転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2191話

「え? 私がですか?」

 

 ノリスにアイナの件を説明していると、ギニアスの見舞いを終えたアイナが病室――正確にはレモンの研究室――から出てきたので、早速俺がここにいる理由を説明する。

 それを聞いたアイナは、意外といった表情を浮かべていた。

 まさか、俺からこんな事を言われるとは思ってもいなかったのだろう。

 

「ああ。ギニアスと初めて会った時も言ったと思うが、俺は……そしてシャドウミラーは、アプサラス計画に対して大きな期待を抱いている。だからこそ、そのアプサラスのテストパイロットをする人物には、しっかりとその性能を発揮して欲しい。……MSパイロットとしては、そっちのノリスも結構な腕らしいが、どうしても身内に教えて貰えるとなると、甘えが出てくる。そういう意味では、シーマから直接MSの操縦方法を習えるというのは大きいだろう」

「シーマ……シーマ・ガラハウ中佐ですか」

 

 シーマの名前を聞き、アイナの視線が少しだけ輝いたように思えた。

 もしかして、アイナもシーマの話を聞いて憧れているタイプか?

 ……実際、現在のシーマは男よりも女に好かれているのは間違いない。

 女だてらにマハル出身の荒くれ者の男達を従えて、しかもしっかりと纏め上げて大きな戦果を上げている。

 それを思えば、シーマに憧れる女が出てくるのもおかしな話ではない……と、思う。多分。

 もっとも、シーマ自身はそんなことに興味ないといった風だが。

 20代後半のシーマだが、男に関してはそこまで焦ってないんだよな。

 これが少し前までであれば話は別だったのかもしれないが、今のシーマは時の指輪の受信機を持っており、不老になっている。

 そうである以上、年齢を気にする必要はないという事なのだろう。

 実際には、身体は不老だが、戸籍上では普通に年齢を重ねていくんだけどな。

 だからこそ、シーマもそのうち戸籍上は40歳とかになったりしてもおかしくはない。

 ……何も知らない奴が、シーマにそんな年齢の事を口にした場合、一体どうなるのか。

 怖くて試そうと思う者は、まずいないだろうが。

 ともあれ、シーマに訓練をして貰うというのは、アイナにとっても問題はないらしい。

 

「じゃあ、シーマにアイナが訓練をやる事にしたと、そう伝えてもいいのか?」

「はい、お願いします。精一杯頑張りますので」

 

 やる気満々といった様子のアイナ。

 シーマの性格を考えると、訓練が終わった後で一体どんな風になるのか……少し、楽しみな気がしないでもない。

 

「アクセル代表。その、よろしければその訓練には私も一緒に参加させて貰えないでしょうか?」

「ノリスもか? いやまぁ、いいかどうかという事なら、恐らく問題ないが……」

 

 ノリスにしてみれば、幾ら有名になったとはいえ、シーマという人物にアイナを任せるのはあまり面白くないといったところか。

 ノリスが一緒だとアイナがそっちに甘えたりしそうだから、出来ればノリスと一緒に訓練をさせたりとかはしたくないんだよな。

 とはいえ、このノリスの様子を見る限りでは、俺が何といったところでそう簡単に引き下がるといった真似はしないだろう。

 強権を使えばそんな真似も可能かもしれないが、出来れば今の状況でそんな真似をしたいとは思わない。となると、俺に出来るのは……

 

「分かった、認めよう。ただし、この訓練はあくまでもアイナを鍛える為のものだ。あまり甘やかすような真似はするなよ」

 

 一応、そうやって念を押しておく事だけだ。

 ノリスもルナ・ジオン軍に所属する事になるんだし、ザク以外の機体に慣れておくというのも、決して悪い話ではない。

 機種転換訓練とか、そういうののついでだと思えば、そんなに面倒な事ではない、筈だ。

 

「は!」

 

 ノリスの返事を聞き、俺は改めてアイナに視線を向ける。

 

「じゃあ、そういう訳で、早速だけどこれからシーマに会いに行こうと思うんだが、そっちはこれから何か予定はあるのか?」

「幾らか書類の整理といった仕事はありますが、それは今日ではなくても構いません」

「自分も問題はありません」

 

 アイナとノリスの2人がそう言い、どうやら本当に問題はないのだろうと判断する。

 

「なら、行くか。……一応言っておくけど、影のゲートで転移するが、構わないな?」

「転移、ですか?」

 

 アイナは俺が影で転移する光景を見ていないので戸惑っている様子だったが、ノリスの方は先程俺が転移してきている光景を見ているので、その強面の顔を若干引き攣らせる。

 まぁ、その気持ちも分からないではない……か?

