転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2141話

 自分達の基地からMSやらそれ以外にも様々な装備品、消耗品その他諸々が盗まれるというのは、ジオン軍にとってはまさに青天の霹靂とでも呼ぶべき行動だった。

 まさか魔法を使ってその手の諸々を盗んでいるとは思わなかった――当然だろうが――のか、ジオン軍はかなり大きな……それこそ、俺が予想していたよりも大分大きな騒動となってしまった。

 それがどれくらいの騒動だったのかは、それこそ連邦軍との戦争に若干ながらも影響が出た……と言えば分かりやすいだろうか。

 いや、俺が盗んだ代物だけでそこまで大きな被害はなかった筈だが、どのような方法で盗まれたのかが分からないというのは、予想以上に大きかったらしい。

 そんな訳で、こちらも色々と動きやすくなったのは間違いない。

 特にアンリの首都防衛大隊に関しては、その一件で動いているように見せつつ、独自に様々な行動を見せていたらしい。

 ちなみにワルキューレのメンバーをこちらに引き込むというのは、まだ何人かしか引き込んではいないとか何とか。

 いや、この短時間で何人かだけでも引き込む事に成功したというのは、寧ろその政治力を褒めるべきなのだろうが。

 ともあれ、そんな感じでルナ・ジオン建国の件は当初こっちが予想していたよりも遙かに上手く進み……

 

「いよいよか」

 

 そう呟く俺の声が響くのは、いつも通りエデンの中。

 だが、そこに漂っている雰囲気は、間違いなくいつものものとは違う。

 また、現在このエデンの中にはそれこそ文字通りの意味で座る場所もないくらい人が集まっており、椅子やテーブルの類は全て俺の空間倉庫の中に収納されており、座るとすれば床に直接といったところだ。

 ……幸いという言い方はどうかと思うが、以前までは場末の酒場といった感じのエデンの床はかなり汚れていたのだが、家事が得意な千鶴がこのエデンに常駐するようになってからは、オホホホホといった感じで笑いながら、ラル隊やシーマ隊といった面々を使って掃除をきちんとしている。

 文句を言えないくらいに綺麗……という訳ではないが、少なくてもガムがこびりついていたりといった事はないので、座るのに問題はない。

 ちなみに女連中は、幾ら綺麗でもやっぱり床に直接座るのは……という事で、俺が空間倉庫から取り出したレジャーシートに座っている。

 ともあれ、現在ここに集まっているのは、数日後に行われるルナ・ジオンの建国に参加する者達だ。

 防衛大隊の面々はいないが、アンリの姿もある。

 他にもアンリが引き入れた、ワルキューレのメンバーと思しき者の姿もあるが……こちらは、周囲にいる多くの者が荒くれ者だという事もあって、肩身が狭そうにしている。

 この調子で、ルナ・ジオンで仕事をするようになってからも妙な真似をしたりしなければいいんだが。

 この場にいないのは、現在はホワイトスターにいる外人部隊の面々とその家族、そして黒い三連星の3人。

 あー……後は俺達に協力してくれるとは思うが、まだ確約はされていない闇夜のフェンリル隊の面々に……それと宇宙攻撃軍のガトー達か。

 特に後者のガトー達は、どうなるのかは分からない。

 また、生憎とMIP社やジオニック社といったように、多少なりともシャドウミラーやルナ・ジオンの面々と関係のある連中は、まだここに呼ばれる程ではない。

 

「皆、よく今日まで頑張ってくれました。私達の約束の日まで、もう数日。その時をこの場にいる者達……そして、残念ながら今はここにいなくても、志を同じくする者達と迎える事が出来たのは、このアルテイシア・ソム・ダイクン。非常に嬉しく思います」

 

 セイラのその声が、エデンの中に響く。

 シェリルによって演技指導された今のセイラは、非常に高いカリスマ性を感じさせる。

 そしてセイラではなくアルテイシアとして話している事により、言わば女王モードとでも呼ぶべきものになっていた。……女王様モードでなかったのは、喜ぶべきか。

 そんな風に思っている間にもセイラの演説は続き、何故かラル隊だけではなく海兵隊の面々までもがそんなセイラの言葉を真剣に聞いていた。

 アンリが連れて来た政治家候補の者達も、セイラの話に耳を傾けていた。

 シェリルの奴、ちょっとやりすぎたんじゃないか?

