転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2210話

 サイド6にあるリボーをセイラと一緒に歩き回ったが、かなり平和な場所だった。

 勿論、本当に平和な時と比べれば、今の方が色々と物騒な感じはするのだろう。

 警護や見回りの兵士といった連中も何度か目にしたし。

 ……一応、その辺はしっかりとしてるんだな。

 その兵士達のおかげで、妙な騒動が起きていないのは間違いない事実なのだろうが。

 

「さて、これからどうする? ちょっと休憩でもするか?」

「そうね。色々と食べたし」

 

 色々……そこまで色々か? ソフトクリームを食べた後は、ホットドッグとハンバーガーを食べたくらいだけど。

 ああ、それとクレープも。

 ……ちなみに、このクレープは普通のクレープだ。ゴーヤクレープはまだサイド6には出没していないらしい。

 ともあれ、セイラの要望通り休憩出来る場所を探していると、近くに案内板があるのに気が付く。

 案内板を確認すると、どうやらここからそう離れていない場所に公園があるらしい。

 コロニーの中で公園があるってのも、ちょっと珍しい気がするけど。

 ちなみに、クレイドルにはそれなりに公園の類が用意されている。

 この辺は、クレイドルを設計したマクロス世界の技術者達に感謝だな。

 

「ここから少し歩いたところに公園があるらしい。そこでいいか?」

「ええ、それで構わないわ」

 

 セイラも俺の言葉に異論はないらしく、あっさりとそう告げてくる。

 そうして公園まで歩いて行ったのだが……

 

「うん、ちょっと休むって感じじゃないな、これ」

 

 目の前に広がっていた光景は、小さな子供達……恐らく小学生くらいと思われる子供達が、大勢遊んでいる光景だった。

 もっとも、大勢とはいってもクラス全員が……といった感じではなく、10人程の人数だったが。

 それでもこの年代の子供達の騒ぐ声はかなりうるさい。

 だが、予想外な事にセイラは俺の言葉を聞いて首を横に振る。

 

「いえ、ここで休みましょう。こうして子供達の遊んでいる姿を眺めていれば、そのうち落ち着いてくるわ」

「いいのか?」

 

 そう思いつつ、ある意味でセイラの言葉に納得する。

 セイラは、俺と会うまでは看護婦をしていた。いや、医者の見習いだったか?

 取りあえず、医療関係に強い興味を持っていたのは間違いない。

 それだけに、子供に対する母性本能も持っている……のかもしれいない。

 俺の恋人達の中で母性本能が強いと言われて真っ先に思い出すのは、千鶴だ。

 他にもマリューやミナトといった面々もいるが……それでも、やはり千鶴が一番に思い浮かぶのは、俺の中で母性=千鶴という風に強く印象づけられているせいか。

 

「どうしたの?」

「いや、何でもない。どこからか長ネギが襲ってきそうだと思ってな」

「え?」

 

 俺の言葉が全く理解出来ないといった様子のセイラ。

 まぁ、千鶴とも知り合っているが、長ネギについては……うん。知らなければ知らない方がいいという事なのは間違いない。

 

「気にするな。それより……あそこのベンチが空いてるみたいだから、あそこで休むとしないか」

「え、ええ。アクセルがそう言うのなら、それでいいけど」

 

 腑に落ちない様子のセイラだったが、それ以上は特に何を言うでもなく、俺の示したベンチまで移動し、隣り合って座る。

 そうして元気に走り回っている子供達を眺めていると、不意にセイラが口を開く。

 

「何だか、こうしていると……まるで、戦争が起きてるのが嘘みたいね」

「そうだな。このサイド6はそういう意味では幸せなんだろうな。……それが薄氷の上の幸せでも」

「そうね」

 

 セイラも、その件に関しては俺と同意見なのか、特に訂正する様子もなく頷く。

 

「ねぇ、アクセル。私も……ルナ・ジオンも、こういう光景を作る事が出来ると思う?」

「出来るというか、既に出来ていると思うけどな」

 

 実際、クレイドルでは大きな騒動の類もなく、現在はかなり平和な日々が続いている。

 もっとも、それはクレイドルで破壊工作をしようとしたり、スパイだったりといった者達をコバッタや量産型Wが片っ端から捕らえているおかげで、得られている平和なのだが。

 月面都市の方でも、テロ活動をしようとしているような連中は、コバッタや量産型Wによって次々に捕らえられている。

 

