転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2177話

 連邦の視察団との間で行われた会談……というか、自由時間と表現した方がいいのか?

 ともあれ、それが終わると視察団の面々はそれぞれがクレイドルを見学する為に散っていった。

 ……ルナ・ジオンという国の状況を考えれば、本来ならとてもではないが自由にさせる事は出来ない。

 それが可能になったのは、純粋に出掛ける時は案内役として量産型Wとコバッタを連れて行く事になっていた為だ。

 当然ながら、量産型Wとコバッタは案内役であると同時に監視役という一面も持っている。

 もし何かをした時、すぐにそれを取り押さえる事が可能になっているのだ。

 いやまぁ、連邦からわざわざ視察団としてやって来たような面々であるのを考えれば、ここで馬鹿な真似はしないと思う。思うんだが……それは絶対に確実であると言えないのも、また事実なのだ。

 そうである以上、こちらとしてはまさか自由に出歩かせる訳にもいかない。

 ちなみに、当然の事ながら諸般の事情云々といった事を説明しており、その一件については前もって了解を貰っている。

 中には、量産型Wやコバッタについての興味を示している者もおり、特にコバッタは使節団の面々にとってもかなり興味を抱いていた。

 とはいえ、当然ながらコバッタを連邦に譲渡する訳にもいかない。

 ……まぁ、連邦軍と戦うような事になれば、バッタの残骸とかは向こうも手に入れるかもしれないが。

 

「結局、連邦とはどうなると思う?」

 

 俺の言葉に、向かいで食事をしていたセイラがスープを飲んでいた手を止め、こちらに視線を向けてくる。

 現在この場……クレイドルにあるレストランの中でも最高級の店として知られているこの店の個室にいるのは、俺とセイラだけだ。

 元々クレイドルでは合成食の影響もあってか、料理店を開く者が多かった。

 そういう点では、このような高級レストランが用意されてもおかしくはないのだろう。

 もっとも、味という点では実はそこまで特筆すべきものではない。

 この辺は、後日他の店との間で競い合って上がっていくのを希望した方がいい。

 もしくは……ホワイトスターから料理人を連れてくるか。

 四葉辺りを連れてくれば、この世界の料理人のレベルも一気に……いや、それはそれで難しいか。

 四葉は料理の腕は間違いなく良いのだが、人と話す時の声は小さい。

 ……とはいえ、怒らせたりした場合は例外的に迫力があるが。

 もっとも、それも大声で叫ぶとかそういうのではない辺り、四葉らしいのだろう。

 

「連邦、ね。……私としては、今はまだあまり関わり合いになりたいとは思っていなかったのだけど」

「そうなのか? 何でまた?」

 

 セイラにしてみれば、連邦というのは決して許せるような相手ではない。

 何をするにしても、無視出来るような相手ではないのは確実なのだ。

 

「今は、まずジオン公国の方に集中したいのよ。……ねぇ、アクセル。私がこうして表舞台に立ってから、もう1ヶ月近くは経つわ。なのに、何でキャスバル兄さんは私の前に現れてくれないのかしら」

 

 この言葉を聞くに、どうやらセイラが本当に心配しているのはシャアの事らしい。

 いや、若干ブラコン気味なセイラにしてみれば、何故自分がこうして表舞台に立ったのに、姿を現さないのかと不満を持つのは当然だろう。

 もしくは、不安……か?

 そもそも、こうしてセイラがルナ・ジオンという国を作る事にした理由は、俺との接触でこのUC世界の未来を見たのが、最大の理由だ。

 その未来では、シャアが小惑星を地球に落とそうとしており、アムロがそれを止めようとしていた。

 だからこそ、セイラはそのような未来を迎えない為に、こうして行動を起こしたのだ。

 だというのに、そのシャアが姿を現す事はない。

 それが、セイラにとって面白くないのだろう。

 

「いっそ、ジオン公国に要求してみるか? ジオンのトップエースたる赤い彗星と話してみたいと言えば、向こうもそこまで不審に思わないだろうし」

 

 その言葉に、セイラは少しだけ興味を惹かれたようだったが……結局、それ以上は頷く事はなく、首を横に振る。

 

「いえ、止めておいた方がいいわ。ザビ家にしてみれば、私がキャスバル兄さんを……赤い彗星のシャアを呼ぶように要求すれば、絶対そこを勘ぐってくると思うもの。特に、ザビ家の人達は、小さい頃に私やキャスバル兄さんとも会っている筈よ。……私は小さかったから、しっかりとは覚えてないけど」

