転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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1975話

「イレギュラーシャドウの反応を捉えました! これは……巌戸台の北の外れです!」

 

 銀座の料亭で美鶴や武治と食事をしてから、数日。

 今月もまた満月の夜がやってきて、俺とゆかり、コロマルは巌戸台分寮で待機していた。

 ……相変わらず、荒垣の姿はない。

 何度かメールの返事があったって事は、シャドウに殺されるといった事にはなっていないんだろうが、結局今日はここに来ていないのだ。

 ちなみに、幾月の件に関してはまだ殆ど進んではいない。

 妙な動きをしないように専門の人員に監視を頼み、現在は決定的な証拠を集めているらしい。

 幾月が妙な動きに出るよりも前に、先手を打った方がいいと思うんだがな。

 これが表の世界の出来事であれば、武治のそんな行動も許容出来る。

 だが、影時間に関わってるのであれば、それこそ今回の一件は下手に様子見をするのは悪手だと思う。

 もっとも、桐条グループの件である以上、下手に俺が手出しをするのも色々と不味い。

 そんな訳で、結局武治に任せてるんだが……さて、どうなる事やらな。

 

「巌戸台の北? あそこは……特に何かあったか?」

 

 首を傾げる真田に、他の者達も同様に不思議そうな表情を浮かべる。

 実際、俺が知る限りでも、巌戸台の北というのは特に開発が進んでいる訳でもなく、それこそ荒れ地とかそういう感じの筈だ。

 今までの経験から考えると、イレギュラーシャドウは荒れ地にポツンと出るような事はない……と、そう思うんだが。

 正直なところ、どこか微妙な感じがしないでもない。

 

「え? あれ? これって……」

「どうした、山岸」

 

 不意に山岸が戸惑ったような声を上げる。

 その声に美鶴が尋ねると、山岸はどこか信じられないといった様子で口を開く。

 

「その、イレギュラーシャドウの反応ですが、地下にあるんです」

「……地下? 地下だと? ただでさえ、あのような場所にイレギュラーシャドウが出てくるというだけで不思議なのに、地下……?」

「私のデータによれば、巌戸台の北の地下には旧陸軍の基地があるであります」

 

 アイギスの言葉に、俺を含めた全員の視線が向けられる。

 何故アイギスにそんなデータがあるのかは分からないが、それでもイレギュラーシャドウがどこにいるのかが分かったというのは大きい。

 

「では、向かうとしよう。山岸、君は……」

「連れていって下さい。ここからだと、相手が地下にいるという事もあって、完全に相手の様子を把握出来ません。そうである以上、近くに向かう必要があると思います」

「分かった」

 

 山岸の言葉に、美鶴は即座にそう判断する。

 実際先月の白河通りでも同じような事をしたので、問題はないと判断したのだろう。

 ただ、北の外れは何もない場所だけに、もしイレギュラーシャドウ以外の……それこそタルタロスから出て来たシャドウが姿を現したりしたら、色々とやっかいな事になるのは間違いないと思うんだが……まぁ、その辺は護衛を残せばいいのか。

 

「では、理事長。私達が行ってきます」

「ああ、残りのイレギュラーシャドウは全部で6匹だ。そう考えれば、今日倒せば残りの数も半分以下になる。頑張ってくれ」

 

 いつものように笑みを浮かべ、幾月は美鶴にそう告げる。

 その様子からは、焦っているようには見えない。

 もしかして、幾月は現在自分が怪しまれ、調べられているという事に気が付いてないのか? いやまぁ、調べてる奴だって、相手に気取られるような真似はしないだろうし、そうなればおかしくはない……のか?

 そんな風に思うも、もし幾月が俺の思ったとおりの存在なら、これまで自分の正体を隠し通してきたという事になる。

 であれば、そんな幾月が自分が調べられているという事に気が付かない……とは、ちょっと思えない。

 さて、その辺りはどうなっているのやら。

 ちょっと気になるが、取りあえず今は俺がどうこうする事が出来る訳でもない以上、放っておくのがベストだろう。

 

「はい。影時間を終わらせる為にも頑張ります。……アクセル」

 

 そう言い、美鶴が俺に視線を向けてくる。

 何を要求されているのかは分かっているので、小さく頷く。

 美鶴の様子が以前と比べて明るくなっているのは、やはり進路がしっかりと定まったからだろう。

 美鶴の希望していたように、高校を卒業してすぐに武治の手伝いとして桐条グループの経営に関わるということは出来なかったが、代わりに武治にとって大きな負担のシャドウ対策班を任される事になったのは、美鶴にとっても嬉しかったのだろう。……大学に通うというのは約束させられていたが。