「そうね。……でも、出来れば、もっと多くの人に平和を楽しんで欲しいと思うわ。今の時代にそんな事をいうのは、かなり贅沢な話だとは思うけど」

 

 そう言い、セイラは自分の足下に転がってきたボールを拾う。

 

「あ、お姉ちゃん! ありがとう!」

 

 そう言ってきたのは、先程から公園で遊んでいた子供の1人だ。

 小学生らしく、元気一杯といった感じでセイラに話し掛けている。

 そんな子供を見て、余計な事を考えるのも馬鹿らしくなったのだろう。

 セイラは笑みを浮かべて、ボールを子供に渡す。

 すると……何を思ったのか、子供はボールを受け取ると、セイラに向かって話し掛ける。

 

「ねえ、お姉ちゃん。僕達と一緒に遊ばない?」

 

 誘われたのが意外だったのか、セイラはその子供をじっと見つめる。

 いや、サングラス越しだから、本当にそんなじっと見つめているのかどうかは、分からないが。

 ともあれ、そんな風に自分を見てくるセイラに対し、その子供は改めて誘う。

 

「いいでしょ? お姉ちゃんもお兄ちゃんも一緒に遊ぼうよ」

「……そうね。ちょうど腹ごなしの運動もしたかったし、丁度いいわ。アクセル、いいわよね?」

「あー……まぁ、セイラがそう言うのなら、構わないけど」

 

 俺の身体能力を思えば、可能な限り……本当に出来るだけ手加減をする必要があった。

 とはいえ、サイド6に来たのはセイラの気分転換も含めての事だ。

 当然だが、セイラの為に来たのだから、そのセイラが遊びたいと言っている以上、俺がそれを断るつもりはない。

 

「決まりね。……ね、何して遊ぶの? お姉ちゃんとお兄ちゃんにも教えてくれない?」

 

 子供にそう尋ねるセイラの姿は、ルナ・ジオンの女王でもなく、俺が知ってるセイラでもなく、初めて見るセイラの姿だった。

 セイラにもこういう言葉遣いとか、出来たんだな。

 

「サッカー! ほら、お姉ちゃんとお兄ちゃん、2人とも来てよ。……おーい、アル! このお姉ちゃん達もサッカーをやるって!」

 

 アルと呼ばれた子供は少しだけ俺とセイラの方を見ていたが、やがて分かった! と大声で叫ぶ。

 少し気が強そうに見えるが、何か特別なものを感じるようなこともないような、普通の子供。

 そんな子供に誘われ、俺とセイラはサッカーをする。

 ……ちなみに、セイラは何気に運動神経が良いらしく、子供達に混ざってもかなり優勢にボールを確保していた。

 俺は出来るだけ本気を出さないようにし、お互いのチームの戦力が均等になるようにしながら、試合を続け……やがて三十分程で試合が終わると、結果としては引き分けとなる。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……姉ちゃん強いな!」

 

 サッカーをやっていた子供の1人が、セイラに向けて感嘆の言葉を告げる。

 だが、セイラに感嘆の言葉を告げた後は、俺に向かって呆れたように言葉を掛けてきた。

 

「それに比べると、兄ちゃんはだらしないなぁ。姉ちゃんみたいに活躍できなかったし」

「ぷっ」

 

 そんな子供言葉を聞いていたセイラが、面白そうに笑う。

 当然のように、セイラは俺が本気を出していないというのは分かっていたのだが、それでも俺が子供に対してそのように言われるというのは、予想外だったのだろう。

 そこまで笑うような事はないと思うんだけどな。

 

「あー、悪いな。そうだな。なら、謝罪代わりに手品を見せよう」

「手品?」

 

 手品という言葉が興味を引いたのか、俺とセイラに声を掛けていた子供だけではなく、他の子供達も俺の周りに集まってくる。

 俺が思っていた以上に、手品という言葉が子供達には興味深かったのだろう。

 

「いいか? 俺は何も持ってないだろ? あー……そこ、アルだったか。ちょっと俺の手を調べてみてくれ」

「え? ……うん、分かった」

 

 他の子供達からアルと呼ばれた子供は、俺の方に近づいてきて、手や服に何の仕掛けもしていない事を確認する。

 じっくりと、本当に何もないのかといった様子で確認していたアルだったが、当然のようにそこには何らかの仕掛けがあるようには思えない。

 実際、俺の手には何らかの仕掛けがある訳でもないので、幾ら調べても意味はないのだが。

 

「何もない」

「そうか。なら念の為にもう1人……チャーリーだったか? お前も調べてみてくれ」

 

