転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2130話

 ケン達をホワイトスターに運んできたその日の夜、俺はケン達に関しての様々な手続きを終えた後、ホワイトスターにある自宅でレモン達を含む恋人達やルリとラピスといった子供達と食事をしていた。

 とはいえ、その食事の最中も愉快な話ばかりをしている訳ではない。

 

「アサクラという男……許せんな」

 

 シーマ艦隊が置かれている現状に、コーネリアは不機嫌そうにしながらハヤシライスを食べる。

 尚、牛バラ肉とトマトがたっぷりと入ったハヤシライスで、ルーの上には半熟のオムレツがトッピングされている。

 見るからに食欲を刺激するハヤシライスだったが、マリューが作ってくれただけに、匂いだけではなく味も当然のように絶品となっている。

 そんな美味いハヤシライスも、シーマ艦隊の事情を改めて説明すれば面白くないと思うのも当然だろう。

 

「まぁ、アサクラに関しては今日連れて来たケン達外人部隊と同様に、ルナ・ジオンの建国宣言の時にしっかりとその辺を報告させて貰うさ。……シェリル、以前やって貰ったセイラの演技指導の方、後で通信でもいいから頼めるか?」

「任せなさい。どこに出しても恥ずかしくないアイドルにしてみせるわ」

「……いや、一応言っておくけど、アイドルじゃなくて王女……いや、女王か? 取りあえずそっちだからな?」

 

 ルナ・ジオンの建国宣言で『私の歌を聴けぇっ!』とかやられたら、ちょっと……

 そうなったらそうなったで、新しいファンを集められそうではあるけど。

 シャア辺りが突撃してきたりしそうな気が、しないでもない。

 

「分かってるわよ。アイドルってのは芸能的な意味のアイドルじゃなくて、偶像的な意味でのアイドルよ。それならいいんでしょ?」

 

 シェリルのその言葉に、頷きを返す。

 シェリルが変に悪のりしなければ、こちらとしては特に突っ込む事はない。

 いや、寧ろありがたいとすら思ってしまう。

 自分という存在を魅力的に見せるという事に掛けて、シェリルは超一流の存在なのだから。

 それはシェリルが歌を出している世界では常に世界的な成功を収めている事が証明している。

 

「取りあえずケン達の問題もあって、ルナ・ジオンの建国は早まる事になりそうだが……こっちの戦力はどうなっている?」

 

 今更……本当に今更の話だが、全員の機体に対し、一気に新型のPS装甲やその他諸々のシステム更新、新型になっている部品の採用といった改修を行うというのは、ちょっと無謀だったか?

 とはいえ、あの時はまだUC世界に行くなんて思いもしなかったし、何よりもUC世界で新国家の建国なんて事になるとは思ってもいなかった。

 

「そう、ね。何だかんだと結構頑張ってる人も多いし、W世界のMSの改修作業を考えると……後10……いえ、15日くらいは必要かしら。ただし、スレイの為に新たに開発しようとしていたヴァイクルの改修機はまだ全然手を付けてないから、スレイはシャドウでの出撃になるわよ。五飛のMSもね」

「……半月か」

 

 今日が3月20日だから、4月上旬。……それくらいなら、何とかなるか?

 スレイのヴァイクルに関しては、一応元の設計データがある程度あるとはいえ、ET-LINKシステムの方もまだ開発は終わってないらしいし、シャドウで我慢して貰うとしよう。

 もっとも、幹部陣が使っているシャドウは、基本的にカスタム化されている機体が多いのだが。

 元々のシャドウがカスタム系の機体並の性能を持っているのに、それを更にカスタム化するのは……いや、これは考えてもしょうがないか。

 五飛のMSについては、今の状況でもザクよりは遙かに高い性能を持っているので、取りあえず今は問題ないだろう。

 

「ニーズヘッグの方は?」

「ニーズヘッグは……」

 

 そう言ったレモンが、微かにその美しく整った眉を顰める。

 レモンがこうまで態度に示すという事は、上手くいってないのか?