 ともあれ、その辺の悩みが解決したのは美鶴にとって嬉しかったのか、俺の方を見て微かに笑みを向けてくる。

 

「む。ほら、アクセル。行くなら、さっさと行くわよ!」

 

 ゆかりが若干拗ねた様子で、俺に向かってそう言ってくる。

 そんなゆかりの言葉には誰も逆らうような真似はせず……全員が俺の周囲に集まってきた。

 そうして影のゲートを展開し、そこに身体を沈み込ませていく。

 何人かは未だに影のゲートに慣れることはないのか、軽く悲鳴を上げていたが……それもすぐに消え、次の瞬間には巌戸台の北の部分という大雑把な場所に俺達は全員が姿を現していた。

 

「へぇ、ここが……うん、本当に何もないな」

 

 順平が周囲を見回しながら呟くが、その言葉通り特に何かこれといった場所はない。

 少なくても、先月のようにラブホテルがある訳でもなければ、モノレールなんかがある訳でもない。

 

「山岸、イレギュラーシャドウの場所を調べてくれ」

「はい、分かりました。……ルキア」

 

 召喚器を頭部に当ててルキアを召喚する山岸。

 そしてルキアの側には、何があってもすぐ対応出来るようにだろう。有里の姿があった。

 こういう言い方はどうかと思うが、まさに山岸の騎士といったところか。

 もっとも、それを言えば有里はともかく、山岸は顔を真っ赤にして照れるだろうけど。

 まぁ、山岸のルキアは他のペルソナとちょっと違って、基本的に移動出来ないしな。

 ルキアの下半身に山岸が埋まっている……もしくは飲み込まれているという形である以上、それも当然だろうが。

 

「……やっぱり地下です。けど、地下なせいか、しっかりとイレギュラーシャドウの感覚を全て掴むのは無理です」

「ふむ、そうか。そうなると、少し厄介だな。山岸が言う通り地下だからなのか、それともイレギュラーシャドウが妨害電波のようなものを出しているのか」

 

 これまでのイレギュラーシャドウの能力から考えれば、妨害電波のようなものを出していると言われても、決して否定出来ないのが痛いところだよな。

 山岸がルキアの召喚を解除、申し訳なさそうに告げる。

 美鶴はそれに対して気にするなと首を横に振り、次にアイギスに視線を向ける。

 

「アイギス、お前のデータにその陸軍基地に続く場所がどこなのかはないのか?」

「あります。向こうの方です」

 

 そう言ったアイギスが指さしたのは、まさに廃墟と呼ぶに相応しい建物。

 放棄された地下基地に続くと言われれば、なるほどと納得してもおかしくはない場所だった。

 取りあえずここにいても意味はないという事で、全員でそちらに向かう。

 

「それにしても、陸軍基地か。どんな場所なんでしょうね。拳銃とかあったりして」

 

 若干嬉しそうに順平が呟くのは、やはり普段からゲームをやっているだけあって、銃とかに興味があるからか。

 ……現在の俺達の状況が思い切りゲーム以外に見えないんだが、それでもやはり順平はゲームとして楽しむのだろう。

 もっとも、この世界の原作がゲームなのか、それとも漫画、アニメ、小説といったものなのか、それは俺にも分からないが。

 

「もし銃とかあっても、戦後ずっとそのままにされていた以上、間違いなく壊れていると思うぞ。迂闊に触るような真似は……ましてや、撃ってみようなどと思うなよ。岳羽の回復魔法があっても、指が千切れればどうしようもないのだからな」

「ひぃっ!」

 

 脅すような美鶴の言葉に、自分の腕がなくなっている光景を想像したのか、順平の口からは短い悲鳴が上がる。

 まぁ、実際何十年も放置した拳銃とかがまともに使えるとは思えないしな。

 もっとも、どこかのミリタリーマニア辺りに売ればいい金になるだろうけど。

 いや、拳銃なんだし、銃刀法違反になるのか?

 ともあれ、アイギスの案内に従って、俺達はその施設の中に入っていく。

 

「私のデータが正しければ、この扉の向こうに地下に続く通路があるであります」

 

 アイギスがそう示したのは、かなり大きめの扉だった。

 それこそ、車程度なら余裕で通れるだろう大きさの扉。

 何だってこんなに大きな扉が必要になるんだ?

