転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2133話

 外人部隊の人質が解放され、本人達も行方不明になってから数日……今のところ、特に動きはない。

 勿論裏では色々と動いているのだろうし、エデンを見張っている者の数も増えている。

 だが……凛と千鶴、円、美砂といった面々がいる以上、見張りが幾ら増えても全員が俺達にとって都合の良い情報だけが向こうに流れる事になる。

 そんな中、俺達はエデンを拠点にしながら、色々と動き回っている。

 そうして用事のない連中は、エデンに集まっては話をしたり、宴会をしたり、ルナ・ジオンについて話をしたり……といった具合だった。

 MIP社との渡りも付ける事が出来たし、当初目的としていた面々とは殆ど接触を完了して味方に引き入れている。

 残るはアンリだけなんだが、そちらは残念ながらまだ話が出来ていない。

 ただ、どうしても接触する事が出来ないのであれば、いっそ俺の影のゲートを使って直接セイラやラルといった面々と乗り込む……という考えも、最近ではされている。

 ともあれ、そんなエデンの中……

 

「ぐはぁっ!」

「私の勝ちね」

 

 円が笑みを浮かべつつ、腕相撲で勝った相手……オルテガに向けて笑みを浮かべている。

 周囲にいる他の面々は、まさかオルテガのような巨漢が円のような女に腕相撲で負けるとは思っていなかったのか、驚きで声も出ない。

 そんな周囲の様子を見ながら、円は賭け金を手に取る。

 オルテガは、まさか自分が負けるとは全く思っていなかった為か、かなりの金が置かれていたのだが……その全てを失う事になってしまった。

 

「嘘だろ、あの黒い三連星が女に負けるのかよ? もしかして、イカサマ……じゃないか」

 

 海兵隊の中でも、あまりエデンに来た事がない奴だったのだろう。円の様子を見ながら呟くが、オルテガの顔が心底悔しそうにしているのを見れば、とてもではないがそれをイカサマとは思えないだろう。

 にしても、こういうのをするのは、円よりも美砂の方がらしいと思うんだが……何だって円が腕相撲なんてやってるのやら。

 基本的に円は真面目な性格で、こういう時は寧ろ抑える側に回るんだが。

 こういう酒場に来た事がないだけに、テンションが上がっているというのも理解出来るけど。

 

「アクセル」

 

 そんな風に考えていると、こちらもオルテガの負けは信じられないといった様子で見ていたガイアが、俺の方に近づいてくる。

 その後ろにはマッシュの姿もあるが、これはいつもの事か。

 

「オルテガは残念だったな。けど、円に腕相撲で勝負しようってのは、最初から負けが決まっていたようなものだぞ」

「……お前達、一体どんな奴なんだ」

 

 しみじみと呟くガイアの様子に、俺は特に何も言わずに次の相手としてコズンと腕相撲をしている円に視線を向けた。

 オルテガが勝てないんだから、コズンに勝てる訳がないだろうに。

 

「俺達はシャドウミラー。それは分かってた筈だろ?」

「……お前が生身でも強いのは分かってたけど、あの女までもが同じくらいに強いってのは……シャドウミラーってのは、一体どんな連中なんだよ」

「そうだな。言ってみれば色々な意味で特殊な存在ってところか。ああ、ルナ・ジオンが建国された後なら、お前達も円くらいに……というのはちょっと難しいけど、鍛えて貰う事が出来るかもしれないぞ。もっとも、幼女を相手に散々負けまくる事になるだろうが」

「……幼女?」

「ああ、幼女だ。シャドウミラーの生身の戦闘訓練をしているのは、幼女だからな。……ただし、600歳を超える幼女だけど」

「俺にはアクセルが何を言ってるのか、全く分からねえよ」

 

 そう告げるガイアだったが、このUC世界において吸血鬼なんてのは、それこそ物語にしか残ってないだろうからしょうがない。

 幼女というだけで吸血鬼に思いを馳せろというのが、無理だったんだろう。

 

「まぁ、ルナ・ジオンが出来たら、いずれ目にする事もあるだろうな」

 

 そう言いつつ話していると、不意にエデンの中に一人の女が姿を現す。

 これでもし入ってきたのが何も知らない者であれば、それこそエデンにいる者達は店を出るようにと、そう告げるだろう。

 ……もっとも、エデンの前にはラルの部下や海兵隊の面々が門番的な役割をする為にいる。

 普通なら、女だけでエデンに入ってくるような真似は出来ない。

 だが、それはあくまでも普通の女なら、の話だ。

 