「だろうな。セイラの年齢を考えれば、それは無理もない」

 

 今でこそ、セイラはカリスマ性を発揮して、才色兼備といった具合にルナ・ジオンという国を動かしているが、それはあくまでも今だからこそ出来る事だ。

 いや、中には小さい頃から才能を発揮している者というのもいるのだが、セイラはそのようなタイプではない。

 である以上、セイラが昔の事を覚えていなくてもしょうがないだろう。

 ……ラルの事を覚えていたのは、やはり猫の件があって印象強かった、というのもあるんだろうが。

 

「それは、慰めているのかしら?」

「別にそういうつもりはない。ただ、正直に俺が思った事を言っただけだよ」

「……そう」

 

 俺の言葉に納得したのか、もしくはこれ以上言っても意味はないと判断したのか。

 その辺りは俺にも分からなかったが、ともあれセイラは一旦この話をそこで切り上げ、再び料理に戻る。

 俺もまた、そんなセイラと共に料理を味わい……ふと、セイラが口を開く。

 

「そういえば、連邦の使節団がホワイトスターに行ってみたいという話をしたと聞いてるけど。……どうするの?」

「どうすると言われてもな。正直なところ、ルナ・ジオン次第としか言えないぞ。……逆に聞くけど、ルナ・ジオンとしてはどう思ってるんだ?」

 

 俺のその問いに、セイラは難しそうな表情を浮かべる。

 セイラにしてみれば、まだここではホワイトスターという奥の手を使いたくはないといったところだろう。

 何しろ、ルナ・ジオンの拠点たるクレイドルとは別のベクトルで凄いのだから。

 例えば、エルフを初めとして魔法使い、牧場のワイバーンのように、ファンタジー要素がある。

 また、UC世界しか知らない者にしてみれば、各世界のハブのような存在となっているホワイトスターでは、様々な世界の商品が存在する。

 文字通りの意味で異国情緒……異世界情緒か? ともあれ、そういうのが溢れている場所なのだ。

 ルナ・ジオンを率いるセイラにしてみれば、そのような場所はもっとここぞという時に使いたいというのが、正直なところだろう。

 とはいえ、ルナ・ジオンというのはあくまでもシャドウミラーの保護国だ。

 つまり、立場的に言えば明確なまでにシャドウミラーの方が上。

 ……まぁ、ルナ・ジオンの首都として使っているクレイドルにしろ、ルナ・ジオン軍が使っているMSにしろ、月を守っている機動要塞群にしろ、何よりルナ・ジオン軍の戦力にしろ、そのほぼ全てがシャドウミラーの持ち出しだしな。

 セイラにしてみれば、この状況で無理を言う事は出来ないのだろう。

 だからこそ、セイラは俺の問いに、少し困ったように口を開く。

 

「そうね。出来れば今回は遠慮して欲しいと思ってるわ。……ただ、連邦の使節団に何も見せないというのも何だし、何か目玉は欲しいと思うわ」

「目玉、ね」

 

 いっそ、刈り取る者でも見せるか? そうも思ったが、刈り取る者を見てしまえば、それこそ使節団の面々は恐怖に怯える事になるだろう。

 そもそもの話、使節団にいるのはあくまでも政治家とか官僚であって、軍人や武人といった者達ではない。

 そのような者が刈り取る者を前にすれば、気絶だけなら良い方だろう。

 下手をすれば、ショック死する者すらでかねない。

 ……刈り取る者の持つ迫力は、それだけのものがあるからな。

 どうしても、一般人にとっては刺激が強い。となると……

 

「炎獣を使ったサーカスみたいなショーでもやるか? それなら、結構見応えはあると思うけど」

 

 魔法を直接自分の目で見たいというだけであれば、それこそ炎獣を見れば、とてもではないが、それが作り物だったり、イリュージョンの類ではないというのは分かる筈だ。

 勿論実際に炎獣を見ても、頑なにそれを認めないといった可能性はあるが、そこまで信じないような奴なら、俺としてもそれ以上は何も言うような事は出来ない。

 ただ、いつもと同じように犬や猫といった動物の炎獣ではなく、直接……それこそ、ドラゴンとかユニコーン、ペガサス、グリフォンといったようなモンスターの炎獣を見せてやればいいだけの話だ。

