転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2089話

 やがて、ラルとハモンの2人は不承不承ながらも、俺の国作りは必須という言葉に頷いてみせる。

 もっとも本心から頷いた訳ではないのは、ラルやハモンの性格を考えれば明らかだろう。

 それを表情に出すような真似はしていないが、俺が異世界の存在で、セイラがアルテイシアで強力なニュータイプ能力を持つ。

 その辺りの話は信じても、国作りとなればそう簡単な話ではないのだから。

 

「取りあえず、ジオン・ズム・ダイクンの長女が高いニュータイプ能力を持っていて、それでいて国作りをする。そうなれば人が集まるとは思えないか? ましてや、今は戦争中だ。戦いに嫌気を差している者がやってくる事もあれば、ジオンでは冷遇されているダイクン派がやってくる可能性もある」

「……それは認めよう。実際、姫様がご自分の素性を明らかにすれば人は集まるだろう。だが、国作りというのはそれ程簡単な事ではない。ましてや、今の状況ではどこのコロニーもそんな事を考えるような事はしない筈だ」

 

 ああ、なるほど。

 ラルは俺がどこかのコロニーを占拠するなりなんなりして、それで俺達が国作りをすると思ったのか。

 普通に考えれば、それが無難な考えと判断するのは間違いない。

 

「それに、今はジオンと連邦で戦争中だ。それこそ、国を作ろうなどというのが表に出れば、すぐにどちらか……いや、恐らく連邦だろうが、それを阻止しようとしてくる筈だ」

 

 それも間違いではない。

 ジオンという国が独立するのを防ぎたい連邦にしてみれば、それこそ新しい国家を……それもジオン公国の元凶となった、ジオン・ズム・ダイクンの長女が建てた国など、認められる筈もない。

 そしてジオン公国にしても、今まで弾圧していたダイクン派が国を作るというのを知れば、そのまま放っておくとは思えない。

 そしてサイド6のような中立を標榜している連中も、それこそ中立という言葉を錦の御旗にして援助をする事はないだろう。

 だが……そう、だが。

 

「だからどうした? ラル、お前は知らない。そう、俺達シャドウミラーがどのような国なのかを。ジオン独立戦争? 俺たちが潜り抜け、そして勝ち続けてきた戦争の規模からすれば、それこそ現在この世界で起きている戦争は序章も序章、物語で言えば、まだプロローグにもなっていない、前書きといったところだ」

 

 そう、俺達シャドウミラーは今まで幾多もの戦いを潜り抜け、それに勝ち続けてきた、常勝不敗の国。

 

「とは言っても、シャドウミラーの全戦力で完全にバックアップって訳にはいかないが、それでもこの世界の現状で国を作るのにちょっかいを出してくるような奴をどうにかする程度は容易な話だ。もっとも、そのような状況で建国される以上、間違いなく最初はシャドウミラーの属国……いや、保護国という形になるだろうし、そこから本当の意味で国として独立していけるかどうかは、国の代表……女王となるセイラや、それ以外の者達の器量に掛かっているんだろうが」

 

 国という形を整えることは、それ程難しくはない。

 勿論面倒な事は多々あるし、それこそ政治班の面々には色々と頑張って貰う必要はあるだろうが……それでも、俺たちであれば何とでもなるのだ。

 

「ああ、それとラルは勘違いしているようだから言っておくが、俺やセイラは別にコロニーを乗っ取ったりなんなりして国を作ろうなんて事は考えていないぞ」

「……何?」

 

 俺の言葉が余程意外だったのか、それとも単純に保護国という事に何かを思っていたのか、ラルは不思議そうな表情で俺に視線を向けてくる。

 

「それは、どういう意味だ? もしかして、地球で建国をすると?」

「違う。俺達には、都市艦という存在がある。まぁ、これは俺達シャドウミラーが作った物じゃなくて、他の世界で作った物を報酬として貰った訳だが……」

 

 考えてみれば、クレイドルを入手することになったウィンダミアの独立戦争は、複数の星を舞台にして行われた内乱だ。

 規模という意味では、それこそジオンの独立戦争よりも圧倒的に大規模と言えるだろう。

 

