転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2114話

 俺が見たズム・シティは、相変わらずと言うべきか……いや、地球降下作戦によって北米で戦いが行われているからか、もしくはルナツーから派遣されてきた艦隊に勝利したからか……ともあれ、皆がお祭り騒ぎだった。

 何だか俺が見て回っている時は、いつもお祭り騒ぎをしているように思えるんだが……気のせいか?

 ジオン軍が連戦連勝なのは間違いないと考えれば、これはおかしな話ではない。

 その勝利でもジオン軍の戦力は減っており、相対的に見ればジリジリと不利になっているという事は、情報統制によって隠されているのだが。

 にしても、連邦軍との戦いで勝ってからまだ数時間なのに、よくもまぁ、これだけ早く情報が伝わっているものだ。

 そう、俺がエンデュミオンの鷹として鮮烈なデビューを飾ってから、まだ数時間しか経っていない。

 そんな俺が何故こうしてズム・シティにいるのかは……言うまでもなく、いつものように生身で抜け出し、ASRSを使ったミロンガ改で退避し、ファブニールのシステムXNで……という流れでだ。

 だから、現在もリリー・マルレーンはサイド3に向かって航行中の筈だった。

 地球上空に行く時は、それこそ突撃機動軍の他の戦力と合流して移動する必要があったので、俺という存在を見せつける必要もあった。

 だが、その戦いで俺が活躍しすぎた結果、シーマの上官たるアサクラに不都合だったらしく、俺達はそれ以上功績を稼げないようにサイド3に戻るように命じられた。

 それも他の艦隊と一緒ではなく、シーマ艦隊だけでだ。

 そうである以上、わざわざ何日も掛けてサイド3まで戻ってくるのも面倒なので、こうしてシステムXNで戻ってきた訳だ。

 ともあれ、皆が喜び、浮かれ騒いでいる為に、俺を気にするような奴はいない。

 そんな者達の間を潜り抜けるようにして、俺達の拠点たるエデンに向かうと……

 

「おう、アクセル」

 

 いつものようにエデンの前で見張りをしていたコズンが、俺に気が付いて声を掛けてくる。

 

「ラルは中か?」

「ああ、他にも何人かいるけど、例の件の協力者だから問題ない。それより、北米の降下作戦が成功したんだってな」

「成功……まぁ、降下は成功したけど、実際に北米を手中に収めることが出来るかどうかは、正直微妙なところだ。連邦だってその辺は警戒してるだろうし」

 

 連邦軍の本部があるのは、南米のジャブロー。

 今回の作戦で降下した北米をジオン軍が占拠出来れば、連邦軍の喉にナイフの切っ先を突きつけた形になる。

 ただ、ジャブローは地下にある洞窟を使った基地らしいので、例え北米を占拠されてもそうそう致命傷にはならないと思うが……それでも連邦軍にとっては面白くないだろう。

 ともあれ、コズンと軽く言葉を交わした俺はエデンの中に入っていき……

 

「え?」

 

 そこにいた人物を見て、思わず驚きの声を発する。

 エデンの中には、ラルを始めとしてハモンやクランプ、それ以外のラル隊の面々の姿があった。これはいい。

 セイラの近くには、20代程の美人と評してもいい2人がいる。

 この2人は初めて見る顔で、若干年が離れているように見えるが、よく似た顔立ちをしている事から、恐らく姉妹だと思われる。

 年上の方がボリュームのある金髪で、眼鏡をしているがそれでも目つきの鋭さを隠しきれておらず……目力があると言うのか? そんな女。

 年下の方は顔立ちそのものは年上の方とよく似ているのだが、若干垂れ目気味な為か、どこかほんわかとした印象を受ける。……あくまでも見た目の印象だが。

 そして、もう1人。

 赤茶色の髪をした、母性を感じさせる女。

 俺が驚きの声を上げたのは、その最後の女に見覚えがあった為だ。

 

「千鶴、お前一体どうしてここに? というか、よく来られたな」

 

 そう、そこにいて俺を見ながら嬉しそうな笑みを浮かべているその女は、那波千鶴。

 ネギま世界で得た俺の恋人の1人であると同時に、政治班の1人。

 見た目はおっとり系なのだが、実際に交渉をする時には何気に強気の交渉をする人物。

 ……こうして考えてみると、シャドウミラーの政治班に守備的な交渉をする人物っていないな。

 いや、エザリアとかはやろうと思えば出来るだろうが。

 

「ふふっ、シーマ艦隊の方に手を回して貰ったのよ」

「……シーマ艦隊? 俺がさっきまで一緒に行動してたけど?」

「あら、別に月からサイド3までやってくるだけなんだから、そこには本格的な軍艦は必要ないでしょ? それこそ、輸送艦とかそういうので十分だし」

 

