転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2050話

「へぇ……ここが寮なんだ。随分と物騒だね」

 

 影のゲートを使って巌戸台分寮の前に転移が完了し、最初に望月の口から出た言葉がそれだった。

 この台詞を聞く限り、もしかして今まで巌戸台分寮にやって来た事がないのか?

 有里や順平とはかなり仲が良かったのを思えば、てっきり遊びに来た事があったと思っていたんだが。

 それとも、今日の影時間になって初めて自分の事を思い出したって話だったのを考えると、それを思い出したからからこそ、この寮が危険だと判断した……という可能性もあるのか。

 

「まぁ、物騒とかそういうのは関係なく、今の状況を考えれば、まさか望月をその辺の適当な場所に連れていく訳にもいかないだろ」

「ははは。そうかもしれないね。じゃあ、早速話をしようか。皆、僕に色々と聞きたい事があるようだし。……それに、アイギスについても話す必要はあるだろうしね」

 

 そう言って望月の視線は影のゲートで一緒に転移してきた、アイギス……正確には、フリーズして身動きをしないアイギスを眺めつつ、そう告げる。

 アイギスを見る目には悲しみが宿っており、望月とアイギスの戦いは決して望月が望んだものではなかった……という事を示している。

 もっとも、それでも望月がアイギスを攻撃したのは、紛れもない事実なのだが。

 他の皆もそれに異論はなく……取りあえずアイギスを寮の中に運び込むのと同時に、俺達も全員が寮の中に入るのだった。

 

 

 

 

 

「さて、それで……何から言えばいいのかな?」

 

 巌戸台分寮の、リビング。

 いつも俺達が来た時に集まっている場所で、それぞれがソファに座ったり、壁に寄りかかったりといった風にしながらも、望月が尋ねてくる。

 この場には、先程は現場にいなかった山岸やチドリを含め、全てのペルソナ使いが集まっている。……もっとも、全てというのはあくまでも俺達の側の勢力という意味であって、タカヤとジン。それに他にまだいるのかどうかは分からないが、それ以外のペルソナ使いも、どこにもいないのだが。

 そんな状況で、最初に口を開いたのはS.E.E.Sのリーダーをしている美鶴だった。

 

「ふむ、そうだな。では……君が何者なのか、というところからにしようか。影時間にこうして動いている以上、まさかただの一般人、なんて事は言わないな?」

「勿論。……僕は君達がシャドウと呼んでいる者。正確には、12のアルカナ全てが混じって生まれた、宣告者。シャドウよりも1歩先の存在と言ってもいい」

「12のアルカナ、だと?」

 

 12のアルカナという言葉に反応したのは、美鶴だけではない。

 12。それは俺達にとって、大きな意味を持つ言葉だった。

 

「そう。君達にも僕が何を言ってるのかは、分かるよね?」

「……イレギュラーシャドウ。4月から、満月になる度に現れたシャドウだな」

 

 イレギュラーシャドウという言い方では、何を言ってるのか分からないと思ったからだろう。美鶴が改めて説明する。

 そんな美鶴の説明に、望月は頷く。

 

「そうだね。そして今日は満月。本来であれば12のアルカナはいなくなった。けど……今日の影時間だっけ? それになった時に、僕は全てを思い出した。シャドウの正体、そして僕がどのような思いなのか……」

「待て。シャドウの正体だと? お前は、シャドウの正体を知っていると言うのか!?」

 

 勢い込んで尋ねる美鶴だったが、望月はそんな美鶴の態度を全く気にした様子もなく、話を続ける。

 

「シャドウというのは、母なる者の断片。シャドウの目的は、母なる者の復活。……僕という死の宣告者の存在に引き寄せられて、母なる者の目覚めは始まる」

 

 死の宣告者、か。

 また、随分と大袈裟な表現だが……俺の中にある念動力が、望月から感じている圧倒的な危険は、その死の宣告者というのが関係しているのだろう。

 

「さっきから何度も口に出している、母なる者ってのは……何なんだ?」

 

 壁に寄りかかっていた荒垣が、鋭い視線を望月に向け、尋ねる。

 荒垣にしてみれば、望月については殆ど知らない相手だ。

 それだけに、有里や順平といった望月と親しい者には聞けないような事も聞けたのだろう。

 まぁ、その気持ちは分かる。望月の話を聞く限り、その母なる者ってのが影時間やら何やらに大きな影響を与えているのは間違いないのだから。

 であれば、その母なる者という相手の正体を知りたくなっても当然だろう。

 だが、そんな荒垣の問い……半ば詰問と言ってもいい質問に、望月は首を横に振る。

 

