転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2162話

「おお……これが……」

 

 ゲラートが、ホワイトスターにある治療ポッドを見て、感嘆の声を上げる。

 俺もジオンで1ヶ月ちょっと生活したが、ジオンの中ではこういう治療ポッドを使っている様子はなかった。

 いやまぁ、俺が行った事のある場所なんて本当に狭い場所だけだから、もしかしたらどこかにはこういう施設があるのかもしれないが……ともあれ、ジオン公国の持つ技術とシャドウミラーが持つ技術のどちらが上なのかというのは、それこそ考えるまでもない。

 

「じゃあ、早速だけど……これに着替えてきてくれる?」

 

 治療ポッドに目を奪われていたゲラートに、レモンがそう言いながら服を渡す。

 以前このポッドの中に入っているのを何人か見た事があるが、その連中もこの服を着ていたな。

 そもそも治療ポッドと表現しているが、実際これは量産型Wとかを作る為に使われている物だ。

 いやまぁ、普通に治療目的にも使えるから、治療ポッドという名称は決して間違っている訳でもないのだが。

 

「む? これは?」

「この中に入る時に着る服よ。まさか、素っ裸で入る訳にはいかないでしょ? いえ、貴方はいいのかもしれないけど、私はアクセル以外の男の裸なんて見たくないもの」

「ほう」

 

 レモンの言葉に、ゲラートは笑みを浮かべて俺に視線を向けてくる。

 レモンが何を暗に言っていたのか、その理由を理解したのだろう。

 いや、別に隠すような事は何もないんだけどな。

 ともあれ、ゲラートはその服を持って装置の陰で着替える。

 

「サイテー」

 

 ボソリと小さく呟いたのは、ゲラートの付き添いとしてやってきたシャルロッテだ。

 ニッキと共に、俺と面識のある人物。

 そのシャルロッテは、当然レモンが何を言いたいのかを理解し、頬を赤く染めながら俺に軽蔑の視線を向けていた。

 軍人なら、その手の事に慣れていてもいいと思うんだが。

 いや、闇夜のフェンリル隊は特殊部隊という事で、他の部隊と関わる事はそんなに多くはなかったらしい。

 そう考えると、言ってみれば極めて少ない人数で固まっていただけに、そういう風にからかわれたりする事もなかった……という可能性は十分にある。

 

「あら、そう? でも……アクセルって、夜は凄いのよ? それこそ、一晩中可愛がってくれるんだから」

 

 シャルロッテがそっち方面に疎いのは、レモンからでも理解出来たのだろう。明らかにからかうように……それでいて、俺から見てもそういう気分になる艶やかな笑みを浮かべ、そう告げる。

 そんなレモンの顔を見たシャルロッテは、それこそ顔を真っ赤に染めて……

 

「あー、その辺にしておいてくれないか。シャルロッテ少尉は、そういう冗談には慣れていないんだ」

 

 施術服――という表現が正しいのかどうかは分からないが――に着替えたゲラートが、そう言いながら姿を現す。

 まぁ、施術服とは言っても、そんなに特別なものではない。

 病人が着るような服と考えれば、パジャマとかナイトガウンとか、そういう感じの服だ。

 

「ゲラート隊長! 私は別に……」

 

 シャルロッテが何か言おうとするが、それよりも前に扉が軽くノックされる。

 

「少しいいか?」

「……ラル、お前は忙しい筈だろうに。来てもいいのか?」

 

 そう言いながらも、姿を現したラルに、ゲラートは嬉しそうだ。

 まぁ、普通に考えて見舞いに来てくれた親友に喜ばない訳がないか。

 

「ああ。姫様とハモンから強制的に3時間程休めと言われてな」

「……そうか」

 

 ラルの言葉に、嬉しそうにそれだけを言うゲラート。

 何だかんだと、この2人は似たもの同士なんだよな。

 だからこそ、ゲラートもセイラに協力しようという風に思ったんだろうし。

 もっとも、自分の眼を治せるという事にも当然のように惹かれたのは間違いないだろうが。

 

「ここで治療が終われば、俺はまたMSで前線にでる。そうなれば、青い巨星もロートルかと言われるかもな」

「ぬかせ。もっとも、青い巨星は所詮ジオン公国が付けた異名だ。今更、そこまで気にしてはおらんよ。もっとも、通りが良すぎて今更使うのを止める訳にもいかんのだが」

 