 なるほど。

 千鶴がここにいる理由は分かったが、それでもある程度危ない橋を渡ったのは間違いない。

 月……正確にはグラナダは、キシリア率いる突撃機動軍の本拠地なのだ。

 ゲートを設置した場所からはかなりの距離があるとはいえ、見つかる危険というのは十分以上にある。

 

「それに……私だけじゃないわよ?」

 

 満面の笑みを浮かべている千鶴の様子を見ると、何だか微妙に嫌な予感があるような、ないような……

 

「他に誰が来てる?」

「凛。ただ、今はちょっと交渉で出ているから、ここにはいないわ」

 

 そんな千鶴の言葉に、周囲を見回す。

 言われてみれば、ラル隊の面々の数が何人か少ない。

 ラルに頼まれて何らかの用事で出掛けてるのかとばかり思ってたんだが、凛との用事で出掛けていたのか。

 

「何の交渉で出掛けているのか……ってのは、聞いてもいいのか?」

「カーウィン家との交渉よ」

 

 カーウィン家と言われ、どこかで聞いた覚えのある家の名前だと最初は分からなかったが、ラルの顔を見て思い出す。

 そう言えば、以前ラルがダイクン派としてカーウィン家の名前を上げてたな。

 

「ラルが行かなくても大丈夫なのか?」

「それは問題ない。何度か儂も一緒に顔を出してるからな。今回はお互いに確認すべき事があるから、その為の交渉だ」

「それは交渉って言えるのか? いや、千鶴がこうして平気な顔をしているのを見れば、恐らく問題はないんだろうが」

 

 ラルと千鶴。普通ならどっちを信じるのかと言われれば、大抵はラルの方を信じるだろう。

 だが、俺の場合はラルよりも千鶴との付き合いが長いし、何より千鶴は俺にとって愛すべき女だ。

 その交渉の実力もエザリアが保証するだけのものになっている以上、信じるなという方が無理だった。

 

「取りあえず、千鶴と凛の2人はルナ・ジオン建国の為にシャドウミラーの政治班としてやってきた……そういう認識でいいな?」

「ええ、それで問題ないわ。ちなみに、後からまだ何人かやってくる予定になってるわよ」

「……誰が来るのか、楽しみにしておくよ。それでそっちは?」

 

 取りあえず千鶴との話が終わり、次に俺が視線を向けたのはセイラの側にいた2人の姉妹だろう女達。

 

「彼女達はキャメロン家の2人よ」

 

 千鶴の言葉にキャメロン家という名前を思い出そうとするが、こちらはカーウィン家とは違って聞き覚えがない。

 そんな俺の様子を見ていた女の内の片方がセイラの側から1歩前に出る。

 

「私はルルー・ベル・キャメロン大尉。……もっとも、この大尉という肩書きもそのうち意味がなくなりそうではあるがな。こちらは……」

「妹のメリル・キャメロンです。よろしく」

「ああ、俺はアクセル・アルマーだ。ここにいるって事は、もう大体の事情を知ってると思っていいんだな?」

「……うむ。異世界というのは、最初に聞いた時は何の詐欺かと思ったのだが、千鶴や凛の魔法を間近で見てしまうとな。それに、近いうちにホワイトスターだったか。そこに連れていって貰えるとも聞いている」

 

 ルルーがそう言ってくる様子は、大尉という階級だけあってか、微妙に偉そうだ。

 いや、これは階級云々の話ではなく、純粋に性格の問題か?

 

「その年齢で大尉となれば、優秀な人物ではあるんだろうから、よろしく頼む。そっちのメリルだったか。お前もな」

「あ、はい」

 

 俺の言葉にそう返事をするメリルだったが、その態度には微妙に戸惑ったものがある。

 あー……いやまぁ、今の俺は10代半ばの年齢だからな。

 それを考えれば、そこまでそういう風になっても仕方がないか。

 

「俺がシーマ艦隊と行動を共にしている間に、随分と活発に動いていたみたいだな」

「ふんっ、当然だろう。姫様の為であれば、このラル、手間を惜しむような真似はせん」

 

 俺の言葉にラルは少しだけ自慢げに笑みを浮かべる。

 

「特にこのキャメロン姉妹は階級を見ても分かるように、相当に優秀だ。それも、軍人ではなく文官としてな。ルナ・ジオンが建国された暁には、政治家として腕を振るう事になるだろう」

 

 絶賛するラルの言葉に、キャメロン姉妹は照れたのか薄らと頬を赤くする。

 ……妹の方はともかく、気の強そうな姉の方が照れて顔を赤くしているのは、何気に破壊力が高いな。

 実際、ラル隊の面々もそんなルルーの様子に目を奪われている者が多い。

 

