転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2102話

「へぇ……これがこの世界の戦艦……いや、機動巡洋艦だったか。それなのか」

 

 現在俺は、サイド3を構成するコロニーの1つ、マハルの宇宙港で目の前にある艦体を見ていた。

 俺が知ってるこの世界の宇宙艦、それも戦闘を専門にする物といえば、ムサイ級くらいしか存在しなかった。パプア級は補給艦だし。

 実際ジオン軍の中でも主力はムサイ級で、ザンジバル級というこの艦は結構数が少ないらしい。

 ジオン軍の中で唯一大気圏内外の両用艦で、大気圏突入能力もあるし、専用のブースターがあれば大気圏離脱すらも可能という、UC世界でも屈指の性能を持つ艦だ。

 そして何より、海兵隊のシーマが使っている艦ということでMSが出撃するためのカタパルトの増設や武装の変更といったようにかなり色々と改修され、正式名称はザンジバル級ではなく、ザンジバルⅡ級と呼称されるとか。

 

「ふふん、どんなもんだい? これがあたしの旗艦さね。他にもムサイ級やパプア級があるんだけど……今回の一件は、まだあまり人目につきたくないからね」

 

 俺の言葉に、シーマが自慢げに言葉を返す。

 そんな俺達の側では、ラルやハモン、セイラ、クランプ、コズン……それ以外にもラル隊のメンバーが揃っている。

 ザビ家に目を付けられているラル隊だけに、本来ならこのようにラル達が揃って行動するとなると、色々と不味いのは間違いない。

 ただ、それはあくまでも纏まって移動していると知られていればの話だ。

 エデンからの移動では影のゲートを使って移動したので、もしエデンを見張っている奴がいても、ラル隊の姿がエデンから消えているとは気が付かないだろう。

 シーマ達はエデンに入るのを見られている可能性もあるので、影のゲートを使って転移しなかったのだが……影に沈んでいく俺達の姿を見て唖然とした表情を浮かべていたのは、強く印象に残っている。

 そしてマハルはシーマ達の故郷という事で、ザビ家に対する忠誠心を持っている者は酷く少ない。

 ……まぁ、マハルの住人を強制的に海兵隊として徴用したって話だし、それも当然だろう。

 その上、シーマはマハルでもかなり有名人で強い影響力を持っているらしいので、その辺りも強く影響している筈だ。

 そんなシーマの機嫌を損ねるような真似は……絶対にしないとは言い切れないが、しようとする者は少ないだろう。

 もっとも、キシリア機関と呼ばれるキシリア直下の諜報部隊とかが入り込んでいる可能性もある……というか高いので、必ずしも安心は出来ないのだが。

 その辺りの事情もあって、今回は俗に言うシーマ艦隊の中でもムサイ級やパプア級を除いて、このリリー・マルレーンと呼ばれているザンジバルⅡ級のみでの行動となったのだが。

 

「けど、仮にも海兵隊を預かっているのに、ここまで勝手な真似をしてもいいのか?」

「いいんだよ、基本的にあたし達は突撃機動軍の中でも鼻つまみ者だからね。勿論正式な命令が下っている時に勝手な真似をすれば処罰されるだろうが、それ以外ではかなり自由にやらせて貰ってるんだ。……腐ったミカンってのは、少なければ少ない程にいいだろう?」

 

 そう言うシーマだったが、そこに卑屈な色はない。

 シーマにしてみれば、そんな馬鹿は相手にしていられないって事か。

 

「それで、アクセルの機体はどうしたんだい? そろそろ見せてくれてもいいと思うんだけどね」

 

 そんなシーマの言葉に、ミロンガ改を見た事のある者以外の面々が放つ興味深い視線がこちらに向けられた。

 ちなみに、何故エデンで話し合っていた俺が……そしてラル隊の面々までもがこうしてマハルまで来る事になったのかと言えば、俺の一言が原因だった。

 つまり、MSを使った戦闘で俺に勝てる相手はこの世界にはいないだろうと。

 自分でも口が滑ったとは思って……いない。

 何故なら、それは最初からこの展開に持っていこうと考えての発言だったのだから。

 シーマ率いている海兵隊が、俺の知識にある海兵隊と同じとは限らない。

 限らないが……シーマやその周囲にいる連中を見ている限り、基本的には間違っていないようには思えた。

 そのような相手の場合、基本的には話して理解させるよりも、最初にこちらの力を見せた方が手っ取り早い。

 シーマはそんな俺の目論見を理解していたようだが、意図して乗ってくれた。

 そんなシーマの態度が、セイラの作る国に一縷の光を見ているから……そう思うのは、都合の良い思い込みだろうか。

 ともあれ、海兵隊としてジオンの中でも屈指の練度を誇るらしいシーマ艦隊としては、そんな俺の技量がどれ程のものなのかと気になり、自分達の腕を俺に見せつける為に、現在出航の準備が進んでいた。……それこそ、ラル隊を含めて。

