転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2042話

 修学旅行の食事と言われて思いつくのは、やはり豪華な食事だろう。

 特に俺達が泊まっているのはかなり豪華な旅館である以上、当然のようにその食事には期待が高まり……そんな俺達の期待に応えるように、夕食はバイキング形式となった。

 ……いやまぁ、いかにも和風の旅館でバイキング形式というのも、どうかと思うが。

 食べ放題と表現を変えれば、多少はそれらしくなるか?

 ともあれ、基本的に高校生にとって、食事というのは質より量。

 勿論、最低限の質を備えているということが大前提ではあるのだが、食べ足りないよりは食い切れない程の料理が並んでいるのが、大半の高校生にとっては嬉しかったらしい。

 ただ、旅館の方でもしっかりと京都の味を楽しんで貰いたいと、高校生が好きそうなトンカツやらステーキやらパスタやらカレーやらピザやら……そんな料理以外にも、京風の料理が結構な数、メニューの中にあった。

 もっとも、男の多くはそういうのを食べる様子はなかったが。

 そんな中、俺はハモ料理を見つけそちらに向かう。

 ハモの湯引きや天ぷらといった、典型的なハモ料理。

 他にもハモ料理は色々とあるのだが、取りあえず俺はそちらを楽しむ。

 梅肉にハモの湯引きをつけて食べると、ハモと梅肉の爽やかさが口の中に広がる。

 ハモというのは小骨の多い魚で、その小骨を細かく切る骨切りという特殊な捌き方が必要となる。

 適当にやるのならともかく、本格的に骨切りをやるとなると、かなりの技量が必要で、それこそかなりの修行が必要となるらしい。

 この湯引きは……高級旅館だし、多分料理人も相当の腕なのだろう。

 天ぷらもサクッとした歯応えと、湯引きとは違ってふっくらとした味を楽しむ。

 もっとも、俺は別に美食家という訳ではないので、穴子とかの天ぷらと大して違いがないように思えたけど。

 あ、でも骨切りされた小骨の食感がある分、穴子とかとは大きく違うな。

 

「他に京料理って何があります?」

 

 食堂にいた宿の人間に尋ねると、聞かれた人間は笑みを浮かべて、口を開く。

 

「そうですね。向こうにある鯛や穴子を使ったお寿司なんかは美味しいかと。京都ではよく食べられているお寿司ですよ」

 

 寿司か。

 他にも寿司とかは色々とあるけど、折角なら京都で食べられているという鯛や穴子の寿司を楽しむとするか。

 そう判断し、短く礼の言葉を言ってから寿司コーナーに向かう。

 

「アルマー君も、お寿司?」

 

 山岸が俺を見て、そう尋ねてくる。

 どうやらこの様子だと、山岸も寿司を取りにきたのだろう。

 

「ああ。鯛や穴子の寿司が京都では食べられているって聞いてな」

「ふーん。あ、でもイカのお寿司が美味しかったよ。肉厚で、甘くて」

 

 そんな山岸の言葉に、イカの寿司も食べる。

 甲イカとかいうイカらしく、山岸の言った通り肉厚で甘い身が特徴的だ。

 他にも格子状に切った甲イカをバーナーで炙った炙り寿司とか、そういうのも食べ……夕食は京料理を中心にして、十分に堪能するのだった。

 

 

 

 

 

「やっぱり、京都でも影時間はあるんだな」

「そりゃそうだろ。実は京都では影時間がありませんでしたなんて事になったら、それこそ京都と東京で時間がずれるし」

 

 順平にそう返すも、順平がそんな風に言いたくなるのも、理解出来ないではない。

 今まではずっと東京の、それも限られた場所でしか活動していなかったから、影時間=東京という認識があってもおかしくはない。

 特に順平は京都に来たのは初めてなんだから、余計にそう思ってもおかしくはないのだ。

 

「いや、アクセルが言いたい事は分かってるんだけどよ。それでもこう……友近とかが棺になっているのを見ると……なぁ?」

「なぁ? とか言われてもな。そうか、としか言葉を返せないけど」

 

 俺と順平、友近。それとあまり親しくはないクラスの男3人が寝る部屋では、俺と順平以外の4人は棺となってその場に存在していた。

 恐らく他の影時間に関係している面々も、同じ境遇になっているのだろう。

 もっとも、だからどうだって話だが。

 タルタロスがあるのならともかく、京都で影時間になっても、どうしようもないしな。

 まさか、タルタロスから出て来るシャドウ達が、京都までやって来るなんて事は有り得ないだろうし。

 あー……ただ、京都は古い……それこそ、世界でも有数の古い街だ。

 それだけ怨念とかの類もあるだろうから、それらがシャドウとは違った何らかの怪異になっても、おかしくはない。

 京都神鳴流を使って解決すべき何かが。

 

