転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2077話

「見た目は、そう変わらないんだな」

 

 魔法区画にある魔法球……それも技術班が本拠地としている魔法球の中で、俺は目の前にある機体を見て、そう呟く。

 そこにある機体は、どこかSEED世界のジンを思わせるような姿をしている……が、その能力は比べものにならない。

 

「そうね。取りあえずテストという事で色々と弄ってみたけど……外見的には前とそう変わらないと思うわ。PS装甲の色も調整して、オフの時も起動しても黒になるようにしてあるし」

「……まぁ、そう出来るのなら、別にいいよな」

「一応言っておくけど、これも新技術よ? 以前まではなかった技術だもの。マリューがPS装甲の技術を研究して、その結果出来るようになったんだから」

 

 PS装甲の大きな欠点の1つに、PS装甲がダウンしていると機体色が灰色になって、それが敵に丸分かりだというのがあった。

 勿論シャドウミラーの機体となれば大抵はブラックホールエンジンで動いているので、基本的にエネルギー切れでPS装甲がダウンするという事はない。

 だが何らかの理由で動力炉にダメージを受けたりすれば、PS装甲がダウンするという可能性も否定出来ないし、機体が起動しているのかどうかも分かりやすい。

 そんな、ある意味で致命的な弱点をマリューがそのまま放っておく筈もなく、その結果が現在俺の前にある、PS装甲が起動していなくても機体色は黒いままのミロンガ改だった。

 

「説明を頼む」

 

 そんな俺の言葉に、レモンは嬉しそうに笑みを浮かべて口を開く。

 

「任せておいて。まず今回の改修の最大の特徴は、言うまでもなくガンダニュウム合金を使ったPS装甲よ。従来、PS装甲の機体はどうしても重かったんだけど、それをガンダニュウム合金とブラックホールエンジンによるグラビコン・システムによって、重量は改修前よりも軽くなっているわ」

「機動性と運動性に特化したミロンガ改にとっては、十分な恩恵だな」

「そうね。ブラックホールエンジンも以前の物より性能が上がっているから、グラビコン・システムの効果も当然上がっているわ。同時に、ニーズヘッグや他の機体でも使う予定になっているグラビコン・システムによって、近接攻撃をする時の威力も増してるわね」

 

 ニーズヘッグの場合を含めて、基本的にシャドウミラーの機体で近接攻撃をする時はビームサーベルとかだから、重い一撃よりも素早い一撃の方が効果的なのは間違いない。

 間違いないんだが……全てにおいてそれが当て嵌まるかと言われれば、答えは否だ。

 特にシャドウは格闘戦を行ったりもするので、その辺りはかなり重要だろう。

 TC-OSを含めて諸々の調整が必要になりそうだが、その辺は技術班に任せておけば特に問題はない筈だ。

 

「それとガンダニュウム合金を使っている以上、PS装甲になってもその性能は変わらないわ。電磁波を吸収する事によって可能になる軽度のステルスの方はPS装甲の影響かなくなってしまったけど、ビームの威力も上がって……水中でも地上や宇宙並とまではいかないけど、それでもそれなりのビーム攻撃が可能になっているわ」

「……それは正直助かるな」

 

 シャドウミラーが使っているビームの欠点に、水中で使えないというのがある。

 だが、水中でもビーム兵器が使えるのであれば、それはかなり大きな利点になるのは間違いない。

 

「でしょう? 普通に使うビームの威力も上がってるわよ。テスラ・ドライブもフィリオが改修した物が使われているわ。ただ、エナジーウィングとS-11ミサイルの方は以前と変わらないけど」

「それでも十分に満足出来るよ。機体重量が軽くなるという事は、それだけ運動性や反応速度とかもマシになるんだろうし」

「……まぁ、どんなに機体の反応速度を上げても、T-LINKシステムには及ばないんだけどね」

 

 そう言葉を挟んできたのは、マリューだ。

 マリューもまた、T-LINKシステムについてはレモンから習っていたり、自分なりに勉強したりしているらしい。

 だが、それだけにT-LINKシステムの優秀さが理解出来てしまうのだろう。

 だからこそET-LINKシステムという、念動力を持っていない者であっても使えるような簡易的なT-LINKシステムを開発中なのだろうが。

 

