転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2167話

 機動要塞バルジ、リーブラ、ニヴルヘイム。

 それが配備されたとセイラが公式発表し、実際に運用されている映像をしっかりと流されたのを見て……当然ながら、ジオン公国も連邦もルナ・ジオンに抗議をしてきた。

 特にジオン公国にいたっては、月面都市の中でもフォン・ブラウンと並ぶだけの規模を持つグラナダを貸している事もあって、その抗議は強い。

 だが、結局セイラは妥協する事なく、ジオン公国、連邦、双方からの抗議を無視した。

 ……まぁ、ここでグラナダを機動要塞の守備範囲外にすると言えば、連邦が希望しているフォン・ブラウン何かも同様に例外にしろと言ってくるのは明白だしな。

 ともあれ、そんな理由もあって若干ギスギスしたものの……それでも、時間は進んでいく。

 そう、カトンボで運ばれてきた各サイドからの移住希望者がクレイドルに到着し始めたのだ。

 各サイドと月の距離は、当然のように違う。

 そうである以上、クレイドルに到着する順番も当然のように違ってくるのだが……正直なところ、それで助かったというのがルナ・ジオンの面々の感想だろう。

 当然だが、各サイドからやってきた者達は自分達にとって最高の環境が待っていると希望しており、実際にそれは間違っていないのだが……だからと言って、移住を希望している者の要望を全て聞く訳にもいかない。

 特に多かったのは、住む場所に関してだ。

 普通に考えれば政庁たる城の近くは土地の値段が上がるというのは容易に予想出来る訳で、将来的値上がりを見越してか、そこを希望する者が予想以上に多かった。

 とはいえ、まさか1つのサイドだけで全員を同じ場所に住まわせる訳にもいかず、その辺りは1つのサイドごとに何人という風に決まり、それを希望する者がどのような仕事を希望しているのかを聞き、それで政庁の近くに住居がある方がいいと判断された者の中から、くじ引きで決める事となった。

 ともあれ、忙しいのはあくまでもルナ・ジオンの面々。

 マハルやらアンリの部下の家族やら、ケン達の家族やら。

 そういう連中の中でも、人当たりが良い奴は移住希望者の案内とかそういう臨時の仕事を任されている。

 何気にこの臨時の仕事は給料がかなり良いらしい。

 ……逆に言えば、それだけ仕事が大変だという事になるんだろうが。実際……

 

「ほら、その辺にしておけ。みっともない真似をすれば、クレイドルから追放するぞ」

 

 20代後半の女にしつこく絡んでいた……正確にはナンパしていたのか? ともあれ、そんな男の身体を影槍――ただし穂先のついていないタイプ――で縛り上げ、そう告げる。

 

『おお』

 

 その影槍を見た瞬間、周囲にいた他の移住希望者達が驚愕の声を上げる。

 何人かは、キラキラ……いや、ギラギラした視線をこっちに向けている者もいた。

 こうして見る限りでは、魔法に興味を持ってルナ・ジオンへの移住を決めた奴も多かったという事か。

 

「な、なぁ、あんた! あんた魔法を使ったって事は、ルナ・ジオンの人間なんだよな? 俺達もルナ・ジオンの国民になれば、魔法を使えるようになるのか!?」

 

 移住希望者の中でも、一際眼を輝かせて俺の魔法を見ていた男が、そう尋ねてくる。

 ……さて、どう返答したものか。

 

「そうだな、可能性はあるとだけ言っておく。もっとも、魔法を習う為にはルナ・ジオンに優良な国民だと認識される必要があるけどな」

 

 これは嘘ではない。……もっとも、真実を語っている訳でもないが。

 確実に魔法を習いたいのであれば、それこそゲートを使ってホワイトスターに行き、そこでネギま世界の魔法使いを始めとして、魔法を使える相手に教えを請うという方法だ。

 そしてホワイトスターに行けるのは、基本的に俺達がその世界で代理人として認めている勢力が許可した者だけ。

 しかもその許可を出して送り出した人物がホワイトスターで何か問題を起こした場合、その勢力には何らかのペナルティが与えられる。

 そうである以上、ルナ・ジオンとしても迂闊な相手に許可を出す訳にもいかないだろう。

 もしくは、もっとルナ・ジオンとシャドウミラーの交流が活発になり、他の世界の人間がクレイドルにやってくるようになれば、その相手と交渉して魔法を習う事も不可能ではない。

