転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2156話

 俺は、映像モニタに映し出されている人物を見て、驚くと同時に納得の表情を浮かべる。

 

「いつか来るとは思っていたが、まさか本当に来るとはな。……しかも、自分だけじゃなくて、部下達も連れて」

『私も本来なら1人で行くつもりだった。だが、ケリィやカリウスを含めて、どうしても私と来ると、そう言われてはな』

 

 映像モニタの向こうで、ガトーは困ったような、それでいて少しだけだが嬉しそうな表情を浮かべる。

 ガトーにとっても、今回の件は予想外だったのだろう。

 とはいえ、部下達が一緒にルナ・ジオンに亡命するという選択をしたからこそ、ムサイ級でジオン軍を脱出出来たのだろうが。

 

「ともあれ、俺が言うのも何だが、今のルナ・ジオンには人手は幾らいても足りないからな。お前達を歓迎するよ。ただ……来たのはお前の部下達だけか? 家族の類は?」

『いる者もいれば、いない者もいる。全員がすぐに来られる訳ではないからな』

 

 そう言いながらも若干眉をしかめたのは、部下の家族が人質にされる可能性を理解しているからだろう。

 ジオン公国にしてみれば、そのような連中は絶好の人質となる可能性が高いのだから。

 とはいえ、人質に出来るというのと、実際に人質にするというのはイコールではない。

 ただでさえジオン公国はシャドウミラーに対しての印象が悪いのだから、実際に人質にすれば修復不可能な亀裂が生じてしまう。

 いやまぁ、こっちとしては、それはそれで構わないんだが。

 ただ、そうなるとジオン公国としては最悪の結果を迎える事になるし、何より人質がいるというのが分かっていれば、俺なら容易に助けられる。

 その上で、ガトーやその部下達のジオン公国、そしてザビ家に対する好感度がこれでもかと下がるのだ。

 ……俺の立場としては、ザビ家頑張れと思っても不思議ではない。

 

「そうか。取りあえず、クレイドルの宇宙港に入ってくれ。ただ……当然だが、少しの間は息苦しい生活になると思う。それでも大丈夫か?」

『無論だ。この国にやって来ると決めた時点で、そうなる事は予想していた。だからこそ、寧ろ何もない状態で私達を受け入れるといった真似をしないのであれば、信頼出来るというものだ』

 

 どうやら、ガトーは最初から自分達が疑われるというのは予想していたらしい。

 もっとも、普通に考えればその辺りがやっぱり不思議に思ってもおかしくはないのだが。

 

「そうか。分かっているならいい。ただ、物資的な意味で不自由な生活はさせないですむと思う。クレイドルの中では、空気や水に税金は掛からないしな」

『……本当か?』

 

 サイド3での……いや、コロニーでの生活を知っているガトーとしては、俺のその言葉を素直に信じる事は出来なかったのだろう。

 唖然とした様子で画面越しに俺の方を見つめてくる。

 いや、それはガトーだけではない。その後ろにいる部下達……ケリィとカリウスだったか。以前リリー・マルレーンにガトーが来た時に迎えに来た相手。その2人も、驚きの表情をこちらに向けていた。

 

「本当だ。基本的にクレイドルは、コロニーや月面都市とは根本的に違う技術で作られている。それこそ、文字通りの意味で異世界の技術を使ってな。だからこそ、重力とかも場所によって変わったりはしないし、循環系もほぼ完璧で、税金とかを取ったりする必要もない」

 

 まぁ、正確には意図的に重力を変えたりもするのだが。例えば、格納庫や倉庫のように重量物を運ぶ時とか、そういう時は無重力の方が便利なのは間違いない。

 税金の類も、メンテナンス費用とかそういうのが普通なら必要になってくるのだが……ルナ・ジオンの場合は、量産型Wやバッタ、メギロートといった存在がいるので、その辺りは特に気にしなくても問題はない。

 もっとも、メンテナンスに必要な部品やその他のコストは当然あるのだが……その辺りくらいは、わざわざ別途空気税とかそういうのを取らなくてもどうとでもなる。

 

『何と……』

 

 素晴らしい、と。そう呟くガトー。

 

『アクセル代表……と呼べばいいのか?』

「そうだな、そう呼んでくれ。少尉ってのは、もう関係ないし……そもそも、少尉はムウだしな」

『ふむ、月の大魔王と呼べばいいのかと迷いもしたのだが。では、アクセル代表と』

 

