転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2045話

 唇を重ねて美鶴の告白を受け入れた後、俺達の姿はまだ公園にあった。

 美鶴に告白されるよりも前に、一緒に座っていたベンチに、こちらもまた同様に一緒に座っている。

 ただし、違うのは1つ。

 ベンチに座っている、俺と美鶴の距離だ。

 告白される前は、俺と美鶴は一緒のベンチに座っていても、お互いの間に距離があった。

 言うなれば、友人同士の距離感……といったところか。

 だが、美鶴の告白を受け入れて恋人同士となった今は、ベンチに座っている俺と美鶴の間にある距離感はほぼ皆無と言ってもいい。

 ……まぁ、その美鶴は先程のキスからか、それともこの距離からかは分からないが、照れて顔を真っ赤にし、黙り込んでしまっているが。

 そんな美鶴に手を伸ばし、肩を抱く。

 

「きゃっ!」

 

 普段の凜々しい美鶴の口から出たとは、思えないような可愛らしい声。

 それを聞く事が出来るのを嬉しく思いながら、俺は美鶴に話し掛ける。

 

「俺とこういう関係になったのはいいんだが……ゆかりから、どんな話を聞いてるんだ?」

 

 俺と付き合っている女がゆかり以外にもいる。

 その件については話を聞いていたようだが、それ以外、例えば俺が他の世界からやってきた事や、火星とかに自由に移動出来る……なんてのも、知られているのかどうか少し気になる。

 ゆかりの性格を思えば、それこそ相手が美鶴であっても、そう簡単に俺の秘密を話すとは思えない。

 そう理解はしているのだが……それでも、絶対確実にとは断言出来ない。

 特にゆかりにとっては美鶴は自分と同じく、この世界で俺を愛するべき存在であるという共感さえ覚えていてもおかしくはない。

 そうである以上、一応その辺りの事情を聞いておく必要はあった。

 だが、俺に肩を抱かれて顔を赤く染めている美鶴は、そんな俺の言葉に首を横に振る。

 

「アクセルに何か事情があるというのは、私も予想出来ている。だが、ゆかりはその辺を特に何も言っていなかった。ただ……その……」

 

 そこまで言うと、より一層美鶴の顔が赤くなる。

 熱暴走でもしかねないでのではないかと思える程に、真っ赤に。

 

「その? なんだ?」

「……アクセルを好きでいて、愛するのなら、中途半端な気持ちでは意味がない、とだけ」

「まぁ、それは否定しない」

 

 実際、俺を愛する……そして俺と一緒にこの先も生きるという事を選択した場合、それは不老になって永遠に俺と共に生きるという事を意味している。

 今はまだいいが、将来的には友人や家族といった者達も、俺達よりも先に年老いて死んでしまうだろう。

 そうして、俺達は残される事になる。

 それは、普通の人間には耐えられない。

 ……まぁ、ゆかりもその辺までは言ってないとは思うが。

 

「そうだな。今はまだ詳しい事は言えない。ただ……多分、影時間の件が解決したら、色々と、それこそ俺が今は言えないような事も、話せるようになると思う。それでもいいいか?」

「ああ。……今はこれ以上聞かない。そういう事でいいんだな? その代わり、影時間が解決したら話すと」

 

 そう言ってくる美鶴の髪を、肩を抱いていた手でそっと撫でる。

 

「……男にこうして髪を撫でられるのは、お父様以外では初めてだな」

「そうなのか? ……まぁ、今までの美鶴は色々と張り詰めていたからな。普通なら、そういう美鶴を気軽に撫でられないんだろ。そういう意味だと、俺は運が良かったんだな」

「馬鹿。処刑するぞ」

 

 照れた様子を見せる美鶴。

 普段の美鶴を知っている者が、もし今の美鶴を見たら……それは一体どういう事になるのか、ちょっと気になるな。

 勿論、気になるだけで実際にそれを試したりするつもりはないが。

 この美鶴は、俺だけの……もしくは俺とゆかりだけが見る事の出来る美鶴なのだから。

 そのまま数分、俺は美鶴と寄り添いながら、その髪を撫で続ける。

 殆ど会話らしい会話はなかったが、俺と美鶴にとっては、それで十分幸せな時間だった。

 そうして会話をしている中で、ふと気になった事を美鶴に尋ねる。

 

「美鶴、お前の家の方で、俺との関係に何か言ってこないのか?」

 

