転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2075話

 俺は、目の前にある光景になんと言えばいいのか迷う。

 いや、巨大建造物という点では、今まで色々と見てきた。

 SEED世界のジェネシスや、W世界のバルジ、ピースミリオン。ギアス世界の天空要塞ダモクレス。半月程前まで俺がいたペルソナ世界にもタルタロスが存在したし、シャドウミラーの本拠地たるホワイトスターがその最たる例だろう。

 だが……それでも、現在俺の目の前にいる存在は、俺の度肝を抜くには十分だった。

 

「凄いな」

 

 思わず漏れた俺の呟きが、コックピットの中……VF-22 シュトゥルムフォーゲルⅡのコックピットの中に響く。

 そう、このシュトゥルムフォーゲルⅡは、マクロス世界から生産設備やら各種権利と共に奪っ……いや、譲渡して貰った中で作られた機体だ。

 マクロスプラスで主人公イサムのライバル役、ガルドが乗っていた機体を改修――特にあの特徴的なBDIシステムは殆ど廃止されている――した正式量産機……ああ、マクロス7の最後の方で、マックスとミリアの夫婦が一緒に乗った機体と言えば分かりやすいかもしれない。

 ……何しろ、現在俺の空間倉庫の中には、ニーズヘッグもなければ、サラマンダーやミロンガ改も存在していない。

 それらの機体は、現在幹部陣の他の機体と共に、魔法区画にある魔法球の中で新型のT-LINKフレームやら、ガンダニュウム合金を使ったPS装甲の機体として、改修中だ。

 そんな訳で、足がない俺としては……取りあえず何か適当に足になる機体をという事で、完成したばかりのこの機体を持ってきた訳だ。

 

『だろう? まぁ……こんな貴重な代物だからこそ、俺達に護衛が任されたんだろうけどな』

 

 映像モニタに表示されてそう言ったのは、俺にとっても馴染みのある人物……オズマだ。

 今回のクレイドル……いや、この名前はシャドウミラーとしての名称なので、正確には次世代マクロス級のテスト艦を俺達に引き渡す為に、ケイオスからS.M.Sに護衛依頼が入ったらしい。

 ……まぁ、ケイオス程の大企業ともなれば、俺とS.M.Sとの関わりは当然知ってるだろうから、恐らく向こうの根回し的な意味もあるんだろうが。

 そもそも、このテスト艦を受け取りに行くのは俺だというのは、空間倉庫を持っているのが俺だという事で、容易に想像出来るのだから。

 

「そうだな。……けど、正直なところ、このテスト艦を見ると唖然とするな」

 

 実際、このテスト艦の広さは北海道よりも広いのだ。

 そんなのが宇宙空間に浮いてるんだから、目を奪われても当然だった。

 

『ああ、凄いな。けど、凄すぎて……コストがとんでもない事になってるらしいぞ。キャシーが調べた限りでは、これを1隻作るのに、新マクロス級十数隻分の金や資源が使われたらしいし』

「あー……それはな。とてもじゃないけど、量産する訳にはいかないか。それこそ、何でこんな広さにしたのか、疑問だな」

『俺が聞いた話では、取りあえず現在の技術の粋を使って作るって事だったらしいけどな』

「それで、量産出来ない代物にしたってのは、ちょっと分からないけどな」

 

 いや、もしくは一度フラッグシップのような代物を作って、そこから量産する為の検討をするのか?

 それこそ、シャドウミラーでニーズヘッグで新技術を試すかのように。

 ……まぁ、ガンダニュウム合金を使ったPS装甲は、一気に全ての機体に使用する事にしたみたいだが。

 もっとも、シャドウミラーのPS装甲の技術レベルは相当に高い。

 元々PS装甲を開発した者達の中心人物の1人のマリューがいるというのもあるが、PS装甲の弱点を気にしなくてもいいというのが大きいだろう。

 元々PS装甲はエネルギー切れになれば装甲の色が変わって戦っている相手にも丸分かりだったし、エネルギー消費も相当に激しい。

 だからこそ、通常の装甲の下にPS装甲を使ってエネルギー切れを分からなくしつつ、攻撃があった瞬間だけPS装甲が発動するTP装甲や、装甲に流す電流の量を調整して使用するエネルギーのロスを少なくするVPS装甲といった派生技術が発展した。

