転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2148話

 戦闘機を主体とした部隊を片付け、一旦クレイドルに戻る……なんて事をする訳もなく、そのままグラナダに向かう。

 こういう真似が出来るのも、やっぱりニーズヘッグの武器がビームだからだよな。

 エネルギーさえあれば、一切残弾の心配をしなくてもいいというのは、非常にありがたい。

 もしニーズヘッグの武器がザクマシンガンのような兵器だったら、残弾がなくなったら戻らないといけない。

 まぁ、俺の場合は空間倉庫があるから、その辺を心配しなくてもいいのだが。

 ともあれ、俺は戦場を立ち去ってグラナダに向かう。

 ニーズヘッグの側には、メギロートやバッタの姿もある。

 ……当然さっきの戦いも全世界に中継されていた以上、恐らく今頃はジオン軍、連邦軍問わず、ファントムを一体何だといった感じで騒いでいるだろう。

 もしくは、ラスボス感満載のニーズヘッグを見て、その姿に驚いているか。

 一応ホワイトスターや他の世界でも映像を見る事は出来るので、ニーズヘッグを知っている連中にしてみれば、いきなり尻尾が生えていた事に驚かれそうだが。

 そんな風に考えながら移動していると、やがてグラナダの姿が見えてきた。

 

「へぇ」

 

 グラナダを見て、思わず感心したような声を出す。

 何故なら、グラナダの外に大量のMSが存在したからだ。

 ……少し疑問なのは、もしこうしてグラナダの外で俺達を迎え撃つつもりだったなら、それこそさっきの待ち伏せ攻撃で無駄に戦力を使う必要はなかったのではないかという事だろう。

 どうなっている? 待ち伏せはキシリアの策の筈だ。

 そうなれば、こっちが誰かの暴走か?

 もしくは、その逆か。

 理由はともあれ、その行動が何らかの意味を持っているのは確実だ。

 果たして、誰が……一体何の為にこのような真似をしたのかは分からないが、それでも俺にとってこの状況は悪くないのは間違いない。

 少なくても、ビルの間とかからゲリラ化した兵士に狙われる……といった事は心配しなくていいのだから。

 それに考えてみれば、こうして正々堂々と攻撃してきてくれるのを、正面から撃破――当然殺さないが――するのが最善の選択なのは間違いない。

 俺の労力的にも、そしてこの中継を見ている者達の興味を惹くという意味でも。

 ともあれ……一応、オープンチャンネルで通信を入れる。

 ミノフスキー粒子は散布されているが、ここまで近づけばそこまで干渉もされないらしい。

 ……寧ろ、あっちが俺を待ち受けているのが、ちょっと驚きだが。

 

「一応忠告しておく。俺はこれからグラナダを制圧するが、邪魔をするようなら攻撃をする。こちらとそちらの戦力差は歴然としているのは、昨日の一件で既に理解しているだろう。大人しく降伏する事を勧める」

 

 そう、昨日行われた月面制圧作戦において、ジオン軍はそれはもう惨敗という表現がこれ以上ないくらいに負けた。

 フォン・ブラウンのような月面都市にも、戦力の類は殆どなく……マスドライバーも諸共に、これは既にこちらの制圧下に置かれている。

 とはいえ、こっちの兵士は量産型Wやメギロート、バッタといった風に自我の類が殆どない者達だ。

 そうである以上、例えば戦場ではよくある略奪や暴行といった事は、まず起こらない。

 それこそ、量産型Wに命令出来る者がそう命じれば話は別だが、シャドウミラーのメンバーの中にそのような者は存在しない。

 ……というか、そういう性格をしていればエヴァ辺りに生身の戦闘訓練でこれでもかとしごかれまくって、性根を鍛え直されるだろう。

 

『そちらの強さは理解している。また、こうして1人で姿を現した事からも、実力はあるのだろう。だが……我々はここで退くような無様を晒す訳にはいかんのだ!』

 

 そう言い、部隊の先頭に立っているザクは、手にしている武器をこちらに向けてくる。

 ……いや、あのザクは俺が知ってるザクと色々と違う場所があるな。S型でも、FS型でも、ましてやF型でもない。

 また、手にしている武器もヒートホークではなく、長剣の……ヒートサーベルとでも呼ぶべき武器だ。

 まさか、こっちがヒートロッドの尻尾をつけたところで、向こうにも同じように新型のヒート系の武器を持った敵が出てくるとはな。

 ザクがヒートホークを持っていた以上、当然ジオン軍ではヒート系の武装が研究されていてもおかしくはないし、ザクが恐らく新型か何かなのだと考えれば、あのヒートサーベルもまた新型と考えてもいいのだろう。