 まぁ、戦前の事だと言われれば、そういう風なものだったんだろうと納得するしかないが。

 

「さて、では……山岸、ここからならどうだ? 地下の様子を把握出来るか?」

「えっと、ちょっと待って下さい。……ルキア!」

 

 再びルキアを召喚する山岸だったが、結局はここからでも内部の様子を把握出来ないという事がはっきりとしただけだ。

 

「そうなると、あの扉の中に入る必要があるのか。……あからさまに罠っぽいが」

 

 内部の様子を確認出来ず、そこには巨大な扉が存在している。

 イレギュラーシャドウにそこまでの知能があるかどうかは分からないが、それでもこうして目の前に罠と思われるものが存在するとなると、そのへんを疑わざるを得ない。

 

「とは言っても、ここでこうしている訳にはいかない。山岸、どうする? 無理なような……」

「いえ、私も行きます」

 

 美鶴の言葉に、山岸は即座にそう返す。

 前回の件を多少なりとも気にしている、といったところか。

 さて、美鶴はどう対処するか……もっとも、美鶴にとっても山岸の存在は非常に心強いものだというのは間違いない。

 そうである以上、出来れば連れていきたいというのも大きいだろう。

 それに、妨害電波っぽいのが出ているという事は、下手をすればここに置いていけば山岸が狙われるという可能性を否定出来ない。

 何より、これだけの扉の先であれば、当然のようにかなりの広さを持つ筈だ。

 だとすれば、取りあえず山岸が一緒にいても、戦いで不利になる事は……多少はあるかもしれないが、大きな不利にはならないと考えてもいい。

 いざとなったら、それこそ炎獣を護衛に回せばどうとでもなるし。

 今はとにかく、イレギュラーシャドウの分析結果の方が欲しい。

 

「俺も賛成だな。山岸を守るのは有里がいればいいかもしれないが、念の為に……」

 

 右手を白炎にし、次の瞬間には炎獣が生み出される。

 山岸に苦手意識を持たれても困るので、取りあえず猫型にしておいた。

 ……犬にしようかとも思ったんだが、コロマルが妙な対抗意識を持ったりしたらどうかと思ったので、結局犬は止めておいたのだ。

 

「わぁっ! か、可愛い……アルマー君、これが炎獣?」

「ああ。……そう言えば、山岸は炎獣を見た事がなかったか」

 

 山岸が仲間になったのがつい最近だし、基本的に俺達と美鶴達は別々に行動している。

 ましてや、最近はゆかりや荒垣も十分強くなってきたという事もあって、炎獣を生み出していなかったしな。

 コロマルの場合は……動物同士という事で、どう思うか分からなかったというのもあるし、何よりコロマル自身がそれを嫌がりそうだったというのもある。

 いや、意外とコロマルなら子犬型の炎獣を生み出せば、それが面倒見がよくなるか?

 ともあれ、今のコロマルは十分に強い。

 元々人間は普通の中型犬を相手にしても本気で戦えば勝てないといったくらいの戦闘力の差が、犬と人間の間にはあるのだ。

 そう考えれば、コロマルに炎獣の護衛はいらない筈だというのは、間違いなかった。

 

「とにかく、炎獣の護衛がいれば、もし何かあっても守ってくれるのは間違いない。こう見えて、かなり強いからな。それはゆかりが証明してくれている」

 

 その言葉に、その場にいる多くの者の視線がゆかりに向けられる。

 そんな視線を向けられたゆかりは、一瞬戸惑ったものの……やがて、頷く。

 

「炎獣は敵が攻撃してきても、殆ど確実にその攻撃を防いでくれるわ。もっとも、乱戦になると、色々大変になりそうだけど」

 

 そう告げるゆかりの言葉に、ようやく皆が納得する。

 いや、何で俺の言葉で納得しないんだよ。

 そんな突っ込みを入れたくなるも、今までの経験からだと言われれば、こっちもどうしようもないので、それ以上は口にしない。

 

「とにかく、先に進むとしよう。イレギュラーシャドウがどんなのか分からないし、早めに対処するに越した事はないだろうし」

 

 その言葉に全員が頷き、その扉の向こうに進む。

 扉そのものは楽に開ける事が出来たのだが……

 

「おや、皆さん。随分と早かったですね。本来ならもう少し時間が掛かると思ってたんですが……」

 

 その扉の向こうにいる人物に、そんな声を掛けられるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389
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