 そんな会話を交わす2人。

 まさに親友という言葉が相応しいその様子に、俺は何となくシャルロッテに視線を向ける。

 シャルロッテにしてみれば、自分達の隊長が自分を放っておいてラルと楽しく話しているのだ。

 もしかしたら、機嫌が悪くなっているのではないか。

 そんな風に思いつつの視線だったが……幸いにも、シャルロッテは特に気にした様子はない。

 

「……何よ?」

「いや、何でもない。それより、数日はゲラートと会えなくなるんだから、もうちょっと別れを惜しんでいてもよかったんだぞ?」

「あのね、別にそこまで心配するような事じゃないんでしょ? まぁ、ジオン……いえ、ジオン公国でも治せない眼を治せるのは、凄いと思うけど」

 

 ジオンと言い掛け、それでジオン公国と言い直したのは、ルナ・ジオンもジオンだからだろう。

 いや、ジオンという国の正統性を考えると、ルナ・ジオンこそが真の意味でジオンの名を継ぐに相応しい国家となる。

 だが、それはあくまでも事情を知ってる者であればの話だし、普通に考えればルナ・ジオンとジオン公国という風に、ジオンの名がつく国――正式には、まだルナ・ジオンは国として認められてはいないが――が2つあるというのは色々と面倒なのは間違いない。

 そういう意味では、ジオン公国には早めに消えて貰いたいところだが……さて、どうだろうな。

 ルナ・ジオンとしてはジオン公国がいるからこそ、連邦と交渉をするという選択肢が残ってはいる。

 もっとも、ルナ・ジオンの……そしてシャドウミラーの力を見せつけた以上、連邦軍といえども迂闊に月を攻めるような真似は出来なくなっただろうが。

 

「ルナ・ジオンの軍部のトップの、アンリを知っているか?」

「え? ええ、当然でしょ。これからは私達の上官にもなるんだから」

「そうか。なら、そのアンリがジオン公国軍時代に率いていた首都防衛大隊については?」

「その辺はあんまり。こっちも色々と忙しかったし、話題になるような部隊でもなければ、その辺の情報は入ってこなかったのよ。特に私たちは特殊部隊ということで、普通の軍とはある程度切り離されていたし」

「そうか。とにかく、そのアンリが率いていた部隊は、いわゆる戦傷兵の部隊だ。手足の一本がなかったり、片眼が見えなくなっていたりといったようにな」

 

 そこまで言えば、シャルロッテも俺が何を言いたいのか理解したのだろう。思わずと言った様子で息を呑む。

 

「ちょっと、もしかして……」

「正解」

 

 シャルロッテにそう言ったのは、俺ではなくレモン。

 ラルとゲラートの会話に飽きて、こっちにやって来たのだろう。

 

「元首都防衛大隊の人達は、全員が今では健康体に戻って普通にルナ・ジオンのMSパイロットとして働いてるわよ?」

 

 そう言いながらもレモンが苦笑を浮かべているのは、レモンに治療して貰ったパイロット達の多くが、レモンに過剰なまでの感謝をしているからだろう。

 正直、見ている方にしてみれば、宗教か何かか? と思ってしまう程の感謝の仕方だった。

 ちなみに、俺自身は宗教というものが好きになれず、胡散臭いものを感じてはいるが、別にシャドウミラーで宗教は禁止されていない。

 ……というか、エルフ達にしてみれば、混沌精霊の俺が神みたいなものらしいしな。

 俺が宗教に対して思うところがあると知ってからは、あからさまに俺を拝んできたりといった真似をしなくなったが。

 ともあれ、そんなエルフ達以外であっても、宗教は自由に信仰出来る。

 もっとも、俺自身はそちらに興味も何もないんだが。

 

「なんだ、じゃあもう治療した経験はあるんだ」

 

 ほっと安堵した様子のシャルロッテ。

 自分達の信頼する隊長の治療に前例があると知って安堵しているのだろう。

 

「シャドウミラーの治療技術はかなりレベルが高いからな。今までも他の世界では治療不可能な人間を何度も治療してきた実績があるぞ」

 

 アウル達やレイ、フィリオ、星刻といった面々がそれだ。

 そういう意味では、既に慣れた作業とも言える。

 それにマブラヴ世界の治療技術を入手したおかげで、以前よりも治療技術そのものは上がってるしな。

 

「アクセル、そろそろ頼む」

 

 そんな風に話していた俺達だったが、ゲラートとの話を終えたのか、ラルが俺に向かってそう言ってくる。

 