「ちょうど俺がこの世界に来る前に入手した奴があって、使い道がない都市艦がある。それは本来、とある世界で使われている移民船の実験艦で、その世界では移住可能な惑星を見つけたらその都市艦を水上に着水させて都市として使う訳だ。……そして普通なら水上に着水するように出来ているが、俺達が得た都市艦は大きすぎて水上に着水するの無理かもしれないと、地面に着地する事も可能になっている」

 

 まぁ、この辺りは話して聞かせても意味はない。

 一度ホワイトスターに連れていって、直接その辺りを説明する方がよさそうだな。

 セイラも俺の知識からホワイトスターは知ってるだろうが、それを実際に目にする必要はあるだろうし。

 

「で、その都市艦……クレイドルという名前なんだが、それを月のどこかに着陸させて、それを国家とする」

「……待て。都市艦というのはともかく、1つの街で国を名乗るのは、無理があるのではないか?」

「そうだな。けど、その都市艦はさっきも言った通り移民の為に使われる移民船の実験艦だ。重力装置で都市全体の重力も1Gでしっかりと設定されているし、湖や山、川、海なんてのも普通にある。……まぁ、そこに放つ動物とか魚とか植える植物とかはこっちの方で用意する必要があるんだが……ともあれ、そのクレイドルの広さは8万5千平方km。コロニー1基が800平方kmでその半分が採光用の窓だとすると、400平方km。つまり、コロニーのざっと200倍以上。そう考えれば、クレイドルの広さがどれだけのものなのかが想像出来るんじゃないか? ……もっとも今も言った通り、そのクレイドルの中には海とかそういうのもあるから、人が住める場所はもっと狭くなるんだろうが」

 

 ただ、北海道以上の広さを持つ都市艦だ。

 当然のように、人口の許容範囲は極め大きい。……大きすぎる、と言ってもいいだろう。

 月光館学園で習った北海道の人口は550万人だったか?

 環境が厳しかったり、過疎化している部分も考えると、クレイドルの住人は1億人を余裕で突破出来る……と思う。

 クレイドルだけじゃなく、そこから地下に向かって掘り進めて領地を広げていくしな。

 寧ろこの場合の問題は、クレイドルが広すぎるということだろう。

 将来的にはまだしも、国の樹立を宣言した当初は絶対に閑散としているのは間違いない。

 ダイクン派や、ジオンの独立戦争にうんざりとしている者達を受け入れたところで、到底人数が足りないのは間違いないのだから。

 もっとも、それはセイラを始めとした国のトップが考えればいいのかもしれないが。

 

「それは……」

 

 俺の言葉が予想外だったのか、ラルもハモンも異論を口に出す事は出来ない。

 普通であればそんな戯れ言と言い返したいところなのだろうが、俺の能力をその目で直接見てしまっている以上、嘘だとは言い切れないといったところか。

 

「まぁ、今のは1つのアイディアでしかない。本当にやるにしても、色々と検討する必要はあるだろうしな」

「……出来る、と考えていいのか?」

 

 おう?

 何だ? てっきりラルは反対するのかと思っていたが、ラルも俺の意見に意外と乗り気な様子なのか?

 

「出来るか出来ないかで言えば、問題なく出来る。……ただ、その辺はセイラやホワイトスターにいる俺の部下たる政治班の面々と要相談だな」

「……俺の、部下? そう言えば、シャドウミラーという国の代表だと言っていたか。その外見から考えると、考えにくいが」

「ああ、この外見か。なら……これでどうだ?」

 

 指をパチンと鳴らすと、次の瞬間俺の姿は白炎に包まれ、10代半ばの身体から20代の身体に姿を変える。

 ……まぁ、20代で国の代表というのも、ちょっと苦しいが。

 それでも10代半ばの姿よりは説得力があるだろう。

 

『なっ!?』

 

 そして再び驚く、ラルとハモン。

 

「俺達シャドウミラーと付き合っていくのなら、この程度の事で驚いていては身体が保たないぞ」

 

 再び指を鳴らし、10代半ばの姿に戻る。

 

「……アクセル。お前の本当の姿はどちらなのだ?」

「どっちと言われてもな。どっちも俺の本当の姿なのは間違いないぞ。ただ、年齢的にって意味なら20代の方だけど。ただ、色々と動く場合はこの10代半ばの方が動きやすいんだよな」

 

