転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2161話

「へぇ……こうして見ると、UC世界の地球も随分と自然は豊かなんだな」

「当然だろう。その為に、多くの人間を宇宙に上げたんだからな。もしこの状況で地球環境の悪化に歯止めが掛からなければ、それこそ宇宙世紀になってからの日々は何だったのかという事になる」

 

 そう言うのは、輸送機で俺の隣に乗っているラル。

 尚、この輸送機自体はW世界で俺がOZから奪った輸送機で、性能に関しては間違いない。

 いやまぁ、あくまでも輸送機としての性能は、だが。

 少なくても多人数を運ぶのには問題ないし、これから迎えに行く連中を運ぶのにも問題はない。

 

「なぁ、アクセル。私が来る必要はあったのか? 護衛なら、それこそ円や美砂を連れてくれば……」

 

 俺の隣でそう言ったのは、スレイ。

 実働班から、護衛というか、何かあった時の為に連れてきたのだ。

 スレイは何気にストイックに自分を鍛えているので、生身での戦闘では円達に及ばずとも、相応に使える。

 魔法や気、魔力なんかを含めれば、このUC世界の人間が生身で勝つのはまず不可能だろう。

 それこそ、銃とかを持ってきてもスレイに勝つのはまず不可能に近い。

 

「何かあった時の為に、人手は必要だろ。それがスレイだったのは……まぁ、そういう気分だからだ」

 

 正確には昨夜のスレイが可愛かったからというのが理由にあるのだが、まさかここでそのような事を言う訳にもいかないだろう。

 言えばスレイは間違いなく照れるだろうし、ラルはどう反応すればいいのか迷う筈だ。

 ……それはそれで、ちょっと見てみたい気がしないでもないが。

 

「わざわざ私を連れてくるというのは……正直、アクセルが1人いれば大抵は何とか出来るだろうに」

「それは否定しない。ただ、何をするにしても人手が必要な時はあるしな」

 

 実際、俺だけで何とかしろと言われても、幾つもの人手が必要な場合はどうにもならない。

 いや、影の転移魔法があるんだから、何とかしようと思えば出来るかもしれないが……それでも、色々と無理があるのは間違いない。

 一応量産型Wやコバッタもある程度連れてきているが、それを指示する人物というのは、必須だ。

 

「それを言うなら、儂は……いや、そこまで聞くまでもないか」

 

 ラルが俺の言葉にそう言い、自分で納得した様子を見せる。

 実際、ラルがここにいるのは接触してきた相手が相手だから。

 向こうにしても、自分の親友たるラルが一緒に迎えに来た方が、色々と警戒しないですむだろう。

 ……そう、闇夜のフェンリル隊のゲラートが。

 グラナダを貸す代金として、ハワイを手に入れたルナ・ジオンだったが……正直なところ、地球降下作戦において接触したゲラート率いる闇夜のフェンリル隊が、ここまで素早く接触してくるとは、思ってもいなかった。

 ……いや、別にそこまで素早いって訳でもないか。もうルナ・ジオンの建国を宣言してからある程度時間が経ってるんだし。

 だが、それでも俺は素早いと表現したい。

 闇夜のフェンリル隊に、ハワイがルナ・ジオンに譲渡されたと知らされたのは、そんなに前の事ではない筈だ。

 にも関わらず、こうして接触してきたのを思えば、やはりというか、当然と言うか、かなりの速度だと思われる。

 

「良かったな」

「……ふん」

 

 ラルが俺の言葉に鼻を鳴らして、視線を輸送機の窓に向ける。

 いかにもな照れ隠しだな。

 ……ハモンは、こういうところに惹かれたのかもしれない。

 そんな風に思いつつ、折角なので俺はスレイと2人だけの甘い時間をすごす。

 もっとも、ゲラートが指示してきた場所はハワイからそんなに離れている訳ではない以上、そんなに甘い時間を楽しむ訳にもいかなかったが。

 それに、俺の恋人達と一緒ならともかく、スレイとラルは顔を合わせた事はあるが、その程度の関係でしかない。

 知人と友人では、明らかに知人よりだろう。

 そんな状況の中、スレイの性格で俺とイチャつくような真似が出来る筈もない。

 まぁ、今回の一件でスレイを連れてきたのは、ラルとの関係をもっと気楽なものにするという思いもあったのだが。

 シャドウミラーとルナ・ジオンは、お互いが協力関係にある。

 実際にはルナ・ジオンが保護国という形を取っている以上、立場的にはシャドウミラーの方が上なのだが、こっちにとってもルナ・ジオンというのはUC世界において大事な場所となるのは間違いない。