 正直なところ、まさかセイラの生まれ持ったカリスマ性がシェリルのアドバイスでここまで花開くとは思わなかった。

 

「ザビ家が汚した、父の教え。スペースノイドの本当の自立の為に、私はニュータイプとして出来る事をやっていこうと思います」

 

 ニュータイプという言葉に何人かが反応したが、それ以上にセイラがニュータイプであるというのを自然と納得していた。

 まぁ、ニュータイプを唱えたジオン・ズム・ダイクンの子供がニュータイプになるというのは、どこか運命的なものすら感じられるしな。

 それを思えば、この光景は特に不思議でも何でもない。

 ともあれ、エデンに集まっている者達はそんなセイラに魅了された時間をすごし……やがて、皆が満足して集会が終わる。

 残ったのは、ルナ・ジオンの幹部陣とも呼ぶべき者達。

 セイラ、ラル、ハモン、シーマ、ダグラス、アンリ。

 そしてシャドウミラーからは俺、凛、千鶴、円、美砂。

 ラルの副官のクランプを始めとした他の面々も、今日はここにいない。

 

「さて、それで……クレイドルの方はどうなっている?」

『もう準備は終わったわ。UC世界ですぐにでも使えるわよ。ただし、生き物や植物に関しては、ルナ・ジオンを建国した後でも暫く掛かりそうだけど』

「それはそうだろうな」

 

 北海道以上の大きさを持つ場所に、生き物や植物の類を放すという行為を考えると、それこそ全てが完了するまでは数年くらい掛かってもおかしくはない。

 ……それ以前に、動物とかを放している間にも独自の生態系とかを作りそうな感じがしないでもないが。

 その辺はマクロス世界の専門家からアドバイスを貰いながらやっていくらしいから、俺は今のところ考える必要はないか。

 

『アクセルの空間倉庫に、生き物も入れれば良かったんだけどな』

 

 通信機から空中に浮かんでいる映像で、レモンの近くにいたムウがそう呟く。

 ちなみに、ここにいる者達は全員がエンデュミオンの鷹というのがどういう意味をもつのか、それを知っている。

 だからこそ、ムウは微妙にやりにくそうにしているが……そのうち、慣れるだろう。

 

「そこまで便利だったら、俺としても色々と助かったのは間違いないんだが。……まぁ、出来ないものは出来ないんだから、しょうがないさ」

 

 実際、もし空間倉庫の中に生き物を入れる事が出来るのであれば、今までかなり便利になったのは間違いない。クレイドルの一件だって、マクロス世界でならクレイドルに乗って、その生き物のいる惑星とかに転移して回る事が出来ただろうし。

 

「空間倉庫の件はいいとして……ニーズヘッグの方は? 作戦前にきちんと乗ってどういう風に動くのかを確かめておきたいんだけどな」

『ああ、そっちは大丈夫。もう調整は終了したもの。後は、実際にアクセルが乗ってみて、どこかおかしい場所がないのかを確認する最終調整をすれば完璧よ』

 

 どうやら、改修後に初めて乗るのがグラナダ攻略戦というのは避けられたらしい。

 もっとも、T-LINKシステムを使った機体制御が主である以上、操縦システムに困るといった事はないのだろうが。

 後は、俺が尻尾の能力をどこまで引き出す事が出来るかだが……これは、実際に乗ってみないと何とも。

 手足とかなら身体を動かす感じでどうにか出来るのだが、尻尾は……ああ、いや。でも混沌精霊の時のような感じで尻尾を動かせばいいのか?

 そうであれば、ある程度は納得出来なくもない……か?

 そんな風に思いつつ、話を進める。

 

「取りあえず、明日にでも一旦ホワイトスターに戻って、ニーズヘッグの慣らしを行うつもりだけど、それでいいか?」

『ええ、そっちは問題ないわ。こちらとしては寧ろそうしてくれて助かるとも言えるし』

『千鶴、マハルだったかしら。そのコロニーの住人をルナ・ジオンに運ぶという手筈は?』

「そちらは……」

 

 エザリアの言葉に、千鶴はシーマに視線を向ける。

 基本的にマハルから移動するのは、シーマやその部下達の知り合いという者が殆どだ。

 それだけに、説得とか準備もシーマ達に任されているから、というのが視線を向けた理由だろう。

 そうして千鶴に視線を向けられたシーマは、何の問題もないと頷いてから口を開く。

 

