? 私が後輩に勉強を教えに来るのが、どこかおかしいか?」

「……いやまぁ、桐条先輩がいいんなら、私もそれでいいと思うんですけどね」

 

 まるで自分に言い聞かせるように呟くと、ゆかりは小さく溜息を吐いてから口を開く。

 

「分かりました。とにかく、来てしまった以上はもう何を言っても仕方がないですし、手が足りなかったのも事実です」

 

 そう言い、ゆかりは桐条を順平達の前まで連れて行くのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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