 ……どうやら、月の大魔王の異名はガトーにも届いていたらしい。

 いやまぁ、考えてみれば月で……グラナダで散々倒されたのは突撃機動軍なのだ。

 ジオン軍内部で敵対とまではいかなくても、対立関係にあった宇宙攻撃軍に俺の異名が広まってもおかしくはないだろう。

 ムウがどこからどうやってジオン軍に月の大魔王という異名を流したのかは、分からないが。

 それに、あの戦闘は当然のように宇宙攻撃軍の面々も生中継で見ていただろうから、月の大魔王という異名でも違和感はなかったんだろう。

 

「そうしてくれ。とにかく、クレイドルの宇宙港に入って待っていれば、すぐに担当の者が向かう筈だから、その指示に従ってくれ。ああ、それとガトーを含めた何人かは、セイラ……アルテイシアと会うことになると思う」

『なんと!? アルテイシア様に会えるのか!?』

 

 俺の言葉に驚きを露わにするガトー。

 ケリィやカリウスといった面々も、それは同様だ。

 ……とはいえ、この件は忠誠心を高めるという以外にも、セイラのニュータイプ能力で妙な事を考えていないかどうか、探るという目的もある。

 ガトーの部下である以上、そのような心配はいらないとは思う。

 それでも、もしかしたら……万が一の可能性を考えれば、やはりセイラに出て貰う必要があった。

 もっとも、今はまだルナ・ジオンの黎明期と呼ぶに相応しい時期だけに、そこまでやる必要があるが、いずれはその辺をどうにかする必要がある。

 これから先、クレイドルには続々と住人が増えていく筈であり、そうなれば当然のようにセイラだけで全員に会うといった真似は出来ない。

 そうなれば、ジオン公国や連邦のスパイだったり、破壊工作員だったり、そういう連中がルナ・ジオンに入らないとも限らないのだ。

 どうにかして、テロ対策を含めてその辺りを対処出来るようにしないとな。

 セイラのニュータイプ能力に頼り切りという訳にもいかないし。

 そもそもの話、ニュータイプ能力はそこまで完全な代物という訳でもない。

 体調によって能力が上下したりする、かなり不安定な能力なのだ。

 

「ああ。だから、余計な騒動を起こさないで、素直に従ってくれよ」

 

 そう言いつつも、恐らくガトーやその部下が余計な騒動といった真似をする筈がないというのは、俺にも理解出来ていた。

 部隊を率いているガトーが、これだけ生真面目である以上、当然ながらその部下達が妙な騒動を起こすという可能性は少ない。

 ……これが海兵隊やら、ラルの部下やら、黒い三連星やらなら、話は別だったかもしれないが。

 微妙に入っていてはいけない連中が入っていたりするが、取りあえずその辺は気にしない。

 

『うむ。では、早速宇宙港に入港するので、これで失礼させて貰う』

「ああ。……よく来てくれた。ガトー、俺はお前を、お前達を歓迎するよ」

 

 そう告げると、ガトーは笑みを浮かべた後で通信が切れる。

 そうして通信が切れた後は、少し離れた場所にいた人物に視線を向ける。

 

「そんな訳で、ガトー達を頼んだ」

「任せて下さい。アクセル代表がわざわざスカウトしてきた人達ですもの。特に問題はないと思います」

 

 そう言って笑みを浮かべたのは、元ダグラスの部下のジェーン。

 相変わらず艶っぽい笑みを浮かべているが、ジェーンにとってはそれが普通の笑みなんだよな。

 今回の一件は最初の投降者という事もあり、ジェーンが監督することになっていた。

 セイラを含めたルナ・ジオンの上層部も、それを理解しているからこそ、俺にガトーからの通信を回したのだろう。

 

「それにしても、アナベル・ガトーを味方に引き込むというのは、予想以上でしたね」

「そうか? まぁ、ジオン軍についてガトーが詳しい事を知れば、最終的にこうなったのは間違いないと思うけどな」

 

 軍人というよりは、武人と表現した方が相応しいガトーだ。

 当然ながらザビ家やジオン軍が裏でやっているような出来事を知ってしまえば、それに対して不快感を抱くのは当然だろう。

 ……もっとも、逆に言えばそれはルナ・ジオンがジオン公国と同じような真似をした場合は、ガトーがルナ・ジオンに対して愛想を尽かす可能性もあるのだが。

 そうである以上、ルナ・ジオンとしては妙な真似が出来なかったりもする。

 

