転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2143話

 運命の日……そういう言い方をするが、まさに今日はUC世界にとって運命の日となるだろう。

 約束の日と、そんな表現をしてもいいかもしれない。

 ともあれ……いよいよ今日、ルナ・ジオンの建国が行われる事になる。

 既に俺はルナ・ジオンの首都となるべきクレイドルを空間倉庫に収め、ホワイトスターにいる。

 いや、俺だけではない。今回の作戦に参加する人員の多くが、現在ホワイトスターにいた。

 ……アンリとシーマは、色々とあってここにはいないが。

 アンリは防衛大隊の規模が大きすぎて、ルナ・ジオンの建国宣言が実際に行われてからこっちに来る予定になっている。

 模擬戦をするという名目でザンジバル級を始めとしてムサイ級やパプア級といった具合に、それこそシーマ艦隊と同規模……いや、それ以上の艦船を用意している辺り、ルナ・ジオン軍最高司令官を任せるだけの実力はあると言ってもいい。

 ちなみに、アンリ率いる部隊の多くは一週間戦争やルウム戦役、もしくはそれ以外の戦闘で連邦軍と戦って負傷した、いわゆる傷病兵の類が多い。

 で、当然ながらそのような連中は、シャドウミラーに来れば治療をするという事になっている。

 量産型Wを作る為の技術があれば、腕や足の培養といったのはそう難しい話ではない。

 結果として、俺達は大隊規模の精鋭を入手出来る事になった訳だ。……正確には、俺達じゃなくてルナ・ジオンだけど。

 そういう意味では、アンリの部下はかなりの戦力となるのは間違いない。

 ……これを売りにするというのもちょっと考えたが、そうなればなったで、色々と不味いような気もするんだよな。

 そしてシーマは、シーマ艦隊を率いているし、マハルからこっちに連れてくる住人もいるという事もあり、ここにはいない。

 今日ルナ・ジオンの建国が行われれば、そのすぐ後にシーマ艦隊全てを率いてやって来るだろう。

 ともあれ……U.C.0079、4月15日。今日はUC世界において間違いなく歴史に残る日になるだろう。

 

「準備はいいか?」

 

 一応確認の意味を込めてその場にいる者達に声を掛けるが、皆がそんな俺の言葉に頷きを返す。

 どうやら全員、準備は整っているらしい。

 

「円、美砂。ルリとラピスの事は頼んだ」

 

 今回のルナ・ジオンの建国において、ルリとラピスの役割は大きい。

 奇襲的な建国宣言だけに、当然のようにルリとラピスが安心だとは思うが……それでも、何かある可能性は十分にあるのだ。

 そうである以上、護衛は必須だった。

 

「任せて。ルリとラピスは私達の子供でもあるんだから、当然守るわよ。……ね?」

 

 美砂の言葉に、ルリとラピスは少しだけ照れた様子を見せながら――頬を赤くしたのはルリだけだったが――頷きを返す。

 

「じゃあ、セイラ。……いよいよ、ルナ・ジオン建国の時だ」

「ええ」

 

 俺の言葉に頷くと、セイラはその場にいる全員に視線を向ける。

 

「今日の為に、皆が色々とがんばってくれたのは知っています。後は、結果が出るだけ。そして、結果は間違いなく出る。ルナ・ジオンの名は、私達の世界、UC世界において後世まで残るものになるでしょう。それこそ、10年や20年ではなく、100年、200年、そして1000年、2000年といった具合に。その晴れの日を飾る今日を皆と一緒に迎えられた事を、非常に嬉しく思います。また、私達に惜しみない協力をしてくれたシャドウミラーの方々にも強い感謝を」

 

 そう告げるセイラの様子は、これから建国という行為を行うのに、全く緊張している様子は見えない。……だが、それはあくまでも見せ掛けだけだろう。

 実際には、その内心で緊張しているのは間違いなかった。

 ……まぁ、17歳で建国をしようとしているのを考えれば、それも当然なのだろうが。

 そして、内心で緊張をしていても、セイラの持つ強いカリスマ性は消えない。

 ちょっと前までは、シェリルの教えを受けてという事でどこか違和感があったのだが……今では、既にそのシェリルの教えを完全に自分のものにしており、その上でシェリルのコピーではなく、自分らしさを出している。

 

「そして、父ダイクンの名の下に、私は真の意味でスペースノイドの独立と、ニュータイプと呼ばれる者の未来を作ってみせます」

 