 だからこそ、近いうちに機動要塞の類を運んでくる予定になっているのだし、量産型W、メギロート、バッタ、コバッタといった人手……人手? まぁ、取りあえず人手と認識するとし、それらを用意もしてるのだ。

 そうである以上、こちらとしては友好的に接するに越した事はない。

 勿論今が険悪な状況という訳ではないが、それでもやはりあまり接する事がない者達を接触させてみるというのは、悪くない話の筈だった。

 とはいえ、そっちはあくまでもおまけ。

 今日のメインイベントは、やっぱり……

 

「アクセル代表、目的地に到着しました」

 

 輸送機を操縦していた量産型Wからの報告に、いよいよかという思いがある。

 

「分かった、着地してくれ」

「了解しました」

 

 その言葉と共に、輸送機は地上に向かって降下していく。

 すると、連邦軍が放棄した基地が見えてくる。

 連邦軍が放棄はしたのだが、だからといって地理的な問題でジオン軍としても占領する必要性を感じさせなかった、そんな基地。

 そのような基地だけに、手入れの類もそこまでしっかりされている訳ではない。

 だが、それでも輸送機が着陸するだけなら全く何の問題もない。

 

「へぇ」

 

 窓から基地を眺めていた俺は、思わずといった様子で声を上げる。

 そんな俺の声に遅れる事、数秒。スレイがまずその存在に気が付き、続いてラルも気が付く。

 そう、基地の周辺にカモフラージュされたMSが待機していたり、生身の人間が潜んでいたりといった様子を。

 混沌精霊で五感が他人とは比べものにならない俺は例外として、本来であればスレイよりもラルの方がその辺りについては素早く気が付いてもおかしくはない筈だった。

 それでもスレイの方が先に気が付いたのは、やはりそれだけ実戦経験が豊富で、何より魔力や気によって俺程ではないにしろ、常人よりも鋭い五感を持っているからこそだろう。

 

「ふむ、ゲラートらしい」

 

 ラルの呟きには、感心した色がある。

 ゲラートにしてみれば、これは別に俺達を騙し討ちする為のものではなく、いざという時の対処の為なのだろう。

 実際、ゲラート率いる闇夜のフェンリル隊は、ジオン軍を脱走してルナ・ジオンに合流しようとしているのだから。

 しかも、この様子を見ればMSを奪っての脱走だ。

 ジオン軍にしてみれば、追っ手を放ってもおかしくはない。

 そんな状況である以上、ゲラート率いる闇夜のフェンリル隊がこうして周囲を警戒するのも当然だろう。

 

「一応言っておくけど、向こうがこっちに攻撃してきたら、こっちも反撃はするぞ?」

「それは当然だろう」

 

 俺の言葉にラルが頷き……それと同時に、輸送機は着陸態勢に入る。

 ……まぁ、ぶっちゃけた話、この状況でもし輸送機が破壊されても、俺もスレイも……それどころか、量産型Wですら死ぬようなことはない。

 普通に地面に着地するだろう。

 そういう意味では、この場で一番危険なのはラルだけだったりするのだが……結局俺が想像したような騒動は起きることもなく、無事に輸送機は地面に着地する。

 そして輸送機が止まり、俺達がそこから降りると……

 

「ラル!」

 

 不意にそんな声が周囲に響く。

 声のした方を見ると、そこにいたのはジープ……軍用車でこちらに向かってくるゲラートの姿。

 助手席に乗ったゲラートが、輸送機から降りてきた俺達……いや、ラルを見て嬉しそうに手を振っている。

 ラルの方も、久しぶりに親友の顔を見てほっとしたのか、珍しく嬉しそうに笑っていた。

 そうしてジープが止まると、ゲラートはすぐに降りてきて、ラルもまたそちらに足早に近づいていく。

 よく見れば、ジープを運転していたのは俺とも顔見知りのニッキだった。

 そのニッキは、ジープから降りると俺の方に近づいてくる。

 ただ、その視線は俺の横にいるスレイに向けられていた。

 まぁ、スレイの美貌を思えば、ニッキの態度も分からないではないけど。

 

「ムウ、お前が迎えにきたのか!」

「……ムウ?」

 

 ニッキの口から出たムウという言葉に、スレイは訝しげな視線を俺に向ける。

 だが、すぐに俺がジオン軍に所属していた時はムウの名前を使っていたのを思い出したのか、スレイの視線に若干呆れの色が混じる。

 