 

「何か問題でもあるのか?」

「ええ。新しく尻尾を作ったでしょ? あの部分が、どうにも上手く繋がらないのよ」

 

 この場合の繋がらないというのは、文字通りの意味で設計ミス……という訳ではなく、T-LINKシステムとかのシステム的な問題だろう。

 

「新型のT-LINKフレームの方はどうなんだ? ニーズヘッグの装甲とか内部構造を丸ごと新型のに変えたんだろ?」

 

 ニーズヘッグの尾も、新型のT-LINKフレームを使って作られている。

 だが、レモンのその声から考えると、機体の本体の方は特に問題なく起動しているが、尻尾だけが上手く繋がらないと言ってるように思えた。

 そして、事実レモンは俺の言葉に頷きを返す。

 

「そうね。アクセルの言う通りで間違いないわ。これは恐らく……」

 

 レモンはマリューに視線を向け、その続きを話すように促す。

 マリューはオニオンスープを飲んでいた手を止め、口を開く。

 

「恐らくだけど、アクセルがFate世界に行った時に宝具化した影響が出てるんだと思うわ」

「……宝具化?」

 

 自分が人間から半サーヴァントになった時の事を思い出したのか、綾子がマリューに視線を向ける。

 まぁ、あの聖杯戦争で綾子の運命はこれでもかってくらい変わってしまったのは間違いないしな。

 

「ええ。宝具……というか、ニーズヘッグが魔力属性とでも呼ぶべきものを得てしまったでしょう? けど、その魔力属性を得たのは、あくまでも現在のニーズヘッグという形の物なのよ。だからこそ、ニーズヘッグの本体は新型のT-LINKフレームに変更しても、しっかりとそれを認識する。けど……宝具になった時のニーズヘッグには、当然のように尻尾はなかったでしょう? だからこそ、今のニーズヘッグはその尻尾の部分を自分の一部として認識出来ない。……とはいえ、あくまでも予想でしかないけど」

 

 なるほど。

 ニーズヘッグが魔力属性を得たというのは、宝具という存在になったおかげで、半ば本能的に理解している。

 おかげでニーズヘッグの場合は普通のビームとかであっても、魔力が含まれており、それこそ悪霊とかそういう実体のない存在であっても普通にダメージを与える事が出来る。

 だが、今回に限っては、その魔力属性が尻尾の接続に足を引っ張っている訳か。

 

「解決策は? 言うまでもないが、尻尾を付けないという選択肢は存在しないぞ」

「当然でしょ。技術班の総力を結集して作った代物なんだから、それを使わないという選択肢はないわよ。……だから、安心しなさい」

 

 レモンが優しげに、自分を見ているルリとラピスの2人に告げる。

 ニーズヘッグの尻尾に関しては、ルリやラピス達も開発に協力している。

 その先端に内蔵されているウルドの糸というシステムがそれだ。

 他にも電撃やヒートロッド、輻射波動、念動力の剣――T-LINKソード――といった具合に、様々な機能が詰め込まれている。

 クロノスやヒュドラを含め、シャドウミラーが得意としている複合機能の装備だ。

 それだけに高性能なのは確実で、折角作ったルリやラピスを悲しませたくないという思いもある。

 

「けど、ニーズヘッグの方でそれを拒否してるとなると……どうするんだ?」

「そうね。取りあえず、アクセルには明日ちょっと協力して貰うわ。アクセルを実際にニーズヘッグに乗せれば、何かあるかもしれないし」

 

 レモンのその言葉に、俺は頷く。

 元々俺の機体という事もあって、今回の一件では手を貸そうと思っていたのだ。

 寧ろ、技術班の方から要望してきてくれて助かったとすら言える。

 

「分かった。ただ、あまり時間は取れないぞ。明日にはサイド3に戻らないといけないし」

 

 今回の一件で、色々な予定が前倒しになるのは確実だ。

 そうである以上、こちらとしてもあまりホワイトスターでゆっくりはしていられない。

 もっとも、ニーズヘッグがある魔法球の中は、外の1時間が24時間だ。

 そういう意味では、こういう時にかなり便利なのは間違いない。

 

「ええ、お願い。それでも駄目なら……そうね。宝具という事だし、凛をこっちに呼び戻そうかしら」

「あー……出来れば、それは止めて欲しい」

「あら、何で? カーウィン家だったわよね? そことの交渉は無事に結ばれたんでしょ? なら、問題ないんじゃない?」

「いや、寧ろ今の方が重要だ。……俺達の本拠地のエデンを見張っている連中の記憶を弄ったり認識を狂わせたりといった真似をしてるからな」

 

