転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2097話

「ぬおおおおおっ!」

 

 目の前の光景に、ラルの口から驚愕の声が溢れ出る。

 いやまぁ、驚愕であっても声が出るだけマシなのだろうが。

 実際コズンは、唖然としたままで大きく口を開けているし。

 ……ちなみにセイラは目の前の生物について知っていたのか、特に驚きを表情に表している様子はなく、ハモンの方は口に手を当てて驚きを見せているがそれだけだ。

 こうしてみると、青い巨星よりも女の方が度胸があるように見えるな。

 もっとも、UC世界は完全に科学の世界だ。

 それこそ人型機動兵器を実際に作るくらいには。

 それだけに、ホワイトスターにある牧場でワイバーンを見てしまえば、このような態度を取ってもおかしくはない、のか?

 

「エルフ達を見た時よりも、驚きは大きいな」

「当然です。エルフは仮にも人の形をしているのに対して、こちらは完全にドラゴンでしょう?」

 

 セイラのその言葉に、それもそうか? と思わないでもない。

 実際、行きすぎたファンタジーのファンともなれば、整形で耳の形を変えてエルフ耳にしている者もいるって話を、以前どこかで聞いた事があるような、ないような……そんな感じだし。

 

「ちなみに、これはドラゴンじゃなくてワイバーンな。まぁ、知らない奴には一緒に思えるだろうけど。ともあれ、このワイバーンは普通に乗れる」

「……乗れる?」

 

 コズンが信じられないといった様子で俺に視線を向けてくる。

 実際にワイバーンに乗れるというのは、この牧場において高い人気を誇るアトラクション……いや、出し物と表現すべきか? ともあれ、そんな感じなのは間違いない。

 ホワイトスターには色々な世界から、毎日のように大勢がやってくる。

 その全員が、それぞれの世界の担当が認めた者であり、馬鹿な真似をするような奴は基本的にいない。

 そういうのがいたら、その世界にはペナルティを与える事になるのだから、それも当然だろうが。

 ともあれ、仕事ではなく観光でホワイトスターにやって来た者の多くが、ワイバーンに乗っていく。

 もっともネギま世界の人間の中には、その程度の経験は普通にした事のあるという者もいるので、必ずしもという訳ではないのだが。

 

「どうする? 乗るか?」

 

 そう尋ねるも、誰も乗る様子はない。

 まだちょっと早かったか?

 いや、でも結構ホワイトスターの中を案内したのを思えば、そこまで問題はない……筈。

 博物館でオークとかオーガとかのモンスターを見た時も、今と同じような感じで驚いてはいたが。

 

「乗らないならそれでもいい。じゃあ、後はここで名物のソフトクリームを食べてから、次に行くか」

「アクセル。その、一応聞くけど……そのソフトクリームの原料は、向こうにいる牛よね? このワイバーンの牛乳……いえ、竜乳? じゃないわよね?」

「ああ。安心しろ。普通にここで飼っている牛の牛乳だよ」

 

 気丈な性格のセイラであっても、やはりワイバーンを見た後でソフトクリームを食べるとなると、その事が心配になるのだろう。

 だが、この牧場の牛乳はかなり質のいい牛乳だし、肉牛の方もレベルは高い。

 それもこれも、量産型Wに色々と牛を飼う際に必要な知識を疑似記憶としてインプットしたおかげだな。

 当然その手の知識を疑似記憶としてインプットしただけでは意味がなく、しっかりと働いて知識と実践を組み合わせる事が必要になる。

 ホワイトスターと取引のある世界の中には、この牧場の肉を欲しがる者も多い。

 ……実際、この牧場の肉をシャドウミラーだけで消費するのは無理だし、交流区画に料理を出している店で消費してもまだ余るので、小口の取引には応じているのだが。

 

「美味しい……」

 

 ソフトクリームを恐る恐ると一口食べて、セイラが呟く。

 ……ちなみに、セイラ以外にもハモンはともかく、ラルやコズンまでもがソフトクリームを食べている光景は……うん、何だろうな。何だか笑えるものがある。

 それを言えばラルも不満に思うだろうから、何も言わないが。

 ともあれ、俺達は牧場でそんな楽しい時間をすごすのだった。

 

 

 

 

 

「これが……バッタ……」

 

