転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2136話

 アンリという最後の人員を確保したとなれば、もう後は建国に向けてひた走るだけだ。

 とはいえ、俺達シャドウミラーはともかく、UC世界の人間はそう簡単に準備は出来ない。

 ダグラスが率いていた外人部隊の面々は、現在ジンやストライクダガーを使って操縦訓練をしているらしい。

 外人部隊として強制的にMSを運用させられていただけに、MSの操縦技術はかなり伸びているとか何とか。……もっとも、ジンもストライクダガーもザクと比べると性能的に圧倒的に低いのだが。

 それと、仲間は揃ったと表現したが、闇夜のフェンリル隊の方はまだどうなるか決まってはいない。

 一応ラルからの映像データは渡したし、こっちに協力すれば眼を治すというメリットも示した。そしてゲラートの態度も友好的だったのを考えると、多分大丈夫だとは思うんだが……その辺は、しっかりと確認するまでは何とも言えないだろう。

 そんな風に考えつつ……俺はアンリから聞き出したズム・シティにある軍事基地の1つに忍び込んでいた。

 そこは首都防衛師団、つまりはアンリの率いる首都防衛大隊が所属する師団の基地ではあるが、アンリの率いる大隊とは別の部隊が使っている軍事基地だ。

 その中に忍び込み、ザクやらザクやらザクやら……とにかくザクを10機程失敬し、他にもMS用の武装や人間が使う武器弾薬、軍用車、ワッパ……様々な物を奪っていく。

 今は夜だったが、当然軍事基地が夜になれば誰もいなくなるなどという事はない。

 この独立戦争の最前線は現在地球だが、宇宙にだって連邦軍の勢力はまだ残っているし、そういう連中がズム・シティというジオン本国に攻め込んでこないとも限らない。

 実際、黒い三連星が捕らえたレビルを、まんまと取り戻されているのだから。

 それだけに、多少気は緩んでいるかもしれないが、軍人達が見回りを行っている事も事実であり……

 ヴィー、ヴィー、ヴィーという、緊急事態を知らせる警報が基地の中に響く。

 それを聞きながら、俺は影のゲートに身を沈めていき……結局その日は、5つの軍事基地から軒並みMSやらそれ以外の物資やら、色々な物がなくなるのだった。

 残念だったのは、ムサイ級や……何よりもジオン軍の象徴とも呼ぶべきグワジン級の類を入手出来なかった事か。

 まぁ、軍艦の中に誰も人がいないって事はないんだから、それはしょうがないんだが。

 一応中にいる奴を気絶させて追い出して……という方法なら可能だったかもしれないが、そうなると俺の存在がジオン軍に知られてしまう事になるしな。

 将来的にはまだしも、今の状況でそのような事は出来るだけ避けたい。

 特に俺の場合はエンデュミオンの鷹という異名を貰ってしまったから、見つかれば色々と面倒だし。

 ともあれ、元々予定していた面子を引き込む作業が完了した以上、こちらとしても動きを緩める必要はない。

 エデンを見張っている者達は凛の魔術や千鶴達の魔法でどうにでも誤魔化せるという事もあり、現在のところ俺達が……正確にはラル達が怪しまれている様子はない。

 そのおかげで、今日の一件でも、さて誰が怪しまれるのやら。

 そんな風に思いつつ、俺は影のゲートを使ってエデンに転移するのだった。

 

 

 

 

 

「お、戻ってきたのか。それで、首尾の方はどうだったんだ?」

 

 影から姿を現した俺を見て、黒い三連星を率いるガイアがそう尋ねてくる。

 最初こそは魔法とかに結構驚いていたのだが、何度も見ているという事もあってか、今では魔法にも全く驚く様子はなくなってしまった。

 いやまぁ、ルナ・ジオンとして活動する以上、その辺りについても慣れて貰う必要があるんだけどな。

 ルナ・ジオンが建国すれば、ホワイトスターを通して魔法使いとかもこの世界にやって来るんだろうし。

 

「ザクが18機、ワッパ34台、それ以外にもMS運搬用トレーラーやら、メンテナンスベッドやら手当たり次第に。後はザクマシンガン、ザクバズーカ、ヒートホーク、それ以外にも弾丸や推進剤等だな」

「……それは、また……」

 

 ガイアにとっても、俺がそれだけ奪ってきたというのは色々な意味で予想外だったのか、唖然とした視線を向けてくる。

 