 魔法について殆ど知らないノリスとかにしてみれば、まさか自分が影の中に沈んだりといったことは、全く考えていなかったのだろう。

 

「そうだ。知っての通り、俺は魔法使いだ。その魔法の中には影を使って転移……瞬間移動するという魔法がある。それを使えば、わざわざ歩いて移動するよりも、素早く移動出来る。……もっとも、世界間を渡る事は出来ないから、一旦転移区画に転移して、それからシステムXNを使ってUC世界に転移、その後で再び影のゲートを使ってシーマのいる場所に移動する、という形になるけど」

 

 そう告げると、アイナの方は予想外なことに驚きつつもすぐに頷く。

 そして、ノリスの方はそんなアイナを見て、自分が断る訳にはいかないと判断したのか、渋々と頷く。

 

「じゃあ、今から早速行くぞ。俺の近くに来てくれ」

 

 その言葉に従い、アイナとノリスの2人が俺の側に近づいてくる。

 それを確認してから、俺は影を広げる。

 

「きゃっ!」

「ぬおっ!」

 

 アイナの口からは、悲鳴ではあっても面白そうといった感情の込められた悲鳴が。

 そしてノリスの口からは、そんなアイナとは正反対の嫌そうな悲鳴が漏れる。

 まぁ、初めて影に身体を沈めていくというのを考えれば、寧ろノリスの態度の方が普通なんだが。

 そんな風に思いつつ、俺もまた影に身体を沈めるのだった。

 

 

 

 

 

「影の転移、ですか。面白かったですし、こうして移動時間がほぼないというのもいいですね」

 

 転移区画まで転移し、その後システムXNでUC世界に転移した後、再び影のゲートで海兵隊が拠点としている基地まで転移してきた後で、アイナはそう告げる。

 そんなアイナとは反対に、ノリスの方はあまり影の転移は好みでなかったらしく、アイナの言葉に若干頬を引き攣らせている。

 まぁ、アイナの護衛という事である以上、アイナが影のゲートを使った転移を気に入ったのであれば、これからもそれを経験する事になる……と、そう理解しているからだろう。

 ともあれ、移動を終えた俺達はシーマ艦隊が使っている基地に向かう。

 当然ながら、基地の前では関係者ではない者が中に入らないように兵士が立っていたが、俺の顔を見れば道を通さない筈もない。

 ……まぁ、以前何度か俺の顔を知らない兵士とかもいて、若干騒動になった事はあったけど。

 ともあれ、今日はそんな騒動になる事もなく、無事に基地の内部に入る。

 ちなみに、何故直接基地の内部に転移しなかったのかと言えば、アイナとノリスにこの基地のどこに行けばシーマに会えるのかといったことを教えようと思った為だ。

 ルナ・ジオンの海兵隊というのは、ちょっと普通の海兵隊とは違う。

 言ってみれば、ルナ・ジオン軍の別働隊。もしくはもう1つのルナ・ジオン軍とでも呼ぶべき、独立部隊なのだ。

 ……そんな大きな権限を与えて、もし裏切られればどうするのかといった疑問を抱く者もいたが、シーマはルナ・ジオン建国の時からのメンバーであり、それこそその辺の連中よりも深く信頼されている。

 何より、もしシーマ艦隊が何らかの騒動を起こしたとしても、それこそ俺が……シャドウミラーがいれば、どうしようもないというのは明らかだったのが大きい。

 シャドウミラーの力を知っていれば、迂闊な行動はまず起こさないだろうと。

 実際に迂闊な行動を起こした者の多く――主にスパイや工作員の類――がどのような目に遭っているのか、全員が知っている。

 殺したり拷問したりといった真似はしていないが、マブラヴ世界で使われていた改良前の合成食しか食べるものはなく、耕した農地もすぐに他の者に売られたり譲渡させられたりといった真似をしているのを見れば、とてもではないがそんな目に遭いたくないと考えるのは当然だった。

 ましてや、シーマ達は安住の地を求めてジオン公国からルナ・ジオンに鞍替する事を決意し、建国に力を貸したのだ。

 そう考えれば、俺にとってシーマが裏切るという選択肢は存在しなかった。

 