 セイラが目の前のバッタを見て、興味深そうに呟く。

 現在俺達の前にいるのは、無人兵器としての車くらいの大きさはあるバッタ……ではなく、膝下までもない大きさの、日常作業用のバッタだ。

 木蓮……正確には古代火星文明が使っていた無人兵器製造工場によって製造されるバッタは、大まかには2つの種類がある。

 即ち、無人戦闘兵器としてのバッタか、通常作業用のバッタか。

 そして通常作業用のバッタは、それこそ使用用途によって色々と大きさが変わる。

 いや、兵器用に生産されたバッタの方でも、命令によって作業は出来るのだが。

 

「どうだ? これくらいのバッタであれば、クレイドルの中に大量にいても、そこまで目立たないだろ?」

 

 戦闘用の車くらいの大きさのバッタであれば、色々と目立ってしまうのは確実だ。

 示威行為とか抑止力とかで考えれば、それも悪くないんだが。

 監視カメラとかの役割と近いな。

 だが、抑止力ではなく何か妙な行動を取っている相手を見つけるという意味では、このくらいの……もしくはもっと小さくてもいい。

 

「ふーむ……明らかにジオンよりも技術力は上だな」

「そうですね、大尉。MSを作るのですら、大尉や黒い三連星を始めとしたエースパイロットが力を結集してようやくでしたのに……」

「黒い三連星、ガイア達か。……あの連中もキシリアの下で窮屈にしていると聞く。声を掛けてみるのも、面白いかもしれんな」

「……あの黒い三連星が、ジオン軍を抜けるような真似をしますか?」

「さて、どうだろうな。あの連中の性格を考えれば可能性はある、と言いたいところだが」

 

 セイラとハモンが小型のバッタを愛でている光景を眺めていると、ラルとコズンの会話が聞こえてくる。

 黒い三連星の名前は、UC世界について色々と情報収集したので、知っている。

 一週間戦争やルウム戦役において異名を付けられたパイロットは多いが、その中でも特に広く名前が知られているのが、赤い彗星、青い巨星、黒い三連星の3つだ。

 特に黒い三連星は、個人で名前が知られているのではなくMS3機の小隊として名前が知られている。

 現在連邦軍で指揮を執っているレビル将軍の旗艦アナンケを沈め、脱出したところを捕らえたのが黒い三連星だ。

 敵の総指揮官を捕虜にしたという意味では、それこそシャアやラルよりも数段上の功績と言っても間違いではない。

 

「ラル、言うまでもないと思うが、ルナ・ジオンについては実際に建国宣言をするまでは可能な限り秘密裏に進める必要があるからな。黒い三連星くらいに名のあるパイロットがこっちについてくれれば嬉しいが、交渉に失敗して、それがザビ家に伝わる……なんて真似はごめんだぞ」

「安心しろ。あの連中は粗暴な性格をしておるが、それでも義理というものを捨ててはおらん。もしこちらの誘いに乗ってこなくても、ザビ家に儂の事を知らせるということは考えなくてもいい」

 

 自信たっぷりにラルが言うのであれば、信じてもいいのだろう。

 ラルの人を見る目は、決して間違っている訳ではない。

 それこそ、あれだけの仲間に慕われているという事もあるだけに、人を見る目は確かだろう。

 絶対確実に、という訳でもないのだろうが。

 寧ろ人を見る目という点では、酒場を経営しているハモンの方が上か?

 

「取りあえず、ラルがそう言うのなら信じるが……最悪の場合、俺が出る可能性もあるぞ?」

 

 黒い三連星がどれだけ凄腕のMSパイロットであっても、影のゲートを使える俺にとっては、居場所さえ判明すれば容易に暗殺は可能だ。

 そんな事にならないように、出来ればラルにはしっかりと黒い三連星を説得して欲しいところだが……どうなんだろうな。

 ちなみにこうしてジオン軍からの引き抜きは考えているが、連邦軍からの引き抜きはあまり考えていない。

 ……というか、ジオン・ズム・ダイクンの継承者だったり、ニュータイプだったりするのを旗頭にする以上、連邦軍から人を引き抜くのは難易度が高すぎる。

 物好きがいる可能性は否定出来ないが。

 ああ、でもエレズムとかそういうのに嵌まってる人がいれば、望んで宇宙に出て来たりもするか? となると……

 

「ジオンの方はラルに任せておけばいいけど、連邦軍の中でルナ・ジオンに来たいと思う人を探すのは難しそうだな」

「何? アクセル、お前は連邦でも人を探すのか?」

 

 俺の口から出たのはラルにとっても予想外の言葉だったのか、驚きの視線を向けられる。

 

「エレズムとかコントリズムとか……連邦の中にもそういうのに興味を持ってる奴はいると思わないか?」

 

