転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0187話

 ウズミ・ナラ・アスハとの交渉を終えた翌日、俺は微妙に不機嫌なマリューに送り出されてモルゲンレーテのMS工場へと来ていた。ウズミが命じて運び出させたのか、シーリオンが入っていたコンテナは既に無くなっている。恐らく極秘裏に研究できる場所へと移動させられたのだろう。

 そんな事を考えていると、中年の整備員が一人俺の方へと近づいて来る。

 

「すいません、アクセル・アルマーさんでしょうか?」

「ああ」

「ブリッツの調整についてちょっと意見が欲しいのですが、時間の方は大丈夫ですか?」

「構わない」

「では、この紙に書いてある項目について……あれ?」

 

 そう言って一枚の紙をこちらへと渡してくるが、何やら焦ったように身体中のポケットを探し始める。

 

「すいません、ちょっとペンが……あ、すまないがペンを貸してくれないか?」

 

 近くを通りかかった男にそう頼み、借りたペンを俺の方へと渡してくる。

 

「全く、アスカさんは主任なんだからしっかりして下さいよ」

 

 ……待て。アスカ、だと?

 

「そう言われても、ただでさえM1アストレイの件で忙しいのにアークエンジェルの事もあって碌に家に帰れないんだぞ? おかげで息子や娘とも最近顔を合わせていないし」

 

 息子に、娘……これは決まり、か?

 考えながらも、渡されたペンで紙に書かれている質問を埋めていく。

 

「これでいいか?」

「あ、ありがとうございます。おかげでブリッツの調整も目処が立ちます」

「ああ、頼む。……それよりも、さっきの話がちょっと聞こえたんだが、子供が2人いるのか?」

「え? ええ。息子と娘が一人ずつ。息子の方は反抗期の真っ直中でしてね。その割には妹と仲がいいんですが」

 

 ……さて。最後の質問と行こうか。

 

「ちなみに、子供の名前は何て言うんだ?」

「兄がシン、妹がマユといいます」

 

 決定的だな。この人物はガンダムSEEDの続編であるガンダムSEED DESTINYの主人公を務めるシン・アスカの父親で間違いないだろう。

 

「そうか、家族を大事にな」

 

 だが、俺の計算通りに進めばオーブ本島が連合軍に焼かれるような事はまず無い筈で、つまりはシンがザフトに移住する事もなくなる。となると現状ではどうしようもないか。まさかアークエンジェルに引っ張り込む訳にもいかないしな。連合軍との戦いになった時にホワイトスターへと避難させるというのはありかもしれないが。

 

 

 

 

 

 シン・アスカの父親とエンカウントしてから数日後、再び俺はキラと共にMS工場の司令部へと呼び出されていた。

 部屋の中から見える空間では、M1アストレイが以前見た時とは段違いの速度で走ったり跳んだりしている。OS1つでこれだけの違いが出るというのは、ブリッツやストライクで分かってはいたが……改めて見ると凄いな。

 そう言えばシーリオンには当然TC-OSがインストールされている筈だが、その辺の流用もいずれされるのかもしれないな。

 そんなM1アストレイの様子を、キラ、ムウ、エリカ、マユラ、ジュリが見ていた。他にも整備員や技術者と思われる人物も数多くいる。

 

「凄い……」

 

 驚きの声を上げたのは、実際にM1アストレイに乗って動かしているアサギだ。以前の鈍くさい動きを知っているからこその感想だろう。

 

「新しい量子サブルーチンを構築してシナプス融合の代謝速度を40%向上させ、一般的なナチュラルの神経接合に適合するようイオンポンプの分子構造を書き換えました」

 

 M1アストレイの動きを見るまでもなく、次々に設定を更新していくキラ。どこか元気がないように見えるのは、両親との面会の件で原作のようにフレイと喧嘩でもしたのか。

 

「よくそんな事をこの短時間で。凄いわね、本当」

 

 感心したようなエリカの声にも、軽く眉を顰めて不快な様子を見せている。

 

「俺が乗っても、あれくらい動くって事?」

 

 M1アストレイの動きを見ていたムウの言葉にエリカが頷く。

 

「ええ。そうですわ、少佐。お試しになります?」

 

 上機嫌のエリカの横で軽く溜息を吐くキラ。一瞬、俺とムウの視線が交わるが、軽く頷く。恐らく自分に任せろと言っているんだろう。

 

「ムウは忙しそうだからな。俺が代わりに試させて貰って構わないか?」

「あら、アクセルさん。是非どうぞと言いたい所なんだけど……コーディネーター用に調整されたOSでも貴方の反応速度や処理速度に付いていけなかったんでしょう? そのマイナー版とも言えるこのOSだとちょっと……」

「何、別に戦闘に使おうというんじゃないんだ。無理な動きはさせないさ」

「そうですか? じゃあお願いします」

「あ、すいません。僕はちょっとストライクの方に行きますのでこの辺で失礼します」

「分かったわ。じゃあ、また後程」

 

 司令部を出て行くキラと、それを追いかけていくムウ。そんな様子を見ながら、エリカがどこか悪戯っぽく笑う。

 

「お兄さん役も大変ですね?」

「まあな。その辺はムウに任せておくさ。それよりも試してみてもいいんだろ?」

「ええ、お願いします。データは多い方がこちらとしても助かります」

 

 エリカからの許可を貰い、アサギと交代でM1アストレイへと乗り込んでOSを起動させる。まずは一歩。そして二歩。

 

「なるほど、確かにスムーズに動けるようになってるな」

 

