転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2194話

「お待たせしました、キノコたっぷりの和風パスタ大盛りです」

 

 そう言いながら、ウェイトレスが俺の前に置いたのは、その言葉通り普通のパスタの3人分はあろうかという量のパスタだった。

 もっとも、パスタというのは1人前が実質的に0.5人前、場合によっては0.3人前程度だったりする事を考えれば、これでようやく1人前から1.5人前といった感じだが。

 ともあれ、俺はパスタを観察する。

 椎茸、シメジ、エリンギ、マイタケ……それにこれは松茸か?

 それ以外にも俺にはちょっと名前が分からないような様々なキノコが入っており、醤油ベースの味付けで、パスタの上には海苔の千切りが乗っている。

 まさに、これぞキノコのパスタといった感じのパスタだ。

 

「あら、本当に美味しいわね。下手なお店だと、卵黄と生クリームをかき混ぜる時に火加減を失敗して、上手く混ざらないで炒り卵になったりするのに」

 

 カルボナーラを食べていたエリナが、感心したように呟く。

 カルボナーラというのは、パスタの中でも基本というか、ポピュラーなメニューだ。

 だが、俺も以前どこかで食べた事があったが、その時はエリナが言うように卵黄と生クリームが上手く混ざっておらず、炒り卵のようになっていた。

 それでもまぁ、俺は一級品の料理でなければ食べられないといった訳でもないので、普通に食べたが。

 そもそも一級品の料理でなければ食べられないとなれば、それこそカップラーメンとか、そういうのは食べられないだろう。

 ……それでも、マブラヴ世界の合成食、それも改良前の奴は食いたいとは思えないが。

 

「こっちのシーフードパスタも美味しいわよ? しっかりと魚介の出汁が出て、それがパスタにしっかりと絡まって。具の方もイカにエビに貝に魚と、どれもしっかりと手を加えられているし」

 

 ミナトもシーフードパスタを食べながら、満足そうに告げる。

 ちなみに、俺のパスタが一番最後だった理由は、大盛りで手間が掛かったからか?

 そんな風に思いながら、俺も早速パスタを口に運ぶ。

 まず広がるのは、椎茸を始めとしたキノコの濃厚な旨み。

 干し椎茸とかで出汁を取るといった事が和食では行われてるように、椎茸というのは極上の出汁を出す。

 その出汁がパスタの麺と口の中に広がり、醤油ベースのソースと辛みのあるこれは……唐辛子じゃなくて山椒の実か? そして海苔が海の香りを口の中に運ぶ。

 ちなみに、キノコはどれもしっかりと食べ応えのある厚みを持っている極上品で、エリンギや松茸といった風に食感の良いキノコも多い。

 

「美味い」

 

 小さく呟く。

 まぁ、エリナやミナトみたいに細かい感想を言ってはいないが。

 ただ、キノコというのはカロリーが非常に低い。

 ダイエットとか、そういうのに興味のある女には、人気になるメニューなんじゃないだろうか。

 もっとも俺のように一度に3人前とか食っていれば、キノコよりもパスタの方でカロリーが高くなる可能性があるが。

 

「それにしても……この店は美味いパスタを出す割に、客の姿はあまりないな」

 

 パスタを食べながら周囲の様子を見るが、俺達以外の客の数はかなり少ない。

 全くいないという訳ではないのだが、それでもとてもではないが繁盛しているとは言えない光景だ。

 

「日中だし、こんなものでしょ。夜になれば結構な人数が集まってくるらしいわよ?」

「ああ、夜がメインの店なのか。……まぁ、店の作りを見れば、それも納得出来るけど」

 

 ミナトの言葉に、再度店の中を見回しながら呟く。

 店の中はシックな飾りが目を引き、言われてみれば昼よりも夜の方がムードがあるように思える。

 ホワイトスターにいられる時間は決まっているので、夜にここで食事をするにしても、結局のところはそこまで時間的な余裕はないと思うんだが……それでも、この雰囲気の中で食事をしたいと言われれば、納得出来ない訳でもない。

 ともあれ、そんな風に会話をしつつもパスタを食べていく。

 ちなみに、当然ながら俺はキノコのパスタだけでは足りず、タラコパスタ、ボロネーゼ、ちょっと変わったところでウニのパスタをそれぞれ2人前ずつ頼む。

 ……注文を受け取った店員は、驚きの視線を俺に向けていたが。

 

「じゃあ、ヅダの改修チームはそろそろクレイドルに到着するの?」

「ああ。ツィマッド社、ジオニック社、MIP社……他にも連邦の科学者が協力をする事になっている」

 

