転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1912話

 死神との戦いがあってから、数日……例え影時間に死神が俺に向かって妙な行動をしていようと、当然のようにそれは大した意味をなさない。

 いや、勿論死神という存在を思えば何かあるのは間違いないだろうが……結局のところは、それが普段の生活に影響を及ぼすといった事はない。

 

「うげぇ……勉強会を始めてから、今日で何日目だっけ?」

 

 体育館に向かいながら、順平がしんどそうに呟く。

 まぁ、今日も授業を終えれば勉強会があるんだから、しょうがないが。

 

「今日は木曜だから、4日目だな。来週の月曜からテストなのを考えれば、今日を入れてもう4日だ」

「うげぇ……それでもまだ半分かよぉ……」

 

 順平の代わりとでも言いたげに、友近が呟く。

 まぁ、その気持ちも分からないではない。

 初日こそ桐条が来て、友近にとっては勉強に張り合いが出たが、昨日、一昨日と桐条は生徒会の仕事や桐条グループとしての活動、影時間の件……といった具合に、色々と忙しくて、こっちに顔を出す予定はなかったのだ。

 結果として、桐条とお近づきになれるかもしれないと期待していた友近の思惑は完全に外れた訳だ。

 ……叶はどうした。

 そう言ってやりたかったが、友近のモチベーションを維持させる為には、その辺りの行動が必須だったのは間違いない。

 

「宮本の方はどうだ?」

「うん? 俺か? 俺は……身体を動かせないのは若干不満だが、赤点だと大会の出場にも問題があるしな。やるべき事をやるだけだ」

 

 何気に、宮本が一番しっかりと勉強してるんだよな。

 いや、別に何気って訳じゃないのか?

 元々剣道部の部員として真面目に活動していただけに、集中力という意味では文句なく一級品だ。

 それを今は勉強に使っているだけであって……そう考えれば、おかしな事でもない。

 まぁ、剣道の方に集中していたせいで、勉強がかなり疎かになっていたのは間違いないが。

 

「有里は……あれ? 有里は?」

 

 有里の勉強の様子を聞こうとして、ふと後ろを振り向くと、そこに有里の姿はない。

 いつものように、どこか面倒臭そうに後ろを着いてきてると思ったんだが、いつの間に消えた?

 月光館学園ではかなりの有名人なのに、時々こうして誰にも知られずにいなくなっていたりとかするんだよな。

 もしかして、俺みたいに気配遮断を持っていたりしないだろうな?

 そんな事を思うが、それは別に冗談でも何でもない。

 ペルソナチェンジという技能を持ち、それこそ多くのペルソナを使いこなす有里だ。

 気配遮断とそのまま同じ……とはいかずとも、似たような技能を持っているペルソナを所持している可能性は決して否定出来ない。

 

「ん? あれ? いないな。どこに行ったんだ?」

「まぁ、体育館に向かうってのは知ってるんだし、別に構わないだろ? まさか、迷子って訳じゃないし」

 

 周囲を見回す順平に、友近がそう告げる。

 実際、別に常に一緒に行動をしなければならないって訳でもない以上、別々に行動しても特におかしい事はない。

 結果として、それ以上は特に気にする事もなく、体育館に向かう。

 まだ昼休みが終わってはいないので、体育館の中ではバスケをしている学生や、壁に寄りかかって会話をしている者達の姿がある。

 そして、バスケをしている生徒達を見て、宮本が嬉しそうな表情を浮かべる。

 まぁ、ここ数日はずっと勉強、勉強、勉強といった感じで、身体を動かす事なんて殆どなかったしな。

 もしかしたらランニングくらいはしていたのかもしれないが、宮本にとってはそれでも全く足りなかったんだろう。

 

「な、なぁ、アルマー。俺達もやらないか?」

「俺か? まぁ、時間はあるからいいけど……1対1でやるのか? それともあっちに混ぜてもらうのか?」

 

 バスケの場合は、1on1って表現するんだったか?