 だが……シャドウミラーの機体の場合は、基本的に永久機関たるブラックホールエンジンやら、時流エンジンやらが使われている。

 だからこそエネルギー切れの心配はいらないので、PS装甲で何も問題はないのだ。

 それどころか、エネルギー切れの心配をしなくてもよくなった分、純粋にPS装甲の技術が研究されて、正統進化とでも呼ぶべき感じになっているらしいし。

 

『アクセル、取りあえず早いところこのマクロス級を収納してくれ。……本当に収納出来るんだよな? いや、お前がそういう能力を持ってるってのは分かってるんだが、それでもこれだけの大きさとなれば……』

「問題ない、似たような物を収納した事もあるしな」

 

 それだけを告げ、俺は唖然としているオズマをそのままに、クレイドルに機体を近づけていく。

 ただ、俺の空間倉庫には1つの欠点がある。

 それは……

 

「一応聞いておくけど、人間を始めとして生き物はこの中にいないよな?」

『え? ああ、その辺は問題ない。S.M.Sでしっかりとチェックした』

「そうか」

 

 以前SEED世界でザフトの宇宙艦を空間倉庫に収納しようとした時、中に人が入っていて収納出来なかった事がある。

 あの時は……工作員か何かだったよな?

 サトーとかいう名前だったか?

 これは別にオズマを疑っている訳ではない。

 ……そもそも、北海道より大きな都市艦なのだから、当然のようにそれをS.M.Sのメンバーだけで守り切るのは不可能だろう。

 そして、マクロス世界の者にとって、シャドウミラーというのは色々な意味で特殊な存在だ。

 マクロス世界を上回る技術力を持ち、その割には人数そのものは驚く程に少ない。

 ゴーストに類する無人機を多用するというのも、マクロス世界に似ていなくもない。

 余談だが、俺達がメギロートを多用しているのを知った、ゴースト派……無人機を戦力の中心とするべきと考えている者達の活動が活発化してるとか何とか。

 もっともシャロン・アップルの件もあって、その勢力はそこまで大きくはないようだが。

 ともあれ、ホワイトスターに来る許可を貰えなかった奴で、シャドウミラーの秘密を知りたいと思う者がいてもおかしくはない。

 そう思いつつも、取りあえずは試してみるかと判断し、コックピットを開けて宇宙空間に出る。

 当然ながら、現在の俺はパイロットスーツやEXギアの類を身につけている訳でもなく、生身の状況だ。

 だが、混沌精霊の俺にしてみれば、この程度は特に問題なく活動出来る。

 そうしてクレイドルの下から潜り込み……ん?

 その部分を見て、一瞬疑問を感じる。

 元々新マクロス級を含めて都市艦の類は、移住可能な星を見つけたら、その海や湖……とにかく、地上ではなく水の部分に着水して、そこを拠点とするようになっている筈だった。

 つまり、都市艦の下には相応の設備がある筈であり、俺もそれはフロンティア船団にいる時に見た事がある。

 だが、このクレイドルは、明らかに俺が以前に見たのとは、違う機構がついていた。

 もっとも、クレイドルは普通の都市艦とは比べものにならない程に大きい。

 そうなれば既存の技術をそのまま流用出来る筈もなく、そこに新しいシステムを使われていてもおかしくはない……どころか、寧ろ当然と言うべきだろう。

 まぁ、クレイドルについては前もって詳しい情報やら何やらがしっかりと技術班の方に報告してるという話だし、そっちで聞けばいいか。

 ともあれ、俺はクレイドルに触れ……次の瞬間、北海道以上の大きさを持つクレイドルは、宇宙空間から完全に消え去っていた。

 取りあえず、どうやらクレイドル内部に潜んでいるような奴はいなかったらしいな。

 そう安堵し、俺はシュトゥルムフォーゲルⅡのコックピットに戻る。

 

「オズマ、こちらアクセル」

『……』

 

 ん? あれ? 返事がないな。

 まさか、真空に触れてフォールド通信システムが壊れたとか、そんな事がある訳もないだろうし……

 単純に聞こえていないだけか?