 そう言っているセイラだったが、実際にはルナ・ジオンの建国というのはシャアに小惑星落としをさせない為の代物だ。

 いや、勿論スペースノイドの独立やらニュータイプの未来を作るというのは、嘘という訳でもないのだろう。

 だが、最大の目的がシャアの小惑星落としを止める為なのは、間違いのない事実ではあった。

 とはいえ、シャアもセイラが建国宣言をしたとなれば、間違いなくどこかで接触してくる筈だ。

 何だかんだと、今まではずっと接触する事が出来なかったからな。

 連邦軍の方でも何らかの動きがあるらしいし……その辺りの事情を考えると、やはり建国は今が最善なのだろう。

 

「では、行きましょう。栄光ある未来の為に」

 

 そう言い……その場にいる者達は俺を含めて転移区画から消えるのだった。

 そうしてUC世界にやってくれば、すぐに事態は動き始める。

 まず真っ先にやるのは、俺の空間倉庫に入っているクレイドルを出す事だろう。

 北海道以上の広さを持つ移民船だけに、出すのも慎重にする必要がある。

 特に、設置したゲートをしっかりとクレイドルの中に抱え込むようにする必要があった。

 当然クレイドルの真下には細工がされており、ゲートを取り込むような形になっている。

 そうしてクレイドルを空間倉庫から取り出すと、前もってプログラムしてあった通りにゆっくりと月に向かって降下していく。

 とはいえ、UC世界にクレイドルを持って来たのは初めてだし、何よりその大きさが色々と規格外である以上、何らかの問題が起きる可能性は十分にある。

 そうである以上、何か問題が起きた時に即座に対処出来るよう、量産型Wを制御室に向かわせるのは当然だった。

 同時に、もし量産型Wでは対処出来ない何かがあった時の為に、技術班からも何人かが制御室に向かう。

 そんな事をしている間にも、クレイドルはゆっくりとした……月の重量に引かれるのではなく、意図的に自分の速度を落としながら月に向かって……ゲートのある場所に向かって降下していく。

 俺は月の上空に浮かびながら月に降下していくクレイドルを見ており、他の面々はゲートの中からこの光景を見ているのであろう。

 そうして、北海道以上の広さを持つクレイドルは、ゆっくりとだが確実に降下していき……やがて、ゲートとのドッキングが完了する。いや、こういうのもドッキングと表現してもいいのかどうかは、微妙だが。

 ともあれ、クレイドルが無事に月への着地に成功すれば、次に行われるのはクレイドル内の環境を整える事だ。

 元々ある程度の設定はされて俺の空間倉庫の中に収納していたのだが、やはり実際に現地に来てみなければ、最適な設定の数値を見つけることは出来ない。

 そんな訳で、現在クレイドル内では急激に様々な設定がなされている筈だった。

 重力をきちんと1Gにし、空気を微調整、温度や湿度、それ以外にも様々な設定を変えていく。

 また、ドームに映し出す映像も色々と変わってはいるが……この辺は無難に青空とか雲とか太陽とか、そんなのになる筈だった。

 そして月に設置されている時にゲートを隠すようにしていた石やら簡易的な建物やらは、ホワイトスターから転移してきたメギロートやバッタなどによって即座に壊され、運ばれていく。

 ちなみに、セイラを始めとしてゲートの近くで待機していた者達は、ゲートの周辺の岩や建物を壊す邪魔にならないように、既にゲートから離れている。

 一応、本当に一応パイロットスーツを着ていたが、クレイドル内部の調整が進んでいる今は、もうそういうのもいらなくなっている。

 俺がクレイドルを空間倉庫から取り出してから、ここまで30分程。

 一国の首都を作り出した……生み出した? 運んできた? ともあれ、一国の首都を用意した割には、たった30分。

 何も知らない相手がこれを聞いても、まず事実だと信じる事は出来ないだろう。

 ともあれ、眼下のクレイドルからは建物の類がなくなった事により、転移してこられるようになったメギロートやバッタ、量産型W達が次々にゲートからクレイドルの港に向かって移動している。

