転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2165話

「警告する。現在ジオン軍と連邦軍の戦闘宙域が、月に近づいてきている。ただちに月に近づくのを止めるように。繰り返す、戦闘宙域が月に近づきつつある。それ以上近づいた場合は、こちらも実力行使をする事になるので、賢明な判断を期待したい」

 

 そう告げるのは……意外な事に、コッセル。

 普段はもっと乱暴な言葉遣いをしているのだが、今回に限ってはしっかりとした言葉遣いになっている。

 これは、ルナ・ジオンとしての初めての軍事行動である為、というのが大きい。

 後々までこの映像なりなんなりが残る可能性が高い以上、いきなり海兵隊の乱暴な口調で……というのも不味いと判断したのだろう。

 

「シーマ様、駄目ですね。向こうは全く戦闘を中断する様子がありやせん。それどころか、月に近づく速度が上がっているようにすら見えやす」

「そうかい。こうなると、ルナ・ジオンとしても出撃する必要があるね。……もっとも、向こうにとっては最悪の結果を齎すだろうけど」

「まぁ、この面子だしな」

 

 俺はブリッジにいる面々に視線を向ける。

 ラル、ゲラート、ダグラス、黒い三連星、ガトー。

 ガトーの部下もケリィやカリウスのように腕の立つのが揃っているのを考えれば、異名持ちやパーソナルカラーの類も持ってすらいない連中の集まりだ。

 MSの性能差があっても、それを腕で容易にどうにかする者達の集まりなのだから、向こうにしてみればたまったものではないだろう。

 ジオン軍でそれなのだから、連邦軍にとっては尚更だ。ましてや……

 

「こちらにはアクセルもいる。その時点で、こちらの勝利は決まったようなものだな」

「ラルの言いたい事も分かるけど、今回はニーズヘッグは使わないぞ?」

 

 ニーズヘッグは、一種の戦略兵器に等しい。

 こんな場所で使ったりしたら、後々問題なりかねなかったし、何より……

 

「今回の俺は、あくまでも保険だ。今回の主役は、あくまでもルナ・ジオン軍だからな。……メギロート付きだけど」

 

 過剰な保険だと思うが、現在シャドウミラーのMSは性能が低い。

 いや、性能が高いMSを使おうと思えば普通に使えるんだが、ジオン軍と連邦軍の両方にビームライフルについての情報を与えたくないんだよな。

 ……そんな訳で、今回俺が出撃するのはミロンガ改に乗ってだが、その武器は実はいつものビームマシンガンではなく、ザクマシンガンだったりする。

 正直なところ、ジンの持つ重突撃機銃でもよかったんだが、この世界で使うのならザクマシンガンの方が色々と誤魔化せると判断した為だ。

 威力的には、どちらもそう大差はないし。

 

「ふむ、こうして話しているのもいいけど、そろそろ出撃した方がいいんじゃないかい? 向こうもこっちに近づいてきているよ?」

 

 シーマの言葉で我に返り、それぞれが出撃していく。

 今回は隊長格を集めて会議をする必要があったので、リリー・マルレーンには隊長格の機体が揃っているが、ムサイ級の機体にはそれぞれルナ・ジオンの軍人達の機体が普通に搭載されている。

 カトンボに搭載されているメギロートもいるしな。

 ともあれ、そんな訳で俺達はリリー・マルレーンから出撃するのだった。

 ちなみに、俺のミロンガ改は場所を節約する為にという事で空間倉庫の中にある。

 ……ぶっちゃけ、ミロンガ改だけじゃなくて全員の機体を全て空間倉庫に入れてもよかったんじゃないかと、そう思わないでもなかったが……その辺については色々とルナ・ジオン側にも思うところがあるのだろう。

 

 

 

 

 

『ふむ、戦闘光が見えてきたな』

 

 ガトーの声が聞こえてくる。

 ちなみにガトーが乗っているのはシグーだ。

 ……緑の胴体に青い四肢というパーソナルカラーで塗られているが。

 シグーって白い機体というイメージがあるので、何だか微妙に違和感がある。

 もっとも、パーソナルカラーというのは元からそういうものなのだろうが。

 

『アクセル、では最初は儂等だけでいくという事で、いいのだな?』

「ああ。青い巨星の本領を発揮してくれ」

 

 映像モニタに表示されたラルに、そう告げる。

 そんな俺の言葉に、ラルはパイロットスーツのヘルメットの下で獰猛な笑みを浮かべ……やがて、戦場となっている宙域に向かって進む。

 当然のように、いざという時に対処する俺やリリー・マルレーン、ムサイ級といった軍艦も距離を縮めていく。

 

