転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2164話

 その報告があったのは、クレイドルに対する移住希望者についての対応をアンリと話し合ってアイディアを出し、それをセイラを始めとするルナ・ジオンの上層部によって決まってから数日後の事だった。

 

「……本当なのか、その情報?」

「間違いない。連邦軍とジオン軍が月からそう離れていない場所で遭遇し、戦闘になった。いや、それだけなら何も問題はないのだが、戦闘宙域が徐々に月に近づいてきている」

 

 ホワイトスターでの治療を終えたゲラートが、そう言ってくる。

 眼は既に完全に回復しており、今では闇夜のフェンリル隊を率いてブランクを取り戻すかのように、模擬戦を繰り返していた。

 もっとも、乗っている機体はシグーなのだが。

 どうしてもザクに比べれば性能の劣るシグーだが、それでも純粋な性能ではジンやストライクダガーよりも上だ。

 その意匠も、隊長やエースが乗るに相応しい。

 とはいえ、性能で劣っている以上は技量で補う必要もあるのだが……予想外な事に、ゲラートに関わらずシャドウミラー製のMSを乗っている者達は、ダラニを使う事によって、機体の性能を上げる事に成功していた。

 いやまぁ、上がるのはあくまでも機動力であって、運動性とかはどうしてもザクに劣るし、何より動力炉の問題で出力ではどうしてもザクに劣ってしまうのだが。

 いっその事、ジン、シグー、ストライクダガーといった機体に、UC世界の核融合炉を積み込めないかという話すらも出ている。

 同じ核融合炉なら、別にUC世界のものではなく、W世界の核融合炉でもいいのではないかと思ったのだが……やっぱり、慣れている技術の方がいいらしい。

 いやまぁ、その辺の気持ちは分からないでもないが……ともあれ、そのうち技術班の誰かがお遊びとして作ってくれる事を期待しよう。

 

「どうする? 出撃するか?」

 

 ガイアの言葉に、ルナ・ジオンの軍事を司るアンリは悩んだ表情を浮かべる。

 出来れば、今の状況でジオン公国と連邦の両方と諍いを起こしたくないと考えているのだろう。

 

「アクセル、お前はどう思う? 一応相談役としてここにいるんだから、何か意見はないのか?」

 

 オルテガの言葉に、ルナ・ジオンの主要メンバーが俺に視線を向けてくる。

 そう、本来なら俺がここにいる必要はないのだが、何故俺がクレイドルにある行政府にして、セイラの住居たる城にいるのかと聞かれれば、それは俺が助言役、いわゆるアドバイザーだからこそだろう。

 UC世界の事についてはともかく、このクレイドルはセイラ達にとっても、まだ完全にその制御を把握した訳ではない。

 今のところは、基本的に量産型Wやコバッタが重力、空気、人工太陽……その他諸々の制御を行っている。

 もう少し時間が経てば、クレイドルの人間がその辺りも自分達でどうにか出来るようにはなるんだろうが……その辺り具体的にいつになる事やら。

 ともあれ、現在のところはそんな感じなので何かあった時にアドバイス出来る人材として、俺が派遣されている訳だ。

 まぁ、技術的な事を言われても俺にはある程度……本当にある程度までしか分からないので、それを思えば俺がいる意味はないと思うかもしれない。

 だが、実際には技術的な問題の他にもルナ・ジオンという国について色々とアドバイスが必要だったりする訳で……そして何か手に負えない問題が起きた時、影のゲートを使える俺という存在は、これ以上ないくらい便利だ。

 もっとも、ルナ・ジオンについてアドバイスをするという意味では、俺よりも政治班の面々の方が十分に役立つ訳で……何だかんだと、政治班からは日替わりで毎日1人ずつ来ている。

 ちなみに、今日政治班からやって来てるのはあやかだ。

 

「そうだな、俺の意見を言うのなら……今回の一件は面倒でもあるが、同時にチャンスでもある」

「は? どういう意味だ?」

 

 オルテガが意味が分からないといった様子で告げてくるが、まぁ、その気持ちは分からないでもない。

 

「簡単に言えば、こうして月が危機になる可能性が示唆されたんだから、堂々とそれを防ぐ意味でも、月の周囲に各種機動要塞を配備出来る訳だ」

 

