転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2103話

 ミロンガ改のすぐ横を、ザクマシンガンの放ったペイント弾が飛んでいく。

 そのまま飛んでいったペイント弾は、恐らくどこかに浮かんでいるスペースデブリ辺りにぶつかって破裂するんだろう。

 ……ビームの類であれば、時間が経てば消滅する。

 だが、マシンガンやバズーカのような実弾の場合、宇宙空間では空気抵抗やら何やらがないので、どこまでも飛んでいくんだよな。

 それこそ、数百年、数千年、数万年、数億年後に、どこか別の銀河にまで到達し、そこで繁栄している文明に対して被害を与えないとも限らない。

 いやまぁ、その辺を今の状況で考えてもしょうがないことだろうが。

 

『あっさりとかわすねぇ』

「ま、このくらいなら、何とでもなる」

 

 シーマの感嘆したような声を聞きながら、俺はテスラ・ドライブとエナジーウィングの力でザクとの距離を詰める。

 ビームマシンガンを使って牽制するかとも考えたのだが、新型のPS装甲を使われているこのミロンガ改は、先程のマシンガン程度であれば特に問題なく回避出来ると判断した為だ。

 だが、向こうはそんなミロンガ改の性能をしっかりと分かる訳でもないので、こっちに向かってひたすらにザクマシンガンを撃ってくる。

 俺はその攻撃を回避しつつ距離を詰め……かなりの距離まで近づかれ、そこでようやく向こうもザクマシンガンでは俺に対してダメージを与えられないと判断したのだろう。

 斧……ヒートホークを手に、こちらを待ち受ける。

 そうして、ミロンガ改が間近に迫った瞬間にヒートホークを振るう。

 真っ直ぐこちらに向かって振るわれるヒートホークだが、俺はそれをビームサーベルで受ける……のではなく、エナジーウィングとスラスターの力を使ってその一撃を潜り抜け、ザクとの間合いを更に詰める。

 次の瞬間、俺の操るミロンガ改はビームマシンガンの銃口をザクのコックピットがある位置に突きつけていた。

 

『そこまで!』

 

 オープンチャンネルにて、シーマの声が響く。

 結局戦闘らしい戦闘はないままに、模擬戦は終わった。

 とはいえ、これはある意味でしょうがないところもある。

 向こうが知ってるMSというのはあくまでもザクのみで、当然ミロンガ改がどのような戦闘機動をするのかも分からないのだ。

 それこそ、ザクと同じような機動をするものだとばかり思っていても、おかしくはない。 

 だが、ミロンガ改はテスラ・ドライブとエナジーウィング、それと各種スラスターによって動き回る。

 つまり、海兵隊の面々にしてみれば、完全に予想外の戦闘機動だった訳だ。

 

『やるね』

「初めて見る相手だし、こうなってしまうのは当然だと思うぞ。それにMS同士の戦闘を経験した事のないシーマ達とは違って、俺はそれこそ数えるのも馬鹿らしくなるくらい、MS……いや、人型機動兵器同士の戦いを繰り広げてきたからな。持っている経験値が違いすぎるんだよ」

『なるほどね。……まぁ、アクセルが自分で言う通り腕利きだというのは理解した。ただ、あたし達だって今までずっと最前線で戦い続けてきたんだ。当然実力には自信がある。それに、アクセルの機体はかなり軽やかに動くけど、その動きだって初めて見るのならともかく、一度でも見れば話は違ってくる』

「それは否定しない」

 

 ミロンガ改の戦闘機動は、それこそ初めて見た場合は今のように呆気なく勝負を付ける事が出来るが、一度でも見てしまえば、大体どんな機動を取るのかの想像は出来るようになる。

 勿論、その辺りは絶対にその予想通りに動くという訳ではないのだが、それでも何も知らない状況よりはマシだろう。

 

『って事で……次はどうする? 何機を相手に戦う? 1機や2機では相手にならないみたいだし、5機辺りで……』

「全機だ」

『……何だって?』

「シーマの機体も合わせて、全12機、一斉に掛かってこい」

 

 そう告げた瞬間、オープンチャンネルの中は静かになる。

 俺の言葉を理解出来なかった……いや、したくなかったという事か。

 まさか、今の動きを見て恐れているなんて事は、シーマの性格上ありえないだろうし。

 

『本気で言ってるのかい?』

「ああ、本気だ。ただ、言わせて貰えば……さっきも言った通り、俺は今まで数え切れない程の戦いを潜り抜けてきた。その中には、俺だけで数万、数十万、数百万といった敵と戦った事もある。そして、俺はその全ての戦いに勝ってきた」