 エリナは俺の言葉に、若干呆れの表情を浮かべる。

 まぁ、エリナにしてみれば、ネルガルの研究に木連やクリムゾングループの研究者が手を貸すかのような、そんな感じなんだろうし。

 ネルガルで働いていただけに、その辺はミナトよりも敏感なのだろう。

 

「ふーん。……ねぇ、それより知ってる? 地球連邦軍にもジオン軍にも、陸戦艇というのがあるんだって。それこそ、地上を走る要塞的な」

 

 不意に話を変えるミナトに、俺は少し考え……やがて思い出す。

 連邦軍にある陸戦艇は、ビッグ・トレー級。

 ホバー移動が可能で、水上の移動も出来るという、まさに陸の戦艦といった艦だった筈だ。

 実際、戦力を分類する時にも戦艦級として扱われているらしい。

 ジオン軍にある陸戦艇は、ダブデ級。

 設計段階からミノフスキー粒子散布下での運用を考えられており、そういう意味では今の戦争において適している陸戦艇と言える。

 ただし、難点は移動手段が無限軌道……いわゆるキャタピラだという事だ。

 地上の移動速度はかなり速いらしいが、それでもキャタピラだという事は、ビッグ・トレー級とは違って海を移動出来ないという事を意味している。

 ビッグ・トレー級よりも後で開発されて、その運用方法もビッグ・トレー級と似ているのは間違いない。

 なのに、何故ホバー移動ではなくキャタピラを使った移動方法になったのか。

 もしくは、単純にジオン軍にはホバー移動に関する技術的な蓄積がなかっただけなのか。

 その辺りの理由は分からないが、もし俺がどっちかを使えと言われれば、間違いなくホバー移動が可能なビッグ・トレー級を選ぶだろう。

 

「ビッグ・トレー級と、ダブデ級だな。それがどうした?」

「どうせならさ、シャドウミラーにもそういうのがあってもいいと思わない?」

「あー……なるほど」

 

 ミナトは、乗り物を操縦するのが得意だ。

 腕は一流、性格に問題ありといった感じで選ばれたナデシコの中で操舵士をやっていたのを思えば、その技術がどれだけのものなのかは容易に想像出来るだろう。

 今はシロガネの操舵士をやっているが、本人がその気にあればPTのパイロットとしても十分にやっていけると思っている。

 だが、本人はPTやMS……それ以外にも様々な人型機動兵器に関しては全く興味を示す事はなく、軍艦やそれに類する乗り物の操縦のみに興味を抱いていたのだ。

 そんなミナトだけに、陸戦艇という乗り物に興味を示してもおかしくはないのだが……

 

「シャドウミラーで使う陸戦艇か。……難しいな」

 

 陸戦艇と言われてすぐに思い出せるのは、ノイエDCが使っていたライノセラス。

 一応その設計図とかも技術班なら持っていてもおかしくはないが、ライノセラスはあまり使いやすそうな印象はなかったんだよな。

 そうなると、次に思いつくのはSEED世界のレセップス級か。

 バルトフェルドが使っていた陸戦艇で、ホバー移動ではないがスケイルモーターとかいうのを使っていて、こちらも水上を移動可能な代物だ。

 ただ、SEED世界で使われているだけあって、俺達が使うとなると動力炉とかから変更する必要がある。……それを考えると、ライノセラスの方がいいか?

 ただ、ライノセラスは攻撃力が基本的にそんなに高くないんだよな。……衝角を使って敵に突っ込むとかをすれば、話は別だろうが。

 逆に言えば、その質量を使った突貫というのは、強大な攻撃力を持っているという事を意味しているのだが。

 いっそ何かを流用するのではなく、シャドウミラーで独自に作るか?

 それもありなんだが……バクゥの時の事を考えると、技術班が暴走しそうな気がするんだよな。

 そうなると、やっぱり流用するか?

 いっそ、連邦軍からビッグ・トレー級を譲渡してもらうという選択肢も、ない訳ではない。

 ああ、そう言えば使節団を送ってきた時に、コバッタを盗もうとした奴がいたな。

 その時の騒動を隠蔽した為に、あの使節団を率いている人物はこっちにとって役に立つ人物となっている。

 そう考えると、そちらから手を回して……と、そういう風に考える事も、不可能ではないか?