「まぁ、そんな事がある訳ないか」

「ん? アクセル、いきなり何だよ? 何かあったのか?」

「いや、京都なんだし、シャドウ以外の何かファンタジー要素があるような存在がいないかと思ってな」

「……有り得るな」

 

 順平も何か思うところがあったのか、しみじみと呟く。

 俺が言っておいて何だが、出来れば面倒な事は来て欲しくないな。

 勿論、こっちに利益の類があるのであれば、話は別だが。

 何気に、このペルソナ世界ではマジックアイテムを大量に手に入れてるし、刈り取る者を召喚獣として従える事に成功したし、その類の何かがあるのなら、京都で何かトラブルがあっても、寧ろ俺は歓迎する。

 

「まぁ、そう心配する事はないと思うけどな」

「何でだよ? 俺達ペルソナ使い以外にも、アクセルみたいな異常な連中はいるんだろ? なら、京都に何かがあってもおかしくないと思うけどな」

「あー……それは否定出来ないか」

 

 そう言えば、俺はこの世界では裏の存在で魔法使いなんだって設定だったな。

 ゆかりと一緒に行動していれば、その辺りは特に気にする事がなかったから、すっかり忘れてた。

 もっとも、俺がそう名乗ったのはブラフに近いが、ペルソナやらシャドウやらがいる世界だと考えれば、そういう存在がいてもおかしくはないのだが。

 ともあれ、このまま話が進むとちょっと面白くない事になるのは間違いない。

 そうなると、話を変える必要がある訳で……そうだな、順平のペルソナが進化した原因にでも話を向けるとしよう。

 

「そうそう、チドリとの仲はどこまで進んだんだ? 確か、キスをしてペルソナは進化したんだよな?」

「なぁっ!? ななななな……い、いきなり何を言うんだよ!」

 

 魔法使い云々の話から、突然話題が変わった事に、順平は驚き、慌てながらも……嬉しそうなのは間違いなかった。

 何だかんだと、チドリとの仲を誰かに自慢したかったのだろう。

 だが……ゆかりにしてみれば、若干不本意だろうな。

 ゆかりも、順平と同じくキスでペルソナが進化したのだから。

 実際には、母親との件でゆかりが精神的に成長して、その結果としてペルソナが進化したと思われるのだが……進化したタイミングがなぁ、

 

「で? 進展は?」

「ば、馬鹿。進展って何だよ。ちょっと生々しくないか!?」

「そう言っても、現実は変わらないぞ」

「それを言うなら、アクセルだってゆかりッチとの進展はどうなんだよ!」

「そこそこってところだな」

 

 俗にABCと言われる行為のうち、Aは何度となくこなしており、Bもまた幾度となく経験済みだ。Cの直前まではいった事があるが、まだ高2だと考えると、ちょっとな。

 いやまぁ、Fate世界では凛と綾子を一緒にいただきますした事のある俺が何を言ってるのかってのはあるんだが。

 ただ、Fate世界の時は、下手をすると綾子が死ぬ危機だったからな。……少なくても最初は。

 その後は、死ぬとか何にもなしにそういう行為を行ったのだが……うん、あれのおかげで、凛と綾子の人生を半ば決定づけたと言っても、決して間違いではなかった筈だ。

 そう考えると、ゆかりを抱いてしまうのは、色々と不味いような気がしないでもない。

 ただ、お互いを好きだからこそ抱きたい、抱かれたいと思うのは当然であり……

 あるいは、俺の考え方が少し古いのかもしれないな。

 もっとも、そういう風に考え始めたのはネギま世界に行ってからの事だ。

 ……幾ら何でも、中学2年を抱くのは不味いだろうし。

 

「くそっ、余裕を見せやがって。羨ましい。爆発しろ」

「爆発するか?」

 

 影時間という事で、特に隠す必要もないので炎獣を生み出す。

 リスの形で生み出された炎獣は、順平の周囲を走り回る。

 それを見た順平は、愛らしさに頬を緩ませる……のではなく、頬を引き攣らせる。

 まぁ、俺と一緒に行動した事の多い順平にしてみれば、炎獣というのが見た目の愛らしさとは裏腹に、どれだけ凶悪な能力を持っているのか、何度もその目で確認してるしな。

 