 ともあれ、どうする? と宮本に視線を向けて尋ねる。

 

「あー、そうだな。向こうに混ぜて貰おうぜ。どうせなら大勢でやった方がいいし。ちょっと話をつけてくるから、待っててくれ」

 

 そう言うと、宮本は素早くバスケをしている連中に近づき、何かを話し掛ける。

 元々宮本の友人とかだったのか、お互いに友好的な雰囲気で話をし……そして宮本が俺の方を見て、その友人達も俺の方を見た瞬間、何故かジト目になる。

 

「ふ……ははははは、ふはははは! いいだろう、岳羽さんの目を覚まさせる為に、俺は、アルマーをバスケで倒してやる!」

 

 何か変なスイッチが入ったかの如く、叫ぶ男。

 いやまぁ、何が原因でそのスイッチが入ったのかは、考えるまでもなく明らかだが。

 恐らく……いや、間違いなくあの男はゆかりに対して好意を持っているのだろう。

 それも、単純に好ましいといった意味での好意ではなく、恋愛感情的な意味での好意を。

 

「……って事だけど、どうする?」

 

 宮本が俺の方に向かってそう尋ねてくる。

 ちなみに、ゆかりに恋をしている男と一緒にバスケをやっていた連中は、俺に向かって申し訳なさそうな視線を向けていた。

 友達が迷惑掛けてごめんとか、そんな感じで。

 こうして見る限りだと、あの男も困った奴だとは思われてるけど、同時に友人からは好かれているんだろう。

 

「まぁ、俺は構わないさ。相手になってやろう」

 

 実際、敵視されたからといって、特に何か不都合がある訳でもない。

 いや、本当に何らかの理由を作って妙な真似をするのであれば、こっちも対処をする必要があるだろう。

 だが、向こうはバスケでこっちに挑もうとしているのだから、特に問題はない。

 

「よっし。じゃあ、2対2な。俺が審判やるから」

 

 そう言って、俺に挑戦状を叩き付けてきた男の友人が、ボールを手にする。

 それには誰も異論がなかったのか、全員が素早く準備を整えた。

 そして、ジャンプボール。

 向こうのチームの男と宮本の一騎打ち。

 だが、運動能力という事で考えれば、宮本はかなりのものだ。

 相手のジャンプを軽く上回り、そのボールを俺の方に向かって弾いてくる。

 そうしてボールを取ると、そのままゴールに向かい……

 

「へっ、そう簡単にいかせると思ってるのかよ!」

 

 俺に敵対心を持っている男が立ち塞がるも、その場で俺はドリブルを止めて……3Pラインの外側から、シュートを打つ。

 

「え?」

 

 まさか、いきなり3Pシュートを打つというのは、男に取っても完全に予想外だったのだろう。

 もしかして、俺が3Pシュートを打てるとは思ってもいなかったのか。

 ……いや、今まで体育でバスケをやった時に何度か3Pシュートは打って決まっている以上、それはないか。

 ともあれ、放たれたシュートは綺麗な放物線を描きながらリングに向かって飛んでいき……やがてリングにぶつかる事もないまま、綺麗にシュートが決まる。

 

「な……」

 

 まさか、いきなりこのようなシュートを決められるとは思ってもみなかったのだろう。

 俺の前の男は、ただ唖然とした様子で視線をこちらに向けてくるのみだ。

 だが、宮本と一緒にジャンプに跳んだ男が声を掛けると、すぐに我に返る。

 そうして授業が始まるまではバスケをしたのだが……結局のところ、1点も向こうにやらない、完全試合となった。

 体育教師が来たことで、その試合……試合か? ともあれ、試合も終わり、並ぶ。

 

「有里、随分と遅かったな。どうしたんだ?」

 

 その時になってようやく有里の姿が近くにある事に気が付き、そう尋ねる。

 

「うん、ちょっとね。……面白くないものを見たんだ」

 

 面白くないもの?

 有里の言いようにふと疑問を抱くが、今それを聞いても、有里の性格では話すような真似はしないだろう。

 もし何か手助けして欲しい事があれば、あっさりとそう言って頼ってくる筈なのだから。

 という事は、何か人に言えないような事情があるんだろう。

 もっとも、有里の性格を考えれば、ここで俺が無理に踏み込んでもそれを明かすような真似はしないだろう。

 有里が何をどのように考えているのかは分からないが……

 それでも、いざとなればこっちに話を持ってくるとは思うから、今は放っておこう。

 

「よーし、これからバスケの試合を行う。チームは出席番号順に5人ずつだ、いいな」

 

 教師の指示に従い、チーム分けをする。

 この教師、なんでも男が相手だと素っ気ないが、女だとブルマを履かせようとするとか何とかで、女の生徒にはかなり嫌われている。

 ゆかりもその辺は変わらず、以前愚痴を聞いた覚えがある。

 ……逆に言えば、女子高生には興味があっても男には特に興味がないので、男子生徒からの受けは普通なのだが。

 勿論恋人がいる生徒には嫌われているが、逆にブルマ万歳と尊敬している生徒もいるらしい。

 ともあれ、そんな教師の下で俺達はチーム分けをして、試合を開始するのだった。

 

