転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1962話

 叫んでいた有里だったが、当然のようにそんな事をすれば目立つ。

 目立つんだが……叫んでいたのが順平であれば、それこそ馬鹿にされただけで終わっただろう。

 だが、叫んだのが有里のような人物となれば、話は違う。

 ましてやここには、月光館学園で人気の高い真田の姿もあるのだから、男を漁りに来ていた女にとって、そんな2人は格好の獲物といえた。

 ……その獲物の中に、微妙に俺も入っていたのは……まぁ、それはそれとでも思っておくか。

 ちなみに順平のみは、有里達をナンパ……いわゆる逆ナンしてきた女達に相手にされてはいなかった。

 女、女、女とガツガツしてたせいで、引かれたのだろう。

 ともあれ、丁度3人組みの女子大生か……もしくはOLと思しき女達と話していると、不意に声が聞こえてくる。

 

「アクセル、お待たせ……って、あれ、そっちの人達は?」

 

 そう声を掛けてきたのは、ゆかり。

 白いビキニタイプの水着を着ており、タルタロスでの戦いや弓道部での運動によって、女らしい身体つきはそのままに、余分な脂肪の類は一切ないという姿をしている。

 それでいながら胸も平均よりは大きく……逆ナンしてきた女達はそんなゆかりと自分との戦闘力の差を察知して自然と数歩後退る。

 逆ナンしてきた女達も、一般的な評価で考えれば美人と呼ぶに相応しいだけの容姿はしている。

 だが、それはあくまでも一般的な評価であり……その点で自分よりも上位の存在であるゆかりを前にしては、どうしようもない。

 ああ、でもかろうじて胸の大きさという点では勝ってるか。

 だが……その唯一勝ってる部分も、美鶴が姿を現せばどうしようもなくなる。

 大人と見間違えられる事も多い美鶴の外見は、逆ナンをしてきた女達よりも圧倒的に上だ。

 そんな美鶴の後ろで恥ずかしそうにしている山岸にしても、一般的な評価で考えれば可愛いと呼ぶに相応しい容姿をしている。

 目の前の3人を相手に、自分達では勝ち目がないと判断したのだろう。

 逆ナンをしてきた3人は、慌てたようにその場を去っていく。

 まぁ、ゆかりや美鶴達と比べられれば、どうしても自分達に分がないというのは分かってしまうんだろうから、それも仕方がないのだろうが。

 別の目で見れば、見事な戦略的撤退と言えなくもない。

 

「何だったのだ、あの3人は?」

 

 不思議そうに首を傾げている美鶴とは裏腹に、ゆかりは俺にジト目を向けてくる。

 恋愛関係に初心ではあっても、美鶴程に初心という訳ではないゆかりは、当然ながら俺達が逆ナンされていたというのは容易に想像出来たのだろう。

 ちなみに、山岸はどこかいじけたような視線を有里に向けている。

 有里が逆ナンされていたのが、気にくわなかったのだろう。

 

「ちょっと話し相手になってただけだよ。向こうも暇だったらしくてな」

 

 ここで道を聞かれていたといった風にとぼけるのは、この場合得策ではない。

 美鶴だけが相手ならばそれでも良かったのかもしれないが、今回の場合はゆかりと山岸に逆ナンだったというのが既に知られている。

 そうである以上、下手に誤魔化すのはこっちに何か隠したい事があったからだと、そう思われても仕方がない。

 なので、取りあえず向こうが暇だったから話をしたと、全くの嘘でもない風に話をしておく。

 

「ふーん。……ま、いいけど」

 

 ゆかりは俺の考えに半ば気が付いていたようだったが、それでも折角屋久島に来たのに、下手な事で揉めるのは面白くないと考えたのか、それ以上追求するのは止めたらしい。……助かった。

 そう思っていると、何故か順平が興奮した様子で口を開く。

 

「おおっと、岳羽ゆかり選手の水着はビキニタイプ!? 高校生らしい、しなやかで若さの溢れる肢体をビキニという布地の少ない水着に包み込むその姿は、まさに若鮎と表現するに相応しい! 張りがあるようで、柔らかそうなその皮膚は、触れる者を楽しませてくれるのは間違いない!」

 

 いつものゆかりッチという呼び方ではなく、岳羽選手という妙な呼び方をしているのを、呼ばれたゆかりの方は胡散臭そうに見つめる。

 その上で順平の視線から自分の肌を隠そうと身をよじるのは、順平の視線に好色的なものを感じたからだろう。

 