 特にこのクレイドルは月にあるということもあり、その辺りに興味を抱く者は相応にいる筈だった。

 地球以外の場所に設置されているゲートとなると、それこそマクロス世界なんかもあるのだが、向こうは完全に未知の惑星ということで、やはり自分達に身近で、それでいながら簡単に行くことは出来ないような、月というのは魅力的な筈だった。

 

「そうか! 分かった。優良な国民とルナ・ジオンに認識されればいいんだな? よし、頑張るぞ!」

 

 俺に魔法について聞いてきた男は、そう言いながら気合いを入れる。

 

「のう、そこの。このクレイドルでは、異世界の動植物を見られると聞いたんじゃが……それは真実かの?」

 

 魔法の男の次に俺に聞いてきたのは、60代程の男。

 だが、その目には年齢を感じさせない好奇心が宿っている。

 あー……やっぱりこういう奴も来たのか。

 ルナ・ジオンがシャドウミラーと……異世界の国と繋がっている以上、それを調べたい学者の類が来るというのは、当然のように予想していた。

 だが、まさかクレイドルに到着する第一便で来るというのは、ちょっと予想外だった。

 一応もっと金のある学者とか研究者の類は、スポンサーの金でクレイドルに向かっているらしいのだが……そちらは、まだ到着してはいない。

 当然だろう。普通に考えれば分かる事なのだが、金を出してる後援者にとって、いきなり学者が移住をすると言われて、はいそうですかと納得出来る筈もない。

 その学者が今まで研究してきた内容やら論文やら、その他諸々色々とした調整をどうにかする必要があるのだ。

 そうなれば、幾ら学者がクレイドルに来たいと言っても、すぐに動ける訳がない。

 旅行とかが可能であれば、そういう学者も気軽にクレイドルまで来られたかもしれないが……残念ながら、現在ルナ・ジオンで旅行者の類は受け付けていない。

 そういう意味では、下手に紐付きではない普通の学者の方がクレイドルを見て回るという点では有利ではある。

 その辺は一長一短といったところか。

 

「異世界の生き物を見られるのは間違いない。ただし、まだこのクレイドルは生態系が確立していない。現在は異世界から様々な動植物を持ってきて、放している最中だ。それらがこのクレイドルに根付くのかどうか……その辺は、今のところはっきりとはしていないな」

「ふむ! じゃが、それは逆に言えば、将来的には見られない生き物を、今だけ見られるかもしれないと、そう思ってもいいのか?」

「まぁ、それは否定しない」

 

 実際、どんな生き物がクレイドルで生き残るのかというのは、それこそ実際にやってみなければ分からないというのも、事実なのだ。

 一応マクロス世界の中でもその辺に詳しい人物から色々とアドバイスを貰ってはいるのだが、そのアドバイスはあくまでもマクロス世界での事であって、UC世界でも通用するかどうかは、まだ不明なのだから。

 それでも、恐らくは大丈夫だと思ってはいるのだが……確証はない。

 

「ほう! ほうほうほう! ルナ・ジオンという、色々な意味で怪しい場所じゃったが、来た甲斐はあったというものじゃな。のう、そう思わんか?」

 

 そう俺に尋ねてくる老人だったが……

 

「いや、それを俺に言われてもな。俺はここで普通に暮らしているし」

 

 本人にその気はないのだろうが、人が住んでいる場所を怪しいとか言うのはどうかと思う。

 いやまぁ、学者や研究者ってのはどこか普通の人間とは違う場所があったりする事が多いのは、技術班を見ていれば明らかだったが。

 

「ほう。ではどこか珍しい動物が住んでいる場所を教えて貰えないかね?」

「あー……そうだな。そう言えばヒュドラが草原に放されたって話を何日か前に聞いたな」

「ヒュドラ? それは、伝承にある蛇のモンスターのような奴かね!」

 

 ヒュドラという言葉に勢いよく尋ねてくる老人だったが、俺はそれに首を横に振る。

 

「いや、マクロス世界……まぁ、こことは違う異世界だが、その異世界にあるエデンという惑星に存在する動物だ。簡単に言えば……そうだな。豹とか虎とかのネコ科の動物に翼がついている外見だ。で、そんな外見ではあるが比較的大人しい性格をしている」

