転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2204話

 ソロモンの一件については、結局は様子見という事になり……現在、宇宙では束の間の平和な時間が流れていた。

 とはいえ、ジオン軍と連邦軍の小さな部隊同士が遭遇して戦いになるといった事はそれなりにあったので、完全な平和という訳ではなかったのだが。

 だが、取りあえず連邦軍にもジオン軍にも大きな動きがない以上、今は特にやるべき事がある訳でもないので……

 

「ふむ、これは素晴らしい景色だな。アクセルとのデートという事だから、どこに連れて行かれるのかと思ったが……」

「えっと……それはいいんだけど、何だってこんな組み合わせ?」

 

 コーネリアの言葉に戸惑ったような声を上げたのは、ゆかりだ。

 本来なら、俺とコーネリアの2人だけでここに……クレイドルにある草原にピクニックに来る予定だったのだが、丁度昨夜ペルソナ世界からホワイトスターに泊まりに来て、結果として朝食の時にコーネリアからの要望でこうして3人でのデートという事になった。

 にしても、コーネリアとゆかりか。……夜の寝室でならそれなりに一緒にいる光景を見た事もあるし、それこそ昨夜もそうだったが、こうして何でもない場所でこの2人が一緒にいるというのはかなり珍しい……というか、面白い組み合わせだった。

 いや、だからこそ、コーネリアは今日の俺とのデートにゆかりを連れ出したのかもしれないな。

 

「ふむ。特に何か理由があった訳ではない。ただ、たまには夜の事以外でも、こうしてゆかりと話をしてみたかったと思ってな。……迷惑だったか?」

「いえ、それは迷惑じゃないけど……ただ、ちょっと意外だっただけよ。今日は学校もサボってしまったし」

 

 ゆかりはまだ月光館学園の3年なので、平日であれば当然のように授業はある。

 だが、今日はこうして俺達に付き合っている以上、当然ながら学校をサボってしまったという事になる。

 とはいえ、ゆかりは普段の成績もそんなに悪くないし、授業態度も良い。また、月光館学園を運営している桐条グループとの仲も良好で……となれば、教師達が一種特別な扱いをしたりしてもおかしくはない。

 勿論、それは度を超えたような真似をすれば問題になるだろうが、1日サボる程度であれば問題はない。

 

「お、見ろ。あれは……どこだったか忘れたけど、マクロス世界の中にある惑星に生息するウサギだぞ」

 

 そう言い、俺の視線を追うようにコーネリアとゆかりの視線が向けられた先には、1匹のウサギがいた。

 いや、ウサギから、数え方は羽なのか? ……何で鳥って訳でもないのに、ウサギの数え方は羽なんだろうな?

 ともあれ、そのウサギは……ウサギではあっても、普通のウサギではない。

 それこそ、俺、コーネリア、ゆかりがウサギという単語を聞かされて思い浮かべるようなウサギでは、決してない。

 何故なら、そのウサギは綿毛のような毛が生えており、それこそ丸いというのが、そのウサギを見た時に感じる最初の感想だった為だ。

 実際、そのウサギは移動する時には普通のウサギのように跳躍するのではなく、丸まって転がるといった移動方法を使っている。

 ……そんな移動方法をしていれば、当然のように速度はそこまで出ず、肉食の動物に狙われてもおかしくはないのだが、俺はその毛玉ウサギの事を知っていた。

 あの毛玉ウサギ……いや、正確にはもっとちゃんとした名前があったのだが、結構難しい名前だったので、取りあえずここでは毛玉ウサギと呼ぶが、その毛玉ウサギは危険を感じると自分の身体を覆っている毛が逆立って、鋭い針になるのだ。

 それこそ、ハリネズミの如く。

 当然のようにウサギを食べようとした肉食獣は、そんな針に口や顔、場合によっては目や手足といった場所を刺されて、痛みに悲鳴を上げる事になる。

 もっとも、それはあくまでも毛玉ウサギが危険を感じればの事であって、基本的には優しい性格をしており、人懐っこい。

 

「……これって……」

 

 俺達の方に転がってきた毛玉ウサギを見て、ゆかりが小さく呟く。

 何気に、ゆかりってこういう愛らしい生き物とか好きだよな。

 

「ほら、触ってみたらどうだ? その毛玉ウサギもお前に撫でて欲しいって思ってるみたいだぞ」

「え? 私? えっと……うん」

 

 その言葉に、ゆかりは若干恐る恐るといった感じではあったが、毛玉ウサギに手を伸ばす。

 毛玉ウサギの方もそんなゆかりの手から逃げる様子もなく……寧ろ、自分から撫でて欲しいと身体を押しつけてきた。

 

