転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2105話

 シーマ達と模擬戦をしたその日のうちに、一旦マハルに戻ったリリー・マルレーンはそこでセイラとラル隊の面々を降ろし、他のムサイ級やパプア級を含めた艦と合流し、名実ともにシーマ艦隊として出発する事となった。

 結局俺がシーマ艦隊と一緒に行動するのは、色々と繋ぎを取るべき相手が多いから、と、そういう事らしい。

 ついでに、ドズルの宇宙攻撃軍の方でも有能な……それでいてダイクン派に協力してくれるような者だったりする軍人を見つけて接触しておくという話もある。

 あるのだが……

 

「ちぃっ!」

 

 舌打ちしながらザクマシンガンの弾丸を回避しようとするが、機体の反応が鈍く、結局損傷する。

 それでも何とかヒートホークを手に距離を縮め、頭部バルカンで牽制しつつ間合いを詰めて相手の胴体を切断する事には成功したが……こちらの損傷も大きい。

 画面に出た戦闘終了の文字を見て、俺はシミュレータから降りる。

 現在俺がいるのは、リリー・マルレーンの格納庫にあるシミュレータ。

 

「かーっ! くそっ、マジかよ。あれで反応するなんて、嘘だろ!?」

 

 そう言って俺とは別のシミュレータから降りてきたのは、海兵隊所属のMSパイロット、ヴェルナー・ホルバイン少尉。

 MSパイロットという事もあり、当然ミロンガ改との間で行われた模擬戦にも参加していたパイロットだ。

 現在俺は、そのヴェルナーに付き合って貰って、ザクの操縦訓練をしていた。

 

「俺がいつも使ってる機体とは操縦系統とかが違うからな。かなり苦戦したよ」

 

 そう言いながら、俺は格納庫の中を見回し、シーマから貰った機体に視線を向ける。

 セイラがアルテイシアだと知り、自分達の故郷を作るのだと約束させ、それに協力しているシャドウミラーの代表たる俺の力を示した事により、シーマは……そしてシーマに絶対服従のシーマ艦隊は、完全にこちらに協力する事を決めた。

 勿論それだけではなく、ルナ・ジオンがきちんと建国したら、アサクラとかいうシーマの上官が催眠ガスだと偽って毒ガスを使わせた事を公表するようにといった風に要求もされたが、セイラやラルにしてみれば、それを受け入れるのは当然だった。

 特にラルは、自分がドズルからの命令を断ったせいでシーマにそのような事をさせてしまったと後悔していただけに、寧ろ喜んでそれを受け入れた。

 ともあれ、そんな訳でシーマ艦隊はそっくりそのまま俺達の味方になったのだが……ただ、コッセルから聞かされた情報によると、シーマ艦隊はあくまでもシーマに従ってるらしい。

 セイラやラルから命令されたから言う事を聞くのではなく、その2人に命令をされたシーマが命令したから、他の海兵隊も言う事を聞くらしい。

 ……まぁ、それだけシーマ艦隊は内部での結束が強いって事だが、これが後々面倒な事にならないといいんだけどな。

 ともあれ、シーマが協力してくれることになった訳で、俺は当初からの予定通り――ラルの、だが――地球降下作戦の援護をする為に地球に向かう事になった。

 だが、当然の話だが、この作戦でミロンガ改を使う訳にもいかない。

 機動突撃軍や宇宙攻撃軍の面々と接触するのが目的なのだから、別にわざわざMSパイロットをする必要はないのだが。

 ただ、シーマに言わせれば折角腕の立つパイロットがいる以上、戦いに参加して欲しいと要求され、その報酬として用意されたのが現在俺の視線の先にあるMS-06FS、通称ザクⅡFS型な訳だ。

 ちなみにシーマが乗っていた機体は、MS-06S、通称ザクⅡS型。

 エースや指揮官といった者が乗る機体で、通常のF型の30%増しの推力を持っているらしい。……とはいえ、核融合炉で動いているMSはテスラ・ドライブのように推進剤が不要な訳ではない。