 そう、美鶴は桐条グループ総帥の令嬢だ。

 そして桐条グループというのは、この世界でも有数の企業。

 そのような家に生まれれば、この時代であっても政略結婚に近い形で結婚するという事が多いらしい。

 であれば、美鶴の立場としても、当然のようにどこぞの企業なり何なりの男が許嫁にいたりしてもおかしくはない。

 だが、そんな俺の言葉に美鶴は笑みを浮かべる。

 

「ふふっ、そういう話がなかった訳ではないがな。ただ、その話を持って来た親戚の者達に、お父様が怒ってな。結局ご破算になった」

「ご破算ってのは、普通望まない失敗の事を言うんじゃないのか?」

「いや、別にそういう感じはないが……まぁ、言われてみればそういうイメージもあるか」

 

 少し考えた様子を見せる美鶴だったが、最終的にそういう結論に落ち着く。

 にしても、武治は何だかんだと親馬鹿だからな。

 そんな武治にとって、娘に政略結婚をさせようとする親戚というのは、それこそ害悪以外のなにものでもないだろう。

 

「ただ……もし、本当にもしの話だが、現在の状況で桐条グループが色々と危なければ、政略結婚もどうなっていたのか分からないな」

「危ない? 結局まだ影時間は解決してないけど、それでも危ないって訳じゃないのか?」

「そうなる。特に、アクセルから譲って貰った、タルタロス産のマジックアイテムの類を分析して得る事が出来た技術の類は大きい」

 

 基本的にタルタロスのマジックアイテムは、ホワイトスターに戻る時のお土産という事にして、桐条グループに譲渡したりはしていない。

 だが、大量に手に入ったような奴なら、多少なりとも桐条グループに譲渡……代金を貰っているから、正確には売っている。

 他にも入手したマジックアイテムは、当然のようにその効果を調べる必要が出てくる。

 ……何しろ、桐条グループと協力関係になかったころは、実際にそれをシャドウに使って、それで効果を調べるなんて真似をしていたからな。

 結果として、無駄にしてしまったマジックアイテムもそれなりにある。

 だが、桐条グループと手を組んでからは、向こうに渡してその効果を調べて貰うという事が出来るようになった。

 当然のように、俺が渡したマジックアイテムについては、盗まれないように厳重な監視の上で、だ。

 まぁ、俺がどれだけの力を持っているのかを知っている武治にしてみれば、迂闊な真似――マジックアイテムが研究者によって盗まれる等――をして、俺の恨みを買いたいとは思わないだろう。

 影のゲートという存在がある限り、一度俺から恨みを買えば、報復から逃げるのは不可能に等しいのだから。

 だからこそ厳重に管理されており、幾月がタカヤと共に逃げ出した時も、俺の預けているマジックアイテムに手を出すような真似はしなかった。

 ともあれ、俺が入手したマジックアイテムがどのような効果を持つのかを調べるのだが……当然、調べたそれは桐条グループにとっても重要なデータとなる。

 その辺りから、色々と利益に繋がっているのだろう。

 特に俺の場合は、スライムを使えばすぐにその階にある宝箱を全て発見する事が出来るので、手に入れるマジックアイテムの量は他の面々と比べものにならず、桐条グループにとっても大きな利益となる。

 まさに、WIN-WINの関係と言えるだろう。

 

「私としては、妙な婚約者の類が出て来なかったので、嬉しかったよ」

「だろうな。美鶴の性格を考えれば、一度婚約者が出来てしまえば……もう、俺に告白するような事はなかっただろうしな」

 

 律儀というか、生真面目というか……そういう美鶴の性格を考えれば、一度婚約者が出来てしまい、それが桐条グループの為になると言われてしまえば、まずそれを断るような真似は出来ない筈だ。

 ……もっとも、ゆかりという恋人がいるうえに、他にも何人も恋人がいるというのを理解した上で俺に告白してくるという辺り、生真面目という表現が本当に相応しいのかどうかは、正直微妙な感じだと思わないでもないが。

 ただ、世界には一夫一婦制だけではなく、普通にハーレムという制度がある国も存在している。

 もしかしたら、美鶴は俺をそういう国の出身だと思っている……という可能性も、ない訳ではない。

 俺は見るからに日本人ではない、外国人の顔をしているし。

 ただ、イメージ的にそういうハーレムのある国ってのは、大抵中東とかそっち関係なんだよな。

 で、俺の顔は見るからに白人系。……ちょっと無理があるような気がしないでもない、か?