「つづけて、山岸風花選手。大人しい性格とは裏腹に着痩せするのか、普段からは到底考えられないような身体をしているぞ! しなやかな筋肉がついている岳羽選手と違い、山岸選手の身体は柔らかい、女らしさを重視しているのか!?」

「……」

 

 順平の言葉に、山岸は頬どころか顔を真っ赤に染めながら有里の後ろに隠れる。

 山岸に頼られた有里は、表情そのものはいつもと変わらないものの、どこか嬉しそうな雰囲気があるように思える。

 山岸に頼られたのが、嬉しかったのだろう。

 

「そして大トリを飾るのは、桐条美鶴選手! これは……これは、凄い! とにかく凄いとしか言えない、完成した大人のボディライン! 女子高生とは到底思えない母性の象徴たる双丘に、引き締まった腰。そのボディラインは、到底女子高生のものとは思えない程の代物だぁっ!」

 

 そして最後に美鶴についての感想を口にする順平。

 ……取りあえず、順平が3人の水着姿にどう思っているのかというのは、俺にも理解出来た。

 そして、順平の審美眼が間違っている訳ではないというのも。

 実際、順平が口にした内容は正しい。

 ゆかり、美鶴、山岸の3人は、この砂浜でもかなり目立っているのは間違いないのだ。

 だが、普段であれば男がいてもナンパに来るような奴がいてもおかしくはないのに、そういう連中が来ないのは……真田の存在が大きいだろう。

 ボクシング部の王者として君臨している真田の身体は、いわゆる痩せマッチョと呼ぶに相応しい体型をしている。

 服を着ているのであればともかく、こうして水着姿になれば、真田の身体にどれくらいの筋肉がついているのかというのは、誰の目にも明らかだ。

 また、先程まで調子のいい事を言っていた順平も、強豪校の剣道部で練習をしている事や、タルタロスでシャドウを相手に大剣を使った実戦を繰り広げているだけあって、かなり鍛えられたものになっている。

 ……そんな2人とは裏腹に、有里はそこまで筋肉がついている訳ではない。

 どちらかと言えば、一撃の破壊力よりも俊敏さを重視したかのような筋肉がついているのだ。

 引き締まった筋肉、と表現するのが正しい。

 ちなみに俺の身体も……うん、まぁ、それなりに鍛えられてはいる。

 だが、混沌精霊である為か、基本的に鍛えても筋肉が付いたりといった事はないんだよな。

 

「……何か言ったら?」

「ちょっ、ゆかりッチ、俺を無視かよ!?」

 

 順平の言葉を無視し、俺に向かって尋ねてくるゆかり。

 美鶴も少し戸惑った様子ながら、順平を受け流してこちらに視線を向けてくる。

 山岸は……有里と話しているのを見る限り、特に俺が何かをいう必要もないだろう。

 

「そうだな。2人共、その水着は似合ってるぞ」

「ま、その辺で許してあげる」

 

 一応ゆかりは俺のその一言で満足したのか、口調では不承不承といった形だったが、口元には笑みを浮かべつつ、そう告げてくる。

 

「そ、そうか? メイドが選んだ水着だが、少し露出が多いような気がするのだが……アクセルがそう言うのであれば、問題はないのだろう」

 

 こちらも、嬉しそうな笑みを浮かべた様子の美鶴。

 順平はそんな俺に向けて恨めしそうな視線を向けているし、真田は早く泳ぎたいと海の方に視線を向けている。

 ……少し離れた場所にいた男達からは、嫉妬の視線を向けられたが、それはそれといったところか。

 

「ともあれ、全員揃ったんだし、早速遊ぶか」

「そうだな。なら俺は泳いでこよう!」

 

 俺の言葉に真っ先に反応した真田がそう言うと、その場から走り去って海に向かう。

 海に遊びに来て、泳ぐのは分かるけど……そこまで本気になって泳ぐとか、普通あるか?

 大抵海に遊びに来た時に泳ぐとなると、それこそ水遊びとかそういう感じだと思うんだが。

 それも真田らしいと言えばらしいから、文句は言わないが。

 ともあれ、俺達もこのまま突っ立っている訳にもいかないので、ビーチパラソルを立てて拠点――と表現すると少し大袈裟かもしれないが――を作ると、それぞれで遊び始める。

 

「ね、アクセル。ちょっと泳がない?」

「あー……それはいいけど、大丈夫なのか?」

 

 ゆかりの水着はビキニタイプだ。

 見る方としては目に楽しい水着なのだが、本格的に泳ぐ為の水着としては、あまり適していない。

 ……その上、ゆかりの場合は胸が平均以上の大きさなので、泳ぐにしても水の抵抗が大きく、上の部分が流される可能性があった。

 