「そっちの方はもう説得ずみさね。パプア級の方もあたし達が所有している数でどうにかなる予定だ。ただ……ちょっと人数が多くなりそうな感じがするよ」

『それは具体的にどれくらい?』

「正確には分からないけど、2割くらい増えるかも。どうやら、どこからかあたし達が移住しようとしているというのを聞いた者がいるらしくてね。……一応誰にも広めないようにとは言ってあるんだけど、連れて行く人数を考えると、それが完璧に守られる筈もないし」

「……だろうな」

 

 信頼出来る1人2人というのであれば、絶対に他に漏らさないといった事も期待出来るだろう。

 だが、連れて行く人数が10人、20人……100人、200人と増えていけば、当然のようにその中には、自分達がマハルを脱出して新天地に向かうといった事を自慢するような者も出てくるだろう。

 もしくは、本人にそのつもりがなくても子供の口からその辺りの情報が漏れるとか。とはいえ……

 

「その新天地って、恐らくどこか別のコロニーだとか、そんな風に思ってる奴が多いんだろうな」

「そうだろうね。ルナ・ジオンについては、さすがにまだ本当に信頼出来る相手にしか言ってないし」

『シーマが信頼出来る相手だというのであれば、それは問題ないでしょう。新天地を勘違いしている者にしても……それは実際にクレイドルに行ってみれば、新しいコロニーではないから、色々と思うところがあるかもしれないけど、少なくてもアクセルから聞いているマハルの生活よりは、かなり楽になる筈よ。もっとも、スラムと違って犯罪を許容するという事にはならないと思うけど』

「それは分かってるよ。マハルに住んでいる連中だって、きちんと食っていけるのなら、わざわざ犯罪に手を伸ばしたりはしないさ」

「……シーマ中佐。その辺りについては、本当に頼むぞ。クレイドルに移住する第一陣がマハルの人間なのは、こちらからはもう何とも言わない。だが、それがルナ・ジオンを……姫様の名を汚すような者達であれば、こちらも相応の対処を取る必要がある」

 

 そう告げたのは、アンリだ。

 ちなみに、アンリは当初の予定通りルナ・ジオンの軍部においてトップになって貰う事が既に決定している。

 実際、アンリが引き込んだ者達の中では一番階級が高いし、元連邦軍というだけあって連邦軍の内部事情にも詳しいし、首都防衛大隊を率いていただけあって部隊の運営についても得意だし。

 何よりセイラに忠誠を誓っているので、軍部が裏切ったり独走状態になったりといった事を警戒しなくてもすむ。

 まだ完全にセイラという個人に忠誠を誓ったとは言い切れない以上、本当の意味で安心は出来ない。出来ないが……それでもアンリが軍部を仕切るのが最善の選択なのは間違いないだろう。

 シーマもそれを理解しているのか、アンリの言葉に素直に頷きを返す。

 

「ああ、それで構わない。多少の喧嘩といったことならまだしも、本格的な犯罪になるとなれば、きちん取り締まってくれて構わないよ。……もっとも、ルナ・ジオンでの犯罪の検挙は基本的にシャドウミラー任せになるんだろうけどね」

 

 素直に頷きつつも、最後にチクりと針の一刺しをするのは、シーマらしい。

 実際にルナ・ジオンにおいてバッタや量産型W、場合によってはメギロートが警察の役割をこなす事になっている。

 もっとも、道を教えたりといった真似はともかく、相談とかそういう風なのはバッタや量産型Wでは対処が難しいので、ある程度の人間は用意する必要があるが。

 ただ、問題なのはそのような相談を受ける人物をどうやって用意するか、だよな。

 ケン達の家族で働いてもいいという人物に相談役みたいな形で働いて貰うか?

 それに、外人部隊の中には家族を人質に取られたからしょうがなく軍人をやっていたという者もいる。

 ルナ・ジオンで暮らす事になれば、軍人ではなく、それ以外の道を探すという者が出て来てもおかしくはない。

 とはいえ、ルナ・ジオンの人材不足も最初のうちだけだ。

 ルナ・ジオンがどれだけの力を持っているのかを見せつけ、更にシャドウミラーという異世界の存在、そしてクレイドルにいるだろう異世界の動植物に興味を覚え、戦争を嫌ってルナ・ジオンに移住を希望する者は絶対に多くなる筈なのだから。

 若干の不協和音がありながらも、ルナ・ジオンについての話し合いは続くのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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