 元々、凛は魔術という点では天才だ。その凛が魔法――この場合はFate世界の魔法ではなく、ネギま世界の魔法――を習得し、それ以外にも色々な技術を手に入れた。

 そんな凛にとって、UC世界の諜報員は……それこそキシリア機関の人間であっても、容易にどうにかする事が出来る。

 こと情報操作に限っては、現在のセイラ達にとって凛という存在はなくてはならない存在だった。

 もっとも、それは相手が人間だった場合に限った話で、機械の類が関わってくると凛はまともな結果を出せなくなるが。

 それに、忘れてはならない凛のうっかり。

 ……そういう意味でも、しっかり者の千鶴と一緒に組んで行動するというのは最善の選択肢だったのだろう。

 その辺りの説明をすると、レモンとマリューはうーん……といった感じで視線を交わす。

 この2人にとって、宝具化したニーズヘッグを弄るという点では、凛の意見を聞いてみたかったのだろう。

 もっとも、意見を聞くだけであれば通信はどこからでも可能なので、直接見て貰うというつもりだったのかもしれないが。

 とはいえ、凛にニーズヘッグを見せた場合……宝具化されたという点では凛に分かりやすいかもしれないが、ニーズヘッグは機械でもあるのだ。

 下手に凛が触ると、嫌な予感しかしない。

 

「取りあえず、俺がやってみる。宝具とかの研究に関しては、エヴァもやってただろ? そっちにも声を掛けたらどうだ?」

「エヴァは、現在ペルソナ世界の京都で旅行を楽しんでるわよ」

「あー、なるほど」

 

 Fate世界の魔術やら宝具は、エヴァが興味を持つのに十分な代物だ。

 特に宝具は、俺が金ぴかから奪った物が大量にある。

 ……まぁ、あれは正式には宝具と呼べないのかもしれないが、それでも本質的には同じ物だ。

 それだけに、エヴァなら色々と調べたのは間違いない。

 そこからFate世界の魔術とかについても調べ……レモンの研究成果と合わさって、現在量産型Wにガンドを撃てるようにと色々試行錯誤しているのだろう。

 もっとも、現在はニーズヘッグの件でそれどころではないようだが。

 ともあれ、魔術や宝具に興味を持っているエヴァだったが、そのエヴァも現在はいない。

 レモンの話から、ペルソナ世界の京都にいるのは間違いないだろう。

 とはいえ、正直なところを言わせて貰えば……ペルソナ世界の京都とネギま世界の京都、もしくはそれ以外の世界の京都で違う場所があるのかどうかは微妙だったが。

 いや、歩んできた歴史が微妙に違うのだから、細かい場所が違うのは間違いないだろう。

 だが、その細かいところを見て面白いのかと言われれば……少なくても、俺は面白いとは思わない。

 

「となると、やっぱり俺がやるしかないな」

「そうね。他の機体の件もあるけど、可能な限り人は集めるわ。……というか、集めなくても勝手に集まるでしょうね」

 

 レモンの言葉に、マリューは頷きを返す。

 技術班に所属している者の性格を考えれば、俺もレモンの言葉には納得せざるを得ない。

 色々と新技術の詰まったニーズヘッグの尻尾は、技術班にとっても興味津々の代物なのは間違いないのだから。

 

「そうか。なら、その辺は明日だな」

「ええ。……ただ、一応言っておくけど、もし尻尾がきちんと接続出来たとしても、すぐに持っていく訳にはいかないわ。他にも色々と修正する必要があるし」

「それくらいは分かってる」

 

 尻尾を増設しただけ……という風にいかないのは、俺にも十分に理解出来ていた。

 そもそもの話、ニーズヘッグはPTを始めとした人型機動兵器として考えても、かなり小型の部類だ。

 KMFよりは大きいが、それは比べる対象が間違っている。

 ともあれ、そんなニーズヘッグだけに、機体のバランスはかなり慎重にとる必要がある。

 小型で、しかもグラビコン・システムの為に機体重量が1tを切っているのだ。

 それだけに、きちんとその辺りの事をしっかりとしないと、色々な意味で不味くなる。

 

「アクセル」

 

 ラピスが俺に視線を向け、短く名前を呼ぶ。

 そちらに視線を向けると、ラピスは無表情ながらも少しだけ嬉しそうな雰囲気を発しながら、視線を返してくる。

 そんなラピスを見れば、何を言いたいのかは大体理解出来る。

 

「安心しろ。お前やルリが一生懸命に作ったパーツだ。しっかりと使うからな」

「……ありがとうございます」

 

 ラピスに続き、ルリまでもがそう俺に感謝の言葉を述べてくる。

 この2人にしてみれば、大掛かりな仕事であった以上……それが使われないかもしれないというのは、心配だったのだろう。

 

「お前達が……そして他にも何人もの力で作られた尻尾は、きちんと俺が使うから安心しろ」

 

 そう、告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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