 徒歩から早歩き、そして走って機体の具合を確認する。5機のGのデータを使って造られたというだけあり、操作感覚はブリッツとそう変わらない。ただ、ブリッツに比べると量産型という事もあり色々と省略されている部品や機構があるせいか、何となく操作性が軽くなっている感じがする。軽すぎて微妙な調整がしにくいと言うか……まぁ、この辺は俺がブリッツに慣れてるせいもあるし、パイロットの好みだろう。

 バックパックからビームサーベルを引き抜き、一閃。振り下ろし、振り上げる。

 

「まあこんなものだろうな」

 

 M1アストレイの操作性に納得し、機体から降りてエリカ達の下へと向かう。

 

「どうでした?」

「そうだな……ブリッツに慣れているせいか、どうにも操作性が軽いように感じたな」

「操作性が軽い、ですか? それは何か拙い事でも?」

「いや、その辺はパイロットの好みだな。ただ単純に俺はブリッツの操縦に慣れているからそう感じただけだ。最初からM1アストレイに乗るオーブのパイロットにしてみれば余り気にする事はないと思う。だろう?」

 

 興味深そうに俺とエリカの話を聞いていたアサギへと聞く。

 突然話を振られたアサギは数秒あたふたとしながらも、すぐに口を開いた。

 

「そうですね。私はアクセルさんの言うように最初からM1アストレイしか乗った事がないので、操作性が軽いと言われても特に違和感はありませんでしたね」

「……なるほど」

 

 アサギの言葉に頷くエリカ。そんな様子を見ながら、少し気になっていた事を尋ねてみる。

 

「グゥルに関してはどうなった?」

 

 水中用MSについてはベースとなるM1アストレイが完成してからという流れになっていたし、シーリオンの事もある。実際に動き出すにはまだ少し時間が必要だろう。だがグゥルに関しては飛行用のSFSとして設計すればいいだけなので、ベースとなる機体云々というのは関係ない。

 そして、この島国での防衛戦となる可能性を考えると地上用MSを飛ばす事の出来るグゥルというのはかなり有用な筈だ。

 

「ええ、そちらに関しては現在アクセルさんが鹵獲した機体をアークエンジェルから貸して貰って分析している所よ。私の担当ではないから詳しい事までは知らないけど、量産するのもそう難しい話じゃないらしいわ。と言うか、既に量産に取りかかっているらしいわね」

「早いな」

「オーブ驚異の技術力……ってね」

「あの、エリカさん」

 

 そんな俺達の会話にマユラがそう声をかけて割り込んでくる。

 

「どうしたの?」

「そんなに簡単に空を飛ぶ事が出来るのなら、連合もそのグゥルとかいうのを造るんじゃないですか?」

「マユラの言いたい事も分かるけど、連合軍にとってMSというのはあくまでも地上戦闘用の兵器なのよ。……宇宙用でもあるけど。制空権に関してはMAに任せておけばいいというスタンスね。あるいは極少数なら似たような機体を造るかもしれないけど、あくまでもデータ収集用にとどめて、量産はしないと思うわ。グゥルを造れるだけの余裕があるのならMSをより多く……という事になるかしらね」

 

 もっとも、それもこの戦争が終わるまでの話だろう。実際DESTINYに突入すればウィンダムという飛行可能なMSも生産されているし、ダガー系統のMSでもバックパックの換装で飛行が可能になっていた筈だ。

 

「でも、オーブではグゥルを量産するんですよね?」

「そうね。でも考えてみて頂戴。オーブと連合ではパイロットの数に圧倒的な差があるでしょう? 例えばパイロットが20人しかいないのに、MSを100機造っても80機余らせるだけ。それならその20機分のグゥルを造った方がより効率的だと思わない?」

「なるほど」

 

 感心して頷くアストレイ3人娘達。……こんなのがテストパイロットで本当に大丈夫なんだろうか?

 いやまぁ、原作ではそれなりに活躍をしているんだから大丈夫だとは思うが。

 

「それよりもグゥルを使う事を考えているという事は、基本的にはグゥルに乗った機体が前線に出る事になるんだな?」

「ええ、恐らくそうなるでしょうね」

 

 俺の質問に頷くエリカ。なら、原作のオーブとは違う戦術をとる事も可能、か。

 

「なら、遠距離からの支援砲撃用の追加装備を造ってみたらどうだ? 前線をグゥルを使った空中戦。後方から遠距離射撃と分けてみるとか」

 

 この時、俺の脳裏に浮かんでいたのはストライカーパックの1つであるランチャーストライカーのアグニだった。だが、そんな俺の言葉にエリカは首を振る。

 

「M1アストレイはストライクのように換装システムは搭載されていないから、ちょっと難しいわね」

「まあ、ストライクなんかの廉価版として設計されたんだからコストを下げる為にはしょうがないか……? いや、なら最初から狙撃専用のM1アストレイとして造ってみてはどうだ?」

「うーん、検討の余地はある……かしら? 取りあえず上層部に提案してみるわね」

「ああ」

 

 これでいい。オーブ軍は量では連合に及ばないかもしれないが、質で言えば決して負けてはいない。だからどうオーブ軍の消耗を押さえるかが連合に勝利する為の鍵なのだ。

 個人的には前線はメギロートに任せて、M1アストレイは後方からの遠距離射撃に集中してもらいたいとすら思っている。

 水中用MSなら反撃を受ける可能性も少ないのでオーブ軍人はそっちに集中させるのもありかもしれないな。




名前:アクセル・アルマー
LV:36
PP:115
格闘:254
射撃:274
技量:264
防御:264
回避:294
命中:314
SP:446
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:278

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