 

「難しいの?」

「まぁ、正直なところ陸戦艇があればあったでいいとは思うけど、シャドウミラーの場合はニヴルヘイムがある以上、空中要塞として使う事も可能だし」

 

 ニヴルヘイムは、今のところ月の周回軌道に存在していて、月を守る為の機動要塞の1つとして活躍している。

 だが、システムXNを搭載している以上、使おうと思えばいつでも地球に持ってくる事が出来るのだ。

 まぁ、そうなるとシャドウミラーが転移技術という能力を持っているというのが、知られる事になるが。

 ただ、今はルナ・ジオンの幹部という限られた者達だけがホワイトスターに行ってるが、このまま時間が経てば、恐らく幹部以外の者もホワイトスターに行くようになり、場合によっては連邦軍やサイド6の中立派、ジオン公国の連中もホワイトスターに行く事になる筈だった。

 勿論すぐにそうなる訳ではないし、向こうに行くにしてもすぐに自由な行動を許されるという訳でもない。

 だが、それでも転移技術をいつまでも隠し通すのは無理だというのは、間違いない。

 そもそも、このUC世界以外では、シャドウミラーが転移技術を持っているというのは非常に有名な話だ。

 それこそ、軍事関係者、政治関係者ではなく、一般市民であってもちょっと情報に詳しい者であれば、知っていてもおかしくはない出来事だった。

 そうである以上、その辺りの情報を隠し通すのは無理だし、その情報が漏れるのはそう遠い話ではないだろう。

 

「うーん……ちょっと面白そうだと思ったんだけどな。けど、アクセルの様子を見る限りだと、ちょっと難しそうね」

「そうだな。最悪SEED世界でザフトからレセップス級を買い取るといった真似をする事も出来るけど……技術班が悪乗りしそうなんだよな」

「それは……そうね」

 

 俺の言葉に、ミナトも納得したように頷き、その隣ではエリナも同様に頷いていた。

 シャドウミラーに所属しているだけあって、当然のようにミナトとエリナの2人も、技術班の優秀な能力を知ってると同時に、問題児ぶりも理解している。

 レモンやマリューといった面々からも、その辺の事情は聞かされているのだろう。

 ましてや、場合によってはミナトがそれに乗る事になるのだから。

 幾ら色々な乗り物に乗るのを好むミナトでも、技術班が遠慮しないで作った機体に乗りたいかと言われれば……今のミナトを見る限りでは、とてもではないが乗りたいとは思わないのだろう。

 その気持ちは分かる……というのは、技術班が持つ技術を結集して作ったニーズヘッグに乗っている俺が言っても、説得力はないかもしれないが。

 ともあれ、そんな感じで俺とミナト、エリナの3人は会話をする。

 ……まぁ、ミナトは陸戦艇の件を完全に諦めた訳でもないようだし……後でちょっと何かを考えてもいいのかもしれないな。

 

「あら、このティラミス美味しいわね。パスタだけじゃなくて、デザートも美味しいって話だったけど、予想以上だわ」

「本当。ちょっと他の世界では食べられないくらいの味よ」

 

 パスタを食べ終えてデザートに入ると、そこからはミナトとエリナの口から歓声が上がる。

 どうやら、この店はデザートとかも美味しい店として有名だったららしい。

 実際にこうやって食べているところを見れば、嬉しそうにしているのは分かるし、美味そうに見えるけど。

 ちなみに、現在テーブルの上にはアイスやティラミス、パフェ……それ以外にも、俺にとっては名前も分からないようなデザートが幾つも載っている。

 これだけの量を食べきれるのか? という思いがあったが、食べきれなかったのは俺が食べるらしい。……まぁ、美味いデザートを食べられるんだから、俺にとっても嬉しいのは間違いないけどな。

 そう思いつつ、俺はソフトクリームにスプーンを伸ばす。

 それを口に運ぶと、濃厚な牛乳の味が口一杯に広がる。

 デザートが美味い店として知られているだけはあるな。

 

「喜んで貰えましたか?」

 

 ふと、そんな風に声を掛けられる。

 声のした方に視線を向けると、そこにいたのは40代……いや、もっと若いか?

 取りあえずそんな年代の男。

 人好きのする笑みを浮かべて自分がこの店のシェフだと告げると、俺達に話し掛けてくる。

 

「アクセル代表が食べているソフトクリームの材料は、実はこのホワイトスターで絞られた牛乳から作られたものなんですよ。どうでしょう?」

「……もしかして、牧場からか?」

「はい。以前に比べると、餌の質も良くなったのか、かなり味が上がってますよ。このまま美味しくなれば、それこそ一流の店で使われてもおかしくないくらいに」

 

 そう告げるシェフの言葉に、俺は少しだけ嬉しくなるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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