 

「炎獣、ね。……そうね。アクセルが炎獣を使うというのは知ってる人もいるでしょうけど、具体的に炎獣がどのようなものなのか、直接自分の目で見た事がある人はいない。そう考えれば、アクセルの案もいいかもしれないわね」

 

 セイラは頷き、口元に笑みを浮かべ……ふと、何かを思い出したかのように、口を開く。

 

「そういえば、ツィマッド社との接触に成功したそうよ。……カーウィン家やシーマ中佐、ジェーンが頑張ってくれたおかげね」

 

 シーマは中佐なのに、何故ジェーンは呼び捨て? と一瞬疑問に思ったのだが、考えてみればそう難しい話ではない。

 シーマはルナ・ジオン軍の軍人として働いているが、ジェーンは既にきっぱりと軍を辞め、政治家としての道を歩いている。

 だからこそジェーンには階級がなく、呼び捨てとなったのだろう。

 いやまぁ、それはルナ・ジオン内部の事だから、特に俺が気にするような事はないんだろうけど。

 

「ツィマッド社の件? ヅダだったか? あのMSの件か?」

「ええ。報告によればヅダを設計したグループのうちの何人かが興味を示しているみたいね。ルナ・ジオン……いえ、シャドウミラーの技術に興味を持ったんでしょうけど」

「あー……そうなったのか。てっきりこの世界の人間だけでヅダを完成させるんだとばかり思ってたんだが」

 

 シャドウミラーの目的として、この世界の技術の収集という点もある。

 だからこそ、この世界の技術に影響を与えるような兵器の類……ビームライフルとか、そういうのは表沙汰にしてないのに。

 いやまぁ、ニーズヘッグという例外はあるけど。

 ともあれ、俺としては出来ればヅダに関しては……そして、これからもこの世界の兵器はこの世界の技術で進化していって欲しいと思う。

 勿論、俺達シャドウミラーが関わっている時点で、純粋にこの世界だけの技術……という風には言えなくなっているんだろうが。

 そもそもの話、メギロートやバッタなんかを普通に使ってるしな。

 ダラニ辺りなら、ジオン軍でも連邦軍でも同じような物を作るのにそこまで苦労はしない……と、思う。

 いやまぁ、普通ならそこまで苦労しないとは思うんだが、ジオン軍の場合は戦闘機を開発するといって、何故か出来たのがドップだったしな。

 戦闘機としては、正直なところ使い物にならない……って程に酷くはないが、それでもやっぱり連邦軍の方が戦闘機という点では上だ。

 その辺りの差は、やっぱり純粋に地球という環境を利用出来るかどうかといったところだろう。

 ともあれ、そんなジオン軍だからこそ特異なと表現するのに相応しい兵器を作る。

 そして、実はシャドウミラー的にありがたい……正確には技術班が興味を示すのは、そういう特異な方の兵器だった。

 連邦軍の主力となっているセイバーフィッシュを始めとした戦闘機は、興味深いかどうかで言えば、間違いなく興味深いだろうが……それでも似たような兵器は普通に存在している。

 それこそ、俺たちがMIP社に譲渡したF-32なんかは、連邦軍が現在使っているセイバーフィッシュとかの進化した形と言ってもそこまで間違ってはいないのだから。

 

「取りあえず、シャドウミラーじゃなくて、ジオニック社やMIP社からやって来ている技術者を回すって事にしたらいいんじゃないか? そうすれば、ツィマッド社の方でもそれなりに満足するだろうし。……それに、メイをヅダの開発に回せば、戦力になるのは間違いないだろうし」

 

 シャドウミラーの技術者は渡せないが、ルナ・ジオンの技術者は別だ。

 そういう意味では、メイ・カーウィンという技術者は、間違いなくヅダを開発する上で重要な戦力になるだろう。

 また、会社ではなく個人としてジオニック社、MIP社からやって来ている面々の事を考えれば、そちらをヅダの開発に回しても十分な戦力になるのは間違いなかった。

 ……とはいえ、ジン、シグー、ストライクダガーにUC世界の核融合炉を使う事が出来るようになった以上、ヅダの完成は必須という訳でもないのだが。

 それでも、ジオン公国が完成させられなかったヅダをシャドウミラー……ではなく、ルナ・ジオンが開発したとなれば、間違いなくアドバンテージとなるだろう。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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