転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1992話

 美鶴達に刈り取る者を見せてから、数日。

 既に8月も終わりに近づき、夏休みもそろそろ終わりに近づいてきている頃。

 いつものようにゆかりと2人で俺の部屋にいた……のだが、別にイチャイチャしている訳ではない。

 ゆかりと一緒に、夏休みの宿題を片付けていたのだ。

 もっとも、俺もゆかりも、夏休みの宿題は既に殆ど終わっており、それこそ順平を初めとした3馬鹿の連中のように、この時期になって焦るといった事はしなくてもいい。

 

「そう言えば、まさかアイギスがコロマルの言葉を分かるとは思わなかったわね」

「そうだな」

 

 宿題をしながら、ふとゆかりが呟く。

 実際、あれには色々と驚いた。

 刈り取る者の件については、元々見せるつもりだったから問題はなかったのだが、あのままだと、下手をすればコロマルから俺の隠しておきたい情報がアイギス経由で幾月に知られていた可能性がある。

 一応コロマルには俺やゆかりの秘密はアイギスに言わないように頼んでおいたが……コロマルが言葉を理解するだけの頭脳を持っているとはいえ、その約束をきちんと覚えててくれるかどうか。

 正直なところ、微妙だと言ってもいい。

 ……何だかんだと、結局のところコロマルは犬だしな。

 その頭の良さに期待はしているが、過度な期待はしない方がいい。

 

「あら、アクセル。日本史の課題まだやってなかったの?」

「ああ。……微妙に俺が知ってる歴史と違ってるところとかがあってな」

「あー……なるほど。アクセルならそうなってもおかしくはないか。でも、テストの成績は良かったじゃない。なら、その辺も問題ないんじゃないの?」

「大体はな。それにそれでも何ヶ所か間違っているところは……」

 

 あった。

 そう言おうとした俺の言葉を邪魔したのは、携帯の着信音だった。

 一旦言葉を止めて携帯を見てみると、そこに表示されているのは美鶴の名前。

 まぁ、そもそも俺に電話を掛けてくる奴は少ないし、その中で一番掛けてくるゆかりは、こうして俺の隣にいる。となると、美鶴が電話を掛けてくる可能性が高いのは、当然と言ってもよかった。

 ……まぁ、何気に俺の携帯の番号には、武治の番号も登録されてるので、武治が誰なのかという事を知っている者にとっては、かなり貴重だが。

 

「もしもし、どうした?」

『アクセルか。荒垣が目を覚ました』

「……本当か!?」

 

 いきなりだったので、咄嗟に反応するのが遅れたが、改めて美鶴に尋ねる。

 これで、実はドッキリでした何て事を言ったら、相応のお仕置きをしてやる。そう考えながら。

 俺の声が聞こえたのか、ゆかりも宿題を止めて俺の方に視線を向けている。

 

『本当だ。今なら見舞いに来れば会えるが、どうする?』

「会いに行く。詳しい事情は病院で聞けばいいか?」

『そうしてくれ。では、岳羽にも連絡を……』

「いや、ゆかりは俺の部屋にいるから、病院には俺が直接連れていくよ」

『何? 何故岳羽がアクセルの部屋にいるのだ?』

「夏休みの宿題を一緒にやってたんだよ」

『ああ、なるほど。そういう事なら納得だ。だが、この時期にまだ宿題を終わらせていないというのは、ちょっとどうかと思うがな』

「別に順平みたいに、宿題をまだ殆どやってないって訳じゃない。もう殆ど終わっているよ。残りの少しを片付けようとしてたんだ」

 

 まぁ、順平の場合は遊び歩いていたり、剣道部の練習があったりもしているが……最近知り合った女と会っているって話らしいが。

 ちょっと前に街で友近に会った時、そう言って悔しがっていたのを覚えている。

 ……その友近、倫理の教師の叶と上手くいっている……と思いきや、何でも友近は遊びだったらしい。

 何でも夏休み中に月光館学園を辞めて転勤しただとか、寿退職しただとか、色々と情報はあるが、詳しい事までは分からない。

 うん、半ば予想してたんだが、どうやら友近は叶に遊ばれていたらしい。

 もっとも、火遊びの相手として一夏の体験は出来たらしいから、結果的に考えれば大人の恋を少しでも知ったって事で、そこまで悪いものではなかった気がしたが。

 実際、友近も俺と会った時にはそこまで引きずっている様子はなかったし。

 ともあれ、こうして友近の恋は終わった訳だ。……もっとも、友近には幼馴染みがいて、その幼馴染みは友近の事を好きらしいが。

 女教師の次は幼馴染み。……実はこのペルソナ世界で一番高校生らしい青春を送っているのは、友近だったりするんじゃないか?

