転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2202話

 シェリルのライブの最中に爆弾テロを起こそうとした奴は、連邦でもジオンでも、ましてやサイド6の手の者ではなく……純粋に、ハワイの人間だった。

 特に裏もなく、純粋に個人での犯行。

 もっとも、個人で爆弾を作るような真似が出来たというのはちょっと疑問だったが……その辺りも、ジオン軍がハワイを占領している時に入手した代物だと言われれば、そういうものかと言うしかない。

 実際のところ、かなり厳しく取り調べを受けたらしいが、特に怪しいところはなかったらしい。

 コバッタが今回の件でどうにかしたらしいが、この辺はこれからももっと厳重にする必要があるだろうな。

 ともあれ、シェリルのライブは無事に成功し、ルナ・ジオンが有する水中用MSのお披露目もついでに出来た。

 結果だけを見れば、今回のシェリルのライブは大成功だったと言えるだろう。

 そんな訳で、シェリルのライブが終わってから数日……俺は、まだ完全に完成した訳ではないが、既に稼働をし始めているギニアスの研究所にやって来ていた。

 

「それで、研究所の使い心地はどうだ?」

「十分です。エネルギーに困る事もないですし、それ以外の物資も豊富。それに敵の攻撃に怯えなくてもいいというのも大きいですね」

 

 満面の笑みを浮かべて、ギニアスがそう告げる。

 俺が最初に会った時は、宇宙線の影響でかなり病弱そうだったのだが……幸いと言うべきか、今はもうレモンの治療でその辺りの心配はしなくてもよく、完全に健康になっていた。

 そのおかげもあって、悲壮感の類はなく……純粋にサハリン家の名誉の為にアプサラス計画を進めているらしい。

 他の技術者から聞いた話だが、こうしてギニアスの様子を見る限りでは決して間違ってはいないだろう。

 

「そうか。それは何よりだ。……とはいえ、計画そのものはまだ始まったばかりだろ?」

「そうですね。開発しようと思ったのが、どうしても高性能なMAなので……」

 

 少しだけ恥ずかしそうな様子を見せるギニアス。

 恐らくだが、最初のアプサラス計画を立てた時には、本当に成功すると思っていたのだろう。

 実際、ギニアスはかなり優秀な技術者である以上、宇宙線に蝕まれて残り長くない命だと自覚していれば、常に火事場の馬鹿力状態となって、もしかしたら成功させていた可能性も高いのだが。

 

「それでも、成功はさせてくれるんだろうな?」

「ええ。色々と苦戦するかもしれませんが、他の技術者達の協力も得られるので、絶対に完成してみせます」

 

 力強く告げ……まるでそのタイミングを計ったかのように、部屋の扉がノックされる。

 ギニアスがそれに返事をすると、扉が開いて姿を現したのは、アイナ。

 手に紅茶の入ったカップの乗ったお盆を持って、部屋に入ってくる。

 

「失礼します、兄様、アクセル代表。紅茶をお持ちしました」

 

 そう言い、アイナは俺とギニアスの前に紅茶のカップを置いていく。

 その中にはクッキーの類もお茶菓子として用意されており、アイナの気の利く部分が発揮された形だ。

 

「そう言えば、アイナ。最近はガトーと仲が良いって話を聞いたんだが、どうなんだ?」

「そ、それは……」

 

 俺の言葉に、アイナは急激に顔を赤く染めていく。

 耳まで真っ赤になったのを見れば、それこそ考えるまでもなく2人の仲が進展しているのは明らかだ。

 ただ、そうなると将来的にはどうなるんだろうな。

 ガトーがサハリン家に婿入りするのか?

 ガトーの正式名称はアナベル・ガトー。

 つまり、ガトー家のアナベルだ。

 もしサハリン家に婿入りする事になれば、アナベル・サハリンとなる訳で……ガトーとは呼べなくなるな。

 その辺は、正直どうなる事なのやら。

 照れたように顔を赤くして部屋を出ていったアイナを見送り、俺は改めてギニアスに視線を向ける。

 

「それで、ギニアスはどう思っているんだ? ガトーの事を」

「謹厳実直な人物……とは思っていますよ。ただ、アイナを任せられるかどうかは、まだ分かりません」

 