 結果として高い機動性を持つS型だが、推進剤の増加は行われておらず、F型と同じ感覚で操縦していると通常よりも早く推進剤切れを起こす。

 ……だからこそ、指揮官やエース用の機体なんだろうが。

 それ以外にも見て分かる通り、ランドセルのスラスターや姿勢制御用に各部に存在するスラスターも大型化されている。

 つまり、それによって推進剤の消費量も大きくなる訳だ。

 そんなS型とは違い、俺が今回の依頼の報酬という形で貰ったFS型は、F型の中でも出来のいい機体を厳選して改修した代物だ。

 感覚的には、F型以上、S型未満ってところか。

 もっとも、割合としてはF型の方が近いんだろうが。

 外見上の特徴として目立つのは、やはり頭部にあるブレードアンテナと合計4門のバルカンだろう。

 F型でも小隊長機ならブレードアンテナを持っている機体は多いので、ブレードアンテナそのものはそこまで珍しい代物ではない。

 頭部バルカンは俺にとってはお馴染みのレイアウトで、非常に使いやすいんだが……4門というのが影響しているのか、10秒程度連射すると弾切れになってしまうらしい。

 いや、10秒って……ないよりは助かるけど、それでも出来れば30秒程度は欲しいと思うのは俺が欲張りすぎているのか? ……本当に、ないよりはマシなんだけどな。

 それ以外にも機動性とか運動性も改修されているので、通常のF型よりも若干は上となっている。

 S型程ではないにしろ、FS型だって結構貴重な機体らしいんだが……シーマに言わせれば、蛇の道は蛇という事らしい。

 普通に考えれば、どこぞからの横流し品といったところか。

 もっとも、シーマ艦隊は表向きには出来ないものの、これまでの戦争で高い戦果を挙げている。

 それを考えれば、この機体を手に入れるのは俺が思っているよりも難しくなかったのかもしれないな。

 

「どうする? もう1回シミュレータやるか?」

 

 FS型を見ている俺に、ヴェルナーはそう声を掛けてくる。

 爺さんが漁師をやってた云々というのを話題にする事が多い奴だが、それを抜きにすれば付き合いの良い奴なのは間違いない。

 シーマ艦隊の旗艦リリー・マルレーンでMSパイロットやってるのを見れば、操縦技術も海兵隊の中では高い方なんだろうし。

 

「あー……そうだな。もう少し慣れておきたいから頼む」

 

 ザクのOSは当然ながらまだまだ未成熟で、シャドウミラーが使っている機体には遠く及ばない。

 それでもSEED世界のジンよりは完成度が高いんだから、コーディネイターって何? って感じがしないでもない。

 シャドウミラーにいれば、それこそコーディネイターよりも優れた能力を持ってる奴なんて、そこら中に溢れているが。

 ある意味自然の状態でコーディネイターに勝っているスペースノイドは、ジオン・ズム・ダイクンが言った通りニュータイプに覚醒し始めている……のかもしれないな。

 あくまでも俺がそう思っているだけで、何の証拠もないのだが。

 

「いざとなったら、アクセルは戦場に出たりしないって事も出来るんじゃないか?」

「……いきなり何を言ってるんだ? 戦場に出て来た以上、当然俺は本気でやらせて貰うぞ。ムウ・ラ・フラガ少尉としてな」

 

 そう、今の俺はアクセル・アルマーではなく、マハル出身のスペースノイド、ムウ・ラ・フラガ。

 いやまぁ、ルナ・ジオンの件が大々的になって、シャドウミラーの件が広まれば、当然のようにその代表のアクセル・アルマーという名前は広く知られるようになる。

 そんな名前のパイロットが、ジオンを裏切ってルナ・ジオンにつくシーマ艦隊にいると知られれば、色々と不味い事になる。

 そんな訳で、今の俺はムウ・ラ・フラガな訳だ。

 幸いって言い方はどうかと思うが、マハルには住民登録をしていない住民も大量にいるので、ムウ・ラ・フラガ少尉という人物をでっち上げるのは、そう難しい話ではなかった。

 基本的にマハル出身者だけで構成されているシーマ艦隊だけに、シーマのマハルにおける影響力は非常に強いというのも、この点には大きく影響している。

 ……それにルナ・ジオンの本拠地が月で、エンデュミオンの鷹の異名を持つムウの名前ってのは、丁度良いし。

 この件が終わったらいずれシーマとかを連れてホワイトスターに行く予定だから、その時にはムウも自分の異名が広まった事を喜んでくれるだろう。

 

「はいはい、ムウ・ラ・フラガね」

 

 ヴェルナーが呆れた表情でこっちを見ているが、取りあえずそれは受け流して再びシミュレータに乗り込み……その後、ヴェルナーが体力切れでギブアップし、他のMSパイロット数人も同じように相手にして、ギブアップするまで俺はシミュレータを繰り返す事になる。

