転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0180話

 前回の戦いから数日。あの戦いで3機のMSを失ったのが痛かったのか、あれ以降は特に襲撃もされずに無事にインド洋を渡っている。だが、この流れが俺の知っている原作通りで進むのなら最低もう一度は前回の敵と戦う事になる筈だ。

 そんな事を思いつつも、マードックにより呼び出された俺は格納庫へと顔を出す。

 

「マードックはいるか?」

 

 取りあえず適当に眺めてみるが、俺を呼び出したマードックの姿が見つからないので通りすがりの整備員へと声を掛ける。

 

「マードック曹長ですか? 曹長なら……あ、ほらあそこに」

 

 整備員が指さした方向にはスカイグラスパー用のシミュレータがあり、その近くにマードックとキラの姿があった。シミュレータが起動しているという事は、誰か使っているのだろう。恐らくオーブ寄港後にスカイグラスパーに乗る事を希望するトールだろうが。

 

「助かった」

 

 整備員に軽く礼を言い、2人の方へと向かう。

 

「マードック」

「お、来たか兄ちゃん」

「呼ばれた理由は?」

「ああ、坊主がFCSの設定を終わらせたんでな。その確認と、あのディンの武器に関してはまだ説明していなかっただろう?」

「そうか。キラ、助かった」

「いえ、元々プログラムを弄るのは好きですし。それにザフトのソナーをアークエンジェルで使えるようにするのに比べたらそれ程難しい事じゃありませんでしたよ」

 

 苦笑を浮かべつつキラがそう答える。前回の戦いの後に感じた暗い雰囲気はもう殆ど感じないな。やっぱりウジウジとヘタレた事を考える暇もないくらいに仕事を与えるのが一番という事だろう。

 

「まず、あの武器だが正式名称は『MMI-M1001 90mm対空散弾銃』というらしいな。読んで字の如く高速で飛んでくる相手に有効な散弾銃だ」

「射程は?」

「兄ちゃんが前に使ってた突撃機銃に比べると格段に短いな。その代わり散弾銃というだけあって、面射撃に秀でている。……ただし、基本的にはディンが連合軍の航空機に使う為に開発されたものだから、威力はあまり高くないと考えた方がいいだろうな」

 

 威力は高くない、か。原作のキラはグーンに至近距離からこの散弾銃を撃って撃破したと思ったんだが。いや、あれはもしかして突撃機銃の方だったのか?

 

「威力に関しても問題ありだが、それよりも最大の問題がある」

「……残弾か?」

「ああ。兄ちゃんが拾ってきたのはこの散弾銃だけで、予備マガジンなんかは拾ってこなかっただろう?」

「拾ってこないと言うか、恐らく海に落ちたんだろうな」

「つまりだ、この武器は今ある分しか使えないって事になる」

「何発だ?」

「8発だな」

「……ま、何もないよりはマシか。弾切れになったら捨てればいいんだしな」

「やったぞ!」

 

 俺達がそんな話をしていると、シミュレータから唐突にそんな声が聞こえてきた。それはいいのだが、聞こえてきたのは男の声ではなく女の声だった。しかも聞き覚えのある。

 

「おい、見てみろよこの点数……うげ」

 

 自慢気にシミュレータから降りてきたその少女は、俺の顔を見た途端不機嫌そうな表情へと変化する。……そう言えば、アークエンジェルに乗ってるってムウが言ってたんだよな。今まで艦内で会った事が一度も無かったからすっかり忘れてたが。

 そんなカガリの様子を見ながら、シミュレータの画面を覗き込む。

 

「ほう」

 

 そこに表示されているランキングと点数に思わず感心の声を漏らす。上位は全てKAGARIと表示されており、その点数もかなり高得点だ。

 

「うお。確かにすげー点数だな」

 

 マードックも俺と同じく覗き込んで表示されている点数に驚いている。

 

「ふふん、これなら今度何かあった時、私があの戦闘機に乗っても問題無いだろう!」

 

 何故か自慢気にそう言ってくるカガリに向かい、溜息を吐いてから首を横に振る。

 