「アクセル、ラル、セイラ、いるかい。取っておきの情報を持ってきたよ」

 

 そう言ったのは、ルナ・ジオンを建国する上でも、間違いなく主力になるだろうシーマ艦隊を率いている、シーマだった。

 ラルを呼び捨てにしているのは、シーマの方が階級が上だからか、もしくは単純にルナ・ジオンを建国する仲間だと認識してるのか。

 恐らく、その両方が混ざっているんだろう。

 そう予想しながら、俺はシーマに呼ばれた事もあり、ガイアとの話を終えてシーマの方に向かう。

 ラルとセイラの2人も、大人しくシーマに近づいてきた。

 普段は冷静なシーマがこれだけ大きな声を発しているのを思えば、本人の言葉通り何か重大な情報を持って来たのは間違いないと思ったからだろう。

 実際、俺もそうだったし。

 だが、当然そうやって集まれば、エデンの中にいた面々の注意を引くにも十分な訳で……結局俺達はエデンの奥にある従業員控え室に移動する事になる。

 ちなみにダグラスも一緒に来たのだが、どうやらシーマとダグラスはもう顔合わせをしているらしい。

 ダグラスは外人部隊の一件で中々外に出る事は出来ないし、シーマもエデンによく来るのを考えれば、それもおかしくはないんだろうが。

 それにシーマ艦隊と外人部隊を率いる者である以上、ルナ・ジオン建国の時には色々と協力する必要も出てくるだろうし。

 

「アンリ准将の行動予定が分かったよ。何でも、お偉いさんとの会談があるらしくて、数日後にとあるホテルに来るらしい」

「本当か!」

 

 驚きと嬉しさの混ざった声を上げたのは、ラル。

 ダグラスも声には出さないが、ラルと同じような表情を浮かべている。

 セイラの方は、微かに笑みを浮かべているものの、他の2人程に驚きを露わにはしていない。

 そして俺は……口元に笑みが浮かぶのを抑えきれない。

 

「そのホテルにアンリが泊まるというのであれば、こちらとしてもかなりやりやすくなる。いや、会談となると泊まる必要はないのか? ともあれ、どこかに休憩室の類はある筈だから、そこに影のゲートで出ればいいか」

「それが一番手っ取り早いだろう。出来れば、アンリ准将にはきちんとした手続きで会いに行きたかったのだが」

 

 俺の言葉に、ラルがそう言ってくる。

 まぁ、ラルにしてみればアンリというのは明らかに自分よりも目上の存在だ。

 ラルの父親がダイクンに傾倒したのと同じように、アンリもまたダイクンに傾倒した、同世代の人物となる。

 そうである以上、どうしても目上の者として扱う必要があるのだろう。

 実際、准将という立場だったり、元連邦軍の将校だったりと、この世界での軍人としての経験は十分以上にある。

 そんな訳で、ルナ・ジオンを建国した時に軍のトップに立つ人物としては、アンリが最適なのだ。

 ダグラスやシーマも軍のトップとして活動出来そうではあるが……この辺は個人としての才覚もそうだが、何よりも経験が大事だし。

 

「ラル大尉、今は形式に拘るよりも、とにかくアンリ准将に会う事が最優先だ」

 

 ダグラスの言葉に、ラルも頷きを返す。

 ラルも、その辺は当然のように分かってはいたのだろう。

 だがそれでも、やはり色々と思うところがあるのだろう。

 

「セイラ、どうする? お前がルナ・ジオンのトップだ。お前が決めろ」

 

 俺の口から出た言葉に、セイラは一瞬戸惑う。

 だが、それも無理はない。セイラは生まれこそジオン・ズム・ダイクンの子供として生まれてきたが、小さい頃にズム・シティを脱出してからは、一般人として生きてきたのだ。

 いや、セイラから聞いた話だと一応金とかには困らない裕福な生活だったらしいので、一般人とはちょっと言えないかもしれないが。

 ともあれ、少なくてもセイラは帝王学のような事を学んできた訳ではない。

 セイラからの情報だと、シャアはラルの父親によって、その手の勉強をしていたらしいが。

 ともあれ、そんなセイラだけに今はまだルナ・ジオンを建国すると行動していても、良く言えば象徴……悪く言えばお飾りにすぎない。

 勿論セイラは元々明敏な頭脳を持っているというのもあるし、俺と初めて触れあった時のニュータイプの共感と思しき行動によって、俺がこれまで歩んできた行動を少なからず目にしているので、何の判断も出来ないという訳ではないだろう。

