転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2192話

「は? ザウートとバクゥを?」

 

 ラルからの提案に、俺の口からは意外そうな言葉が出る。

 ザウートとバクゥ。それは両方ともがSEED世界におけるザフトのMSだ。

 ザウートというのは、タンク型にも人型にもなれる機体で、言ってみれば……そう、W世界におけるトラゴスのような、後方から長距離砲を撃ち込む援護用のMS。

 ……ぶっちゃけ、現在治療中のギニアスが提案してきたアプサラス計画で開発されるアプサラスというMAも説明を聞いた限りでは後方から大威力のビーム兵器を発射する機体らしいが、それと違うのは、アプサラスは空を飛ぶし、トラゴスもホバー移動の機構が備わっているのに対して、ザウートは普通の無限軌道……いわゆる、キャタピラを使っての移動となる。

 人型になった場合は歩いて移動出来るのだが、機体重量がSEED世界のMSとしてもかなり重く、機動性や運動性という点では劣悪としか言いようがない。

 まぁ、その分主武装の2連キャノン砲の威力は高く、純粋に移動砲台として使えば、結構使えはするのだが。

 そしてバクゥというのは、4足歩行している犬や狼といった外見のMSだ。

 ……いや、4足歩行の獣型の機体は分類的にはMSじゃなくてMAじゃないのか? と思わないでもないのだが、SEED世界ではMSとして扱われている以上、取りあえずMSという事にしておく。

 まぁ、それを言うならW世界のパイシーズやキャンサーも人型ではないが、MSとして扱われているのだが。

 あれ? でもパイシーズは一応人型に近い形になれたような……まぁ、今はその事はいいか。

 ともあれ、バクゥは俺が戦ったように砂漠のような広大な場所においては、かなりの運動性能を発揮する。

 

「出来ればルナ・ジオン軍で使わせて欲しい」

「まぁ、出来るか出来ないかと言われれば出来る。けど、何でだ? どっちも宇宙では使えない以上、使うとすれば地球でという事になる。けど、地球でルナ・ジオンが有している領土はハワイだけだろ。そうなると、遠距離攻撃が可能なザウートはともかく、バクゥは使い道がないんじゃないか?」

 

 北海道以上の広さを持つクレイドルだけに、使おうと思えばクレイドルでも使えはするんだろうが……けど、クレイドルで使うのなら、それこそジンやシグー、ストライクダガーをダラニに乗せて使った方が圧倒的に有利だ。

 

「うむ。今のところはあまり使い道がないとは思う。だが、いずれ……ジオン軍に味方をするか、連邦軍に味方をするか……もしくはルナ・ジオン軍として独自の道を選択するかもしれぬが、ともあれ近い将来、ハワイ以外の場所で戦いになる可能性は十分にある。であれば、その時の為にルナ・ジオン軍としてもいざという時の用意をしておくのは、悪い話ではないだろう」

 

 そう告げるラルの言葉に、少し考える。

 実際、そのうちハワイ以外の場所で戦いになるという可能性は俺にとっても決して否定は出来ない。

 それが、ラルの言ったどの選択肢であるのかという問題はあるが。

 そして、動物型のバクゥやタンク形態の存在するザウートは、操縦方法とかも色々と他のMSと違う以上、機種転換訓練を今のうちにしておきたいというラルの気持ちは理解出来ないでもなかった。

 

「あー……まぁ、理屈は分かった。けど、ルナ・ジオンのメンバーでザウートに乗るのを希望するような奴はいるか?」

 

 ルナ・ジオン軍のメンバーの中核となっているのは、ジオン軍の中でも異名付きやパーソナルカラーを許された腕利き、もしくは精鋭といった者が多い。

 俺が知ってる限りでは、そのような面々は基本的に自分が直接前に出て戦う事を好む者が多く、とてもではないがザウートのように後方からの援護射撃を好むような者はいない。

 ……やろうと思えば出来るんだが、それでもやらない辺りに色々と問題があったりするのだが。

 ともあれ、それこそ下手をすればザウートで前線に出て戦うといった事をしかねず……しかも、それをやっても普通に活躍出来るだけの技量の持ち主が集まっていたりするのが、ルナ・ジオン軍だ。

 そんな俺の疑問に、ラルは問題ないと頷く。

 

「ザウートに関しては、MS適性のない者に任せる予定だ」

「ああ、その手があったか」

 