「こほん。そう言えばアクセル君。長ネギ……」

「あ、そう言えば他の重鎮の方はどうしたんだ? ダグラス・ローデンとアンリ・シュレッサーだったか」

 

 何だか千鶴が不吉な事を言おうとしたのを念動力で察した俺は、無理矢理会話を進める事にする。

 

「そちらはまだだ。ダイクン派だというのは分かっているのだが、接点がな。ただ、ダグラス大佐には近いうちに連絡が取れそうだ。それで、そっちはどうだったのだ?」

 

 ラルも千鶴がただ者ではないというのは分かっているのか、俺の言葉にあっさりと乗ってきた。

 

「取りあえず、黒い三連星は今回の作戦に参加していなかったから会えなかったけど、ゲラートには会えたからラルから預かった映像ディスクを渡してきたぞ。それと宇宙攻撃軍にいた、アナベル・ガトーって腕利きのパイロットと接触して、完全に引き込めた……って訳じゃないが、かなりこっち側に引き寄せる事が出来たと思う」

「アナベル・ガトー……少し聞いた事があるな。腕利きのパイロットとして有名だった人物だ」

 

 俺の言葉に、ラルがそう呟く。

 

「だろうな。実際FS型を使っている俺に、ノーマルのザクで追いついてきたし。……もっとも、パーソナルカラーだったのを考えると、機体も相応にカスタマイズされていてもおかしくはなかったが」

 

 というか、確実にカスタマイズされている筈だ。

 

「それにシーマ艦隊が受けた仕打ちの事について不満を抱いていたのを考えると、ジオン軍に対して疑念を抱いていたようだからな。……まぁ、ジオン軍がスペースノイドの為として行ったコロニー落としは正しいのかとか、色々と言ったのが理由だけど」

 

 そう告げると、ラルやそれ以外にもジオン軍の面々が色々と思う所があるような表情を浮かべる。

 特にラルは、自分が断ったせいでシーマ艦隊に汚れ仕事をさせる事になったという負い目があるので、思う所が大きいのだろう。

 実際に初めてシーマ達と会った時にも、その辺が理由で揉めていたし。

 だが、リリー・マルレーンに乗ってシーマ艦隊と行動を共にした経験から考えると、シーマやその部下達は、そこまでラル達を憎んでいる様子はない。

 勿論コロニーに毒ガスを使った事に対して何の思いも抱いていない訳ではないが、より直接的に自分を騙したアサクラの方に強い苛立ちを覚えている。

 もっともルナ・ジオンの件を知ったからか、今はそのアサクラに対しても、苛立ちはしているが冷笑的な雰囲気の方が強いが。

 今回の作戦の件で、サラミス級やマゼラン級、コロンブス級を宇宙攻撃軍に譲ったと俺に説明した時も、苛立ちはあったが嘲笑の方が強かったし。

 ともあれ、若干微妙な雰囲気になった空気を変えようと、俺は改めて千鶴に視線を向ける。

 

「それで、千鶴は凛のフォローって事で来たのか? 今のジオンで凛とか千鶴がいれば、色々と危ない……いや、面倒だろうに」

 

 連戦連勝で沸きに沸いているサイド3において、当然ながら羽目を外す者も出てくる。

 そして凛や千鶴は、誰がどう見ても間違いなく美女と呼ぶに相応しい容姿をしている以上、妙な考えを持って近づいてくる奴も多いだろう。

 特に今のズム・シティは、勝利に浮かれている者が多いので、羽目を外すような馬鹿な奴が出て来ないとも限らない。

 とはいえ、凛も千鶴もシャドウミラーで鍛えられている。

 MSの操縦は出来ないが、生身での戦いとなれば、それこそ軍隊が出て来ても対処は出来るだろう。

 だが、それはあくまでも実際の実力であって、2人の見掛けから判断する事は出来ないのだ。

 

「そうね。だからラル大尉の部下に、一緒に行動して貰っているのよ。それに……この世界では魔力の消費が他の世界よりも多いから、魔法もあまり頻繁に、そして大規模には使えないしね。……アクセル君みたいに、魔力が人外なレベルなら話は別だけど」

 

 キャメロン姉妹が、そんな千鶴の言葉に驚きの表情を浮かべて俺の方を見てくる。

 今の俺の状況を考えると、それはしょうがないんだろうが。

 

「で? 千鶴は結局凛のフォローの為に来たのか?」

 

 改めて尋ねるが、千鶴はそれに首を横に振る。

 

「いえ、私が来たのはMIPとの接触の為よ」




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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