 だが、それでもやはり実際に自分で決断出来るかどうかとなれば、話は別だった。

 ……ラルにしろダグラスにしろ、シーマにしろ、色々と自分の経験とかそういうのは教える事が出来るが、それは帝王学ではない。

 一応千鶴とかもルルーといった面々も、多少なりと教えてはいるようだが。

 

「行きましょう。アンリ准将は、私達がルナ・ジオンを建国する上で、絶対に必要な人物である以上、ここで足踏みをする訳にはいきません。であれば、やはりここは行動するべきです」

 

 結局、そういう事に決まるのだった。

 

 

 

 

 

 セイラが決断をしてから、数日……シーマからの連絡により、今日アンリがホテルに来るという事が判明しており、俺達はその時間までエデンで待機している。

 とはいえ、エデンにいるからといって酒を飲んだりといった真似はしていない。

 今は、ただ連絡が来るのを待っているだけだ。

 ちなみに今回アンリに会う為に行動するのは、影のゲートを使えるという事で、当然のように俺。そしてルナ・ジオンの女王ということでセイラ。セイラのおつきとして、ラルとダグラス、ルルー。

 尚、ルルーの妹の方は、相変わらずサイド7にて行動中となっている。

 本来ならシーマやガイアといったように、他の集団を率いている者達も連れていけばいいんだろうが……あまり大勢でいけば、いざという時に影のゲートで撤退する時に集まるのに時間が掛かる。

 もっとも、それ以外にもシーマやガイアといったように口の悪い連中を連れていくとなると、アンリとの交渉が出来なくなるという可能性もあった……というのが大きい。

 准将という地位におり、ダイクンの思想に心酔しているアンリにとって、口の悪い相手というのは印象が悪い可能性がある。

 それにシーマは今回の一件での情報というか進行を仕切って貰っているし、ガイアはいざという時の為にエデンの守りを任せてもいる。

 ……まぁ、魔術とか魔法を使っている以上、エデンが怪しまれるという事は基本的にない筈であり、エデンが襲撃を受けるといった事はまずないと思うのだが。

 それにもし襲撃があっても、それを行うのはMSではなく生身の兵士。

 そうなれば、円と美砂……それに千鶴や凛といった面子がいるという時点で、向こうの詰みだ。

 

「それにしても、アンリは何の会談を行うつもりなんだろうな」

 

 ふと、このまま待っているのも暇だという事で、俺は空間倉庫から取り出したペットボトルの紅茶を飲みつつ、呟く。

 

「ふむ。普通に考えれば首都防衛隊に関わる事だと思うが?」

「それなら、わざわざホテルなんて場所じゃなくてもいいだろ? それこそ、政府とか軍事基地とか、そういう場所でも構わない筈だ」

「……なるほど。つまり人には知られたくない会合だ、と?」

 

 ラルの言葉にダグラスがそう告げる。

 ダイクン派のアンリが秘密裏に行う会合、か。普通に考えれば、明らかに怪しい行為にしか思えないが……さて、どうだろうな。

 

「その辺は、結局行ってみるのが一番だろ。向こうにとっても、予想外の展開で何らかのボロを出す可能性はあるし」

 

 普通なら、影のゲートから俺達のような存在が姿を現すとは、到底思わない筈だ。

 これがネギま世界であれば、影のゲートとして普通に魔法の存在を知られているのだが。

 そんな風に考えつつ、話を続ける。

 さすがにこれからアンリと会う予定になっている以上、ゆっくりと宴会をする気分でもない。

 いやまぁ、どのみち俺は宴会であっても酒の類は飲まないのだが。

 ともあれ、世間話をしているとホワイトスターに連れて行ったケン達の話になる。

 

「エルフとかにも驚いていたみたいだけど、結構馴染んでいるように見えたな」

 

 もっとも、馴染んでいるように見えたのは、ケンではなくメイ達だったが。

 明日菜に任せたとはいえ、普通に買い物とかをしていたのだから、間違いなく馴染んでいる筈だ。

 まぁ、少なくてもボルドーで人質になっていた時に比べれば、家族と一緒に暮らす事が出来ているんだし、見張りの類もいない――正確にはバッタが一応その役割だが――ので、リラックスしてすごせるんだろう。

 そうして話をしていると……

 

『来たよ、アンリ准将だ。ようやくホテルにご到着らしい』

 

 そう、シーマから通信が入るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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