転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2145話

 セイラの言葉は、間違いなくその放送を聞いている者達の度肝を抜いただろう。

 特にジオン公国においては、ダイクン派は弾圧すらされていた。

 一応ラルが色々と伝手を使ってダイクン派に連絡をとっていたが、連絡が出来なかった者も多い。

 そのような者達にしてみれば、間違いなくセイラの……いや、アルテイシアの名前は大きな意味を持つし、ザビ家にしてみれば今回の一件は最悪に近いイベントですらあった。

 だが、アルテイシア・ソム・ダイクンという名前を出しても分からない者がいるだろう事は間違いない。特に連邦……地球では、唐突にダイクンという名前を出されてもそれが誰か分からないという者は多いだろう。だからこそ……

 

「かつてジオン共和国を作った、ジオン・ズム・ダイクン。その娘が私です」

 

 こうして、自分がジオン・ズム・ダイクンの娘であると、明確に示す。

 

「父ダイクンはジオン共和国を作りました。ですが、それはあくまでもスペースノイドの独立を目的としたものであって、決してザビ家の私利私欲による戦争を勃発させる為ではありません。ましてや、かつて父と親しかった……いわゆる、ダイクン派と呼ばれる者達を弾圧する為でもありません」

 

 小さな手振り身振りだったが、その何でもない仕草が、聞いてる者の意識を惹きつける高いカリスマ性をセイラにもたらす。

 実際にシェリルに紹介してから、まだ殆ど時間が経っていない筈だが……そう考えると、やっぱりセイラには才能があったって事なんだろう。

 

「また、この戦争においてジオン公国が行った最大の惨劇、コロニー落とし。このコロニー落としについても、ザビ家はコロニーを制圧する部隊に対し催眠ガスだと騙し、実際にはG2ガスという毒ガスを使わせてコロニーの住人を皆殺しにしました。結果として、その役目を背負わされた人物は直接の上司に……ジオン公国軍のアサクラ大佐に騙されて毒ガスを使わされたにも関わらず、あたかも自分の意思でそのような真似をしたのだと情報を広げられ、その後は汚物の如き扱いを受ける事になりました。……シーマ・ガラハウ中佐」

「はっ!」

 

 セイラの言葉に、シーマはいつものような馴れ馴れしい口調ではなく、軍人らしい返事をして、1歩前に出る。

 

「彼女がシーマ・ガラハウ中佐。ジオンに……いえ、ザビ家とその走狗となったアサクラ大佐の手により、本人も意図せずに大量虐殺者にされてしまった人物です。また、彼女の部隊はザビ家によって半ば強引にマハルというコロニーから人員を選出して作られた海兵隊で、その扱いは余りに非道としか言いようがありません」

 

 その言葉に、シーマは深々と一礼してから、後ろに下がっていく。

 普段のような口を利いていないシーマは、元々顔立ちが整っていることもあるし、この建国宣言の前に化粧をしたこともあり、間違いなく美女と呼ぶに相応しい容姿をしている。

 それこそ、この映像を見ている各国の者達が息を呑んでもおかしくないくらいには。

 そんなシーマに対して何も言わずに虐殺させたという事は、強い嫌悪感を抱かせるには十分な流れだろう。

 

「他にも、ジオンが行ってきた許されない行為はあります。……ケン・ビーダーシュタット少尉、こちらに」

「は!」

 

 次にシーマの代わりに呼び出されたのは、ケン。

 そして、ケンのいた場所のすぐ近くには、ケンの妻や娘の姿がある。

 他にも元コロニー公社に勤めていたケンの部下、もしくは仲間達の姿もそこにはある。

 

「彼は、つい少し前まで外人部隊という扱いを受けていました。実際には、元コロニー公社の人間で、非常に優秀だった為にジオン公国に目を付けられ、仕事としてやってきたジオン公国において、共にやってきた家族達を人質にとられ、ジオン軍として働くように強要されていたのです。……本来であれば、コロニー公社というのは第三者機関という扱いで、木星船団や宇宙引越公社と同じように戦争に巻き込むべきではない存在です。だというのに、ジオン軍は幸せに暮らしていた家族達を引き裂くような真似をしてまで、彼を……そして彼等を戦争に引き込んだのです。ましてや、引き込んだだけではなく、それこそ彼等を使い捨て同然に扱っていました。正規のジオン軍人からは馬鹿にされ、物資の補給もろくにされず……それでいて、激戦に放り込まれるような日々。そのような事が平然と行われる、それがジオン公国の……いえ、ザビ家の本性なのです」

