転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1983話

「ね、映画に行かない?」

 

 夏祭りから数日が経ち、そろそろ8月も終わりに近づいて来た24日。

 そんなゆかりの誘いにより、俺は映画祭りに行く事になった。

 ポートアイランド駅にある映画館でやっている映画祭りは、様々な映画を見る事が出来る、映画鑑賞が趣味の人にしてみれば非常に嬉しい祭りなのだろうが……正直、映画館では他人が邪魔になって集中出来ず、映画を見るのならレンタルでいいと思っていたのだが。

 海水浴じゃなくて、どうしても映画に行きたいとまで言われては、それを拒否する訳にはいかなかった。

 いや、別に映画を見に行った後で海水浴に行ってもいいんだが。

 基本的に影のゲートで移動するのであれば、俺の魔力の許容範囲内ならどこにでも一瞬で姿を現す事が出来るのだから。

 ともあれ、そんな訳で俺はゆかりと一緒にポートアイランド駅にある映画館に来た訳だ。

 

「で? ここまで出て来たのはいいけど、どんな映画を見たいのかは、もう決まってるのか?」

 

 映画祭りというだけあって、色々な映画を同時上映している。

 アクション、SF、サスペンス、恋愛、ホラー、アニメ……といった具合に。

 

「うーん、そうね。恋人とのデートなら、やっぱり恋愛物が一番らしいんでしょうけど……」

 

 ゆかりの視線が、俺に向けられる。

 だが、俺はそんなゆかりの視線に対し、首を横に振るだけだ。

 恋愛映画なんてみようものなら、間違いなく眠ってしまう自信がある。

 それはゆかりも分かっているのか、少しの間俺を見たゆかりは、やがて笑みを浮かべて口を開く。

 

「安心しなさい、別にアクセルと恋愛映画を見ようなんて思ってないから」

「そうか。そう言ってくれると、こっちとしても助かった。もしゆかりが恋愛映画を見たいって言ったら、俺はホラー映画を見たいって言おうと思ったからな」

「……ちょっと……」

 

 ジト目を向けてくるゆかり。

 ゆかりが幽霊とかそういうのが苦手だというのは、当然ながら俺は知っている。

 正直なところ、シャドウの中には余程幽霊っぽい奴がいるんだから、それを考えればどうかと思うのだが。

 シャドウはシャドウ、幽霊は幽霊と、そんな風に思っているのだろう。

 

「まぁ、恋愛映画を見るんじゃないし……そうだな、無難にアクションとかか? ほら、全米が泣いた……鳴いた!? え? おい、これミスとかじゃないよな?」

 

 ポスターに書かれてる煽り文句は、『全米が鳴いた』という文字。

 ここは普通、鳴いたじゃなくて、泣いただろう。

 これが間違いじゃないとすれば、何がどうなって鳴いたになったのか、非常に興味が湧く。……寧ろ、それを狙ってこんな煽り文句なのか?

 そんな風に思うも、一度気になってしまっては、どうしようもない。

 

「え? あ、これ……そうよね、ポスターのこんな目立つところに書いてる文字が、まさか誤記とかはないと思うけど……鳴いた?」

 

 ゆかりもその鳴いたという煽り文句が気になったのか、興味深そうにポスターを見る。

 ……こうして、俺達が見る映画は決まったのだった。

 

 

 

 

 

「いやまぁ……うん。鳴いたってそういう訳だったのか」

「そうね。……鳴いてたわね」

 

 映画を見終わった俺達は、丁度昼という事で近くにあるパスタ専門店でパスタを頼んでいた。

 俺が頼んだのは『海の喜び、潮風の吹く風の如き軽やかなパスタ』とかいうんだが……うん、全く意味が分からない。

 ただまぁ、店の方でも名前だではどういうパスタか分からないというのは理解しているのか、メニューには写真が載っている。

 その写真を見る限り、俺が頼んだのはイカやエビ、貝といった具材を使ったシーフード系のパスタらしい。

 まぁ、海とか潮風とかメニューに書かれてるんだから、それくらいは予想出来ないでもなかったが。

 ちなみにゆかりが頼んだのは『豊かな森に降り注ぐ夏の日差し、その爽やかなパスタ』とかいうパスタで、メニューを見る限りでは山菜系を使ったパスタとなる。

 ……山菜は基本的に春がメインだが、別に夏に山菜がない訳ではない。ミズなんかは、夏の山菜としてかなり有名だし、薬味として有名なミョウガも山菜に数えられる事がある。

 ともあれ、そんな和風の味付けのパスタをゆかりは頼み、俺達はそれぞれ映画の感想を口にする。

 