「今までは色々と手加減してたからな。……ただ、問題なのはシャアの居場所が未だに分からない事だ。ズム・シティに1度くらいは戻ってきてもいいと思うんだが。ドズルの指揮下で連邦軍相手に頑張ってるらしいな」

「ああ、シャアか。……にしても、まさかあの赤い彗星がお姫様の兄貴だとはな。正直なところ、未だに信じられん」

「それは理解出来る。オルテガの奴も大きく目を見開いていたしな」

 

 シャアがセイラの兄にして、キャスバル・レム・ダイクンであると知った時、オルテガは傍から見ていて大丈夫か? と思えるくらいに動揺していた。

 ガイアやマッシュから聞いたところによると、オルテガはシャアに対して強いライバル心を持っていたらしい。

 MS教導隊の時からそのライバル心はあったらしいから、かなり根深いと言ってもいい。

 まぁ、それでも今はもうあまり気にしてはいない様子だったが……本心ではどうなんだろうな。

 

「それより、ガイア達だけか?」

 

 改めてエデンの中を見回すと、そこにいるのはガイアとオルテガ、マッシュ、海兵隊やラル隊の面々が少数といったところだ。

 いわゆる、ルナ・ジオンの幹部候補達の姿はどこにもない。

 

「ああ、他の連中はまだ動き回ってるよ。今は夜だけに、人目につきにくいんだろうな。俺達は……そういうのがないし」

「キシリアからの呼び出しは?」

 

 黒い三連星は、キシリアにとっても懐刀と言ってもいい存在だ。

 多少態度に問題はあれど、その強さを考えれば、キシリアにとっては絶対に手放せない存在だろう。

 このUC世界において、異名持ちのMSパイロットというのはそれだけの実力を持っているのだから。

 

「何回か来てるが、適当に流してるよ。向こうに顔を出せば、オルテガ辺りの反応から何か悟られかねないし」

「あー……なるほど。理由は分かったけど、大丈夫なのか?」

「幸い、今のところはな。勿論このままずっとこの状態が続けば不味いんだろうが……この状況はそこまで長くは続かないんだろ?」

「そうだな」

 

 実際、あと数週間程度……4月の中旬から5月の上旬に掛けて、ルナ・ジオンの建国が行われる予定となっている。

 それくらいの間なら、恐らくガイア達がキシリアからの要請をスルーしていても、問題……にはなるだろうが、それでも決定的な事にはならないと思う。

 問題なのは、そうやって待っている間にキシリア機関辺りから追っ手がくるかもしれないという事か。

 ん? でも、よく考えれば、別にガイア達は部下を率いてる訳でもないし、今のズム・シティで特にやるべき事はないんだよな。

 なら、別にここにいる必要はないんじゃないか?

 いや、寧ろ下手にズム・シティにいるというのが突撃機動軍とかに知られたりすれば、色々な意味で不味い事になるのは確実だ。

 となると、ケン達と同じようにホワイトスターに連れていった方がいいのか?

 そうなれば、貸し出す予定のMSとかに前もって慣れさせる事も出来るし、もしくはシャドウミラーの幹部陣……はちょっとまだ技量差がありすぎるのを考えると、精霊の卵辺りと模擬戦でも繰り返させるか?

 精霊の卵の連中の中でも、腕の良いのであれば黒い三連星を相手にしても勝つ事は出来るだろうし。

 あー……でも、そうなるとMSの問題が出てくるな。

 精霊の卵が使用しているMSは、デスティニー、レジェンド、ストライクフリーダム、インフィニットジャスティスといったMSで、ビーム兵器やドラグーンが主体だ。

 ましてや、SEED世界で建造された時と違い、今では核分裂エンジンではなくブラックホールエンジンを搭載している。

 ちょっとS型やジン、ストライクダガーといった機体では、幾らガイア達であってもどうしようもないだろう。

 とはいえ、そういう強敵と戦うというのは、ガイア達にとっても間違いなく良い経験だ。であれば……

 

「なぁ、ガイア。ダグラスが率いていた外人部隊が、人質になっていた家族と共にホワイトスターに来ているのを知ってるよな?」

「それは当然知ってるが」

「なら、お前達も外人部隊と同じように、ホワイトスターに来ないか? ラルやシーマ、ダグラス、アンリ達と違って、3人で小隊を組んでいるお前達は、今のところやるべき事はないだろ? それなら、ホワイトスターに来てMSパイロットとしての腕を磨いたらどうだ? 言っておくが、シャドウミラーにはお前達よりも操縦技術が上の奴は幾らでも存在するぞ」