 そういう理由だけに、皆が俺の機体を気にしても当然か。

 

「お楽しみは、最後まで取っておいた方がいいだろ。それに、リリー・マルレーンだったか? この艦だって、格納庫に余裕がある訳じゃないだろうし」

「……ふん、あまり失望させないようにしておくれよ」

 

 結局そう言い……俺達はリリー・マルレーンに乗り込むのだった。

 

 

 

 

 

 驚いた事に、本当に何の問題もなくリリー・マルレーンはムンゾから出航し、サイド3から大分離れた場所……それこそ、レーダーとかそういうのでも絶対に認識出来ないだろう位置までやって来る。

 数時間の旅路ではあったが、何だかんだとこのリリー・マルレーンは非常に快適だった。

 ラル曰く、以前に他のザンジバル級に乗った事があるが、乗り心地が格段に違うらしい。

 一応リリー・マルレーンはザンジバルⅡ級って話だったし、その辺りも改修されていると考えるべきか?

 もしくは、海兵隊の面々が心酔するシーマが少しでも快適にすごせるようにと頑張った成果なのか。

 そんな風にゲストルームで寛いでいた俺達だったが、目的の場所に到着したからという事で、格納庫に呼び出された。

 そうして格納庫に行ってみれば、そこにはパイロットスーツを着たMSパイロットの面々。

 そしてパイロットの中には、シーマの姿もあった。

 そのシーマが、俺の方を見ながら獰猛な笑みを浮かべて口を開く。

 

「さて、アクセル。いよいよ勝負の時間だ。あんたの機体を見せておくれよ」

「分かった。ここまで来て、隠す必要もないしな」

 

 そう頷き、開いている場所に向かう。

 俺が異世界の存在だったり、魔法使いだったりといった事は、知ってる者も、知らない者もいるのか、こっちを見てくる視線には様々な種類がある。

 中には明らかに侮りの視線もあり……そういう意味では、高いカリスマや指導力を持っているシーマであっても、そう簡単に俺の事を説明はできなかったのだろう。

 いやまぁ、UC世界で魔法とか言われても、それこそ冗談か何かとしか思えないだろうし。

 そういう連中とは逆に、エデンで炎獣、影槍、影のゲートといった魔法を見た者達は、俺が何をするのかといった視線を向けている。

 他の者達とは違って、俺を見る目に興味深い期待の視線が浮かんでいた。

 あまり焦らすのも何だし……と、次の瞬間には格納庫のど真ん中にミロンガ改が姿を現している。

 

『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお』

 

 突然どこからともなく姿を現したMS――正確には違うが――の姿に、格納庫にいた者達は揃って驚愕の声を出す。

 ここまで驚かれると、こちらとしてもやった甲斐があったってものだ。

 

「さて、じゃあ早速やるか。……ところで、この機体はビームマシンガンやビームサーベルを武器としてるんだが、模擬戦のシステムでどうにかなるか?」

「はぁっ!? ビーム兵器だって!?」

 

 俺の言葉に、ミロンガ改を見ていたシーマの口から、驚愕の声が上がった。

 そこまで驚くような事か?

 このUC世界でも、戦艦にはビーム砲……UC世界風に言えばメガ粒子砲か。それが使われているのだから。

 もっともシャドウミラーが使っているビーム兵器とは違い、UC世界で使われているのは、ミノフスキー粒子を使ったビーム兵器なのだが。

 

「そうだ。その辺、どうにかならないのなら、一応武器をそっちから借りて……って感じになるけど」

 

 普通なら見知らぬ機種の武器を持っても、FCSの方で操作が不可能だ。

 だが、ミロンガ改はシャドウミラーの技術班が改修した機体であり、当然ながらその辺りに対してもある程度対処は可能となっている。

 ……まぁ、それはあくまでもある程度であって、その武器の性能を万全に引き出せるって程じゃないんだけどな。

 

「あー……取りあえず、艦船との模擬戦のシステムを流用すれば、問題は……ないね?」

 

 シーマの視線が向けられたのは、その場にいる整備の人間と思しき相手。

 

「え? それは、えっとその……はい……」

 