「ふふっ、そうですね。でも、彼を引っ張ってきたのは、間違いなくアクセル代表です。……では、もう少しアクセル代表と話していたいところなのですが、彼等の対応に回らなければならないので、これで失礼しますね」

 

 そう言い、ジェーンは一礼すると去っていく。

 その後ろ姿を見送り、さて俺は今日からどうするかと迷う。

 ガトーが来たということは、そろそろゲラート辺りをルナ・ジオンに引っ張り込みたい気がしないでもない。

 ただ、問題なのはやっぱりゲラートが地球にいるという事なんだよな。

 ましてや、現在闇夜のフェンリル隊がどこで戦っているのかというのも、まだ分かっていないし。

 うーん、こうなると月だけではなく、地球にも拠点があった方がいいんだろうな。

 連邦と接触するにしても、宇宙ではルナツーとかサイド7とかに行く必要があるし、それで接触出来るのもそこまで上の人間ではなく、あくまでも現地の指揮官といったところだ。

 であれば、こちらとしてもわざわざ接触するのは面倒臭い。

 いやまぁ、現地指揮官でどうにでも判断出来る事なら、問題ないんだろうが……取り次ぎとか、そういう風になってくると、こっちとしても色々と面倒なのは間違いない。

 けど、地球上の拠点か。どうせなら、利益の大きい場所……資源が大量に眠っている場所とかがいいけど、そういう場所は当然ながら連邦もジオンも離したがらないしな。

 それに、大抵の資源はキブツを使えばあっさりと用意出来るという点で、そこまでこだわらなくてもいいような気がする。

 あ、でもまだ完全にシャドウミラーを信じ切れていないアンリなら、出来るだけシャドウミラーに頼らなくても自立していけるだけの体制を作りたいとは思っているだろうけど。

 そんな風に考えていると、不意に誰かが近づいてくるのが分かる。

 そうして姿を現したのは、予想外な事に……メイだった。

 ケン達と一緒にホワイトスターに一時期避難していたメイだったが、当然のようにルナ・ジオンの建国と同時にクレイドルに来ている。

 そんな訳で、別にここにいても不思議ではないのだが……

 

「どうした、メイ。そんなに興奮した様子で」

「ねぇ、アクセル。ジンをちょっと改修してもいい!? ちょっと面白い方法を思いついたんだけど!」

 

 俺の顔を見るなり、そんな事を言ってくるメイ。

 まぁ、MS好きというか、機械好きのメイだけに、この展開は予想出来ない訳ではなかった。

 

「あー……多分問題はないんじゃないか? ただ、一応技術班のレモン辺りに聞いてみてからにしてくれ」

 

 一応ジンは魔法球の中に生産設備があるので、多分問題はないと思う。

 だが、俺が許可しても、後で技術班や政治班辺りからクレームがくるという可能性は十分にある。

 そうである以上、こちらとしてもはいそうですかとは頷けない。

 ……シャドウミラーの代表だと言っても、結局その程度なんだよな。

 

「えー。そこはアクセルから何とかお願いしてよ。ね? ね? お願い。そうしたら、ジンの性能を上げる改修をしてあげるから!」

「メイの言いたい事も分からないわけじゃないけど、ジンはジンのままでいいんだよ。1機や2機ならともかく、設計から根本を変えるなんて真似をすれば、色々と問題になるし」

「えー……」

 

 俺の言葉に、これでもかと不満そうな様子を示すメイ。

 だが、実際に性能が高いMSが決して良いという訳でもない。

 例えば、このUC世界だ。

 ザクはかなり性能が高く、ジンやストライクダガーと基本性能の点は比べものにならないくらい高いが、あくまでもMSが活躍し始めたばかりだ。

 そうである以上、もしシャドウミラーが高性能の機体……それこそシャドウとかを思う存分投入するような真似をすれば、当然のようにその世界の者達はシャドウミラーの機体を分析し、それを参考にして兵器を開発していく可能性がある。

 つまり、その世界独自の技術が失われてしまう可能性が高いのだ。

 そうである以上、こちらとしてはそう簡単にメイの願いを叶える訳にはいかない。

 ……1機か2機程度なら、特に構わないとは思うんだが。

 ともあれ、俺は何とかメイを宥めるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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