「いや、いい。爆発はしなくてもいいから、炎獣をどこかにやってくれ」

「そうか」

 

 パチンッと指を鳴らすと、炎獣は炎となって消えていく。

 

「アクセルが使う魔法って、便利だよな。特に影の魔法とか。俺達も使えるようにならないのか?」

「どうだろうな。一応初心者用の教本は美鶴に渡してるから……」

 

 そこまで言って、今更ながら……本当に今更ながらだが、幾月が魔法を使っていなかった事に気が付く。

 美鶴を通して桐条グループに初心者用の魔法教本を送ったのだから、当然のように幾月はそれを見る事が出来た筈だ。

 ペルソナとは全く違う、別の力。

 それも、ある程度までは誰であっても習得出来るという汎用性。

 そんな魔法を、何故幾月は興味を持たなかったのか。

 ぱっと思いつくのは、やはり習得に時間が掛かるという事か。

 魔力に満ちている魔法球の中であっても、一番簡単な『火よ灯れ』の魔法であっても、習得するのに相応の時間が掛かる。

 それを魔法球のような、外と中の時間の流れが違うような魔法球もなければ、ましてや二足の草鞋どころではないだけの忙しさを持っていた幾月だ。

 もし魔法に興味があったとしても、それを習得出来た可能性は低い、か。

 

「魔法は、一応誰でも習得出来る筈だ。それこそ、順平もな。ただ、習得するまでに掛かる時間は人によって違うし、適性のある属性によっても大きく変わってくる」

「それって……つまり、もし俺が魔法を覚える事が出来たとしても、アクセルが覚えているような魔法を、俺は覚える事が出来ないってのか?」

「そうだな。それに、順平が羨ましがっていた転移魔法は、かなり難易度の高い魔法だ。相応の適性が必須になるのは間違いない。しかも勉強の要素がかなり強い」

「うげぇ……」

 

 心底嫌そうな表情を浮かべる順平。

 まぁ、テストで赤点はなくなったとはいえ、順平は別に勉強が好きだという訳ではない。寧ろ、嫌いだと言ってもいいだろう。

 もっとも、学生の中で勉強が好き! って方が少数派なので、そこまで珍しい事ではないと思うが。

 そんな順平だけに、勉強をして魔法を習得しても、それが自分の思うような魔法ではないかもしれないとなれば、当然のようにやる気を削がれるだろう。

 ネギみたいな天才であれば、それこそ自分で新しい魔法を開発する事も出来るが、順平にそれを期待するのは、どう考えても間違っているし。

 結局のところ、順平が転移魔法を習得出来るのかどうかというのは、実際に魔法を習得してみなければ分からない訳だ。

 この場合、実際に魔法を習得する前にどのくらいの魔法なら覚えられるのかといった事が分からないというのは、魔法の持つ弱点だろうな。

 もっとも、転移魔法という意味では、影のゲート以外にもフェイトが使っている水のゲートがあるように、各属性に転移魔法は存在する。

 であれば、自分の適性のある属性の魔法を習得していけば……転移魔法に手が届く可能性は否定出来ない。

 もっとも、魔法使い全体で見ても転移魔法を使える魔法使いの数が少数であるのを考えれば、転移魔法がどれだけ高度な魔法なのかを示しているのだが。

 

「ペルソナの能力で転移魔法を覚えるしかないだろうな。それも、自分で使うのなら、自分のペルソナで」

「そう言われてもよ……どうやったら自分が希望するスキルやら魔法やらを覚えさせられるんだよ」

 

 不服そうに言う順平だったが、俺がそれに何かを言うような事はない。

 そもそもの話、どういう基準でペルソナがスキルや魔法を覚えているのか、未だに判明していないのだから。

 いや、全く判明していない訳ではない。

 例えばゆかりのイオ……今はイシスだが、回復系と風の攻撃魔法、ガル系を得意としているだけあって、それを覚えていく。

 そうである以上、ペルソナには得意とする攻撃方法や属性があり、それに関連したスキルや魔法を覚えやすいという事になるだろう。

 もっとも、あくまでもその傾向にあるというだけで、確実にそうだとは言えないが。

 そういう意味では、ペルソナチェンジという破格の能力を持つ有里は、好きなスキルや魔法を使えるペルソナを使えばいいだけなのだから、非常に有利だと言ってもいいだろう。

 

「運か、それまでの行動か……その辺りは分からない。そもそも、俺はペルソナ使いじゃないんだしな」

 

 そう言って話題を変え……高校生らしく、好きな相手とか猥談とかをして影時間が終わるのを待つのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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