「正直なところ、面白いか面白くないかって聞かれれば、面白くなくもない……ってところだったな」

「それは否定しないわ」

 

 あの映画を見て時間を無駄にしたのかと言われれば、否と応える。

 だが、もしああいう内容だと知っていて、映画館で見るのかと言われれば、素直に頷く事は出来ない。

 そんな微妙な線の映画だった。

 まぁ、映画祭りで流される映画のレベルだと言われれば、反論は難しいんだが。

 

「それで、これからどうする? また映画を見に行くかと言われれば、そんな気分じゃないしな」

「そうね。取りあえず……パスタも来たみたいだから、それを食べながら考えましょうか」

 

 そうゆかりが言うと同時に、ウェイトレスがこっちにパスタを持ってくるのが分かった。

 ウェイトレスの持っているパスタが俺達のだと判断したのは、単純に持ってるパスタが俺とゆかりの頼んだ奴だったからだろう。

 勿論他の席で全く同じパスタを頼んだという可能性もない訳ではなかったが、それでも可能性としては少ない。そして事実……

 

「お待たせしました」

 

 そう言い、ウェイトレスが俺とゆかりの前にパスタを置くと、一礼して去っていく。

 それを見送り、俺とゆかりはパスタを食べ始める。

 俺のパスタは写真通りの……いや、写真よりも具が多いか?

 こういうメニューに載っている写真って、大抵が実際に出てくる料理よりも立派だったりするんだが、この店では違うらしい。

 ちなみに写真で立派なので印象に残ってるのは、ファーストフード店の新メニューだ。

 スペシャルなハンバーガーという扱いで、見た目はかなり豪華な様子で写真に写ってたのに、実際に頼んでみれば写真に写っているものの半分以下の大きさしかないハンバーガーが出て来たり。

 ……ああいう写真の場合、これはあくまでも見本です。実物は写真とは違う可能性があります、とか注意書きが欲しいよな。

 

「どうしたのよ、不機嫌そうな顔して。……もしかして、そっちのパスタはあまり美味しくなかったとか? こっちはかなり美味しいんだけど」

 

 山菜パスタを食べているゆかりが、不思議そうに尋ねてくる。

 

「いや、こっちのパスタも十分美味い。ただ、メニューの写真よりも具材が多かったから、少し驚いていただけだ」

「そう言われると……そうかもしれないわね」

 

 俺の言葉に、ゆかりもメニューの写真を見ながら、そう告げてくる。

 実際、山菜パスタも写真よりは麺が多く、具の山菜も間違いなく多い。

 

「こういう店は、流行って欲しいよな」

「それは否定しないわ。出来れば、これからも来るようにしたいわね」

 

 買い物をする際、ポートアイランドに来るというのはよくある事だ。

 であれば、そのついでに食事をする時はここに寄って……と、そんな行動をとってもおかしくはない、筈だ。

 いやまぁ、俺の場合は影のゲートがあるから、それこそどこに行くにも一瞬で済む。

 そう考えると、行く店の選択肢はかなり多いんだが。

 それに、今日は映画祭をやっているからこそ、その客を狙ってパスタを豪華にしているという可能性も、否定は出来ないし。

 この店は初めて入った店だから、普段からこんな様子なのかどうかは、それこそ何度か来てみなければ分からない筈だ。

 

「そうだな。他にも色々と食べてみたいパスタはあるし」

 

 ゆかりの言葉にそう返しながら、次はキノコが何種類も入ったクリームパスタを頼むべきか迷う。……メニュー名がなぁ……

 何だってこの店のメニューはああいう風に言うのも恥ずかしく、それだけ長いメニュー名なんだろうな。

 正直なところ、何を思ってそんなメニュー名にしたのか、これを考えた奴の正気を疑う。

 勿論、そういうメニューの方が注文する時に楽しいって奴もいるだろうけど、ウェイトレスもメニュー名を繰り返す為にはこれを全部覚えている必要がある訳で……南無、としか言えないな。

 それとも、これも映画祭に合わせた期間限定なのだろうか。

 

「相変わらず、アクセルはよく食べるわね。この店のパスタはかなりの量があるのに」

 

 少し呆れた様子で言ってくるゆかり。

 実際、1人前のパスタというのは、普通はかなり少ない。それこそ、え? それ本当に1人前? って聞き返したくなるくらいに。

 だが、本当にそれで1人前なんだよなぁ……

 ともあれ、そんなパスタの量が一般的なのだが、この店のパスタはそういうのに比べると少し量が多い。1.5人前くらいか?