 少なくても、今の俺からはそう思える。

 

『話は分かった。勉強なら私に言えば教えてやったのだが……今度勉強を教えてやろう。それよりも、アクセルと岳羽は今から来るということでいいのだな?』

「ああ。そうするよ。影のゲートで行くから、数分も掛からないと思う」

 

 そこまで勉強を俺に教える必要はない……と言おうと思ったんだが、折角の親切で言ってくれてるのだし、それを拒絶するのも悪いか。

 もっとも、今の美鶴は生徒会だったり、桐条グループ総帥の娘だったり、影時間だったりで、本当に色々と忙しい筈だ。

 せめてもの救いは、高校3年の美鶴だが、大学は間違いなく推薦で受かる筈だから、受験勉強をしなくてもいい……といったところか。

 もしこれで受験勉強もしなければならないのなら、間違いなく美鶴はパンクしていたんだろう。

 

『では、待っている』

 

 そう言い、美鶴からの電話が切れる。

 すると、それを待っていたゆかりが、俺に視線を向けて尋ねてくる。

 

「で? どうしたの?」

「荒垣が目を覚ましたらしい」

「……本当? 冗談とかそういうのではなくて?」

「美鶴がそんな事を言うと思うか?」

「思わない」

「そんな訳で、これから辰巳記念病院に行こうと思ってるんだが……」

「当然私も行くわ!」

 

 強く告げ、ゆかりはテーブルの上に広がっていた宿題を片付けていく。

 

「見舞いの品は……まぁ、病院の売店で何か買えばいいか」

 

 以前有里の見舞いに行った時は、本を……それも写真集とかを持っていったんだが、今の荒垣にそういうのを持っていくのは色々と危険な気がする。

 いや、荒垣も何だかんだと男なんだから、そういうのを差し入れされて喜ばないって事はないと思うんだが。

 だが、美鶴やゆかり、山岸……それとアイギスもか? そんな連中がいる時にエロ本――写真集だが――を持っていくのは、見つかると色々と言われるだろうしな。

 そんな訳で、俺とゆかりは準備を整えるとすぐに影のゲートを使って辰巳記念病院に向かう。

 他の病院のように、当然この病院にも1階に売店が用意されており、そこでは見舞いの品を買えるようになっている。

 

「何がいい?」

「うーん、普段なら荒垣さんが喜ぶような、料理の本とかでもいいんだけど……まぁ、無難にああいうのでいいんじゃない?」

 

 ゆかりの視線が向けられた先にあったのは、見舞いの品の定番とも言える果物の盛り合わせだ。

 まぁ、こういう時に受け狙いの見舞いの品を持っていくのもなんだし、これでいいか。

 

「じゃあ、これにするか」

「え? ちょっ……いいの、それ? 本当に?」

 

 ゆかりが驚いたのは、俺が手を伸ばしたのが3万円以上する果物の盛り合わせだったからだろう。

 実際、その値段相応に籠……バスケットか? それに入っている果物は、どれも粒が大きく、見るからに立派で……美味そうだ。

 

「問題ない。特に金には困ってないしな」

 

 マジックアイテムの件で、桐条グループからは相応の金を貰っている。

 それこそ億には届かない額が、現在俺の口座の中には入っているのだ。

 ……いつの間にか口座が作られていたのは驚いたが、まぁ、俺にとっては不便って訳ではないので、それでいいとする。

 実際には空間倉庫の中に札束を入れておけば、それでいいと思うんだが。

 もっとも、その場合は銀行口座とかじゃないので、利子とか貰えないが。

 預けているだけで利子を貰えるってのは、いいシステムだよな。

 そこまで利率が高い訳じゃないが、預けている金額が大きくなれば当然のように利子も大きくなる。

 ともあれ、そんな訳で現在の俺は全く金に困るといった事はない訳だ。

 それこそ3万円どころか、10万円くらいの果物の詰め合わせを買っても問題ない。

 ただ、10万円のはかなりの大きさなので、それを病室に持っていくと、間違いなく荒垣に置く場所がないとか、1人で食い切れるかとか、文句を言われそうな気がするのだが。

 その場合は俺が食ってもいい……とは、この場合は言えないよな。

 ともあれ、俺はその果物の詰め合わせを買ってゆかりと共に病室に向かう。

 荒垣が入院している部屋がどこにあるのかというのは、以前から何度もお見舞いに来て知っているので、特に迷う事もなくその部屋の前に到着し……

 

