転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2175話

「へぇ……それは予想外だったな」

「ええ。本来は連邦軍としても、ここまで大きな戦争になるとは予想していなかったのです。まさか、MSがあれだけの能力を発揮するとは」

 

 俺の言葉に、その男は何かを誤魔化すかのように汗を拭いながら言葉を続ける。

 この部屋は空調が効いているから、特に暑かったり寒かったりはしない筈なんだけどな。

 ……もっとも、連邦の者としては自分達の手抜かりをそう簡単に認める訳にもいかないのだろうが。

 現在俺がいるのは、連邦軍からやってきた視察団との会合の席だ。

 とはいえ、別に堅苦しい会合という訳ではなく、近くにいる相手と色々と話す。

 その程度の、言ってみれば自由時間的な感じだったが。

 

「ジオン公国がミノフスキー粒子を研究しているという情報はなかったのか?」

「ありました。ありましたが……それでも、まさかここまでとは。話を聞いた時にそう思ったのは間違いないですね」

 

 情報収集能力に問題があるのでは?

 そう素直に言おうとしたが、今の俺はシャドウミラーの代表としてここにいるのだから、迂闊な発言はしない方がいい。

 このUC世界の現状と似た世界として、SEED世界がある。

 だが、SEED世界においてはMSとかの技術はともかく、純粋な諜報技能とかそういう点では、コーディネイターよりもナチュラルの方が上だった。

 勿論それは全体的に見ての話であって、個人としての能力を見れば、コーディネイターの方が上だったかもしれない。

 だが、ナチュラルは経験と仲間との連携によって、その差を覆した。

 そんなSEED世界に比べると、このUC世界においてナチュラル側の人間と言ってもいい連邦は諜報技術でも遅れを取っているように見える。

 ……まぁ、国力30分の1以下のジオン公国だけに、そこまで危険視はしていなかった……というのが正解なのかもしれないが。

 どのみちこの世界で連邦軍がジオン軍に遅れを取ったのは、間違いのない事実だ。

 もっとも、連邦軍の巨大さを考えれば、このままやられっぱなしでいるとは思わないが。

 恐らくだが、現在連邦軍内部ではMSの開発が進められている筈だ。

 ルリやラピスがハッキングしたところ、それらしき情報もあったしな。

 それらしきという情報であって、確定情報でないのは、データそのものがコンピュータの内部に残されていない為だ。

 ルリやラピスの力なら、それこそどんな方法を使っているのかは俺にも分からないが、スタンドアローンのコンピュータの内部をハッキングするのも、難しい話ではない。

 いや、本当にどんな手段を使ってるんだろうな。

 スタンドアローンのコンピュータという事は、物理的にネットには繋がっていない訳で……どうやればそんなコンピュータから情報を抜き出せるのやら。

 ともあれ、それ程の技量を持つルリやラピスでも、連邦軍の内部でMS開発をしているという情報の確証を得る事が出来ない。

 考えられる可能性があるとすれば、セイラが行った建国宣言を始めとして、何度か行われた地球圏に向けた演説。

 あれによってルナ・ジオンが……そして背後にいるシャドウミラーが持つハッキング能力の高さを予想し、それに対処したという訳だ。

 それも、コンピュータにデータを残すのではなく、紙を使うといった手段で。

 それでも完全にデータを消す事は出来ず、それをルリやラピスが拾い上げた……といったところか。

 連邦の中にも、出来る奴がいると、そういう事なのだろう。

 

「アクセル代表? どうしました?」

「いや、連邦がこれからどう動くのかと思ってな」

「あ、あはは。それはもう、ルナ・ジオンとは仲良くやっていきたいと思っていますよ」

 

 俺の言葉が意外だったのか、男は慌てたようにそう言ってくる。

 だが……その目の光の中に、こちらを見下すような視線があるのが見て取れる。

 もっとも、そのような気分になってもおかしくはない。

 連邦という存在は、このUC世界の大半をその支配下に置いている。

 そんな連邦にしてみれば、ルナ・ジオンやシャドウミラーといった相手は、その軍事力は脅威であっても、政治的な意味ではそこまで脅威はないと判断しているのだろう。

 ……もっとも、既に連邦の上層部とルナ・ジオンやシャドウミラーの政治班は接触して極秘裏に様々な交渉を行っている。

 特に連邦にしてみれば、ジオンに占領されたグラナダやハワイをルナ・ジオンが占拠――ハワイは譲渡と言うべきだが――したのは、気分が良かったのだろう。

 とはいえ、連邦にしても月をルナ・ジオンが押さえたのはあまり面白いことではなく、フォン・ブラウンを始めとした月面都市に関しては交渉中なのだが。

 