「大丈夫って何がよ? ほら、行きましょ」

 

 俺の言葉が何を示しているのかに気が付いた様子もないのは、ゆかりにしては珍しい。

 恐らくだが、海を楽しみにしていたから、そこまで気が回らなかったのか……それとも、本気で気が付いていないだけなのか。

 ともあれ、海で泳ぐというのは俺も楽しみにしていた行為なので、ゆかりからの誘いを断る訳がない。

 もっとも、泳ぐといっても真田のように本気で……それこそプールで競泳をするかのように、本気で泳ぐ訳ではない。

 こう言ってはなんだが……恋人同士がやるような水遊びを楽しむ。

 途中で順平が加わり、どこか遠慮気味だった美鶴を引っ張り込み、最終的には4人で泳ぎ……正確には水遊びをする。

 ちなみに有里と山岸の2人は、ビーチパラソルの側で砂の城とかを作って遊んでいた。

 ……まぁ、それも十分に海の遊びと言えばそうである以上、特に問題はないのだろうが。

 ともあれそんな風に遊び……やがて夕方が近くなり、砂浜に人の姿が少なくなると、俺達も別荘に戻る。

 好き放題に泳ぐ事が出来た真田は、疲れてはいるようだがどこかさっぱりとした雰囲気となっている。

 まぁ、何時間も泳ぎ続けていたんだから、それでも疲れないなんて事になったら、色々と凄いとは思うが。

 

「スイカ割りの時のゆかりッチ、最高だったよな」

「ちょっと、順平。それは私に喧嘩を売ってるのかしら? なら、高値で買うわよ?」

「おわぁっ! 嘘! 冗談! そんなに本気にしないでくれよ!」

 

 スイカ割りをやった時、ゆかりの振るった棒はスイカに命中するかどうか……本当に紙一重の場所を通りすぎた。

 それこそ、見ている方は完全に当たったと思った程に。

 だが、実際には外れ。

 ゆかりにとって、その事はかなり悔しかったのだろう。

 ……今度ゆかりと一緒に海に行く約束を果たした時は、スイカ割りの準備をした方がよさそうだな。

 そんな風に今日の出来事を話しつつ別荘に戻ると、そのまま全員で風呂に行く。

 当然ながら、風呂は混浴ではなく男女別だった。

 順平が少し残念そうな表情を浮かべていたのは、つまりそういう事なのだろう。

 もっとも、もし順平が期待したような光景に出くわすことになっていたりすれば、間違いなく処刑されていただろうが。

 ともあれ、風呂に入って海で泳いだ疲れや、何より身体や髪に残った塩を洗い流すと、次に食事となる。

 この別荘や部屋を見れば分かるように、畳のある座敷ではなく、椅子とテーブルの洋食風のスタイルで夕食となる。

 出てきたのは、屋久島らしく海鮮類をふんだんに使った料理。

 特に様々な魚介類を使って作られたスープ、ブイヤベースは、堕落のブイヤベースと順平が名付ける程の味だった。

 いや、魚介類の出汁がもの凄く出ていて、本当に美味いんだよな、これ。

 ラーメンやうどん……いや、ブイヤベースだし、パスタの方が合うか?

 そうも思ったが、食事の最中の会話でブイヤベースってのはイタリア料理ではなく、フランス料理だという事を知る。

 ……それでも、ラーメンやうどんよりはパスタ、スープパスタだっけ? それの方が似合うと思うけど。

 他にも様々な魚介料理が出てきたが、個人的には伊勢エビのグラタンが美味いと思った。

 伊勢エビか。……エビフライとかにして食べてみたい気もするけどな。

 ともあれ、桐条グループで雇っている料理人だけあって、出てくる料理はどれも美味かったのは間違いない。

 そうして食事が終わり、デザートの柑橘類を使ったシャーベットを食べ終わったところで、美鶴が口を開く。

 

「皆、この後……午後8時くらいになると思うが、お父様や理事長から色々と話があるらしい。よければ、時間を取って貰えないだろうか。影時間についての話も出てくると思うので、可能なら全員に聞いて欲しい」

 

 そう告げる美鶴の言葉に……最初に反応したのは、当然の如くゆかりだ。

 

「分かりました」

 

 色々と思うところはあれども、武治との会話が出来るチャンスを見逃すような事はしなかったのだろう。

 そしてゆかりが頷くと、他の者達も同様に頷きを返すのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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