 何かを言おうとした整備員だったが、シーマにじっと視線を向けられれば、それに否と答える事は出来ない。

 この辺り、シーマ様と呼ばれているだけあって凄いな。

 整備員の男の様子に、シーマは満足そうな笑みを浮かべ……だが、そんなシーマに対し、整備員は再び口を開く。

 

「その、ただ……システムを修正したプログラムをそっちの機体にも入力する必要があるんですけど……」

「ん? ああ、そうかい。……アクセル、どうだい?」

「問題ない。何かの記憶媒体にそれを入れてくれれば、後はこっちでどうにかする」

 

 これもまた、シャドウミラーの技術班だからこそ、出来た事だろう。

 

「え……その……」

「アクセルがいいって言ってるんだ。準備してきな」

 

 そう言われると、すぐに整備員は忙しくプログラムの修正に掛かる。

 それを見ている間に、俺はラル隊の面々からミロンガ改について色々と聞かれたが、性能は見れば分かると適当に誤魔化す。

 やっぱり、こういう衝撃は何も情報がない状態で、でかいのを受けるのがいいだろうしな。

 そんな風に考え……やがて30分も経たないうちに整備員が戻ってきて、1枚のディスクが渡される。

 整備員の目が少し不安そうなのは、全く未知のMSに見えるミロンガ改に、その修正が上手くいくのかと、そういう事だろう。

 ともあれ、何かおかしなところがあってもミロンガ改のシステムなら何とかなるだろうと判断し、早速コックピットに向かい……

 

「ちょっ、お待ちよ! アクセル、あんたパイロットスーツはどうしたんだい!」

 

 俺がパイロットスーツを着ないで、そのままコックピットに乗り込もうとしたのを見て、シーマが咄嗟に声を掛ける。

 ……何だかんだと、そういうところがシーマは面倒見が良いよな。

 そんな風に思いつつ、俺はコックピットに乗り込みながら、声を掛ける。

 

「問題ない。俺は生身で宇宙空間に出ても平気だからな」

「……それも、魔法の力かい」

 

 唖然としつつ小さく呟いたシーマだったが、さて、どうだろうな。

 たた、ネギま世界の住人なら、普通に生身で宇宙空間に出られるような奴は何人もいそうな感じがしないでもないが。

 俺の場合は、純粋に人間じゃなくて混沌精霊だからなのだが……まぁ、これも魔法に関係する事だし、魔法の力と言えなくもない、か?

 

「ま、そんな感じだ。それより模擬戦だろ? お前達の……海兵隊の力を見せてくれ」

 

 そう告げ、俺はミロンガ改のコックピットに乗り込み、機体を起動させる。

 ……背中のエナジーウィングが展開した様子に周囲が驚いていたが……まぁ、この世界の人間ならエナジーウィングは初めて見るんだし、しょうがないか。

 ただ、S-11ミサイルもだが、エナジーウィングの刃状のエネルギーの射出は、この模擬戦のシステムがどう反応するのか分からない以上、使わない方がいいな。

 そんな風に考えつつ、俺は模擬戦用のプログラムをインストールするのだった。

 

 

 

 

 

 リリー・マルレーンから少し離れた場所。そこで俺は、12機のザクと向かい合っていた。

 正式にはザクⅡと表現するんだろうが、ザクⅠが旧ザクと呼ばれている以上、取りあえずザクでいいだろう。

 12機のMSを搭載可能というのは、それなりに結構凄いんじゃないだろうか。

 ザンジバルⅡ級だからか?

 

『アクセル、まずはお互いに相手の性能を確認するから、こっちの1機と戦ってみてくれるかい?』

 

 シーマが通信を送ってくるのと同時に、1機のザクが前に進み出る。

 ちなみに、ぱっと見た感じではシーマのザクだけが角が生えており、背中のメインスラスターと思しき物が他のザクよりも若干大きめだ。

 恐らく、指揮官用のザクってところなんだろう。

 

「ああ、それで構わない。模擬戦用のプログラムも上手く動くかどうか、確認してみたいしな」

『そうかい。なら……まずは軽く様子見って事にしておこうかい。もっとも、あたし達を相手に自分よりも腕が上のパイロットはいないって言い放ったアクセルだ。当然、腕慣らしでも、楽に勝つ事が出来る筈だね?』

 

 わざとオープンチャネルで言ったな。

 明らかに、今のシーマの言葉で他のザクから感じられる敵意の類は大きくなった。

 

『じゃあ、いいかい? ……始めな!』

 

 シーマのその声と共に、ザクは手にしたザクマシンガンの銃口をこちらに向け、次の瞬間、そこからペイント弾が発射されるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:5
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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