「そうか。なら、こっちも仲良くやっていければと思ってるよ。もっとも……ルナ・ジオンの国是たるスペースノイドの独立に関しては、色々と問題もあるようだが」

「そ、それは……」

 

 言葉に詰まる男。

 まぁ、連邦はコロニーを半ば植民地とする事で、そこから資源とかを仕入れている。

 それだけに、スペースノイドの独立などという真似をそう簡単に許容は出来ないのだろう。

 もし連邦がスペースノイドの独立を認めた場合、間違いなく地球は干上がる。

 そもそも、何故このUC世界においてコロニーが作られ、宇宙への移民――率直な表現だと棄民――したのかと言えば、それは地球にある資源が底をつき始めたからというのが、大きな理由だ。

 そして、今は地球に資源が少なくなっている分、それをスペースコロニーで用意している訳だ。

 勿論、地球の資源が完全に枯渇した訳でもないのを考えれば、まだ地球にある資源を有効利用も出来るのだろうが……それよりは、スペースコロニーから安値で買い叩いた方が経済的なのだろう。

 ……とはいえ、俺はこのUC世界においてそこまで詳しい訳ではない。

 もしかしたら、それ以外にも様々な理由がある可能性はあるが……

 

「その、スペースノイドの独立に関しては、色々と複雑な事情もあり……それより!」

 

 自分にとって不利な話題だと感じたのか、男は半ば強引に話を変える。

 

「シャドウミラーは私達の世界……貴方達風に言えば、UC世界という名称でしたか。その世界以外にも接触していると聞きます。率直に言いまして、他の世界という場所にルナ・ジオンに今回私達がやって来たように、使節団を送りたいと思うのですが……どうでしょう?」

「どうでしょうって言われてもな。この世界において、俺達シャドウミラーが協力している勢力は、ルナ・ジオンだ。どうしても異世界に行ってみたいのなら、ルナ・ジオンと交渉してみるんだな」

 

 その言葉に、男は黙り込む。

 その気持ちも分からないではない。

 ルナ・ジオンと交渉をしたくない……セイラに借りを作りたくないからこそ、こうして俺に直接交渉を持ちかけてきたのだろう。

 もしくは俺なら言いくるめられると思ったのか。

 ただ……そうだな。このまま絶望させたままでいると恨まれそうだし、今のうちにちょっとした希望は与えておくか。

 

「ルナ・ジオンと交渉をしたくないのなら、シャドウミラーの政治班と交渉をしてみるのもありかもしれないな。政治班の面々がシャドウミラーの為になると判断して、それで俺に許可を求めてくれば、俺もそれを問答無用で却下する気はないし」

 

 男にしてみれば、九死に一生を……いや、ちょっと表現が違うか? ともあれ、駄目だと思っていたところにもたらされた、一筋の光だ。

 そうである以上、それに飛びつくのは当然だった。

 ……もっとも、それはあくまでもシャドウミラーの政治班を納得させる事が出来れば、の話なのだが。

 正直なところを言わせて貰えば、シャドウミラーの政治班の持つ実力はルナ・ジオンよりも圧倒的に上だ。

 エザリア、レオン、あやか、千鶴、凛。

 その誰もが、非常に高い政治的な能力を持っているのだ。

 寧ろ、政治班の面々と真っ向からやり合ってある程度の収穫を手にすることが出来れば、それこそこの男をシャドウミラーに引っ張り込みたくなると思う。

 

「お前にとって運の良いことに、ここには政治班の面々が何人もいる。そういう意味では、絶好のチャンスなんじゃないか?」

 

 基本的に、シャドウミラーの政治班というのは、あまり表に出てくる事はない。

 そういう意味では、この場にいる男はシャドウミラーの政治班と交渉が出来るという時点でかなり運が良いのは間違いなかった。

 ……その運が、結果に結びつくのかどうかは、俺が知るべき事ではないのだろうが。

 ともあれ、俺の言葉に何らかの希望を持った男は、すぐに俺に頭を下げると、その場から去って行く。

 さて、誰と交渉するのか……それは俺には分からないが、迂闊に妙な交渉をすると、それこそシャドウミラーにとって有利な出来事になるんだから、頑張って欲しい。

 いや、この場合は頑張らないで欲しいと言った方がいいのか?