 

 その言葉に、ガイア……だけではなく、少し離れた場所で海兵隊の連中と話をしていたオルテガや、1人で酒を飲んでいたマッシュまでもがピクリと反応する。

 黒い三連星として名高い活躍をしているだけに、気楽に聞き流す真似は到底出来なかったのだろう。

 

「その言葉、こっちとしてもあっさりとはいそうですかと聞き流す事は出来ないぞ?」

「お前達の立場としてはそうだろうな。だが、シャドウミラーの人員は、PT……いや、MS同士で行う戦争を、何度となく……それこそ数え切れない程に戦い抜いてきた者達だ。中にはMSだけが相手ではなく、神やそれに等しいような相手すらいた。そう言えば、戦いにおける経験値の差というのは、理解出来ると思うが?」

「……神? それは、本気で言ってるのか?」

「ああ。正真正銘の神や、それに等しい存在だ。そういう相手との戦いがあり、日常的にMS同士での戦いで模擬戦を行っているんだから、MSを開発したばかりのジオン軍とは練度が違う。おまけに、これまでの戦いでジオン軍の熟練パイロット達も大きな被害を受けているしな」

 

 とはいえ、この辺りはパイロット達だけの責任という訳ではない。

 勿論技量不足という一面もあったのだろうが、脱出ポッドの類をしっかりと用意しておけば、撃破された場合でも生き残る可能性は十分にあった。

 だが、ジオン軍は……いや、ジオン上層部は、少しでもザクの製造コストを抑える為に、脱出ポッドの類を採用しなかった。

 これは、ジオン軍にとって大きな……それも致命的な失敗であると、俺は思っている。

 ザクが戦闘機やら軍艦やらと隔絶した性能を持っているのであれば、それでもまだ何とかなったかもしれない。

 だが、結局のところは戦艦の主砲に命中すれば撃破されるし、それどころかセイバーフィッシュのミサイルでも撃破される。そんな性能だ。

 それだけに、当然のように戦いになれば撃破される者も多く出て来て……恐らく俺達が関与しなくても、今のまま戦争が進めば国力に比例して人口の少ないジオン軍は、新兵どころかまだ訓練生であってもいずれは戦場に出さなければならないようになるだろう。

 そうなってしまえば、ジオンは圧倒的に不利になってしまう。

 それこそ、場合によっては連邦軍がMSを生産する前に消耗戦でMSパイロットが不足して負けてもおかしくない……といったくらいに。

 そうなれば、ジオンが勝つ方法はコロニー落としのように一方的に、それでいて圧倒的なダメージを相手に与えるという選択肢しか存在しない。

 うん、まさにじり貧だな。

 

「それは……」

 

 ガイアは俺の言葉に思う所があるのか、黙り込む。

 それはオルテガやマッシュも同様で、恐らく部下か戦友をこれまでの戦いで失った事が少なからずあるのだろう。

 

「まぁ、ジオン軍の内情は今は置いておくとして……だ。どのみち、ガイア達はルナ・ジオンに付くんだから、今更ジオン軍の心配をしても意味はないだろうし。そんな訳で、今のところ特にやるべき事がないのなら、エデンで酒を飲んでいるよりは、ホワイトスターに来て操縦技術……いや、身体能力も含めて軍人としての能力を底上げした方がよくないか?」

「それはそうだが……」

「それにこう言うと気分を悪くするかもしれないが、今のお前達ではシャアに勝つ事は難しいと思うぞ」

「……何だと?」

 

 俺の言葉に反応したのは、ガイア……ではなく、シャアに強いライバル心を抱いているオルテガだ。

 とてもではないが、俺の言葉はそのまま聞き流せるようなものではなかったのだろう。

 

「お前達は3人で黒い三連星。だが、シャアは1人で赤い彗星だ。そう考えれば……」

「俺達はシャアの3分の1の力しかないってのか?」

「そこまでは言わないけどな」

 

 不機嫌そうなマッシュの言葉にそう返す。

 ガイアとオルテガの2人も俺に視線を向け……やがて、オルテガが口を開く。

 

「分かった。俺はアクセルの提案に乗る」

 

 オルテガがそう言えば、何だかんだと仲間思いのガイアやマッシュも放っておく訳にはいかず、黒い三連星はホワイトスターに行く事になる。

 クレイドルはともかく、生態系を形成する為の生き物の件とかも気になっていたから、その辺を確認する意味でも、黒い三連星の件は丁度良かったのだろう。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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