「それにしても、まさかシーマが艦長に徹するとは思わなかったな。てっきり、自分で真っ先に戦場に突っ込んでいくと思ったんだけど」

『アクセル、あたしを一体何だと思ってるんだい? 別にあたしは戦闘狂という訳じゃないんだよ。これだけ元ジオン軍のエースパイロット達が集まっているのなら、あたしには出番なんかないさね』

 

 映像モニタに映し出されたシーマが、手にした扇子で肩を叩きながらそう言ってくる。

 ……やっぱり胸、重いんだろうな。

 何気にシーマはかなり女らしい体型をしているのは、シーマ艦隊の者でなくても理解している。

 とはいえ、それでもレモンやマリュー、千鶴といった者達には胸の大きさでは及ばないのだが。

 海兵隊の面々……特にブリッジにいる者にとっては、時々目のやり場に困るという話を聞いたような、聞かないような。

 そんな風に考えている間にも、出撃したMS部隊は戦闘宙域に向かって進み続ける。

 うーん、ミノフスキー粒子の為に、一定以上離れると通信を送る事が出来ないんだよな。

 これがシャドウミラー製の機体であれば、フォールド通信が可能なのだが。

 ザクやジン、シグー、ストライクダガーにはフォールド通信システムが積まれていない。

 まぁ、何だかんだとあの技術はシャドウミラーの中でも機密度がそれなりに高い。

 ……マクロス世界では普通に使われている技術なのだが。

 ダラニは一応シャドウミラーの機体だし、そちらを経由してフォールド通信システムを……と思わないでもないが、基本的にダラニは使い捨てだ。

 それこそ、敵にぶつけて自爆させるといった使い方をする以上、その残骸がジオン軍なり連邦軍なりに渡る可能性は高い。

 そうなると、自爆の爆発の威力によってはフォールド通信システムが他の勢力に渡ってしまう可能性が高い。

 そうならない為には、やはりダラニにシャドウミラー特有の技術は使えないんだよな。

 

『始まったようだね』

 

 再び聞こえてくるシーマの声。

 映像モニタに視線を向けると、そこでは先程よりも明らかに戦闘光とでも呼ぶべきものが見えていた。

 俺の乗っているミロンガ改も、今から向こうに行こうと思えば行ける。

 だが、今回の戦いで重要なのは、あくまでもシャドウミラーではなく、ルナ・ジオン軍がその力を見せる事だ。

 シャドウミラーの見せつけた力が色々と凄まじかった影響もあって、UC世界においてはルナ・ジオンは畏怖の視線で見られているが、それはあくまでもその後ろにいるシャドウミラーを見ての事だ。

 俺が言うのもなんだけど、見せつけた力がちょっと凄すぎたのだろう。

 結果として、ルナ・ジオンは恐ろしいが、それはあくまでも背後にいるシャドウミラーが恐ろしいのであって、ルナ・ジオンの兵士そのものは恐ろしくないという風潮が出来上がりつつある……らしい。

 この辺はあくまでも人聞きなので、本当にそうなのかどうかは分からないが。

 そういう意味では、メギロートを派遣するのもどうかと思ったが、今いる面子はこれからのルナ・ジオン軍にとって非常に大事な、それこそ中心となる人材だ。

 そうである以上、万が一にもここで死ぬような事は避けたかった。

 ともあれ、そういう意味では今回の件は色々とちょうど良かったのも事実だ。

 おかげで、機動要塞を月の周辺に配置するといった真似も出来るようになったし。

 

「取りあえず、ちょっと様子を見てくるか。くれぐれも戦闘には参加しない感じで」

『……それなら、最初から一緒に行けばよかったんじゃないかい?』

 

 若干呆れ気味の視線を向けてくるシーマだったが、最初から俺がいるというのを知られれば、ジオン軍、連邦軍の両方に怪しまれる可能性が高い。

 いやまぁ、多分大丈夫だとは思うんだけど。

 ニーズヘッグじゃなくて、ミロンガ改だし。

 それでも、念には念を入れた方がいいのは間違いない。

 

「離れて見る事で理解出来るものもあるんだよ」

 

 実際、それは決して嘘ではない。

 間近で見るより、離れて見た事で理解出来る……というのは、決して少なくないのだから。

 

『はいはい。じゃあ、取りあえず行っておいで。こっちは……護衛もいるし、大丈夫だろうしね』

 