 

 ……まあ、数の点で一番多かったのはBETAだが、BETAは数に比例して個の能力は低かったからな。

 それこそ、ザクであっても……もしくは旧ザクと呼ばれているザクⅠであっても、恐らくかなり優勢に戦いを進める事が出来るのは間違いないだろう。

 

『そうかい。じゃあ……それだけ自信に満ちたアクセルの力、とくと味あわせて貰うとしようかね!』

 

 そうシーマが言うと、12機――先程俺が模擬戦で倒した相手も含めて――のザクが、即時戦闘態勢を取る。

 どうやら3機で1小隊、つまり4小隊という扱いらしい。

 シーマが指示をしなくても即座にこうして戦闘態勢を取れるのは、練度が高く連携も上手い証拠だろう。

 

『じゃあ、始めるよ。通信は模擬戦が終了するまで封鎖とする。アクセル、問題ないね? あんたから言い出した事だ。ここで怯えて退くなんて真似はしないね?』

「ああ、勿論。こっちも練度の高いMS部隊との模擬戦は楽しみにしていたところだ。堪能させて貰おうか」

『じゃあ……始めるよ!』

 

 その言葉と同時にシーマとの通信が切れ、海兵隊との模擬戦が始まる。

 シーマ率いる小隊ともう1小隊が、微妙に動いてこちらに狙いを定めないようにしながらも、こっちとの間合いを詰めてくる。

 残る2小隊は、ザクバズーカやザクマシンガンといった武器を使って、突っ込んでいくシーマ達を援護していた。

 そんなマシンガンとバズーカの攻撃を、俺は後ろへ下がって回避……するのではなく、寧ろ自分から前に出る。

 近接戦闘を望むらしいのでこちらから出向いただけなのだが、シーマはそんなこちらの態度が意外だったのか一瞬驚き……だが、すぐにヒートホークを構える。

 小隊の面々も、ヒートホークを構える者、ザクマシンガンを構える者と様々だったが、十分こちらとやる気は見せていた。

 そんな2小隊とは裏腹に、俺とシーマ達との間合いが詰まった為に、援護攻撃を担当していた2小隊は迂闊に攻撃出来なくなる。

 ……間合いが近くなった状況で援護攻撃をするとなると、それこそ相当の技量が必要になるしな。

 おまけにミロンガ改は、テスラ・ドライブとエナジーウィングのおかげでザクとは全く違う戦闘機動を取る事が出来る。

 そんな状況で下手に援護射撃をしようものなら、仲間に当たってしまうだろう。

 しかも、それが様付けしているシーマに当たったりしたら、洒落にならない事になるのは……

 

「間違いないだろう、な!」

 

 その言葉と共に、こちらの頭部を狩ろうとしてヒートホークの横薙ぎの一撃を回避しつつ、ビームサーベルを振るう。

 ビームの威力は最低出力で、この状況では人間が触れても火傷はするかもしれないが、一撃で死ぬといった事はない。

 だが、コックピット部分に命中すれば、模擬戦用のシステムが撃墜判定を下すのは当然だった。

 そうして1機撃墜しながら、左手でビームマシンガンを牽制として周囲に適当に撃ちまくる。

 周囲が敵だけだからこそ、味方への誤射とかを気にせずに済むのだが……

 お、2機がビームマシンガンによって撃墜判定を食らった。当たればラッキー程度の攻撃だったのだが、運が良かったな。

 ともあれ、これで撃墜は3機。

 残るはシーマを入れて9機、か。

 撃墜判定を下され、戦場から離れていく3機のザクを見ながら、そんな風に考える。

 ……多分、あの3機は模擬戦終了後にシーマに色々と怒られるんだろう。

 そんな風に思いつつも、その場を一旦離脱して援護攻撃を行っていた2つのザク小隊に向かう。

 近づいてくるミロンガ改に向け、1つの小隊が前に出て右手でヒートホークを手にし、左手でザクマシンガンで弾幕を張ってくる。

 後ろに下がった小隊はバズーカを構えるが……いや、ザクマシンガンはともかく、バズーカは悪手だろ。

 テスラ・ドライブとエナジーウィングを使った戦闘機動により、マシンガンの弾丸を回避していく。

 ……実際にはミロンガ改には、Eフィールドを始めとしたバリアの類があるので、多少の攻撃ではびくともしないのだが……まぁ、模擬戦用のプログラムがその辺りを認識出来るかどうかは微妙なところなので、ここで下手に攻撃に当たって命中判定は食らいたくない。

 バズーカの砲弾はビームマシンガンで撃破しつつ、前方の小隊との間合いを詰める。

 それを見た小隊の3機は、それぞれヒートホークを構えたまま、向こうから距離を詰めてくる。

 へぇ、機先を制するつもりか。

 その考えそのものは悪くはないが……少し、考えが甘い!