 機動要塞、それはリーブラ、バルジ、ニヴルヘイム……それとこちらはちょっと機動要塞とは呼べないかもしれないが、ピースミリオンがある。

 ジェネシスの方は、生憎と未だに建設中だが。

 ……ジェネシスそのものは、あくまでも主砲プラスアルファといった感じであって、機動要塞とするには居住関係の方をどうにかする必要がある為に、未だに完成には至っていない。

 ジェネシス以外の機動要塞は既に完成しており、リソースはそちらに集中できているのだが……こういう時、魔法球を使えないのは痛いよな。

 いやまぁ、ジェネシスが使えないのはともかく、他の機動要塞で十分な……十分以上な戦力になっているのは、間違いないのだが。

 

「……なるほど。一度月の近くまで戦場が広がったとなると、ジオン公国も連邦も、ルナ・ジオンが月の周辺に機動要塞を設置するのを認めざるを得ない、か」

 

 ダグラスの言葉に、俺は頷きを返す。

 場合によっては、自分達が月の周辺を守ると言ってくる可能性も否定は出来ないが……それは逆に言えば、ルナ・ジオンという勢力を月に押し込めておこうという事にもなりかねないのだ。

 一応ハワイがあるとはいえ、まだ諸々が建設中である以上、何かとち狂った連中――ハワイで俺や円、美砂、ルリ、ラピスを襲ってきたような連中――が攻撃してこないとは限らず、そういう時に援軍を送れる体制は整えておきたい。

 

「そうだ。……まぁ、ジオン公国にしろ、連邦にしろ、俺達がどれだけの力を持っているのかは知りたいだろうから、そういう意味では向こうにとっても却下するような事はしないだろうが」

「そうか? もうルナ・ジオンとシャドウミラーの力は十分に見せている。その上で機動要塞だったか? それを月の周辺に配備するような事になれば、それは向こうの警戒心を煽るだけにしか思えないが」

 

 そう言ったのは、ガトーだ。

 言ってみれば、ルナ・ジオンやシャドウミラーについてはまだあまり知らないガトーだったが、それでも部下共々ホワイトスターに渡って、シャドウミラーが具体的にどの程度の力を持っているのかというのは知っている。

 ……いやまぁ、実際にはルナ・ジオンを建国してからすぐに合流したのだから、新参者という扱いはどうかと思うが。

 どうしてもゲラートと共にそのように思ってしまうのは、やはりルナ・ジオンを建国する際に色々と動き回っている時、俺達と別行動をしていたからだろう。

 ガトーと会った後で面識を持った黒い三連星やダグラスといった面々は、ルナ・ジオン建国の為に色々と動き回っていた関係もあって、新参者という感じはしない。

 実際には、黒い三連星は基本的にエデンで酒を飲んでいたという印象しかないのだが。

 いや、一応突撃機動軍についての情報を貰ったりもしたので、それだけって訳でもないのだが……それでもそう思ってしまうのは、やはり酒を飲んでいる印象が強いからか。

 

「その辺は大丈夫の筈だ。ジオン公国も連邦も、未だにルナ・ジオンとシャドウミラーが具体的にどんな戦力を持っているのかは分かっていないしな」

「あの、カトンボだったか? あれを大量に用意しただけで、十分その底力を示せたと思うが」

 

 ゲラートのその言葉に、何人もが納得の表情を浮かべる。

 アンリと相談して、それをセイラが承認した、ルナ・ジオンへの移住者を運ぶ為のカトンボを含む無人の軍艦。

 もっとも、艦長的な存在として量産型Wを配属してるのを考えれば、本当の意味で無人艦という訳ではないのだろうが。

 

「そうだな。……正直、あれだけの軍艦を大量に持っているという時点で、シャドウミラーの戦力は信じられない程だ」

 

 アンリがそう告げるが、お前はあの件で賛成しただろうに。というか、お前も一緒に意見を出しただろうに。

 そんな風に思いつつも、話を戻す。

 

「とにかく、今回の一件を利用して幾つかの機動要塞を月の周辺に配置する。それに異論は?」

 

 改めて尋ねるが、それに対して今度は反論を口にする者はいない。

 若干ガトーが何か言いたそうしていたが、結局は何も言わなかったのは、自分がまだルナ・ジオンに来たばかりだというのを理解しているからだろう。

 

「セイラ?」

 

 最後に、ルナ・ジオンの女王たるセイラに尋ねるが、こちらも異論はないらしく頷きが返ってくるのみだ。

 