「あー……アクセルな。アクセル・アルマー。ムウ・ラ・フラガってのは、偽名だ」

「は? アクセル? それって……いや、けど……」

 

 戸惑っているニッキ。

 当然のように、ニッキもルナ・ジオンの建国宣言や、何よりグラナダの攻略作戦についての中継は見たのだろう。

 もっとも、そこに映っていたアクセルと今の俺では、年齢的に明らかに違う。

 だからこそニッキも、俺を見てアクセル? と首を傾げているのだろう。

 だが、その辺には迂闊に触らず、話題を変える。

 

「以前会った時に比べると、随分と精悍になったな」

「……ん? そうか?」

 

 話題が変わった事については、若干違和感を持ったらしいが、今は特に気にした様子を見せずにこちらの話に付き合ってくる。

 

「ああ。それだけ、濃い経験をしたんだろうな」

「……そうだな」

 

 ん? 俺の言葉に喜ぶのかと思ったが、ニッキの様子を見る限りではそこまで喜んでいるようには思えない。

 

「どうした?」

「いや。……ああ、まぁ、ムウ……いや、アクセルか。アクセルが言うように、色々と濃い経験をしたのは間違いないよ。ただ、ちょっとその……」

 

 口籠もった様子を見て、何となく何を言いたいのかを理解する。

 恐らく、いや、確実に戦争で嫌な思いをしたのだろう。

 戦争というのは、どうしてもそういう一面がある。……いや、寧ろそういう一面が強いからこそ、どうにかして兵士達にそういう思いをさせないようにして、エースとかを持ち上げたりといった真似をするのだろう。

 とはいえ、それで完全に誤魔化せるかと言えば、そうでもない。

 その辺りは、結局人それぞれが自分で乗り越えていく必要があるのだ。

 そういう意味では、シャドウミラーの面々は……そして、ルナ・ジオンの多くにしても、既に乗り越えている。

 闇夜のフェンリル隊も、特殊部隊という形である以上、その辺を乗り越えている奴も多いと思うんだが。

 単純に、ニッキが新人だっただけって可能性もあるが。

 ともあれ、ニッキの気分を明るくさせる為に、俺は再度話題を変える。

 

「そう言えば、ルナ・ジオンの地球での拠点はハワイになったんだが、行った事あるか?」

「ある訳ないだろ。何だって行った事があるなんて思ったんだ?」

「いや、だって俺達が譲渡されるまで、ハワイはジオン軍の領土だったんだし」

 

 そう言われ、なるほどといった様子で頷くニッキ。

 ただ、ニッキにしてみればハワイをジオン軍が領土としていても、それで自分達がバカンスを楽しめるかと言われれば、否なのだろう。

 特殊部隊だけに、激戦の連続だったのは予想するのも難しくはない。

 

「おい、アクセル!」

 

 ニッキと話していると、ラルが俺をそう呼んでくる。

 

「悪いな、俺はちょっとラルと話があるから、スレイはニッキの相手を頼む」

「ふむ、私がか? まぁ、構わないが……」

「え? ちょっ、おい、アクセル!?」

 

 ニッキをスレイに任せ、その場を後にする。

 ……ニッキがどうスレイに反応するのか少し気になるが、今はそれよりもこっちの事情を早く何とかしないとな。

 

「それで、どうした?」

「いや、ゲラートの奴がどうしてもアクセルに聞きたい事があると言ってな」

「……聞きたい事? 何だ?」

「アクセル……アクセル・アルマーか。なるほど、建国宣言の時は魔法を使っていたが……」

 

 ゲラートが俺を見ながら、そんな風に呟く。

 へぇ、どうやら俺の事がしっかりと分かったらしい。

 その辺りは、ゲラートの様子を見る限りではラルから聞いたような様子もなかった。

 つまりこれは、ゲラートが自分の頭だけで俺の正体に辿り着いたのだろう。

 まぁ、そこまで大袈裟なものでもないんだから、別におかしくはないのだが。

 

「それが聞きたかったのか?」

「いや、違う。以前話した内容についてだ。……俺の眼が治るという話だったが?」

 

 その言葉に、俺がゲラートと話した時の事を思い出す。

 そう言えば、あの時は眼を治すって話をしたな。

 

「ああ、間違いなくルナ・ジオンに来れば眼は治る。治すのはルナ・ジオンじゃなくて、シャドウミラーだけどな」

 

 その言葉に、ゲラートは安堵の息を吐くのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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