 そう告げるシーマだったが、実際に海兵隊の中でもある程度はこっちに残っているし、メギロートやバッタの姿もそこそこある。

 もしジオン軍や連邦軍が何かとち狂ってこっちに攻撃してきても、対処するのは難しい話ではない。

 ……その場合、後日ジオン公国と連邦軍には相応の対価を払って貰う事になると思うが。

 ともあれ、リリー・マルレーンから出撃した俺は、戦場宙域にミロンガ改を向ける。

 元々機動力重視……いや、正確には防御力を半ば切り捨てるというコンセプトで作られた機体だけに、ラル達が乗っていったダラニがなくても、問題なく戦闘に乱入出来る。いや、乱入じゃなくて様子見なんだが。

 ともあれ、戦闘宙域にやってくると、デブリ……岩塊が浮かんでいたので、それに隠れてASRSを使用する。

 ミノフスキー粒子下では通常の性能を発揮出来ないASRSだったが、それでも一切使えないという訳ではない。

 特に戦闘中ともなれば、こちらを発見するのは難しくなるだろう。

 そんな感じで戦闘宙域を観察していたのだが……うん、やっぱり予想通りに戦闘が始まっていた。

 今回ここに来た目的は、あくまでも戦闘をしながら月に近づかないようにというのを知らせる為だ。

 だが、映像モニタに映し出されている光景では、シグーの撃っている重突撃機銃が連邦軍のセイバーフィッシュを撃破している映像だったり、数機のダラニに乗っているジンが、1機のザクの周囲を飛び回りつつ重突撃機銃を撃っていた。

 セイバーフィッシュであれば、それこそ重突撃機銃を使えば数発で撃破する事が可能なのだが、相手がザクとなればそうもいかない。

 防御力そのものがセイバーフィッシュよりも上だし、AMBACを使った運動性はこういう時にかなりの効果を持つ。

 だからこそ、周囲を囲んでいるのだろうが……当然ながら、ジオン軍だってそのままやられっぱなしでいる訳ではない。

 純粋な機体性能として考えれば、ルナ・ジオン軍の機体――黒い三連星のS型除く――は基本的にザクよりも性能は低い。

 ダラニのおかげで機動力では勝っているが、逆に言えば勝っているのはそれだけだ。

 ああ、一発限りだけど、ダラニの自爆は高い攻撃力を持っているか。

 その自爆をザクが大人しく食らってくれるかといえば、また微妙なところだが。

 ともあれ、性能の劣る機体であるにも関わらず、一方的に有利に戦う事が出来ているのは……純粋に技量の問題だろう。

 いやまぁ、ルナ・ジオンの面々の戦闘訓練として、精霊の卵と模擬戦を繰り返しているとなれば、これだけの腕になるのも当然だった。

 精霊の卵のパイロット達は、技量という点では実働班の幹部達よりも大分劣るが、それでも機体の性能という点では高い。

 ……ああ、この場合の高いというのは、あくまでもルナ・ジオン軍が使っている機体に比べて、という点だ。

 そもそも、精霊の卵が使っているデスティニー、レジェンド、ストライクフリーダム、インフィニットジャスティスの4種類の機体は、動力炉もSEED製の物からシャドウミラー製の物に変わっている。

 この時点で、ジン、シグー、ストライクダガーを使っているルナ・ジオン軍とは比べものにならない。

 そのような機体との模擬戦に比べれば、ザク程度……と、なってしまう。

 そんな精霊の卵と戦っているのだから、この程度の相手に手こずるような未熟さは存在しない。

 いやまぁ、だからって油断していい訳じゃないんだが。

 とあるジンが乗っていたダラニの前にザクが姿を現したのを見て、ミロンガ改が持っていたザクマシンガンを向けようとするものの……幸い、他の仲間がそれをフォローしているのを見て、ザクマシンガンの銃口を下ろす。

 正面から戦うのではなく、連携して戦う。

 どこか狼の狩りを思わせる戦い方だ。

 ……黒い三連星の方は、S型で次々にザクやセイバーフィッシュを片付けているが。

 こうして見ると、やっぱり機体性能の差は大きいよな。

 ジオン軍のMSがビームを使えるようになれば、こっちでもビーム兵器を解禁出来るんだが……いっそ、ミノフスキー物理学を使ったビームライフルを作ってみるか?

 そっちなら、もし盗まれても他の世界の技術を奪われる……という事にはならないだろうし。

 そんな風に考えている俺の視線の先で、再びザクが撃破されるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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