 ……いや、ヴェルナーとシミュレータをやっている時点で、ザクの操縦にも大分慣れてきたんだけどな。

 ただ、地球の近くで戦いが起きた時、俺は単独行動をする事になっている。

 リリー・マルレーンに搭載出来るMSの数は、通常12機。

 だが、俺のザクⅡFS型は、13機目のMSとして搭載されている。

 そしてMSというのは3機1小隊という扱いになっている。

 つまり、13機目の俺の機体は小隊外の機体な訳だ。

 いやまぁ、ミロンガ改ならともかく、今回俺が乗る機体はザクだ。

 あまりに操縦が出来なかったら、リリー・マルレーンの直衛に回すとシーマも言ってたが……この調子なら、その辺は心配しなくてもいいだろう。

 俺の機体を無理矢理乗せたおかげで、格納庫では色々と無理矢理な状態になってるんだが、取りあえずこれは今回だけの予定なので整備員の面々には頑張って貰いたい。

 ムサイ級の大気圏落下カプセルのコムサイには、MSを搭載出来るらしいが……ザンジバル級はムサイ級と違って直接大気圏に突入出来るので、そんな物は必要ないしな。

 ……で、そんなこんなで数日が経ち、やがて突撃機動軍に所属している他の艦隊と合流していく。

 シーマ艦隊はマハルから出発したから別行動だったが、他の部隊はグラナダから出発した連中が多い。

 全部が全部って訳じゃないんだろうが。

 

「いいかい、これから今回の件の打ち合わせでザンジバル級に各艦の艦長達が集まる事になっているけど、それにはアクセルを……いや、ムウも連れていく。そこでこっちを馬鹿にするような奴がいたら……」

「我慢しておけばいいんだろ?」

 

 リリー・マルレーンのブリッジに呼び出された俺は、シーマの言葉を先取りするようにして、そう返す。

 だが……そんな俺にシーマが向けてきたのは、笑みと共に手に持っていた扇子の先端を向けてくるという行為だった。

 虎の敷物とかを使っているだけに、雰囲気は抜群なんだが……正直、これをどこで入手したのかが聞きたい。

 そして、よくこんなのをブリッジに配置するようにしたということに呆れもしたい。

 

「違うよ。やりすぎはよくないけど、多少は手を出してやんな。……あたし達は、お行儀の良い坊ちゃん、嬢ちゃんじゃない。荒くれ上等の海兵隊なんだからね。それに、あたし達がジオン軍に所属しているのも、そう長い間じゃない。なら、遠慮する事はないさね」

「……いいのか?」

 

 てっきり、決して手を出すなと言われるのかと思っていたのだが。

 まさか、やりすぎには注意しろと言われつつも、手を出す事を推奨されるとは思わなかった。

 シーマが言った通り、近い内にジオン軍から抜けるからというのもあるのだろうが……いや、寧ろブリッジにいる他の面々の様子を見る限り、シーマ艦隊ではそれが普通なのか。

 シーマ艦隊は基本的にマハルにいる荒くれ者共を集めた海兵隊だ。

 そうである以上、当然ながら荒っぽい事については慣れているといったところか。

 

「ああ、気にする必要はない。……普通ならそんな真似をすれば、より厳しい戦場に向かわせられるんだけど、あたし達の場合は今更だしね」

 

 そう言いながら笑みを浮かべるシーマは、最初に会った時の鬱々とした印象はない。

 寧ろ、これから相手を陥れてやろうというような、悪女らしい笑みを浮かべていた。

 まさに、これぞシーマ・ガラハウといった感じの笑み。

 

「シーマがそう言うのなら構わないけどな。どうせムウ・ラ・フラガ少尉ってのは臨時なんだし」

 

 ホワイトスターに戻ってこの件を話せば、ムウは面白くないと思うがもしれないが、それは今更の話だろう。

 

「それで、今回の一件で誰に会うのかはもう分かってるね?」

「ああ。ゲラート・シュマイザー少佐だろ。これが今回のメインとなってるし、ラルからの映像データも預かっている。他には有名どころとして黒い三連星がいるようなら、同じく映像データを渡して欲しいと言われているな」

 

 ゲラートという人物は、ラルの親友らしい。

 黒い三連星の方は、ラルとはMSの教導隊……いや、それ以前からの古い付き合いらしい。

 ルウム戦役で連邦軍の総大将たるレビルの旗艦アナンケを撃破し、脱出したレビルを捕らえたという事もあり、腕は間違いない。

 それでいながら、性格はエリート軍人というよりもシーマ艦隊の面々の方に近いって話だったが……さて、どうなる事やら。

 そんな風に思いながら、俺はシーマや他数名の海兵隊と共に今回の作戦の指揮を執る旗艦に向かうのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:5
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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