 機動性、運動性、共にミロンガ改の方がザクよりも圧倒的に上だ。

 そうである以上、ここは機先を制するよりも時間を稼ぎ、シーマ達が追いついてくるのを待って俺を包囲するという選択の方が正しかった筈だ。

 性格として攻撃を選択したかったのか、それとも単純にMSを相手にした戦いのノウハウがなかったのか。

 その理由はともあれ、こっちに向かってきた3機のザクが放ったヒートホークの一撃は、エナジーウィングを使って一瞬にして間合いを外された事によってあっさりと無に帰す。

 そのまま3機の間を通り抜けざまに、右手でビームサーベルを、左手でビームマシンガンを使い、3機を一瞬にして撃破。

 後ろに置き去ったシーマ達の様子を一瞬だけ確認するが、ザクとミロンガ改では速度そのものに差がありすぎる。

 俺がヒートホークを持った3機との戦いに時間を掛けていればまた違ったのか、3機はあっという間に撃破扱いとされてしまっている。

 となると、まずは奥の方にいるバズーカやマシンガンでこっちを牽制しようとしている方を先に片付けた方がいいな。

 一瞬でそう判断すると、一気に前に出る。

 すると、向こうでもこちらが近づいてくるというのは察知していたのか、より濃密に集弾してくるが……その程度の攻撃は、回避するのも難しい話ではない。

 弾や砲弾の間をエナジーウィングを使って縫うように移動しながら、当然こちらも回避一辺倒という訳ではない。

 向こうとの距離を縮めながら、ビームマシンガンを撃って……1機、2機、3機と連続して撃破する。

 元々、俺が接近戦と射撃戦のどちらが得意なのかを言われれば、能力値から考えて当然のように射撃戦だ。

 命中や技量の値も軒並み300オーバーということもあり、ビームマシンガンでもザクを――例え腕利きのパイロットが乗っていても――撃破するのは難しい話ではない。

 そうして、あっという間に残り2機。

 エナジーウィングを使い、その場で強引にひっくり返る。

 足を上に向けたその強引な機動は、それこそ普通のパイロットであればGによって一瞬にして意識を失っていてもおかしくないものだったが……混沌精霊の俺にとっては、Gなどというものは何の支障にもならない。

 そうしてひっくり返りながらもビームマシンガンを撃つという曲劇染みた真似をして……ちっ、出来ればここで3機全てを撃破したかったんだが、こっちを追ってきていたシーマ以外の2機は撃破したものの、シーマだけはこちらの攻撃で撃破は出来なかったか。

 もっとも、シーマも今の俺の機動……寧ろ曲芸とでも呼ぶべき行動には驚いたのか、コックピットの直撃は防げたものの、左腕が破壊された判定が模擬戦プログラムで出ている。

 

『とんでもないね』

 

 と、左手を失った――あくまでも模擬戦プログラム上だが――シーマのザクから通信が入る。

 

「どうしたんだ? 通信は模擬戦が終了するまで封鎖するんじゃなかったのか? まぁ、降参するなら、それはそれで構わないけど」

『まさか。降参なんてしないよ。あたしがここで降参したら、アクセルに一矢報いる事すら出来ないじゃないか』

「なら、何でまた通信を送ってきたんだ?」

『さっきの機動で無茶をしたんじゃないかと思ってね。……まぁ、平気みたいだけど』

 

 俺の心配をして通信を送ってきたのか。

 なるほど。何だかんだと、シーマは面倒見がいいんだな。

 だからこそ、荒くれ者揃いの海兵隊を統率する事が出来ているんだろうが。

 

「俺にとってはあの程度、特に問題のない程度の動きだよ」

『そうかい。……なら、遠慮はいらないね。Gで身体の調子が悪かったなんて負け惜しみは聞かずに……良さそうだ!』

 

 その言葉と共に、ヒートホークを右手に持ったザクが、真っ直ぐこちらに向かって突っ込んでくる。

 俺もまたミロンガ改を真っ直ぐに突っ込ませ……お互いがすれ違った瞬間、ヒートホークの一撃を回避しつつ、ビームサーベルでコックピットを薙ぎ払い……模擬戦は俺の勝利で終了するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:5
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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