 中にはケン達の乗っているジンやシグー、ストライクダガーや、黒い三連星のS型もあった。

 こうして見れば分かる通り、黒い三連星はS型に乗る事にしたらしい。

 まぁ、ケン達が乗っている機体に比べれば、どうしてもS型の方が性能が高いのだから、異名持ちの腕利きパイロットとしてそちらに乗りたいと思うのは当然だろう。

 ……そういう意味では、ケン達もザクに乗ってもよかったんだが。

 特にザクは俺がズム・シティの基地から大量に盗み出しているから、数に困るという事はないし。

 そんな状況であっても、ケン達が敢えて性能の低いMSに乗ったのは……自分達がルナ・ジオンの人間であるという事を示す為だろう。

 まぁ、新国家を建国したのに、そこで使われている兵器の全てがジオン公国のお下がりとかだったら……それはそれで、色々と具合が悪いしな。

 もっとも、ルナ・ジオンの戦力として用意されたのは、メギロートやシャドウ、バッタといった戦力もあるし、そちらの数が圧倒的なので、そちらの方に意識を向ける者の方が多いだろうが。

 ともあれ、そんな感じで次から次に無人機やら何やらが出撃していく。

 この辺り一帯には特に月都市の類がないとはいえ、それでも月を本拠地にしている突撃機動軍であれば、これだけの巨大な物体が生み出されたというのは理解出来る筈だ。

 つまり、ここに現れた何かを偵察する為に、恐らく突撃機動軍が本拠地としているグラナダからこちらに向かって偵察隊が来る筈だ。

 現在出撃しているのは、そういう相手に対処する為の戦力となる。

 もっとも、命令として偵察に来た連中は向こうが攻撃を仕掛けてくるまで、こちらからも攻撃はしないようにとなっているのだが。

 何しろ、俺達がどんな存在なのか……ルナ・ジオンの首都たるクレイドルを、突撃機動軍や、それ以外の月面都市を通して連邦にも知って貰う必要があるのだ。

 今日中にはセイラがこのUC世界に対してルリとラピスのハッキングによって、ルナ・ジオンの建国を宣言する。

 だが、その宣言だけでは、場合によっては悪戯と考えられる可能性もあった。

 そういう意味で、実際に自分の目でクレイドルを見たという者達の報告は重要で、だからこそ迂闊に殺す訳にはいかなかった。

 クレイドルの中に入ると、既に多くの者はやるべき事をやり始めている。

 特に量産型Wやバッタ、メギロートといった者達は、植物や生物の運搬を早速開始していた。

 こうして見る限り、このペースで動植物の輸送が進めば、そう遠くないうちにクレイドルの中でも生態系が生み出される筈だ。

 

「アクセル!」

 

 ゲートから出てくる連中をじっと眺めていると、不意にそんな風に声が掛けられる。

 声のした方に視線を向けると、そこにはセイラやラル達の姿があった。

 話には聞いていたのだろうが、それでもやはりこうしてクレイドルの実物を見るのが初めてのラル達は、ただ唖然とした様子でクレイドルの中を見ている。

 ゲートが設置されているのは、クレイドルの中でも中心部。ルナ・ジオンの中央と呼ぶべき場所だった。

 当然そこは建物としても一際目立つような作りになっており……正確には、城と呼ぶに相応しい建物となっている。

 これ、多分クレイドルを作った時の技術者が悪のりして作ったんだろうな。

 いやまぁ、元々クレイドルが次世代の新型マクロス級移民船団の雛形というか、試しとして作られた代物だと考えれば、普段作れないような代物を作ってもおかしくはない。

 ……そういう意味では、やはり城を作るというのもおかしくはないのだろう。

 ルナ・ジオンの女王となるセイラが住む場所と考えれば、城というのは寧ろ相応しい。

 街並みの方も、最新の技術を用いてしっかりとした作りになっており、渋滞の類は殆どなくなる……とまではいかないが、大分少なくなるのは間違いない。

 そんな風に思っていると、セイラやラル達が俺の前に到着する。

 

「どうだ? これがルナ・ジオンの首都、クレイドルだ」

「……凄い、としか言えないわね」

 

 しみじみと呟くセイラの言葉に、ラルや他の面々もそれに同意するように頷く。

 まぁ、これだけの代物を受け取っておいて、それが当然といった態度を取られるよりは、こちらとしても好意的に受け止める事が出来るが。

 

「後は、シーマとアンリの艦隊が到着するまで……いや、それよりも前にグラナダから偵察が来るか? とにかく、これからお前達は寝る間もないくらいに忙しくなるから、注意しておけよ」

 

 セイラ達に向かい、俺はそう告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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