 

「オズマ、聞こえているか?」

『っ!? あ、ああ! 聞こえている。……悪いな。お前にそういう能力があると分かっていても、まさかあれだけの大きさのものが一瞬にして消えるってのは驚くんだよ』

「そうか? 一瞬で消えるってだけなら、フォールドとか似たようなものだと思うが……」

『一緒にするなよ。……取りあえず、これでテスト艦の受け渡しは完了。依頼も終わったと考えていいんだな?』

「ああ、それは問題ない。じゃあ、俺はまだ色々とやることがあるから、そろそろホワイトスターに戻るぞ」

『わかった。じゃあ、またな。また今度暇が出来たら連絡を寄越せ。アルトやミシェル、ルカもお前と会いたがっていたからな』

 

 そうして短く言葉を交わし、俺はその場から飛び去るのだった。

 

 

 

 

 

『ああ、あれ? 考えてもみなさいよ。クレイドルくらいの大きさを持つ都市艦が、海……はともかく、湖とかそういう場所に降りられる訳がないでしょ? だから、クレイドルに限っていえば、基本的には地上に着地も出来るようになってるのよ。……まぁ、クレイドルくらいの大きさを持つ都市艦が降りられる地面ってのも、見つけるのは難しいけど。取りあえず地面にある障害物とかを粉砕して、クレイドルが着地出来るようにしておく機能は必要でしょ』

 

 クレイドルを空間倉庫に収納した後、俺はそのままW世界にやってきていた。

 そうして約束の宙域でリーブラの姿を見ながら、ピースミリオンが来るのを待ちつつ、ホワイトスターにいるレモンと会話をして時間を潰す。

 その際にクレイドルについての話になったのは、さっきクレイドルを空間倉庫に収納した俺としては、当然だった。

 で、出て来た言葉が……今の通り。

 いやまぁ、納得するかどうかと言われれば納得出来る内容ではある。

 北海道以上の大きさを持つ都市艦なのだから、それは当然湖とかに着水するのは無理だろう。

 レモンが言ってる通り、どこかの地面に着地するにしても……北海道程の広さのただの地面というのも、ない訳ではないだろうが、見つけるのはかなり難しい。

 あっても、岩とかそういうのが普通にあるだろうし。

 そういうのをどうにかする為に、その手のシステムが考えられるのは、おかしな話ではない。

 もっとも、それでも最善の選択肢は海に着水する事だろうが。

 

『そう言えば、美鶴が卒業するって話だけど、こっちで暮らすの?』

「多分そうなると思う。幸い、ゲートも巌戸台に設置出来たし。まぁ、美鶴は大学やら対シャドウ特殊部隊の設立とかで、かなり忙しくなりそうだけど……っと、悪い。ピースミリオンが来た。通信を一度切るな」

『分かったわ。頑張ってね』

 

 そうして通信が切れると、やがて俺の言葉通り映像モニタにピースミリオンが姿を現す。

 

『お、本当にアクセルだ』

 

 そのピースミリオンから通信が入り、映像モニタに映し出されたのはデュオ。

 後ろには、ヒルデやハワード、サリィの姿もある。

 ……サリィは連合軍に所属していた筈なんだが……

 

「本当にってどういう意味だよ」

『いや、だって突然いなくなったし。何でも、別の世界に行ってたんだって?』

「ああ、そうなる。一応こっちの情報はしっかりと入っていたようだな」

 

 俺がW世界で活動していた時は、傭兵部隊のシャドウミラーに所属していた五飛、デュオ、ヒルデ、ハワードだったが、世界が繋がった後でシャドウミラーに所属したのは、五飛だけだ。

 で、デュオ達が何をやってるのかと言えば……ガンダニュウム合金の生産設備に滞在して保守点検している。

 一応これはシャドウミラーと協力関係にはあるが、別組織という扱いになっていた。

 まぁ、デュオにしてみれば、シャドウミラーがこの世界に……特にコロニーに対して何か妙な事をしないのかを監視する意味もあるだろうし、今はコロニーと友好的に接している連合が、また何か妙な事を企まないようにという牽制の意味も込められているのだろう。

 

「ガンダニュウム合金の生産設備の方はいいのか?」

『当然だろ。メギロートだっけ? あれがいれば、あそこがシャドウミラーの施設だというのは、誰にでも分かるんだ。そこにちょっかいを出すような真似をするのは……まあ、いないとは言わないけど、少ないだろうな』

 

 考えられる可能性としては、OZの残党、バートン財団の残党、もしくは平和になっては困るという者達……といったところか。

 

「分かった。取りあえずリーブラを回収するから、ピースミリオンからシャトルで退去してくれ」

 

 そう言い、俺はリーブラとピースミリオンを空間倉庫に収納する。

 ……どっちも巨大基地や巨大艦という括りには入るんだが、正直なところ、クレイドルを見た後だと、ふーん、そうという感想しか思い浮かばないよな。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:5
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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