「母なる者は、大いなる者。残念だけど、君達の言語にそれを示す言葉がない以上、正確な情報を伝える事は出来ないんだ」

 

 そこまで言った望月は、小さく溜息を吐いてから再び口を開く。

 

「10年前、人間の手によって無数のシャドウが1ヶ所に集められた。そこで僕は生まれたんだ。……けど、生まれる途中の結合が何故か途中で止まってね」

 

 その望月の言葉が何を意味しているのかは、それこそこの場にいる者であれば誰でも理解出来る。

 それは、つまり……10年前に行われた実験。

 そして、その実験を阻止したのは……

 

「お父さん」

 

 ゆかりが、小さく呟く。

 幾月によって父親の残した映像を改変されるという目に遭ったゆかりにしてみれば、実際にその時の事を経験した望月の言葉は、大きな意味を持つのだろう。

 もっとも、幾月の残していったコンピュータ等の中には、あの映像の改変されていないオリジナルのデータが残っていたらしいので、きちんと本当の父親の遺言を見る事は出来たらしいのだが。

 ともあれ、望月のその言葉はゆかりにとって大きな意味を持っていたのは間違いない。

 

「結果として、僕は不完全なままで目を覚まし……さっきの橋、ムーンライトブリッジで、僕とアイギスは相打ちになった。僕は不完全な状態ではあったけど、彼女は僕を倒すのではなく、封印しようとして命懸けで戦いを挑んできた。そして、結果としてその場にいた1人の少年に僕を封じる事に成功した」

 

 そう告げる望月の視線は、有里に向けられる。

 望月の話した内容を考えれば、恐らく封印されたというのは……

 そんな俺の予想を裏付けるように、望月は説明を続ける。

 

「その子供は僕を宿したまま成長し……そして、どんな運命なのか、再びこの地に戻ってきたんだ。月光館学園に、転入生としてね」

「転入生?」

 

 そう言って順平が見たのは、俺。

 ……いや、順平どころか他の大勢が俺を見ている。

 いや、何で俺だよ? まぁ、俺がこの中では最初に転入してきたのは間違いないが。

 あ、でもゆかりも中等部から月光館学園に転入してきたのを考えると、ゆかりって可能性もあるのか?

 まぁ、影時間について活発になってからって意味では、やっぱり最初に転入してきたのは俺になるんだろうが。

 おまけに、俺はペルソナ使いでも何でもない、全く違う能力を使っている。

 それを知っている順平を含めた他の面々が、俺をそんな風に見てもおかしくはない。おかしくはないのだが……

 

「望月が言ってるのは、俺じゃなくて……有里だろ?」

「え?」

 

 有里も望月が言っていたのが俺の事だと思っていたのだろうが……この世界の原作の主人公は恐らく有里である以上、こういう場合に名前が出てくるのも当然有里だろう。

 それに特殊な力という意味では、有里の持つペルソナチェンジ以上に特殊な能力は、ペルソナ使いとしては存在しない。

 

「うん。アルマー君の言う通りだね」

 

 そして望月もまた、当然のように俺の言葉に同意する。

 やっぱり、有里だったか。

 

「僕は、ずっと君の中にいたんだ。そして君の中に特別なペルソナ能力が目覚め、君の中の僕と1つになる為に、12のシャドウもまた同様に目覚めた。母なる者を目覚めさせる為に」

「その、母なる者とは、具体的になんなのだ? それを示す言葉が私達にはないと言っていたが……その存在が復活すればどうなる?」

 

 有里の様子を心配そうに見ながらも、美鶴は望月との会話を続ける。

 そんな美鶴に、望月は真剣な……そして、アイギスを見ていた時と同じような悲しみの色を浮かべながら、その問い対する答えを口にする。

 

「母なるものの名は……ニュクス。太古、この星に死を授けた、僕達シャドウの母たる存在。もしニュクスが目覚めれば、この星は純粋なる死に包まれて、生きとし生けるものは全てが消え失せる」

「命が消える? おい、まさかそれは、地球にいる全ての存在が消え失せる……って事じゃないよな?」

 

 真田の言葉に、望月は俺の方を見る。

 

「そうだね。もしニュクスが復活しても生き残るとすれば……それは、アルマー君のような存在だと思うよ」

「……アクセルが?」

 