「取りあえず、新型のPS装甲とガンダニュウム合金の相性はかなりいいわ。他の世界に存在する稀少な素材の類を使わなくても完成出来たしね」

 

 俺の恋人達の中では、幾分か大人しい性格をしている――包容力があるという表現が正しいのか――マリューだが、そのマリューがこれだけ言うのだから、新型のPS装甲の性能は十分なのだろう。

 

「本当なら、ラミネート装甲の効果をPS装甲に組み込みたかったんだけど。こっちは、まだまだ先の話になりそうよ」

 

 ラミネート装甲……アークエンジェルに使われていた装甲だな。

 PS装甲が物理攻撃を一定の威力まで無効化するのに対して、ラミネート装甲は対ビーム用の装甲だ。

 ビーム攻撃を受けても、そのエネルギーを熱に変換して装甲全体に拡散してビームをも無効化するという能力を持つ。

 まぁ、そのエネルギーの拡散の廃熱が追いつかなくなれば、ダメージを受けるのだが。

 ちなみに物理攻撃を無効化するPS装甲だが、ジェネシスのような巨大さがあればビームを無効化することが出来る。

 これは装甲出力の差らしい。

 つまり、動力炉とかが強力ならビームも無効化出来るのか?

 動力炉の強力さという意味では、正直なところニーズヘッグ以上の代物はそうないと思うんだが。

 

「取りあえず完成してみたというのなら、乗ってみるとするよ」

「そうね。その為に、アクセルをわざわざ呼び出したんだから」

 

 俺の言葉にレモンが頷くのを確認すると、そのまま空中に浮いてミロンガ改のコックピットに入る。

 そうして機体を起動させると、PS装甲の起動も映像モニタに映し出された。

 もっとも新型のPS装甲だから、色は変わっていないが。

 

「よし、じゃあ軽く動かしてみるから、離れていてくれ」

 

 外部スピーカーでそう言うと、俺はミロンガ改をテスラ・ドライブで空中に浮かべる。

 へぇ……機体重量の違いは、この時点でも結構感じる。

 重量が重ければ、当然それを動かすにも相応のエネルギーを必要とするし、また動かす速度も鈍重となる。

 だが、ガンダニュウム合金と新型のPS装甲、グラビコン・システムの効果によって、明らかに機体の機敏さが実感出来るのだ。

 そのまま機体を動かすと、操縦性の違いに少し戸惑うが、それでも数分もすれば慣れてくる。

 元々ミロンガというのは、装甲を犠牲にしてまで運動性や機動性を重視して開発された機体だ。

 それこそ、どんな攻撃も当たらなければ全く問題はないというのを地でいく機体。

 そんなミロンガをベースにしているからこそ、ガンダニュウム合金やPS装甲を使うというのは、ベストマッチなのだろう。

 それでいながら運動性や機動性も上がってるのだから、文句の付けようがない。

 

「レモン、マリュー、機体の感覚は大分理解した。次はメギロートを出してみてくれ。手加減はいらない」

『いいけど……気をつけてよ? まぁ、アクセルの場合なら、機体が破壊されても怪我はしないんでしょうけど』

 

 マリューがそう返してくる。

 

「俺が、メギロートにやられるとでも?」

 

 メギロートがガンダニュウム合金やPS装甲で出来ていれば、話は別かもしれないが。

 

『でしょうね。……じゃあ、行くわよ?』

 

 その言葉と共に、6機のメギロートが空中に上がってくる。

 6機、か。まぁ、ミロンガ改の性能を確認するって意味だと丁度いい的だな。

 そんな風に考えていると、6機のメギロートはそれぞれ左右前後上下に分かれてミロンガ改に襲い掛かってくる。

 まずは様子見ということなのか、6機のメギロートから放たれたのはサークル・レーザー。

 丸い形のレーザーは、ミロンガ改を狙ってそれぞれが放っているが……それでいながら、俺を軸として反対側にいるメギロートに命中しないような軌道なのはメギロートのAIの優秀さ故だろう。

 おまけに広範囲に攻撃をするのであれば、こっちは攻撃を回避するのも難しくなる。だが……

 

「まだ、甘い!」

 