 まぁ、向こうがどう頑張るのかは俺にも分からない。

 そうである以上……

 

「随分と酷い真似をなさるんですね」

 

 男の背を見送っていた俺に、不意にそんな声が掛けられる。

 声のした方を振り向くと、そこにいたのは金髪の美人、ジェーン。

 アンリが連れてきた面々を含め、ルナ・ジオンの政治に携わっている者の中でも間違いなく上位者と言っていい人物だ。

 それでいて美人で、MSパイロットとしても青い巨星や黒い三連星程ではないにしろ、ガトーより多少劣る程度の技量を持っている。

 また、生身での戦いにおいてもUC世界の人間としては高い技量を持っており、その実力は相当なものだ。

 まさに、才色兼備という言葉はジェーンの為にあると言っても不思議ではない。

 ……これで、今のところはセイラだけが持っているニュータイプ能力をジェーンも持っていれば、完全だったんだけどな。

 

「そうか? 俺がやったのは、シャドウミラーの政治班を紹介しただけだ。実際にその政治班と話して、それで結果が出るかどうかは……それこそ、あの男の能力次第だろう? それとも、この場合の酷いというのはルナ・ジオンに関してか?」

 

 そう告げると、ジェーンは笑みを浮かべる。

 それは艶やかな笑みと表現するのが相応しい、そんな笑み。

 

「まさか。ルナ・ジオンの政治家としては、アクセル代表の判断は喜ばしいものかと」

 

 ジェーンにしてみれば、それが本心なのかどうかは分からない。分からないが……今日に限っては、恐らく本当にそう思っていると、そう思ってもいい筈だった。

 もっとも、だからと言ってそれを頭から信じるといった事が出来る訳でもないが。

 

「で? 俺に話し掛けてきたのは、それが理由だったのか?」

「いえ、ちょっとアクセル代表と話をしたいと思っただけですよ」

「話?」

「ええ。今回の一件も含めて、色々と骨を折って貰っているので。その辺について一度話しておきたいと思いまして」

「それなら、別に今日じゃなくてもいいと思うけどな。それこそ、ジェーンに頼まれれば、いつでも時間を空けるぞ?」

「あら……まるで口説かれてるみたいですね。ふふっ、けど……あちらの女性に恨まれるのはちょっと避けたいですね」

 

 そう言い、ジェーンは視線を俺の後ろに向ける。

 ……ジェーンの言葉で気配を察した俺は、そこに誰がいるのか……それは考えるまでもなく明らかだった。

 だが、ジェーンにこうして話を振られた以上、こちらとしても今のままという訳にもいかない。

 溜息と共に、後ろを振り向く。

 そうして後ろを振り向いた先には……

 

「ふーん。アクセルってそうやって口説くんだ。けど、今でもハーレムを築いているのに、ここから更に人を増やすってのは、正直どうなのよ?」

「ちょっ、ちょっと明日菜さん。今は……ほら」

「そうやでー。貴重なアクセル君のナンパシーンなんやから、ここは大人しく見学するところや」

 

 ……正直、何故お前達がここにいると、そう言いたくなる3人組の姿が、俺の目の前にはあった。

 明日菜、近衛、桜咲。

 ネギま世界出身の3人組が、俺の目の前に存在していた。

 明日菜はともかく、近衛と桜咲の2人は何だかんだとあまり会う事はない。

 近衛はエヴァとの戦闘訓練の際に回復魔法で活躍してるし、桜咲も同様に訓練の相手として実働班の面々と戦っているのを見掛けたりもするが。

 特に桜咲は、ムラタとの訓練が結構激しい。

 そして明日菜は、言うまでもなくシャドウミラーの生活班で働いており、手が足りない時は色々な場所に派遣される訳だ。

 

「で、お前達がここに来ているのは、一体何でだ?」

「……それよりも前に、言う事があるんじゃない?」

 

 俺の言葉に、明日菜はジト目のままで、そう言うのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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