 そう言いながらも、若干ギニアスの表情には満足そうな色がある。

 こうして見た場合、どうやらあまり問題はないらしい。

 とはいえ、その事を直接口にするような真似をすれば、ギニアスは決して認めたりはしないだろうが。

 

「まぁ、その辺は俺もあまり詳しくないしな。名家とかなれば、しきたりとかそういうのも関係してくるだろうし」

 

 名家というのは、長い歴史があるもので、長い歴史があるという事は、当然ながらそこに面倒な……事情を知らない者にしてみれば、一件して理解出来ないようなしきたりがあるという事なのだろう。

 だからこそ、そういうのにはあまり関わり合いたくはない。

 ……とはいえ、俺の恋人には名家なりなんなりといった者がそれなりにいるのだが。

 特にコーネリアなんかはブリタニアの皇女なのだから、名家云々なんて話ではない。

 そうして暫くアプサラス計画についてやら、それ以外にも色々と話をし……これから仕事があるというギニアスと別れ、俺は部屋の外に出る。

 この研究所は一応秘密という事になっているので、基本的に研究所の中にいるのは関係者ばかりだ。

 何人かの研究者……サハリン家に所属している研究者達に会うと深々と頭を下げられつつも、研究所の中を見回っていく。

 

「アクセル代表、いらしてたのですか」

 

 そんな俺に声を掛けてきたのは、ギニアスの部屋で話題になっていた人物……ガトーだ。

 

「ああ、ちょっとこの研究所を見ておきたくてな」

 

 当然ながら、この研究所はまだ完全に出来上がっている訳ではない。

 今もまた、コバッタやバッタ、メギロートといった無人機や量産型Wが、研究所の設備を作り続けているところだ。

 もっとも、重要な場所はもう殆ど完成してるので、現在作っているのはそれ以外の場所となるのだが。

 

「そうですか」

 

 俺の言葉にそう返してくるガトーだったが、その表情にどこか暗い色があるのに気がつく。

 何だ? もしかして、アイナと喧嘩でもしたのか?

 

「どうした? 随分と浮かない顔をしてるけど。何かあったのか? アイナと喧嘩したとか」

「いえ、そうではありません。……アクセル代表、今朝のニュースを見ましたか?」

 

 今朝のニュース? そう言われて思い出したのは、連邦が今朝発表したニュースだった。

 

「ヌブルア村の虐殺の件か」

 

 曰く、アフリカ大陸の中西部にあるヌブルアという村で、ジオン軍によって村人が虐殺された、と。

 当然のように連邦軍はこのニュースを最大限に取り上げ、地球にいる住人達の反ジオン感情を高めようとしていたし、同時に連邦軍がジオン軍に対する憎悪……言い方が悪い場合は、戦意と呼んでもいいが、それを高めるといった真似をしていた。

 当然の話だが、ジオン軍はその一件を否定している。

 まぁ、村人を虐殺したと言われてそれを認めるような真似をした場合、間違いなくジオン軍の士気を低める事になるだろうし。

 ジオン軍の中には、ガトーを始めとするように軍人らしい軍人、いや武士らしい軍人といった者も決して少なくはない。

 そうである以上、当然のように自分の所属している軍隊が村人を……一般市民を虐殺しているなどと聞かされれば、それを許容出来ない者も多く出る。

 

「はい。……アクセル代表は、どう思いますか? あの報道……事実か、そうではないか」

 

 ガトーとしては、既に見限ったとはいえ、ジオン軍は自分の古巣だ。

 それだけに、出来れば俺に否定して欲しいと、そう思っているのだろうが……

 

「多分、事実だろうな」

 

 少し考えた結果、俺はそう答える。

 連邦軍の自作自演という可能性も少しは考えたが、そのような真似はリスクが大きい。

 そのような事が公になった場合、それこそジオン軍の士気をこれでもかと高める事になるのは確実だった。

 連邦軍がそのような間抜けな真似をするとは思えず、そうなると考えられるのは、やはりジオン軍がその村の住民を虐殺したという事になる。

 

「……そうですか……」

 

 苦々しいといった様子で呟くガトー。

 自分の古巣だけに、幾ら何でもそのような真似はしないだろうという思いがあると同時に、ガトーがジオン軍にいる時に調べ、最終的にシャドウミラーに来るという事を考えた時の事を考えると、嘘だとは言い切れないといったところか。