 

 セイラの言葉と同時に、ケンが様々な感情の籠もった視線をカメラに……そしてこの映像を見ている連邦やジオン、それ以外のサイドの面々に向け、一礼してから下がっていく。

 

「また、ジオン公国は父ダイクンに共感し、慕ってくれた者達をダイクン派として弾圧してきました。私や兄を地球に脱出させてくれた、ジンバ・ラルもザビ家の手の者によって殺されています。それに……父、ジオン・ズム・ダイクンの死も、その後の行動で誰が一番利益を享受したのかを思えば、ザビ家の者の仕業であると疑わざるをえません」

 

 ジオン・ズム・ダイクンの暗殺については、誰もがそうだろうと予想しながらも、結局は誰が犯人なのかといった事を口にはしない。……いや、出来ない。

 現在のジオン公国を支配しているのがザビ家であり、ダイクン派の弾圧を見ている者であれば、それを口にした時に自分がどのような目に遭うのかは、それこそ考えるまでもないだろう。

 誰も口には出さないし、明確な証拠はない。それでも、誰がこの件で一番得をしたのかということを考えれば、それはザビ家以外に存在しないのだ。

 

「また、現在のザビ家が行っている独立戦争は、父ダイクンの目指したスペースノイドの自立ではなく、あくまでもサイド3のみが独立をする為のもので、その為にサイド3以外のスペースノイドに対して強い負担を強いています。私はジオン・ズム・ダイクンの子供として……何より、父ダイクンの提唱したニュータイプの1人として、そのような行為を見逃すことは出来ません」

 

 そう告げたセイラの言葉に、この場にいるルナ・ジオンの人間が驚いたのが理解出来る。

 ……まぁ、セイラがニュータイプとして覚醒したというのは、それこそ知っている者は少なかったからな。

 それが全世界に対して放送しているこの場で、自分がニュータイプだと認めたのだ。

 当然のように、その反応は大きくなるだろう。

 実際にはセイラがニュータイプとして覚醒したのは、あくまでも俺と接触したからなのだが。

 そのおかげで、ステータス的に言えばニュータイプレベルが7か8といったくらいの高レベルなニュータイプになっている筈だった。

 もっとも、今後そのニュータイプ能力がより上がるのかどうかというのは、俺には分からないが。

 俺のパターンから言えば、敵と戦って……いや、敵の命を奪う事によって経験値やPPが溜まり、レベルアップするなり、PPで強化していくなりといった事が出来る。

 だが、それはあくまでも俺の場合であって、少なくてもセイラがPPを弄るといった真似は無理だ。

 そうなると、レベルアップする必要があるのだが……まさか、ルナ・ジオンの女王となるセイラが戦場に出るというのは、少し無理がある。

 まぁ、シャドウミラー代表という立場にありながら、未知の世界に自分から飛び込むような真似をしてる俺が言っても、説得力はないのだが。

 

「今のザビ家を見すごせないと、私は今までそう思いつつも、実際には手を出す事は出来ませんでした。私と兄をサイド3から連れ出してくれたジンバ・ラルもザビ家の刺客によって既に亡く、兄……キャスバル・レム・ダイクンも姿を消してしまいました」

 

 実際にはシャアとして生き延びているのだが、その辺はまだセイラも口にはしないのだろう。

 

「そんな中で、私は運命の出会いをします。……アクセル代表、こちらへ」

 

 セイラに促され、俺は1歩前に出る。

 尚、今の俺の姿はこの世界のデフォ……ムウ・ラ・フラガとして有名になった10代半ばの姿ではなく、20代の姿となっている。

 俺の事を知ってる者であっても、まさか同一人物だとは思わないだろう。

 

「改めて紹介します。彼は、アクセル・アルマー。私が今回のような行動に出ることを決意した、最大の理由でもあります。……アクセル代表」

 

 セイラに促され、更に1歩前に出る。

 それと連動するかのように、セイラは1歩後ろに下がる。

 恐らく、今このUC世界の殆どの者が俺を見ているだろう。

 それは分かっているのだが、それでも俺は特に緊張した様子はなく、口を開く。

 

「アルテイシアから紹介があったが、俺の名はアクセル・アルマー。……一体どのような人物なのか、疑問を抱く者も多いだろう。それは当然だ。ジオン・ズム・ダイクンの子供たるアルテイシアに協力し、このような行為を行っているのだから。だから、率直に言わせて貰おう。俺はこの世界の人間ではない。こことは違う世界。異世界や平行世界といった場所からやってきた人間だ。文字通りの意味で、俺はこの世界の人間ではない」