 その言葉に、痩せていてソバカスのある男の子が、アルと代わるようにして俺を調べる。

 だが、チャーリーも結局俺の仕掛けを見破る事は出来ず、残念そうにしながら元の場所に戻っていく。

 

「さて、じゃあこうして2人が調べてたんだし、これで何の種も仕掛けもないというのは理解して貰えたな? そんな訳で……手品をやるんだし、やっぱりここはこう言うべきか。種も仕掛けもございませんってな。けど……」

 

 そう言い、俺は右手の掌を子供達に向け……次の瞬間、その右手にはハンバーガーが1個、いつの間にか存在していた。

 いやまぁ、いつの間にかって言うか……実際には空間倉庫から取り出しただけなんだが。

 子供達の側で俺の手品を見ていたセイラは、呆れの視線をこちらに向ける。

 空間倉庫の事を知っているセイラにしてみれば、俺がどうやってハンバーガーを取り出したのか、当然のように理解していたのだろう。

 もっとも、それはあくまでも空間倉庫を知っているセイラだからこその事であって、何も知らない子供達にしてみれば、俺がやった事は手品以外の何物でもない。

 

「うわっ! え? あれ? 一体どうやったの!?」

「いつの間にか、ハンバーガーを持ってる!」

 

 そんな風に聞こえてくる子供達の声に、俺は先程のアルという子供にハンバーガーを渡すと、再び何もない場所からハンバーガーを取り出す。

 当然のように、再度驚きの声を上げる子供達。

 それを繰り返し、最終的には全員にハンバーガーを配る。

 このハンバーガーは……どこで買った奴なのかは忘れたけど、こうして空間倉庫の中に保存してあったという事は、間違いなく俺が美味いと判断したから、そうしたのだろう。

 そして、実際に子供達は俺の取り出したハンバーガーを食べては、美味いと喜びの声を上げていた。

 もっとも、このUC世界ではハンバーガーとかは普通に存在している。

 だからこそ、ハンバーガーを見ただけで驚くといった事はしなかったが、小学生にとってはハンバーガーというのはそれなりに高価なおやつであるのも間違いない。

 それを無料で貰えたのだから、子供達が喜ぶのも当然なのだろう。

 わーわー、きゃーきゃー言いながら騒ぎながらハンバーガーを食べている子供達を見ながら、俺はセイラにもハンバーガーを渡す。

 それを受け取りつつも、セイラは呆れた視線を俺に向けてきた。

 

「子供達の夢を壊すのは、あまりよくないわよ」

「別に夢を壊したりはしてないと思うが? 実際に、種も仕掛けもないんだし」

「……そうね。空間倉庫という種はあるけど」

 

 そんな風に言いつつも、セイラは渡されたハンバーガーを口に運び……少しだけ驚きの表情を浮かべる。

 いや、サングラスをしたままなので、本当にそういう表情を浮かべたのかどうかは俺には分からなかったが。

 

「あら、美味しい。……これ、どこのハンバーガー?」

「あー、どこだったかな。ちょっと分からないな。多分ペルソナ世界辺りのハンバーガーだと思うけど」

 

 もっとも、美味いと言ってもこのハンバーガーは別に専門店のハンバーガーという訳ではない。

 それこそ、普通にファーストフード店のハンバーガーだ。

 ……包み紙を見れば、そのくらいの事は容易に判断出来る。

 本格的なハンバーガー店のハンバーガーというのは、もっと高級感があったりするし、ハンバーガーそのものもボリュームがあったりするしな。

 そういう意味では、ファーストフードのハンバーガーは……かなりの完成度と言ってもいい。

 

「全く。……けど、今日は楽しかったわ。サイド6の中を見て回る事が出来たのもそうだけど、こうして思い切り身体を動かしたのも久しぶりだしね。……ありがと」

 

 感謝の言葉を口にするのに少しだけ照れたのか、セイラは頬を微かに赤くしながら、そう告げる。

 サングラスをしていても、その辺りを隠すような真似は出来ないんだよな。

 本人が気が付いているのかどうかは分からないが。

 

「そうか。喜んで貰えたようで何よりだ。……それで、どうする? サイド6との貿易は」

「やってみようと思うわ。ただし、武器に使えるような機械類や資源とかではなく、食料の類を主にして。……もっとも、食料の類であっても、戦争に使おうと思えば糧食としてジオン軍や連邦軍に売ったりするんでしょうけど」

 

 そう言いながらもセイラの顔には間違いなく笑みが浮かんでいたのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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