 そう思わないでもないが、取りあえず美鶴が納得しているのであれば、それでよしとする。

 問題なのは、いつ俺の事を美鶴に教えるか……だよな。

 普通に考えれば、恋人同士になったんだから、今教えればいい。

 だが、そうもいかない事情もあるのだ。

 その最たる理由が、桐条グループ。

 美鶴にとって、桐条グループ……正確には、父親という存在は非常に大事だ。

 それこそ、恋人になったばかりの俺と、父親の武治のどちらを選ぶかと言われれば、間違いなく悩んでしまう程には。

 そんな状況である以上、当然のようにシャドウミラーやホワイトスターといった事を教える訳にはいかない。

 もし教えたら、下手をすれば俺VS桐条グループなんて事になりかねない。

 そして、そうなれば確実に負けるのは桐条グループの方だ。

 そもそも、桐条グループの持っている戦力に、俺をどうこうするだけの力は殆ど存在しない。

 可能性としてあるのは、美鶴達ペルソナ使いではあるが……俺の強さを知っている上に、俺を敵に回せば、恐らく……いや、ほぼ確実にゆかりやコロマルが敵に回る。

 最強のペルソナ使いのゆかりに、犬であるが故に、本能的にペルソナの本質とでも呼ぶべきものを理解しているコロマル。

 そんな1人と1匹までもが敵に回るんだから、敵対してしまえばどうしようもないだろう。

 順平達も、俺が本気になればどれだけの力を持っているのか理解している以上、敵対するような真似はしないだろうし。

 後の可能性としては……それこそ、俺が桐条グループに預けた事によって、研究が進展したマジックアイテムか。

 そうなれば、それこそ俺はゲリラ攻撃に徹したりして、桐条グループは日中から俺の襲撃を警戒する必要が出てくる。

 ……で、俺は影のゲートがあるから、それこそどこにでも避難は出来る訳だ。

 最悪、空間倉庫の中にはニーズヘッグとかサラマンダーとかミロンガ改とかもあるし。

 うん、普通に一企業どころか、一国を相手にしても互角にやり合えるだけの力を持ってるな、俺。

 

「アクセル? どうした?」

「いや、何でもない。出来るだけ早く、影時間が終わればいいと、そう思ってな」

「……そうだな。そうなれば、私もアクセルと共にツーリング出来たりするだろうし」

「ツーリングか。バイクは乗れるけど、免許そのものは持ってないんだよな」

「何? ……ああ、そう言えばアクセルはこの国の戸籍がなかったのか」

 

 桐条グループの方で用意して貰っただけに、当然のようにその辺りの事情について思い至ったのだろう。一瞬ピクリとしたが、すぐに納得したように頷く。

 バイクを愛する美鶴にとって、無免許でバイクに乗るというのは許容出来ない事なのだろう。

 もっとも、すぐに俺の事情を理解して、それ以上は何も言わなかったが。

 

「バイクは運転出来るんだな?」

「ああ」

 

 そう言ってから、この世界のバイクを運転出来るのか? と思わないでもなかったが、モノレールにイレギュラーシャドウが現れた時に美鶴が乗ってたバイクなら、問題ないだろうと考え直す。

 PTやらMSやらヴァルキリーやらを乗りこなしてきた俺だ。バイク程度、乗れない訳がない。……実際、今の国としてのシャドウミラーではなく、特殊部隊としてのシャドウミラーとして活動している時は、普通にバイクの類も使っていたし。

 

「そうか! なら、今度2人で……もしくはゆかりも入れて3人でか? とにかく、ツーリングに行こう。勿論、影時間が終わってからという事になるだろうが」

「そうだな。それは楽しそうだ。もっとも、今すぐに影時間が解決しても、もう冬になりかけだ。ツーリングにはちょっと厳しいから、来年の春くらいになりそうだけど」

「春、か。……私はもう数ヶ月で月光館学園を卒業するのだな。正直なところ、アクセルともう少し一緒に学校生活を送ってみたかったよ。その……ようやく想いが叶って、告白し、それを受け入れて貰えたのだから。……本当に残念だ」

 

 そう呟く美鶴の肩を抱き、俺達は冬にも関わらず、見る者が見れば暑いと言いたくなるような時間を楽しむのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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