 そんなパスタをもう1皿頼むのか、と。そうゆかりは俺の方を見るのだ。

 だが、俺は知っている。ゆかりもこの程度の量では足りない事を。

 普通なら夏に向けてダイエットする女が多い中、タルタロスで毎晩の如く暴れているゆかりに無理なダイエットは必要ない。

 それこそ、下手にダイエットなんぞしようものなら、タルタロスで戦う為の体力が問題になってくるだろう。

 

「そう言っても、このくらいの量しかないんじゃな」

「……私はアクセルの事を知ってるからいいけど、他の人には絶対に聞かせられない言葉よね、それ」

 

 会話をしながらパスタを食べ続けると、案の定すぐにパスタはなくなる。

 ただ、メニューの名前はともかく、パスタの味は美味いのは間違いない。

 これで、メニューの名前が普通なら、はがくれみたいに行きつけの店になるんだけどな。

 はがくれのラーメンに比べると、多少なりとも割高なのは間違いないが、金という意味では俺は全く困っていない。

 タルタロスの中で得た物とか、かなりの額になってるし。

 

「そう言えば、最近荒垣に連絡取ったか?」

 

 話題がタルタロスの事になり、ふとゆかりにそう尋ねる。

 最近では俺達がタルタロスに挑む時は、俺、ゆかり、コロマルの2人と1匹での挑戦となっている。

 荒垣とは、全く向こうに挑んではいない。

 何度かメールが戻ってきてる以上、1人でタルタロスに挑んで死んだ……って事はないと思うが。

 ただ、問題なのはメールなんだよな。

 電話をしても出ず、メールで返事が来る。

 ……下手をしたら、荒垣はもう死んでいて、誰か他の奴が荒垣に成り代わって俺にメールを送っているという可能性すらある。

 

「ううん。コロマルも少し寂しそうにしてたわよ」

「コロマルがか?」

 

 コロマルは荒垣に会った事がない訳ではないが、それでも回数そのものはかなり少ない筈だ。

 コロマルが俺達と行動するようになったのと、殆ど入れ違いのような形で荒垣は俺達と行動をしなくなっていったのだから。

 もしかして、何か荒垣を怒らせるような事をしたのか? という思いもあるが、何も思い当たるような事はない。

 そうなると、やはり何か理由があるとは思うのだが……

 

「コロマルは頭が良いから、荒垣さんが優しい人だって分かってるんでしょうね」

「そうだな。……もしくは、人の顔を見ても人間と感じ方が違って、荒垣が強面にみえないとか」

「ぷっ、ちょっと、アクセル……それは……」

 

 強面ではない荒垣を想像でもしたのか、ゆかりが笑いを堪えるようにこちらを見てくる。

 そうして、自分を落ち着かせるようにコップの水を口に運ぶ。

 にしても、強面じゃない荒垣か。……ちょっと興味がないと言ったら、嘘になるな。

 実際、見てみたいかと言われれば、俺は頷くだろうし。

 

「夏だから、どこかにバカンスに行ってる……いや、荒垣の性格から考えて、それはないか」

「……ない、でしょうね」

 

 それこそ荒垣が海で泳いでいる光景や海辺で女をナンパしてるような光景は、ちょっと想像が出来ない。

 寧ろ夏だからどこかに出掛けるのは面倒臭い、と言ったりしそうな気がする。

 

「となると、やっぱり荒垣が何をしているのか心配になるな」

「うーん……真田先輩に連絡してみたら? 私達に連絡しなくても真田先輩となら連絡を取り合ってるかもしれないし」

「……なるほど。そう言えば幼馴染みだとか言ってたか」

 

 元々荒垣が真田と共に美鶴の仲間になったのも、そっちの関係だったからって話を美鶴から聞いた覚えがある。

 だとすれば、俺達と連絡を取っていない荒垣も、真田と連絡を取ってる可能性というのは、否定しきれない事実なのだ。

 勿論、それを言うのであれば、荒垣が俺達と連絡を取りたくない理由があるという事になるのだが。

 別に荒垣を怒らせるような真似をした覚えはない以上、心当たりはないし。

 

「取りあえず荒垣の事は後で考えるとして、今は折角なんだ。2人のデートを楽しまないか?」

「……そうね」

 

 デートという言葉が照れくさかったのか、ゆかりは俺の言葉に頬を赤く染めながら、頷くのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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