 正直なところ、かなり予想外の展開だった。

 とはいえ、こっちとしてはそのような相手が出てきてくれたのは嬉しいのだが。

 

「無様を晒す訳にはいかない、か。……だが、死んでしまっては意味がないと思うが?」

『生憎と、貴様1人を相手に負ける訳にはいかん! 私は、キシリア様の騎士なのだからな!』

 

 そう言いながら、ザクはヒートサーベルの切っ先をこっちに向けてくる。

 にしても、騎士か。ジオンにそういう制度があったのか? 一応ジオンにそれなりにいたが、そういう話を聞くような事は一切なかったんだが。

 

「騎士、か。まぁ、お前が何をどう言おうと、俺がやるべき事は変わらない。ただ、目の前にいる敵を倒すのみだ」

『キシリア様を守る為、ジオンの騎士ニムバス・シュターゼン、参る!』

 

 オープンチャンネルでそう叫ぶと同時に、男の……ニムバスの操る新型のザクと思しき機体は、真っ直ぐにニーズヘッグに向かって突っ込んでくる。

 当然ニムバス以外のMSも、俺の方に向かって突っ込んで来ている。

 だが、やはりニムバスがここを守っていた部隊の中でも隊長、もしくはエースなのだろう。

 新型機のザクは、明らかにS型と比べても動きは素早かった。

 ……とはいえ、難点がない訳でもない。色々と通常のザクと違う点はあるが、それでも大幅に違うというところまではいかない。

 そしてシャドウミラーの機体と違い、UC世界のMSは推進剤が必須となる。

 つまり、機体構造そのものがそこまで変わっていない状況で高い機動力を有するということは、それだけ推進剤の消耗も激しく、継戦能力に疑問符がつくということになる。

 もっとも、グラナダのすぐ側での戦いという事だから、その辺はそこまで心配する必要はないのかもしれないが。

 

「まずは、小手調べといこうか」

 

 呟き、腹部の拡散ビーム砲を発射する。

 放射状に拡散していくビーム砲。

 ……普通であれば、拡散ビーム砲というのは拡散しているだけあって威力は普通のビームと比べても格段に落ちてしまう。

 だが、それはあくまでも普通の機体の話であり……このニーズヘッグは違う。

 拡散された状態であっても、ブラックホールエンジンから供給されるエネルギーにより、通常のビームライフルよりも威力は上だ。

 もっともこのグラナダ攻略作戦では、出来るだけ相手を殺さないようにするという事になっている以上、こちらとしても拡散ビーム砲の威力をT-LINKシステムによって下げざるを得ないのだが。

 真っ直ぐに放たれたビームの数々は、ニムバスの操るザクに殺到する。

 それでも最初の数発は回避し、1発などはヒートサーベルを盾代わりに使って防いだというのは、賞賛に値する。

 とはいえ、結局1発防いだところで他にもまだ拡散されて大量に放たれたビームを防ぐことは出来ず、ニムバスのザクは次から次にビームを被弾し、右手、左手、右足、左足、更には頭部まで破壊され、結局ニーズヘッグとの距離を半分も詰める事は出来なかった。

 エース級と思われるニムバスがそんな状況である以上、当然のように他の者達も同様で……威力を落とした拡散ビーム砲数発で、気がつけばMS部隊は全滅してしまう。

 勿論全滅とはいっても、実際に命を落とした者はいない筈だった。

 その辺はかなり気を遣って攻撃したし。

 ぶっちゃけ、普通に撃破するだけであれば、ここまで苦労するような事もなかっただろう。

 にしても、ああまでして姿を現したニムバスだったが、こんな結果になるとはな。

 機体の性能差というのは、もの凄いものがあると、如実に証明してくれた形だ。

 

「諸行無常……いや、ちょっと違うか?」

 