 どの世界もそうだとは言えないが、大抵の原作の世界で主人公は10代半ば……中学生から高校生というのが多い。

 その世界の原作……漫画、アニメ、ゲーム、小説。そういうのを買うのは10代が多いからこそ、その年代の主人公が多くなるんだろうが。

 もっとも、全員がそういう訳ではない。

 例えば、ネギま世界。

 あの世界の原作の主人公は、間違いなくネギだ。

 そしてネギの年齢は10歳前後。

 まぁ、今はその事を考えるよりも先に、やるべき事があるか。

 

「ともあれ、だ。……セイラの映像を見ても、あれが本物かどうかは分からない。もしくは、俺に妙な風に操られている可能性もある。そう思っていないか?」

 

 その言葉は図星だったのか、ラルはじっと俺の方を見てくる。

 昨日の今日で、いきなり小さい頃に逃がしたセイラが姿を現して――映像でだが――そのセイラがいきなり建国すると言ってきたんだ。

 ニュータイプだなんだと俺が説明したところで、ラルは結局自分で直接セイラを見なければ、それを信じるような真似は出来ないだろう。

 

「さて、そんな訳で、だ。色々と驚きついでに、もう1つちょっと驚いてみないか?」

「……何をするつもりだ?」

 

 今日だけで、一体ラルは何度驚いたんだろうな。

 これ以上は驚かないといった様子で、ラルは俺に告げてくる。

 

「俺が今日この世界にやって来たばかりだというのは、言ったな? そして今日のうちにサイド7からサイド3までやって来たのも」

「……うむ」

「つまりそれは、逆に言えば今からサイド7に移動するのも難しい話じゃないって事を意味している訳だ。……どうだ? 今からサイド7に行って、直接セイラに会ってみないか? そして明日辺りには、月でゲート……まぁ、簡単に言えば次元の狭間にある俺達の本拠地に繋がる転送装置だが、それを設置してホワイトスターに行ってみないか?」

『……』

 

 再びラルは沈黙する。

 また驚かせる事に成功したか。

 

「それは、アクセルがズム・シティに来た時と同じようにして移動する……という事か?」

「そうだな。簡単に説明すると、まずは宇宙服を用意して、俺の魔法か何かで宇宙艦に忍び込んでズム・シティの外に出る。そこから宇宙艦が十分にズム・シティから離れたら、影のゲートを使って外に出て距離を取り、俺の機体に乗り込んで、ステルス装置を使いながら距離を取る。そして十分に離れたら、転移装置を使ってサイド7に転移するって流れだな」

 

 出来るのか、それが。

 そんな視線を向けてくるラルだったが、普通なら無理でも俺なら特に問題なく出来るんだよな。

 

「さて、異論は? セイラに会いたいなら、すぐに準備をしてくれ。まぁ……ハモンは急に仕事を休むような事は出来ないかもしれないけど」

 

 ハモンはエデンのオーナーにして、歌姫だ。

 当然のようにエデンに酒を飲みに来る連中は、ラルの知り合い以外はハモンの歌を楽しみにしてくる奴も多いだろう。

 であれば、それこそハモンがいない状況で店を開けるのは厳しい筈だった。

 だが……ハモンはそんな俺の言葉に笑みを浮かべて口を開く。

 

「この人が行くのであれば、私も行きます」

 

 一瞬も悩む様子がなく、ハモンはそう告げる。

 そんなハモンの言葉に、ラルは唇の端を微かに曲げる。

 

「どうやら俺は、野暮な事を言ったらしいな」

「ええ」

 

 俺の正体を知りながら、それでもこうして言ってくる辺り……度胸のある女なのは間違いない。

 

「分かった。なら、ハモンも一緒だな。ただ、これ以上の人数は出来るだけ増えないようにしてくれ。何かあった時に、色々と面倒になるからな」

 

 最悪の場合は俺が魔法を使ってラルとハモンを運んだりなんだりする必要もあるが、そうなった時に人数が多ければ守り切れなくなるという可能性も十分にある。

 である以上、こっちとしては一緒に移動する者の数をなるべく少なく……それこそ、可能ならラルとハモンの2人だけにして貰うのが最善だった。

 とはいえ、ラルやハモンだけでは色々と手が回らなかったりする可能性があるのを考えると、最低1人くらいは連れていくという事にもなるのか。

 ともあれ、俺の言葉にラルとハモンの2人はしっかりと頷くのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:5
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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