「では、決まりですね。ただ、出来れば今後の事ではなく、実際に戦闘宙域が近づいてきている事に対しても意見を欲しいところなのですが」

 

 ルルーのその言葉に、多くの者が我に返る。

 俺もまた、そちらにばかり意識が向かっていたのでそちらの件を忘れていた。

 

「あやか、シャドウミラーとしては、このまま戦闘宙域が近づいてくるというのは、面白くないよな?」

「そうですわね。このまま何もしないのでは、ルナ・ジオンは周辺に侮られる事になりますわ。特にグラナダやフォン・ブラウンのような大きな月面都市では、反ルナ・ジオンの感情が出てくる事になるかと。……勿論、量産型Wやコバッタ、バッタ、メギロートといった無人機を置いてある以上、それで大きな騒動にはならないと思います。ですが、それを防げるのであれば、わざわざそのような真似はする必要はないかと」

「つまり?」

「ルナ・ジオンから軍を派遣して、戦闘宙域において月に近づかないように忠告し、それでも戦闘を止めずに月に近づいてくるのであれば、強制的に戦闘に介入しても問題ないと思いますわ」

「……って事だけど、どうする?」

 

 あやかの言葉に、どうする? と俺が視線を向けたのは、アンリ。

 ルナ・ジオンの軍部を預かっている人物なのだから、この場合はアンリに尋ねるのが当然だろう。

 

「ふむ……ラル大尉、機種転換訓練はどうなっている?」

 

 ラル大尉……そう言えば、ラルはまだ大尉のままなんだよな。

 いやまぁ、ルナ・ジオンの軍人がそこまで多い訳ではないから、階級の調整とか、そういうのはまだ行われていないというのが正しい。

 とはいえ、こういう首脳部が出る会議に出席するのに、大尉というのは外聞が悪い。

 いや、ラルが大尉ならガトーなんかまだ中尉なんだが。

 うん、やっぱりその辺はどうにかする必要があるだろうな。

 将官……とまでは言わずとも、大佐辺りにはなっていた方がいい。

 ただ、ラルの場合は万年大尉と言われてるだけあって、ラル大尉と呼ばれてるのが慣れているらしいって話を以前聞いたことがあるから、ラル大将とか言われても……

 ただ、最初にセイラに協力し、その上でラル家の当主――没落したが――であるというのを考えると、やっぱりラルは大将くらいの地位があってもおかしくはないんだよな。

 ルナ・ジオンを建国する為に、かなり苦労していたし。

 問題なのは、ラルは現場主義といった感じで、自分が現場に出る事に拘っているということか。

 大将とかの地位になって、現場に出るというのは……いや、けどラルを大尉のままにもしておけないし。

 その辺は、後日要相談といったところだろう。

 

「ジン、シグー、ストライクダガー、その全てで機種転換訓練は終了しています。また、ダラニの方も問題なく」

「……アクセル代表、メギロートは今回貸して貰えると考えても構わないのかね?」

「ああ、そっちは問題ない」

 

 元々、メギロートは大量に……それこそ、俺自身具体的にどのくらいあるのか分からないぐらいの数がある。

 シャドウミラーの代表としてそれでいいのかと言われるかもしれないが、メギロートはシャドウミラーの象徴として色々な世界に大量に派遣されている。

 その中でも、特に一番多く派遣されているのはSEED世界だ。

 オーブでは相変わらず『めぎろーとくん』の人気が高く、その数は年々増え続けている。

 今ではオーブ以外でも結構な数の『めぎろーとくん』が売れているらしく、輸出品として人気が高くなってるとか何とか。

 他の国どころか、他の世界にもオーブから『めぎろーとくん』が輸出されてるという話も聞くし。

 そんな訳で、何だかんだとメギロートの需要は高い。

 UC世界においても、バッタやコバッタと一緒に月面都市に派遣されていたりするし。ましてや、クレイドルにも大量のメギロートがいるのだから、それを派遣するのは難しい話ではない。

 ……若干アンリの表情が優れないのは、やはりジンやシグー、ストライクダガーといった機体の性能が低いからだろう。

 連邦軍相手にはどうとでもなるだろうが、ジオン軍のザクを相手に正面から戦いを挑むのであれば、不利なのは否めない。

 ダラニがあるから、ザクよりも機動力は上だろうが……やっぱり、いざって時にはメギロートに庇わせるようにした方がいいだろうな。

 そんな風に考えながら、派遣する部隊についての会議を続けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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