 ジオン軍の誰もが高潔な精神を持っているという訳ではない。

 自分の利益を最優先し、その結果として田舎にある村の住人を虐殺するような者が出てきても……まぁ、おかしくはない。

 特に大きいのは、ガトーの率いる部隊がそういうのに厳しかったというところだろう。

 部隊を率いるガトーが武人の如き性格をしている以上、もしガトーがジオン軍として地上での戦いに参加していても、戦いには全く関わっていないような村の住人を殺すなどといった真似は、まずしないだろう。

 そのような性格をしているガトーだからこそ、村の住人の虐殺……それが人を殺したかっただけで殺したのか、もしくは村の住人が持っていた財産の類を欲したのか……はたまたそれ以外の理由なのかは分からないが、ともあれそのような真似をしたことが理解出来ないといったところか。

 

「ガトーの気持ちも分かる。だからこそ、今回のような二の舞にならないように、ルナ・ジオン軍の軍人にはしっかりとその辺りの教育をする必要があるだろうな」

「……分かっています」

 

 俺の言葉に、ガトーはしっかりと頷いて答える。

 とはいえ、まだルナ・ジオン軍の人数というのはそこまで多くはない。

 だからこそ、しっかりと規律を守らせるような事は可能だろう。

 幸い、ルナ・ジオン軍の上層部は、虐殺とかを容認するような者達ではない。

 特に大きいのは、やはりクレイドルに入港する時に、その辺りをしっかりと確認されているというのが大きい。

 以前何か問題を起こしているような相手は、当然のようにコバッタや量産型Wの監視の目が厳しくなるし、手に負えないような問題を起こしている者の場合はクレイドルに降りるのを許可されない場合もある。

 移住希望者がもう少し落ち着いた後であれば、その辺りも多少は緩くなるのだろうが……少なくても、今は無理だ。

 

「取りあえず、ガトーはその辺を心配するよりも前に、自分の事を心配した方がいいだろうな」

 

 生真面目すぎるガトーだけに、少しは肩の力を抜いてやるべき。

 そう考え、俺は意図的にからかうような口調でそう告げる。

 一瞬、ガトーは自分が何を言われたのか分からない様子ではあったが……俺の顔を見て、何を言いたいのかというのを理解したのだろう。先程までの深刻な顔が嘘のように、慌てて口を開く。

 

「なっ、私は別に……」

「ノリス……結構厳しいんだろ?」

「ぐっ、そ、それは……」

 

 俺が知っている限りでは、ノリスとガトーはMSの操縦技術という点ではほぼ同等に近いものがあった。

 だが、実際に2人が模擬戦を行った場合、勝利するのは大半がノリスなのだ。

 この辺り、アイナの親代わりたるノリスにとっては、そう簡単にガトーに負けてやれないと、そう思っているのだろう。

 当然のように、ガトーもアイナとの関係を認めて貰う為にと頑張ってはいるのだが……母、ではなく父は強しといったところか。

 ただ、その結果としてノリスもガトーに負けないようにとかなり頑張って鍛えているので、ガトーとノリスの2人は加速度的にMSの操縦技術を上げている。

 もしかして青い巨星、黒い三連星といった異名持ちにも勝てるだけの実力はあるのではないかと、そう思えるくらいに。

 アムロやシャアのようなニュータイプはともかく、いわゆるオールドタイプと呼ばれているパイロットの中では、間違いなくノリスとガトーの2人は最高峰の技量を持っているだろう。

 元々他を圧するだけの実力を持っていたのは間違いないが、そんな2人が切磋琢磨――というのはちょっと違う気もするけど――しながら鎬を削った結果、他の者よりも上の段階に進んだと言ってもいい。

 

「まぁ、ガトーも能力的に見れば、決してノリスには負けていないんだ。だとすれば、そのうち、間違いなくノリスに実力を認めさせるような事も出来るだろ」

 

 何も知らない者の目から見れば、ガトーは異名持ちではないにしろ、パーソナルカラーは許されていた……言わば、準エースといった存在だった。

 そんなガトーとは裏腹に、ノリスは異名もパーソナルカラーも許されてはいない。

 まぁ、その辺りは……それこそ、サハリン家の護衛という身分だったからこそというのも、関係しているのだろうが。

 ともあれ、ガトーとノリスという2人の腕利きパイロットは、毎日のようにシミュレータや実機での模擬戦を繰り返し……腕を上げていくのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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