 

 

 

 

「うーい……疲れた……」

 

 体育の時間は終わり、6限目の授業も終わり、現在はアパートにある俺の部屋でいつものメンバーが勉強会を行っていた。

 そんな中、不意に友近がテーブルに崩れ落ちながらそう告げた。

 

「あー、まあ、友近はアクセルと違うチームだったから、蹂躙された側だったしな」

 

 同情するように順平が言う。

 順平は、伊織順平。そして俺はアクセル・アルマー。

 つまり、俺は『あ』で、順平は『い』となり、出席番号順にチーム分けをするとなると、当然のように俺と順平は同じチームとなる。

 そして『と』の友近と『み』の宮本は、これまた当然のように俺と違うチームになる。

 宮本は普段から剣道部として身体を鍛えているので、多少動いてもバテる事はない。

 だが、普段から何か運動をしている訳でもない友近は、瞬発力とかはともかく、持久力という点では運動部員に到底及ばない。

 ましてや、幾ら力をセーブしているとはいえ、俺に及ぶ筈もなかった。

 それでも試合中は集中していたせいか、それなりに動けていたのだが……授業が終わった後で、その疲れが一気に襲ってきた。

 ましてや、その疲れ切った状況で勉強会をやろうというのだから、友近が疲れ切ってしまってもおかしくはない。

 

「ちょっと、テストまでもう数日しかないんだからね。しっかり頑張りなさい」

 

 友近に活を入れているのは、ゆかりだ。

 まぁ、折角勉強を教えてやってるのに、教えられてる方がこの様子では、苛立ちがあっても当然だろう。

 桐条でもいれば、話は別なんだけどな。

 今日もストレス発散にタルタロスに行こうとか言わないだろうな?

 ただ、死神が出たこともあるし、出来れば少しタルタロスに挑むのは止めておきたいというのが、正直なところだ。

 ……正確には、ゆかりと荒垣と一緒にタルタロスに挑むのは、という意味だが。

 

「アルマー、ここの文法はどう訳せばいいんだ?」

 

 英語の分からない場所を聞いてくる宮本に、俺はすぐに答える。

 まぁ、英語は俺にとって既に母国語に近いからな。

 ただ、日本の授業で習う英語は、微妙にニュアンス的な違いがある。

 例えば、日本語的には『なあ、ちょっとそれを取ってくれないか?』というのを『すみません、そこに置いてある物を手に取り、私に渡してくれませんか?』といった風になる感じだ。

 あくまでもニュアンス的な問題だから、決して間違っているという訳じゃないのが、何とも言いづらい。

 それでも、大体何と書けばいいのかは分かるので、他の生徒達に比べれば、かなり有利なのは間違いないのだが。

 

「だから、そこに入るのはeじゃなくてsでしょ」

「え? そうだっけ? えっと……ああ、そう言えば何か前にもそんな事を言われたような覚えがあったような、なかったような……」

「あったわよね?」

 

 じっくりと力を込めて告げるゆかりに、順平は何度も頷く。

 今のゆかりに逆らえば、どのような目に遭うのか……それをしっかりと理解しているのだろう。

 まぁ、ペルソナ使いとして、ゆかりは順平のかなり上の存在だ。

 桐条達のチームでゆかりと戦えるのは……やっぱりペルソナチェンジという能力を持つ有里だけだろう。

 ゆかりのイオは、雷系の魔法に弱い。

 であれば、雷系の魔法を使えるペルソナを使えば、有利に戦える筈だ。

 

「そう言えば、有里は今日急いで帰ったけど、何でだ?」

「さぁ? 別に同じ寮だからって、ゆかりッチとアクセルみたいに、いつも一緒に行動してる訳じゃないし」

「……どうやらもう少し厳しく教える必要があるみたいね」

「じょ、冗談だって、冗談! だからゆかりッチ、お慈悲を!」

 

 そんな漫才をやっている2人を見ていると、不意に友近が口を開く。

 

「そう言えば、友達から聞いた話だけど、今日の昼休みに有里は何か女の揉め事に首を突っ込んでたみたいだぜ?」

「揉め事? ……ああ、だから来るのが遅かったのか」

 

 にしても、揉め事か。一体どんな揉め事に首を突っ込んだのやら。

 有里なら特に大きな問題にもならないと思うけどな。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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