「馬鹿かお前は」

「何!」

「お前はこの艦に同乗しているだけのただの民間人だろう。それが何故戦闘機に乗る事になる? それともキラ達のように連合軍に入隊でもしたのか?」

「いや、それは……けどお前だって別に軍人って訳じゃないのにMSに乗ってるじゃないか!」

「俺は傭兵としてこの艦……と言うか、連合軍に雇われている」

 

 とは言っても、報酬の話とかは全くしていなかったりするが。正式な報酬に関してはアラスカに到着してからそれまでの活躍により応相談という事にしてある。

 

「だが!」

「アクセル?」

 

 カガリがまだ何か言いたそうにしていたが、いつの間にか近づいてきていたムウに話しかけられる。

 

「どうした?」

「前回の戦闘の事でちょっと艦長とバジルール中尉に相談しておきたい事があってな。よければお前の意見も聞かせて欲しいと思って。構わないか?」

「ああ、問題無い」

「おい、ちょっと待て! まだ話は終わってないぞ!」

「……だ、そうだが?」

「気にするな、身の程知らずな我が儘娘の癇癪だ」

「貴様ぁっ!」

 

 激昂するカガリの声を背に、俺とムウはブリッジへと向かった。

 

「アクセル、お前もあんまりあのお嬢ちゃんを怒らせるなよ? ただでさえあのお嬢ちゃんはお前さんに出会い頭に殺気を受けて以来、苦手意識を持ってるんだから」

「だからと言って、素人が戦場に出てきて引っかき回されても困るだろう?」

「……まぁ、な」

 

 こうは言ってるが、カガリが恐らく次の戦闘で勝手に出撃するのは間違いないだろう。そして行方不明になる、と。個人的にはここで時間を浪費するのは面白くないのだが、アスランとカガリの繋がりを作っておかないと最終的にアスランが三隻同盟の戦力にならない可能性もある。故に業腹ではあるが出撃は黙認するしかないだろう。……幸い、オーブに着けば降りるんだし。

 あの行動力は大したものなんだから、後は政治的な能力が身に付けばかなり頼りになる存在にはなるんだがな。そもそも一国の姫がMSに乗って出撃とか、ましてやゲリラに協力して生身でMSに立ち向かうとか……父親のウズミとしては頭の痛い所だろう。

 

「艦長、副長、ちょっといいか?」

 

 考え事をしている間にブリッジについていたのか、ムウが声をかけている。顔を見合わせた2人だが、特に急ぐ用事もなかったようでブリッジの外へと出てくる。

 ……そう言えばムウとナタルがくっついた影響か、マリューとナタルの仲はそれ程悪くないような気がするな。

 

「ム……ん、こほん。フラガ少佐、なんでしょうか?」

「この前の戦闘についてなんだが、ちょっとおかしいと思ってな」

「おかしい?」

「ああ。カーペンタリアから出撃して、このアークエンジェルへ攻撃を仕掛けるというのは無理だ。こっちだって動いてんだしさ。ギリギリ来て戦えたって、帰れないだろう?」

「……確かに推進剤やバッテリーが保たないだろうな。こっちを上手く見つけて攻撃したとしても、ムウの言うように帰りの事を考えて……となると」

「洋上艦や航空機、という事は……考えられないわね」

 

 ムウの推測に呟くマリューだが、すぐに自分の意見に無理があると理解して首を振る。

 

「ああ。幾らなんでも洋上艦や航空機なら見逃さないだろうが、水中はこっちも慣れてない。それを考えると潜水艦が怪しいな」

 

 確かにムウの言っている推測はあり得る……と言うか、実際当たっているのだが。

 ザフトは基本的に洋上艦よりも潜水艦をメインとして海へとその勢力を拡大しているのだから、それを考えればムウの意見は不思議でもなんでもないだろう。

 

「まぁ、グーンを運用している事を考えればあり得る話だろうな」

「それもあったな。水中用MSに関しては坊主に任せるくらいしか出来ないが……今度来たら、潜水艦の方をなんとかしないとな。下手すりゃストーカーのようにずっと追い回されるぜ?」