 ガンダニュウム合金やグラビコン・システムによって軽くなったミロンガ改は、サークル・レーザーの隙間、ほんの少しの隙間を縫うように移動して抜け出す。

 そうして抜け出せば、その先にいるのは当然のようにサークル・レーザーを放っていたメギロート。

 急速に近づいてくるその機体に向け、ビームマシンガンの銃口を向け、トリガーを引く。

 他人から見れば殆ど狙いを付けていないように見えるだろうが、俺のガンファイトのレベルと射撃や命中というステータスの高さを思えば、この程度はどうという事はない。

 そうしてビームマシンガンから放たれた無数の小さなビーム弾は、次々とメギロートの身体を貫いていく。

 へぇ、確かに以前に比べると威力が若干だが上がっているのは間違いないな。

 爆散していくメギロートを見ながら、エナジーウィングを使ってその場で強引に機体の方向を変える。

 そう言えば、他の機体には今回の改修でガンダニュウム合金の装甲を組み込む他にマクロス世界のISCを組み込むって話だったが、それによって普通の面子でも今みたいに機体を動かすことが可能になるだろう。

 勿論ISCはあくまでも一時的にGを保存しておくといった感じになるので、延々とそんな真似が出来る訳ではないのだが。

 ……フォールドクォーツが限られているというのは、痛いよな。

 マクロス世界のバジュラ戦役。

 その最後の戦いで俺達が倒したバジュラは膨大な数になるが、それでも有限なのは間違いない。

 しかもヴァールシンドロームの件で、現在バジュラに対する印象はマクロス世界ではかなり悪いから、迂闊にフォールドクォーツを買い漁るのも難しい。

 一応新星インダストリーやL.A.Iから向こうが持っているフォールドクォーツを買い取るという交渉もしているのだが、有限な代物だけに、当然向こうもそう簡単に売ってはくれない。

 それどころか、こちらに買い取りを申し出てくるって千鶴が言っていたな。

 まぁ、バジュラは女王級を含めて高い知性を持っているし、最終的には人間と和解――と言ってもいいのかはちょっと微妙だが――した事もあって、フォールドクォーツを体内に持ってるとはいえ、バジュラを殺す事は出来ない。

 そもそも、バジュラは纏めて別の銀河系に去ってしまったし。

 今は何とか人工のフォールドクォーツの開発をしているらしいが、現在のところ人工のフォールドクォーツ……フォールドカーボンは、天然物に到底及ばない。

 ガンダニュウム合金と同じく、フォールドカーボンもマクロス世界でなければ作れないというのが痛い。

 魔法球の中で研究が出来れば、一気にその辺りはどうにかなりそうなものを。

 そんな風に考えつつ、急激な方向転換をしたミロンガ改はこっちに向かって角で貫こうとするメギロートに向け、左手でビームサーベルを展開する。

 真っ直ぐにこっちに向かってくるメギロート。

 だが……当然のように、他のメギロートも俺の動きを黙って見ている訳ではない。

 ミロンガ改の背後から真っ直ぐに突っ込んでくるメギロートもいれば、斜め上からサークル・レーザーを放ってくる機体もいる。

 そんな背後に向けて背中のエナジーウィングから刃状のエネルギーを大量に射出。

 背後から迫ってきていたメギロートは、次の瞬間にはそれに身体を貫かれて撃破されてしまう。

 

「これで2機、そしてお前で3機だ!」

 

 叫び、ビームサーベルを振るって、目の前にいたメギロートの身体を真っ二つにする。

 連続して起こる爆発。

 再びエナジーウィングを使った急激な方向転換を行い、その爆発に紛れるようにして他のメギロートに攻撃を行う。

 出来ればS-11ミサイルも試してみたかったんだが、魔法球の中でS-11ミサイルを使う訳にもいかないか。

 勿論、実際には特に問題ない可能性もある。あるが……もしかしたら、何かある可能性もある以上、無理は出来ない。

 

「っと!」

 

 サークル・レーザーを回避しつつ、ビームマシンガンを撃つ。

 

「4機、5機……そして、お前でラストだ!」

 

 2機のメギロートを撃破し、俺は最後に残ったメギロートに向かい、テスラ・ドライブとエナジーウィングを使って一気に距離を詰め、横を通り抜けざまにメギロートをビームサーベルで斬り裂くのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:5
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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