 

 そう言い、いつものように右手を白炎に変えて炎獣を生み出す。

 数十匹の、小鳥やリス、子犬、子猫といった炎獣が周囲を走り回るのは、幻想的な光景と言えた。

 

「見ての通り、俺はこの世界に存在しない魔法というものを使う事が出来る。また、俺の国シャドウミラーはこの世界以外にも様々な世界と交流を持っており、異世界間同士での貿易も盛んだ。……そんな訳で、この世界に来た俺はふとした事でアルテイシアと出会い、その事情を理解し、協力する事にした。既に突撃機動軍の偵察部隊は俺達がいる場所がどのような場所なのかは分かっていると思うが、このような物をすぐに用意する事が出来るのは、この世界の人間にはまず無理だろう」

 

 実際にはこっちでも色々と準備はしていたのだが……それでも空間倉庫により、クレイドルがいきなり姿を現したというのは、この世界の人間にとっては、到底理解出来ない筈だった。

 

「さて、では俺の正体も知らせた事だし、場をアルテイシアに譲ろう」

 

 そう言い、俺が後ろに下がるとセイラが前に出る。

 

「ありがとうございます、アクセル代表。……そのような訳で、私はアクセル代表に協力して貰い、ザビ家によって不条理な目に遭っている者達や父ダイクンの協力者であった者達と協力し……」

 

 ここで一旦カメラはセイラの後ろに控えている者達を写す。

 ……これを見たジオン軍の連中は、絶対に驚いただろう。

 青い巨星に黒い三連星といった有名どころの姿があり、首都防衛大隊を率いて准将の地位にいるアンリの姿があり、ダグラスの姿があり……それ以外にも、少しは名の知れた者達が大勢集まっているのだから。

 

「ここに、真のジオン……ザビ家の独裁ではなく、スペースノイドの独立を勝ち取る為の新国家……ルナ・ジオンの建国を宣言します!」

 

 そんなセイラの言葉に合わせるように、他の者達が盛大に拍手をする。

 だが、その拍手もセイラが軽く手を一振りするのと同時に、静まった。

 

「ルナ・ジオン。その名を聞けば分かるでしょうが、このルナ・ジオンという国は月を領土とします。……勿論、現在月にはフォン・ブラウンを始めとして様々な月面都市があるでしょう。ですが、それらの月面都市には私達ルナ・ジオンに従って貰います。これから、グラナダ以外の月面都市や基地施設には、ルナ・ジオンとシャドウミラーの戦力が向かいますが、大人しく降伏するのであればザビ家と違って横暴な真似はしません。もっとも、占領行為そのものが横暴なものだと言われてしまえば、それまでですが」

 

 まぁ、いきなり月をルナ・ジオンが支配すると口に出したのだから、それこそこの放映を見ている者は驚くだろう。

 

「また、今も言った通り今日攻撃をするのは、あくまでもグラナダ以外の月面都市です。グラナダは……明日、こちらにいるシャドウミラーのアクセル代表が、1機だけで攻撃を行う事になります。また、グラナダにいるジオン軍の方々は安心して下さい。アクセル代表は出来るだけ人を殺さないようにしてくれるとの事ですので。……もっとも、あくまでも戦争である以上、場合によっては死ぬ可能性もあるかもしれません。アクセル代表が怖いのであれば、戦いを挑まず、素直に逃げる事をお勧めします」

 

 そう告げるセイラの言葉は、忠告……ではなく、これは忠告に見せかけた挑発だろう。

 まさか、こうして全世界に放送をしている状況で逃げろと言われ、それで実際に俺だけを相手にするのに逃げるような真似をするのであれば、それこそ大恥を掻く事になるのだから。

 

「それと、明日のグラナダ攻略戦に際しては、アクセル代表に随伴する撮影用の機体から中継しますので、シャドウミラーの力が……幾多もの世界の戦いを潜り抜けてきたその力がどのようなものなのか……存分に堪能するといいでしょう。また、ルナ・ジオンの後ろ盾となるシャドウミラーがどれだけの力を持っているのか……それをしっかりと把握した上で、後日改めてルナ・ジオンという国家として、色々と皆さんと交渉する事になるでしょう」

 

 その言葉を最後にハッキングは終了し、セイラの全世界に対するルナ・ジオンの建国宣言は終了するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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