 MS適性というものは、厳然として存在している。

 だが、MSパイロットとして採用されるのは、様々な計測で一定の基準を上回った者だけだ。

 逆に言えば、ギリギリ、本当にギリギリその基準に満たなかった者も相応にいる訳で、そういう奴に後方支援特化用MSとも言うべきザウートや、場合によってはW世界のトラゴスといったMSを任せるというラルの意見は、そう間違ってはいないだろう。

 ザウートのパイロットを任された連中の中には、当然のように他のエースパイロットと同じように活躍したいと思う者もいるかもしれないが……残念ながら、ザウートでそんな事は出来ないと思われる。

 そうなると、ザウートのパイロットは嫌だという者もいるかもしれないが、そういうのは無理に引き留める必要はない。

 それこそ、MSパイロットになりたい奴は大勢いるのだから、そちらから選べばいい。

 

「で、バクゥの方は?」

 

 ザクやジンのような一般的な人型のMSと違い、バクゥは4足歩行型の獣の如きMSだ。

 そうである以上、どうしてもそのMSの適性も普通のMSとは違ってくる。

 どっちが優れているかとか、そういう事ではなく……純粋に向いているのかどうかといった感じで。

 そういう意味では、寧ろザウートのパイロットを選出するよりも難しいと言っても間違いではない。

 

「バクゥの方は、希望者を……といった形になるだろう。ザウートと違い、バクゥの方は実際に使われるまで暫く時間が掛かる可能性が高い事もあって、緊急性は高くない。それに、クレイドルでなら十分に訓練出来るからな」

 

 そう告げるラルの言葉は、間違いのない事実でもあった。

 クレイドルの大きさを考えれば、移住を希望している者達の人数を計算にいれても、MSが十分に訓練出来るだけの広さがある。

 また、コロニーや他の月面都市とは違い、山があったり川があったり海があったりもする。

 その為、地球での軍事行動を想定した訓練という意味では、これ以上ない程に相応しい。

 少なくても、環境がないのでシミュレーションだけでドップを作ったジオン軍のような事にはならなくてもいいというのは大きい。

 もっとも、地球に近い環境ではあると言っても、クレイドルはあくまでも人工の環境だ。

 好き放題に射撃武器を使ったりといった真似は出来ないが。

 特にビーム兵器の類は……ああ、そう言えばこれについては言っておく必要があったな。

 

「ラル、バクゥはビームサーベルを装備してるけど、ストライクダガーやリーオーと同様、基本的にビーム兵器の使用は禁止するぞ」

 

 バクゥのビームサーベル。それは、バクゥの口に固定されている奴だ。

 初期型のバクゥには当然そんな装備はなかったのだが、ザフトが盗み出したガンダムからデータを収集し、実用化した代物だ。

 口に咥えるといった形の形式なので、初期型のバクゥであっても容易に改修は可能だったらしい。

 当然、ホワイトスターにあるバクゥもビームサーベルを使用可能なのだが、連邦軍、もしくはジオン軍がビームライフルやビームサーベルのようなビーム兵器を持ち出してくるまでは、基本的にルナ・ジオン軍の機体でもビーム兵器の使用は禁止している。

 それは当然のようにバクゥにも当て嵌まる話だった。

 

「うむ、そうなるだろうとは思っておった。だが、ジオン軍か連邦軍がビーム兵器を持ち出したら、使ってもいいのだろう?」

「ああ。MSが使用可能なビームライフルとか、だけどな」

 

 実際には、ゴックやズゴックのように、ビーム兵器を使うMSというのは既に出ている。

 だが、それはあくまでも水陸両用MSで廃熱の問題とかを強引にクリアした形であって、俺が思っているような、汎用性の高いビームライフルとかではない。

 その水陸両用MSのビーム兵器も、水陸両用MSだからこその水を使った冷却とかのおかげで強引に使っている代物だ。

 というか、純粋にビーム兵器というだけなら、それこそ軍艦のメガ粒子砲とかあるしな。

 そういう事で、汎用性に欠けるビーム兵器というのは出てきているのだが、生憎と汎用性のあるビームライフルの類はまだ実用化されていない。

 この辺り、ジオン軍や連邦軍でも研究は始まってると思うんだが……ルリやラピスに調べて貰うか?