 そう尋ねると、ラルは言葉に詰まる。

 実際、そのような人物がいないとは言い切れないからだろう。

 

「だが、どうやって連邦の者を誘う? 儂には連邦に伝手はないぞ? いや、ゲラートの奴ならあるかもしれんが……」

 

 ゲラートという人物については、ラルから聞いている。

 ラルの親友で、現在はキシリア・ザビ率いる突撃機動軍配下に所属しており、闇夜のフェンリル隊という部隊を率いて連邦軍と戦っているらしい。

 つまり、連邦軍と戦っているからこそ連邦軍に知り合いがいるかもしれないというのだろうが……

 

「知り合いは知り合いでも、それは敵対的な知り合いじゃないのか?」

「分からん。もしかしたらそうかもしれんが、違う可能性もある」

「……その辺は行き当たりばったりだな。可能なら探りを入れておきたいところだが」

 

 もっとも、戦場にいる以上はコロニーからでは連絡を取るのも簡単ではない。

 ラルの部下にはタチという情報部所属の者がいるので、不可能ではないのだろうが……ともあれ、その辺りは運が良ければ程度に思っておいた方がいいか。

 俺が明確に知っている連邦軍の者となると、それこそアムロしかいないが……そのアムロも、今は恐らく原作前だからか連邦軍に所属している訳でもない普通の子供なんだよな。

 しかも、最悪な事に俺との接触でトラウマを与えてしまったようだし。

 アムロの件もいずれはどうにかしないと。

 

「アクセル代表、技術班からミノフスキー粒子について質問が来ていますが」

「ん? あー……ミノフスキー粒子については、俺よりもラルの方が詳しいだろ。説明を頼めるか?」

 

 量産型Wが近づいてきて尋ねる言葉に、俺はラルに話を振る。

 実際、俺よりもミノフスキー粒子下で戦った経験のあるラルの方がその辺は実感として詳しい筈だ。

 

「……うむ」

 

 何だ? いつもであればすぐに答えるだろう質問に、ラルが一瞬戸惑った後で量産型Wとの会話を行う。

 そして数分が経ち、それで満足したのか量産型Wは去っていき……

 

「アクセル、ホワイトスターに来てから、あのようなヘルメットを被った者を多く見るが、あの者達は何だ? 全員が全員、信じられない程に腕が立つぞ」

「……ん? あれ? 量産型Wについて説明はしてなかったか?」

 

 てっきりその辺りについては説明したとばかり思ってたんだが……

 その質問に、俺を通して既に量産型Wについて知っていたらしいセイラ以外の3人が、それぞれ頷く。

 そんな反応を見て、俺は量産型Wについての説明をしていく。

 機動兵器のパイロットとしても、一流の腕……いや、それ以上の腕を持つ。

 疑似記憶を与える事で、どのような知識でもすぐに学習が可能。

 ロットにもよるが、新しいロットの量産型Wは金ぴかの細胞を培養して植え付けているので、通常よりも高い魔力や身体能力を持つ。

 生身での戦闘でも、そこそこ――シャドウミラー基準だが――強い。

 量産型Wの名前通り、ある程度の速度で量産が可能等々。

 

「まぁ、そんな訳で、人型のアンドロイドだと思って貰えばそれでいい」

 

 そんな俺の言葉に、ラル、ハモン、コズンの3人は微妙な表情を浮かべる。

 

「どうした?」

「……いや、自我の類がないアンドロイドと言われても、ああまで人間に近いとな」

「まぁ、アンドロイドってのは分かりやすく説明した言葉で、実際には人造人間という形だしな。ああ、勿論自我の類はない、本当に道具のような物だが」

 

 エキドナのようなWナンバーズを除くと、量産型Wというのは自我の類を持たない。

 もしかしたら、この先レモンの研究次第ではそうなる可能性もあるが……極論、使い捨ての消耗品という今の扱いが量産型Wの使い方としてはベストなので、出来れば自我を持つのは特別なWナンバーズだけにして貰いたいものだ。

 ラル達は俺の質問に微妙に納得出来ないような、納得したような……そんな感じであったが、ホワイトスターという他国の事に口を突っ込むのもなんなのでと、それ以上は何も言わずに次の場所……交流区画に向かう。

 ちなみにこの交流区画ではセイラとハモンが異世界の美容器具や化粧品の類に強い興味を示し、ラルやコズンはネギま世界の住人が売っている簡単なマジックアイテムに興味を示し、最終的には量産型Wの件は綺麗さっぱり忘れられるのだった。

 いや、本当の意味で忘れた訳ではないのだろうが。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:5
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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