 美鶴の視線がこちらに向けられる。

 

「さて、どうだろうな。ただまぁ……厄介な事になった、というのが俺の正直な気持ちだが」

 

 復活すれば、この星にいる生命体全てが死ぬ。

 そう言われても他の者達程に動揺しないのは……それこそ、今まで同じような相手を何度も倒してきたという経験があるからこそだろう。

 修羅王、アインスト、ダークブレイン、バジュラ……そして、ネオ・グランゾン。

 それ以外にも様々な相手と戦ってきた俺にしてみれば、1つの星を死滅させる程度の相手はありふれている……という表現は正直どうかと思うが、それなりに戦闘経験がある。

 何だか、思いついた名前の中では、修羅王が若干見劣りしそうな気がするが、取りあえずそれは置いておくとして。

 ただ、厄介なのは……今までそれらの敵と戦った時には、シャドウミラーの仲間がいた。

 しかし、今は俺1人。

 勿論ゆかりを始めとした仲間達がいるから、本当の意味で1人という訳ではない。

 だが……1つの星そのものを死滅させるような相手と戦うのに、ゆかり達では明らかに戦力不足……言葉を飾らずに言えば、足手纏いだ。

 

「何とかなる、のか?」

 

 俺の様子を見て、恐る恐るといった様子で尋ねてくる美鶴だったが、俺はそれに返事をするような真似をせず、まずは望月の話をしっかりと聞くように促す。

 

「それで? ニュクスが復活すれば、どうなるんだ? まさか、復活した瞬間に地球の生物全てが絶滅するって訳でもないだろう?」

「12のシャドウを倒した後で、タルタロスから鐘の音が聞こえただろう? あれで、全てが決まってしまったんだ。僕は宣告者。死を宣告する者。つまり、僕の存在そのものが滅びの確約なんだ」

 

 そう言い、望月は説明する。

 ニュクスが復活すれば、この世界は全てが影時間に覆われる事になり、機械の類も桐条グループが使っているような例外を除いて使用出来ず、影時間に対する適性のないものは棺と化し……やがて、シャドウに食われるのだと。

 そう言い終えると、寮の中は静まり返る。

 まぁ、その気持ちも分からないではない。

 影時間を解決しようと、この場にいる皆は頑張ってきた。

 それは、紛れもない事実だろう。

 だが……そこに、本当の意味で世界の滅亡が関わってくるというのは、全くの予想外だったのだろう。

 

「それで……ニュクスの目覚めはいつになる?」

 

 静まり返った中、美鶴が望月に尋ねると……望月は、悲しみの込められた視線を返しながら、口を開く。

 

「多分、もう……次の春を迎える事は不可能だろうね」

「それって! もう、すぐそこじゃねえかっ!」

 

 終わりの時間が、あまりに短かったからだろう。順平が半ば反射的に、そう叫ぶ。

 だが、すぐに笑みを……ただし、明らかに強がっているといった事が分かるような、そんな笑みを浮かべる。

 

「な、何だよ。なら、倒してしまえばいいじゃねえか。今までだって、ずっとそうやって来たんだろ? なら……」

「無理なんだよ、順平君。ニュクスは、死なない命がないように、時の流れを止めてしまえないように、ニュクスを消すなんて事は、絶対に出来ない」

 

 順平の言葉を遮るようにして、望月が呟く。

 にしても、死なない命に時の流れを止める……か。

 正直なところを言わせて貰えば……

 

「出来るぞ」

 

 あっさりと、俺はそう告げる。

 

『っ!?』

 

 まさか、幾ら何でもあっさりとそんな言葉が出てくるとは思っていなかったのか、それを聞いたこの場にいる面々は、全員が俺に驚愕の視線を向ける。

 ……いや、ゆかりのみは、俺が具体的にどのような存在なのかを知っているのもあってか、特に驚いている様子を見せないが。

 

「アルマー君。無理だと言ってるだろう?」

 

 望月が俺にそう言ってきたのは、恐らく俺が強がっているのだと、そう思ったからだろう。

 

「地球にいる生命体を殺す程度の力を持った存在なんだろう? なら、俺ならどうにか出来ると思う。……望月、ニュクスの端末と呼ぶべきお前ですら、俺がどのような存在なのかを理解していない。それが、俺の特殊性によるもので……だからこそ、ニュクスが相手だろうが、俺はどうとでもする事が出来る」

 

 そう、言い切るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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