『この、馬鹿野郎がっ!』

 

 扉をノックしようとした瞬間、部屋の中からそんな怒声が飛び込んできた。

 扉を叩こうとした寸前で拳を止め……どうする? とゆかりに視線を向ける。

 そんな俺の視線に、ゆかりは黙って首を横に振る。

 それがもう帰ろうと言ってるのか、ここで躊躇してもしかたないと言ってるのか、その辺りは迷ったが、病室の中から聞こえてきたのが真田の声だった事もあり、そのままノックする事にする。

 

「誰だ?」

 

 聞こえてきたのは、美鶴の声。

 部屋の中の気配から察するに、美鶴と真田、荒垣の3人だけがいるらしい。

 

「俺だ。真田の声が部屋の外まで聞こえてきたぞ。何か取り込んでるなら、もう少し時間を潰してくるけど。どうする?」

 

 時間を潰すなら、詰め合わせの中に入っている果物を幾つか食べてもいいか。

 そんな風に考えながら病室の中に声を掛けるが、戻ってきたのは入ってもいいという美鶴の声だった。残念。

 ともあれ、扉を開けて病室の中に入ると、点滴をしている状態の荒垣がベッドに寝ていて、その脇に美鶴と真田の姿がある。

 先程怒鳴り声を響かせた真田だけではなく、美鶴までもが怒ってるように見えるという事は……荒垣が何か馬鹿な真似でもしたのだろう。

 

「荒垣が目覚めたって聞いてやって来たんだが……俺にそれを教えてくれた美鶴はともかく、真田は随分と早いな」

「……俺も見舞いに来ていたからな」

 

 なるほど。美鶴が俺に電話した時には、真田も荒垣の見舞いに来ていたらしい。

 そう考えれば、俺とゆかりが影のゲートを使って来るよりも早く病室にいたというのは納得出来るな。

 

「なるほど。……で? ようやく荒垣が目覚めたって話を聞いてやって来たんだが、何だっていきなり怒鳴り散らしてるんだ? ああ、これ見舞いの品な」

 

 そう言い、TVとかが置かれている場所の近くに果物の盛り合わせを置く。

 この部屋は1人用の病室で、部屋にいるのは荒垣だけだ。

 ……もしここが普通の病室なら、さっきの真田の叫び声は間違いなく周囲の注目を浴びていただろう。

 まぁ、荒垣は影時間に関わっている以上、まさかそんな風に人が大勢いるような部屋に入院させる訳にもいかない。

 それを考えれば、こうして1人部屋に入院させるというのも納得は出来るんだけどな。

 

「あ、ああ。悪い。……随分と高そうだな」

 

 料理が得意なだけあってか、荒垣は俺が買ってきた見舞いの果物の盛り合わせが、かなり高価な果物である事に気が付いたのだろう。少し驚いた様子でバスケットに入っている果物を見ている。

 

「少し奮発した。結構美味そうだろ? 後で食えるようになったら食ってくれ。もっとも、悪くなるようなら俺が食うけど」

 

 というか、夏が旬の果物だけに、是非この機会に食ってみたい。

 勿論この果物の詰め合わせを買ったように、普通に買おうと思えば買えるんだろうが……ただ、何となくそういう気分にならなかったんだよな。

 この果物程高価ではないにしろ、マンゴーとかはスーパーとかでも普通に売っている。

 買おうと思えば、買えるんだが……何故かそういう気分にならないのだ。

 そんな訳で、今回は丁度いい機会だと思って、そう言ったのだが……

 

「アクセル、悪いがそういう話は後にしてくれ。今はもっと重要な話をしているんだ」

 

 真剣な表情で、真田が俺に視線を向けてくる。

 さっきの怒鳴り声もそうだが、どうやら随分と腹に据えかねる事があったらしい。

 

「落ち着け。ここがどこか忘れたのか? 病院だぞ? 幸いここは1人部屋だから問題ないが、それでも廊下を誰も通らないって訳じゃないんだ。実際、さっきの怒鳴り声も外に聞こえてたしな」

「ぐ……そうだな。それは俺が悪かった」

 

 謝る真田だったが、それはとてもではないが怒鳴った事を謝っているのであって、荒垣に対して怒りを抱いているのを謝った訳ではないらしい。

 

「で? 何だってそんなに怒ってるんだ? 美鶴も怒っているところを見ると、どうやら真田の勘違いって訳じゃなさそうだが」

 

 視線を向けて美鶴に尋ねると、美鶴は苦々しげな様子で口を開く。

 

「荒垣は、制御剤を飲んでいた。それが、倒れた原因だ」

 

 そう、告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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