「あ……ふふっ」

 

 最初はそんな毛玉ウサギに驚いたゆかりだったが、その人懐っこさは本物だと判断したのだろう。嬉しそうな笑みを浮かべつつ、毛玉ウサギを撫でる。

 

「ねぇ、コーネリアもちょっと撫でてみない? ほら、この子は可愛いわよ?」

 

 そう笑みを浮かべるゆかりの様子に、コーネリアは若干戸惑った様子を見せるものの……やがて、ゆかりの視線に負けたように毛玉ウサギに手を伸ばす。

 

「ほう」

 

 毛玉ウサギの撫で心地が思っていた以上によかったのか、コーネリアの口からは驚きと感嘆の混ざった声が出る。

 何気に、コーネリアも可愛いものは好きだよな。

 

「ね? 凄いでしょ? ……アクセル、この子って何を食べるの? やっぱりウサギなんだし、ニンジン?」

「あー、確か基本的に野菜なら何でも食べた筈だ」

 

 以前UC世界の研究者を連れてこの毛玉ウサギを観察した時に、そういう結果になっていた筈だ。

 勿論、本当の意味でその辺りの事情を知りたければ、マクロス世界の研究者に聞けばいいのだろうが。

 ただ、取りあえず野菜を食うと分かっていれば、それを別に広げる必要はないだろう。

 そう判断し、空間倉庫の中からキャベツとニンジンを取り出す。

 ……確かこれは、以前どこかでバーベキューをやった時の残りか何かだったと思うが……まぁ、空間倉庫の中に入れておけば、悪くなったりはしない。

 実際、こうして見ただけで新鮮な代物だと理解は出来る。

 そんな野菜を、ゆかりは嬉しそうに……コーネリアは若干戸惑った様子で受け取ると、毛玉ウサギに差し出す。

 毛玉ウサギは、フンフンと鼻を鳴らしながら野菜の匂いを嗅ぎ……やがて、ゆかりが持っていたニンジンに口を付ける。

 

「きゃっ! ……ふふっ、必死に食べてる姿を見ると、本当に可愛いわね」

「むぅ」

 

 そんなゆかりの横では、コーネリアが若干不満そうに自分の持っているキャベツに視線をむけていた。

 一応バーベキューで使うように切ってあるキャベツなので、葉っぱのままでもないし、食べようと思えばウサギにとって食べにくい訳ではない。

 それでも、やっぱりニンジンを最初に食べに行ったのは、ウサギだからか。

 だが、ウサギも自分の餌をそのまま放っておく訳はなく、ニンジンを食べ終わると次にコーネリアが持っているキャベツを食べ始める。

 

「お? ……うむ。やはりメインディッシュは後から食べるものだという事か」

「ちょっと、それだと私の持ってるニンジンが前菜って扱いになるんだけど? ウサギなのよ? なら、やっぱりニンジンがメインじゃない?」

 

 ゆかりがコーネリアの言葉を聞き、不満そうにそう告げる。

 だが、コーネリアはそんなゆかりに大して、自慢げに笑みを浮かべるだけだ。

 だれが勝者なのか、言わなくても分かるだろうと言いたげな態度。

 それだけに、ゆかりはそんなコーネリアの様子が面白くなく……

 

「アクセル! もっと他にも野菜!」

「いや、幾ら野菜を出しても、その毛玉ウサギの大きさから考えると、そこまで多くは食べられないだろ?」

 

 ゆかりの言葉に、そう返す。

 実際、毛玉ウサギの大きさは普通のウサギとそう違いはなく、食べられる量も決まっている。

 それだけに、ここで無駄に多く餌をやっても、恐らくは残すだけだろう。

 ……まぁ、毛玉ウサギにとっても、この辺に適当に生えている植物よりは、しっかりと食べられるように作られた野菜の方が美味いのは間違いないんだろうけど。

 

「う……そ、それは……」

「取りあえず、その毛玉ウサギだけじゃなくて、俺達も適当に食わないか? ほら、超包子で弁当を作ってきて貰ったから」

 

 そう言い、文字通りの意味で作りたての弁当を空間倉庫から取り出す。

 少し前に美鶴と一緒に花見をしにいった時も、超包子で弁当を作って貰ったが……この弁当は、その時の反省を活かして作られた改良型らしい。

 正直なところ、美鶴と一緒に食った弁当はもの凄く美味く、それこそ改良するような場所なんかはなかった気がするんだが……ただ、その弁当を作った四葉にしてみれば、まだ改良の余地はあったらしい。