 そんな風に呟きながらも、取りあえずここはグラナダのすぐ近くなのだから、何かあってもすぐに死ぬ事はないだろう。

 ……月面での戦いにも関わらず、パイロットスーツを着ていないような奴がいれば不味いかもしれないが、そんな無謀な奴の責任までは持てない。

 とはいえ、俺もパイロットスーツの類は着ていないのだが。

 ただ、俺の場合は生身の状態であっても宇宙空間で移動できるという事もあり、その辺は全く気にしなくてもいいのだが。

 一応コックピットで動きやすいように作られているとはいえ、それでもやっぱり生身の状態に比べると色々と動きにくいんだよな。

 そういう意味では、俺は恵まれていると言ってもいいだろう。

 戦いが始まってから数分と掛からずに終了した戦場に視線を一瞥してから、ニーズヘッグをグラナダに向かわせる。

 当然のように俺の後ろには、メギロートやバッタの姿がある。

 そして、今の戦い――と言ってもいいのかどうかは微妙だが――も当然のように全世界に放映されており、先の待ち伏せをしていた部隊との戦いも同時に全世界の者達が見ている。

 そう、それこそ全世界というくらいだから、グラナダの人間であっても。

 さて、今頃グラナダの中ではどのようになっているのやら。

 セイラが昨日ルナ・ジオンの建国宣言を行っただけであれば、グラナダの住人もそこまで俺達の動きに脅威を覚えるような事はなかっただろう。

 だが、その直後にグラナダ以外の全ての月面都市や基地といった場所がルナ・ジオン、そしてシャドウミラーによって、あっさりと制圧された。

 その戦闘に関しては今回のように情報を流したりはしていなかったので、グラナダの住人がそれを知ったのがいつなのかは分からないが。

 ともあれ、その件によって俺達は間違いなく強者で、やろうと思えば容易にグラナダを制圧出来るだけの力を持っているというのは、理解出来た筈だった。

 そんなところに、俺1人が攻めてきて、しかもグラナダを本拠地としている突撃機動軍の戦力は為す術もなくやられたのを見てしまったのだから……うん、士気が下がりまくっていてもおかしくはないな。

 いっそメギロートを通してグラナダに通信でも送ってやるか? と考えたが……そんな真似をすれば、かなり大きな騒動になりそうだな。

 ああ、いや。でも……俺が攻撃するのは、あくまでもグラナダを本拠地とする突撃機動軍であり、一般市民に攻撃を仕掛けるような真似は考えていない。

 それを知らせるだけでも、いらないパニックにはならないだろう。

 また、今までの映像では俺がこのニーズヘッグに乗っていると証明されていないので、場合によってはこの機体に乗っているのは俺ではなく、もっと別の、シャドウミラーの中でも腕利きのパイロットだと判断されかねない。

 そういう意味でも、一旦俺がきちんとこのニーズヘッグに乗っているというのを見せた方がいいのか。

 ……サイド7にいるアムロ辺りがこの映像を見たら、どういう風に感じるのやら。

 ああ、でもメリルがアムロに接触してる筈だよな。

 その進展次第では、一度サイド7に顔を出してみてもいいのかもしれない。

 とはいえ、今の俺はアムロが知っている俺ではなく、20代の姿だ。

 今の俺を見て、あの時の俺だと認識出来るかどうかは……正直、微妙なところだろう。

 何だかんだと、報告は聞いているものの、実際にサイド7には暫く行っていない。

 ルナ・ジオンの件が一段落したら、サイド7に顔を出してアムロをスカウトしてみるのも手だな。

 今度は前回会った時と違って、ルナ・ジオンやシャドウミラーといった後ろ盾がある。

 そうである以上、上手くすればスカウト出来る可能性も否定は出来ない。

 とはいえ、そうなればそうなったで、将来的に不味い事にもなりかねないんだよな。

 俺がセイラと接触した時に感じたのは、小惑星を地球に落とそうとするシャアと、それを止めようとしているアムロ。

 そしてアムロは、ほぼ間違いなく連邦軍の兵士だった筈だ。

 つまり、ここでアムロをルナ・ジオンやシャドウミラーに勧誘した場合、もしセイラの狙い通りにいかなかった場合、最悪小惑星が地球に落下する可能性は十分にあった。

 勿論俺達シャドウミラーの戦力があれば、小惑星を消滅させる事も可能だろうが……それでも保険的な事を考えれば、アムロは勧誘しない方がいい……のか?

 そんな風に悩みつつ、俺はグラナダに向かって一般市民は下手な抵抗をしない限り攻撃をしないと通信を送るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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