「分かった。レモン」

「ええ。……じゃあ、治療ポッドに入ってくれる? 昨日も説明したけど、一応繰り返して説明しておくと、治療ポッドの中に入ると、そのポッドの中はとある液体で満たされるわ。もっとも、すぐに眠ってしまうでしょうから、その辺りは気にしなくてもいいでしょうね。後は、明日にでも起きればもう治療は完了してる筈よ」

「……そんなに簡単に治療が出来ると言われてしまうと、微妙な気持ちになってしまうな」

 

 ゲラートの言葉も、理解出来ない訳ではない。

 戦傷を負った後で、当然のようにゲラートは治療をしようと病院に行っただろう。

 当然ただ病院に行くのではなく、治療の為に出来る手段は限りなく使った筈だ。

 それでも結局どうにも出来なかったのは、今のゲラートの状態が示している。

 だが、そんなゲラートの怪我を呆気なく治すと言うのだから、その事にゲラートが若干思うところがあってもおかしくはない。

 

「その気持ちは分からないでもないが、まずは何をするにしても怪我を治療するのが先だろう」

 

 ラルのその言葉に微妙な表情を浮かべ……それでも、結局のところはその言葉が正しいと知っているからか、ゲラートは大人しく治療ポッドの中に入り、治療が開始される。

 もっとも、治療と言っても手術とかそういうのはやる必要がなく、先程レモンが説明した通りゲラートの入っている治療ポッドに回復の為の液体が満たされていき……後はもう、治療が終わるまでじっと待つだけなのだが。

 

「さて、取りあえずこれで治療は終わった……俺達に出来る事は終わったけど、これからどうする? 折角ホワイトスターに来たんだし、色々と案内するか?」

「えっと……」

 

 俺の言葉に少し迷った様子のシャルロッテだったが、レモンの方を見るとすぐに首を横に振ってくる。

 

「ううん、止めておく。アクセルと一緒だと、身の危険を感じるし」

「どういう意味だよ」

「自分の胸に聞いてみなさい」

 

 そう言うと、シャルロッテは近くにいた量産型Wと一緒に部屋から出ていった。

 

「では、儂もこれで失礼させて貰う。ゲラートが治療に入った以上、もうここで出来る事はないからな。それに、仕事も残っているし」

 

 ルナ・ジオンの幹部という扱いになっているラルは、当然のように幾つもの仕事を抱えている。

 ……それでもあくまで自分は軍人であるという風に考えているからか、政治家達よりはよほどマシなのだが。

 ちなみに、この政治家達……アンリの連れてきた連中もそれなりの数がいるのだが、秘書兼護衛としてついている量産型Wやコバッタ辺りが何か不審な行動を取れば、すぐに反応するので、不正の類は全く出来ない。

 そんな状況だったので、ルナ・ジオンに来たのを後悔しているのかと思いきや……意外にも、結構満足しているらしい。

 やっぱりコロニーの中とは違って北海道以上の大きさを持つというのが大きいし、食料の類もコロニーで食べる物よりも基本的には美味く、健康を害さない限り幾らでも食べられるというのが大きいらしい。

 もっとも、それは働いているからそこまで優遇されてるのであって、マハルからやって来た奴の中には、どうしても勤労意欲がないような奴もいる。

 そういう奴に配給されるのは、マブラヴ世界の合成食。それもシャドウミラーやマクロス世界の協力で美味くなった代物ではなく、在庫が大量に存在する、とてつもなく不味い代物だ。

 それを食うくらいならと、勤労意欲のない連中も大部分が働き始めた。

 中にはマハルに住んでいた時の感覚で他人から奪おうとした奴もいたのだが……量産型Wやバッタ、コバッタがいる状況でそんな真似をすれば、即座に取り押さえられる事になるのは確実だった。

 そういう連中は、今頃不味い合成食を手に農業に励んでいるだろう。

 農業で美味い野菜を作らなければ、マブラヴ世界の合成食しかないんだから、農家を得るという意味で、大きい。

 ……問題なのは、合成食でも問題なく食べられるという奴だ。

 あの不味い合成食を、よくまぁ……と思わないでもないのだが。

 ただ、配給はいずれ終わるので、そうなれば合成食で満足している連中も働くことになる……と、そう思いたい。

 そう言えば、近々地球やコロニーに対して、ルナ・ジオンへの移住希望者を募集するとか何とか言ってたな。

 これでルナ・ジオンの国民が増えればいいんだけど。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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