 そんな訳で改良されたこの弁当。……まぁ、俺の場合は揚げ物とか蒸したての点心とかでも、普通に最適の状態で食うことが出来るのを考えれば、四葉にしても普通の弁当とはちょっと違うアプローチをしたりしてるんだろうな。……多分だけど。

 

「うわっ、何これ。美味しそう……」

 

 俺の出した弁当を見ると、ゆかりの口からそんな声が出る。

 コーネリアも、声には出さないが関心した様子を見せていた。

 

「ねぇ、アクセル。これってどこのお弁当? 一応聞くけど、アクセルが作った訳じゃ……ないわよね?」

「当然だろ。俺の料理の腕は、ゆかりも知ってる筈だと思うが?」

「あー……そうね。けど、アクセルの釜玉うどん、美味しいわよ?」

「何? そう言えば、アクセルが釜玉うどんを作るという話を、以前美鶴から聞いた事があったが……ゆかりも食べたことがあるのか?」

 

 少しだけ羨ましそうな表情でコーネリアがゆかりに尋ねると、それに対してゆかりは自慢げに笑みを浮かべて頷く。

 

「ええ。アクセルが私達の世界に来た時にね。私でも作れそうな簡単な料理なんだけど、何でか、アクセルが作ったのって自分で作るのよりも美味しいのよね」

 

 何で? と、そう視線で尋ねてくるゆかりだったが、俺はこれといって何か特別な事をしてる訳ではない。

 荒垣から教えて貰った通りに作ってるだけだ。

 勿論それだけじゃなくて、若干工夫はしてるが……それだって、うどんと一緒に茹でる具材をちょっと変えたりといった程度でしかない。

 ゆかりが言う通り、手順通りに作れば誰が作っても多分普通に美味い釜玉うどんになるだろう。

 それでも、敢えて美味いだろう理由を考えると……

 

「そうだな、料理は愛情って言われる事も多いし、俺がゆかりに対する愛情を込めてるからじゃないか?」

「ばっ!? ……い、い、い、い、いきなり何を言ってるのよ! 馬鹿じゃないの!? てか、馬鹿じゃないの!」

 

 うん、きちんと俺と付き合うようになったのに、それでもゆかりは相変わらずこういう不意打ちに弱いな。

 顔を真っ赤にしながら、久しぶりに出たゆかりの何故か2度言う言葉。

 その事に笑みを浮かべていると、コーネリアから咎めるような視線を向けられる。

 

「アクセル、あまりゆかりをからかうな」

「そうだな、ゆかりをからかうのはこの辺にして……」

「ちょっと、アクセル?」

 

 俺の言葉に、顔を真っ赤にしていたゆかりが、照れとはまた別の理由で顔を赤くしながらこちらに視線を向けてくる。

 そんな拗ねたような、怒ったような視線を向けられつつ、俺はそんなゆかりの視線を誤魔化すように口を開く。

 

「まぁ、正直なところを言わせて貰えば……やっぱり空間倉庫だろうな。どの料理もそうだけど、釜玉うどんとかは特に出来たてが一番美味いし。俺の場合は、空間倉庫でその出来たての釜玉うどんを保存しておけるから」

「うーん、それは分かるけど……その理屈で言えば、出来たてを食べればそれは誰が作っても美味しいって事になるんじゃない?」

 

 ゆかりの言葉に、コーネリアもまた頷く。

 

「うむ。出来たての料理が美味いのは間違いないが、それでも……いや、だからこそゆかりが言ってるように、アクセルが作った料理が特別だと言われれば気になる」

「そう言われてもな。そうなると、本当に隠し味の愛情としか言えないんだが」

 

 再びその言葉に赤くなるゆかりだったが……やがて、何かに気がついた様子で口を開く。

 

「ああ。そっか。……料理ってのは、誰と食べるかでも変わるものね。そういう意味で、アクセルと一緒に食べていたのが影響していると言われれば……そうなのかも」

「ふむ。祭りの時に普段ならそこまで美味くない料理を食べても、美味いと感じるようなものか」

「……コーネリアって、出身はギアス世界だっけ? その世界の皇族なのよね? なのに、お祭りとか行くの?」

「うむ。麻帆良を始めとして、色々な世界の祭りを経験したぞ」

 

 それは俺も知らなかった。

 ああ、でも麻帆良祭はかなり大規模な祭りだし、そういう意味では今度皆で行ってみてもちょっと面白いかもな。

 基本的に6月に開かれる学園祭で、今は5月だし。

 そんな風に思いつつ、俺はコーネリアやゆかりとのデートを楽しむのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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