 

 もっとも、それはあくまでも比較的であって、人懐っこいという訳ではない。

 あくまでも野生の動物である以上、下手に素人がちょっかいを出そうものなら、大怪我をしてもおかしくはない。

 

「猫科の動物に翼が……それはまた、興味深いな」

 

 どうやらヒュドラはお気に召したらしい。

 もっとも、そのヒュドラと遭遇出来るかどうかは、分からないが。

 この老人がルナ・ジオンにとって有益な人物なら、その辺りを考慮される可能性もあるだろう。

 

「まぁ、頑張ってくれ。ルナ・ジオンの為に働けば、それだけ優遇されると思うぞ。特に科学者、学者、研究者といった面々は、ルナ・ジオンで優遇されてるしな」

 

 MSやミノフスキー物理学。その他にも色々と。

 このUC世界において研究されるべき物は多く、だからこそルナ・ジオンという国がジオン公国や連邦といった他国に負けないように、そのような存在を集めているのだ。

 ……勿論それは、シャドウミラーとしてルナ・ジオンには技術立国になって欲しいという思いもあるのだが。

 技術の力というのは、それこそMSを見ればこれ以上ないくらいに理解出来るだろう。

 

「うむ、任せておけ。異世界と繋がっているなどというこの素晴らしい国を、ジオンや連邦に踏み躙らせたりはせん」

「いや、一応この国もジオンだからな。ルナ・ジオン。ジオン・ズム・ダイクンの正統な後継者のジオンだが」

 

 ジオンという名前に若干嫌そうな表情を浮かべる老人。

 恐らくジオン公国に何か思うところがあるのだろう。

 ともあれ、案内役の女が迎えに来たので、その爺さんを引き渡し……俺は適当に周囲を見て回る。

 カトンボに大量に乗ってきた移住希望者達は、次々に降りてくる。

 そんな様子を眺めつつ……そんな中で、何だか怪しい行動を取っているのが何人か目につく。

 一見すると普通に見えるのだが、行動の端々から周囲の様子を窺っているのが分かった。

 勿論、ルナ・ジオンという国に移住を希望してやって来たのだから、周囲の様子が気になるのはおかしくはないだろう。

 だが、それにしても自分の行動を隠そうしているのは明らかで、それが余計に違和感を抱かせる原因になっていた。

 もっとも、そういう連中がある程度入り込むというのは、移住を募集した時点で既に分かっていた。

 今は何の証拠もないが、恐らくそう遠くないうちに、あの連中はコバッタなり量産型Wなりに怪しい行動をしているところを発見され、確保されるだろう。

 今は証拠がないから手を出さないというのは、逆に言えば証拠があればすぐにでもどうにか出来るという事を意味している訳で……その辺り、あの連中もいずれ知る事になるだろう。

 そしてどこの勢力からやって来たのかは、しっかりと裏を取られ……交渉の際の材料となる。

 当然その勢力のトップが命令をした訳ではないかもしれない。

 だが、それでもその勢力の者が命令してスパイを送り込んできたのは間違いない以上、それは当然ながらその勢力の責任となる。

 であれば、その結果がその勢力に返ってくるのは当然だろう。

 

「あれ、アクセル?」

「ん? ……メイか」

 

 声のした方に視線を向けると、そこにはメイ・カーウィンの姿があった。

 さっきの老人もそうだが、メイもまた技術者という点ではかなり優れた人物だ。

 この年齢で、MSの開発や設計に対して高い適性を示しているのを考えれば、その実力は間違いないだろう。

 そんなメイだけに、てっきりルナ・ジオンのMSについて研究しているのかと思っていたのだが……何だってここにいるんだ?

 

「メイも案内の仕事か?」

「うん。人手が足りないって話だったから。……量産型Wとかコバッタがいるから、いなければいなくてもいいと思うんだけど。ただ、そうなると他の人は色々と慣れてないでしょうし」

「そう言って貰えると、こっちとしても助かるな。何だかんだと、まだクレイドルに来たばかりだと量産型Wとかコバッタとかには慣れてないだろうし」

「そうね。ただ、慣れると凄く便利なんだけど。クレイドルで何か問題を起こそうとすれば、それを止めてくれるし」

 

 そう呟くメイの言葉に、俺は頷くのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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