「へぇ……海兵隊というのは、随分と厳しい訓練をしているんですね」

 

 シーマのいる部屋に向かう途中、海兵隊の訓練している光景を見て、アイナが呟く。

 海兵隊というのは、MSパイロット以外に生身での戦闘も想定されている部隊だ。

 ましてや、シーマの部下の海兵隊はその大半がマハルというコロニー出身の、いわゆるチンピラとかヤンキーとか、そんな連中が多い。

 ちなみに、以前はほぼ全てがマハルの出身だったのが、大半という言葉に変わったのは……建国宣言の時の一件で、シーマを悲劇のヒロインという風に見て、クレイドルに移住してきた者達で、海兵隊に所属する事を希望する者が多かった為だ。

 他にも、シーマは気の強い姉御肌の美人という事も、海兵隊を希望した者が多い理由の1つなのは間違いないだろう。

 その辺りの事情で色々と不満そうな様子を見せていたシーマだったが、それでも取りあえず戦力が増えるのは悪い事ではないだろうと、こうして新人達に対して海兵隊式の訓練をしていた。

 廊下を歩きながらの光景だったので、アイナに訓練を指揮している者の罵り……『お前達は豚だ、ゴミだ、クズだ!』『お前の母親は、お前のような奴を産んだ事を後悔して、今頃別の男にヒィヒィ言わされてるだろうな!』『立て、立て、立て! 走れ、走れ、走れ! お前達に出来るのは走る事だけだ、余計な事を考えるな、このクソファッキン!』といったような言葉が聞こえていなかったのは、本当に幸いだった筈だ。

 ノリスの方は、声は聞こえていなくても大体どういう風なやり取りが行われているのかというのを理解しているのだろう。アイナにその声が聞こえてない事にほっとした様子を見せている。

 ともあれ、そんな場所を通り……やがて俺達は、この基地の司令室。つまりシーマのいる部屋の前に到着した。

 当然ながらそこにも衛兵と呼ぶべき兵士がおり、怪しい人物をシーマに近づけさせないようにしている。

 海兵隊においては、シーマは絶対的なカリスマを持つ。

 ラル隊のラルや、闇夜のフェンリル隊のゲラート、ガトーの率いる部隊のガトー……といったような者達と同じ感じだ。

 そんな風に思っていると、兵士も俺の姿に気がつき、敬礼してくる。

 

「シーマはいるか?」

「は! シーマ様はいますが、現在ガトー中尉と面談中です」

「……ガトーと?」

 

 シーマとガトーは、別に何らかの関係がある訳でもない。

 コロニーに毒ガスを使った一件で、それが上層部から騙されたという事について話していたのは知ってるが、あくまでもそれだけだ。

 わざわざこの基地に来て話をする事はなかった筈だが……

 そんな風に思っていると、不意に扉が開いてガトーが姿を現す。

 俺の姿に気がつくと、即座に敬礼をしてきた。

 

「アクセル代表、お久しぶりです」

 

 そこまで堅苦しくならなくてもいいと言ってはいるんだけどな。

 ただ、ガトーの性格からして、俺を相手に気安く声を掛けるといった事は難しいのだろう。

 

「ああ、久しぶりだな。前にやった模擬戦以来か?」

「は!」

「そうか。それで、シーマと面談してたって聞いたけど、もういいのか?」

「はい。私の部隊と海兵隊で模擬戦を行う予定になっており、その件についての話し合いでしたので」

「ああ、そう言えばそんな事を言ってたな」

 

 ガトーが率いている部隊も、シーマの海兵隊も、そのどちらも精鋭と呼ぶに相応しい者達が揃っている。

 そうである以上、近い実力の者同士、模擬戦をやるには丁度いいのだろう。

 

「それで、アクセル代表。そちらの方々は……」

 

 アイナとノリスの方を気にしているガトーだったが、俺が何かを言うよりも前にアイナが1歩前に出て、貴族らしく優雅に一礼する。

 

「アイナ・サハリンといいます。こちらは私の護衛の、ノリス・パッカード」

「ああ、貴方がアプサラス計画の……失礼しました。アナベル・ガトー中尉です」

 

 敬礼するガトーだったが、すぐにまだ仕事があると言って去っていく。

 それを見送り、俺はシーマが待っている部屋の中に入るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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