 連邦軍のMS開発計画のように、コンピュータにデータそのものが入ってないって事は……多分、ないと思うし。

 もっとも、なければないで、そこまで困るような事でもないのだが。

 

「儂が見たバクゥの性能であれば、ビーム兵器がなくても十分強力だ。……とはいえ、動力炉やそれに合わせた機体の調整といったものも必要になるだろうが」

「だろうな」

 

 ザウートは、基本的に後方からの援護射撃でエネルギーを使うビーム兵器もないので、言ってしまえば、動力炉はUC世界の核融合炉を使わなくても、ぶっちゃけバッテリーのままでもそこまで問題はないのだ。

 まぁ、勿論どっちがいいかと言われれば、核融合炉を使った方が色々と便利なのは間違いないし、技術班の面々の性格を考えればザウート用に核融合炉を設計、開発してもおかしくはないが。

 あー、でもビームキャノンとか、そういうのを装備させないようにというのは、言っておいた方がいいか。

 そんな風に思いつつ、俺はラルとの会話を続ける。

 

「取りあえず話は分かった。あー、それとラルが俺に話を持ってきたって事は、この件ってセイラも知ってるのか?」

「うむ。姫様もアンリ元帥も、両方から承諾の言葉は貰っている」

「そうか。ならいい」

 

 この一件に関しては、ルナ・ジオン軍としての行動とかにも関わってくる。

 そうである以上、前もってセイラやアンリといった重要人物に話を通しておくというのは、当然の事だった。

 だが、その辺に話が通っているのであれば、何の問題もない。

 

「では、頼む」

 

 そう言い、ラルは部屋を出る。

 さて、頼まれた以上はしっかりと技術班に頼んでおく必要があるな。

 とはいえ、技術班の面々がこの依頼を受けるかどうかは……まぁ、問題ないと思う。

 ザウートの件はどうなるか分からないが、バクゥにUC世界の核融合炉を搭載するというのは、恐らく技術班の面々にとっても興味深いと判断する筈だ。

 ……まぁ、興味深すぎて、バクゥを魔改造してしまわないかと、ちょっと心配だが。

 バクゥは背中の武器がメインウェポンなんだが、そこに重力波砲だったり、S-11弾頭のミサイルだったりを搭載しないといいんだが。

 もしくは、爪とか牙にビーム兵器を搭載して、ビームファングとかビームクロウとか。

 ……バクゥは尻尾を持っていなかった筈だけど、ニーズヘッグの尻尾の技術を使って新しく尻尾を作るとか。

 あー……でも、ニーズヘッグの尻尾はT-LINKシステムを使って操作してるんだし、バクゥに付けても無理か? ET-LINKシステムの開発が終われば、その辺もどうにかなるかもしれないけど。

 そんな風に考えつつ、レモンに連絡を取る。

 

『どうしたの? アクセルがこうして私に通信を送ってくるなんて珍しいじゃない。いつもなら、用事がある時は直接会いにくるのに』

 

 通信に出たレモンが、俺の方を見てそう言ってくる。

 実際、影のゲートを使って転移をすれば、直接話す事が出来るんだから、レモンの言葉は間違ってる訳ではないのだが。

 

「ああ、ギニアスの件はどうなっている?」

『そうね、あと五日……延びても1週間くらいで宇宙線の影響を取り除いて、健康体に戻す事が出来るわよ。それと、ついでにこれまでの影響で弱まっている内臓とかを多少強化するわ』

 

 強化という言葉に一瞬だけ量産型Wを思い浮かべる。

 実際、その強化というのは量産型Wの技術を使っているのだから、決して間違っている訳ではないのだが。

 それに、強化自体はこれまでにレモンが治療してきた者達にも普通に行われている。

 もっとも、それはあくまでも病気や怪我で弱まった場所を補強する意味での強化であって、量産型Wのように魔術や魔法を使えるようにする意味での強化ではないのだが。

 ……その辺も、やろうと思えば出来る辺り、レモンらしいと言えばらしい。

 

「そうか。ギニアスは高い技術力を持っているから、これからのルナ・ジオンでも重要な役割を果たすだろうし、出来れば長生きして欲しいな。受信機を渡してもいいんだが。……ともあれ、本題だ、ルナ・ジオン側から、バクゥとザウートを使えないかと要望があった。特にバクゥはジンとかのようにUC世界の核融合炉を動力に変えての話だ。ああ、それとビームサーベルは却下してな。……どうだ?」

『構わないわよ。もう開発してる動力炉をそのまま使うから、バクゥに対しての細かい調整だけで済むでしょうし』

 

 レモンは俺の言葉に、あっさりとそう告げる。

 ……分かっていたけど、シャドウミラーの技術班って有能だよな。……有能すぎて暴走したりする事も多いんだが。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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