「ですわね。しかし……」

 

 インド洋に出てから慣れない事ばかりで、疲れているのだろう。どこか気怠げにマリューが自分の髪をいじっている。

 

「艦長、色々と大変なのは分かりますが……」

 

 その様子を見ていたナタルがマリューへとそう声を掛ける。

 

「ま、前回の敵戦力を見る限りは潜水艦と言ってもそれ程の規模じゃないだろう。ディンが2機にグーンが2機だった事を考えれば、砂漠の時のように大部隊相手に……という感じにはならないだろうからな」

「アクセル・アルマー。お前の言う事も分かるが、砂漠とは違って空と海が戦場になるここでは向こうに地の利があるんだ。余り楽観視は出来ないぞ」

「まぁまぁ。バジルール中尉もそう肩肘を張らないでもっと気楽に行こうぜ?」

「フラガ少佐! わ、私は別に」

「なるべく浅い海の上を行くようにしてさ、これまでだって俺達でどうにかしてきただろう? 何とかなるって」

「……アクセル、フラガ少佐のこの脳天気な所はどうにかならないかしら?」

「いや、無理だろ。それにムウの言ってる事は間違いじゃない。浅い所を進めば潜水艦の行動範囲を狭める事が可能で、それだけ敵艦を発見しやすくなるのは間違いない」

「おいおい、2人とも酷い言いぐさだな」

 

 どこかゆったりとした空気が流れたその時、ブリッジからマリューとナタルを呼ぶ声が聞こえてきた。

 

「艦長、副長、ソナーに感。7時の方向、MSです!」

 

 その報告を聞いたナタルは素早くC.I.C.にある自分の席へと移動し、マリューも艦長席へと向かう。俺とムウは顔を合わせて頷く。先にパイロット控え室へと走り出したムウの背中を見送りながら、マリューへと声を掛ける。

 

「マリュー、俺とムウはパイロット控え室に向かう。敵の情報が判明したら教えてくれ!」

「ええ、分かったわ。お願い。……死なないでね」

 

 小さく呟かれたその声に軽く手を上げ、その場を後にした。

 そのままパイロット控え室へと向かっていると艦内にアラームと共に放送が流れる。

 

『総員、第一戦闘配備。繰り返す、総員、第一戦闘配備』

 

「アクセル、フラガ少佐、敵はグーンが2に不明が1よ」

「げ。新型かよ」

 

 パイロットスーツに着替えていると、マリューの報告とムウの嫌そうな声が聞こえてくる。

 

「遅れました!」

 

 そんな中、キラも少し遅れて到着してパイロットスーツへと着替え始める。

 

「不明1か……アクセル、何か情報はあるか?」

 

 格納庫へと移動しながらムウがそう尋ねてくる。

 10中8,9ゾノだろうが、さすがに傭兵といえどもグーンの後継機であるゾノを詳細に知っているのはおかしいので、口を濁さざるを得ない。

 

「いや、だがソナーで捉える事が出来たという事はグーンと同じく水中用MSで間違いはない筈だ。そうなると、恐らくグーンの後継機か派生機って所じゃないのか?」

「だろうな。せめてもの救いは、今回はディンがいないって事だが……」

「敵がムウの予想通りに潜水艦だと考えると予備戦力としてディンを温存している可能性もある。気をつけろよ」

「ああ」

 

 ムウが小さく頷き、スカイグラスパーへと向かう。その様子を見ながら、俺もブリッツの方へと移動する。

 

「兄ちゃん。散弾銃はどうする?」

「今回はいらない。敵は3機で水中用MSだけらしい。そうなると対空散弾銃は使い勝手が悪い」

「あいよ」

 

 マードックにそう指示を出し、ブリッツのコックピットへと乗り込んでカタパルトデッキへと移動する。

 

「アクセル・アルマー、ブリッツ、出るぞ!」




名前:アクセル・アルマー
LV:36
PP:105
格闘:254
射撃:274
技量:264
防御:264
回避:294
命中:314
SP:446
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:276

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