転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2211話

 セイラと共にサイド6での一時の休息を終えた日から数日……アンリから怪しむような視線を向けられながらも、俺はその報告を聞いていた。

 

「へぇ……新型MSのドムか。ツィマッド社も随分と攻めていくな」

 

 そう、その報告はヅダの開発チームからもたらされたものだった。

 ツィマッド社で、新型のMSの開発が完了したと。

 とはいえ、その新型MSはまだ試作機で、正式量産機とはなっていないらしいが。

 ただ……その試作機の性能を見て、その機体がもし本当に量産されるような事になれば、それは連邦軍にとって大きな脅威となる事を示していた。

 何故なら、ジオン軍が現在地上で苦戦している最大の理由はMSの機動力不足というのが大きい。

 宇宙であればスラスターを使って移動出来るのだが、地球では歩いて移動する必要がある。

 そうなると、どうしても膝や足首といった部位に負担が掛かるし、何より移動する速度が遅くなる。

 そんな中でツィマッド社が開発したドムは、地上をホバーで移動するらしい。

 ……もしかして、これってヅダのチームを引き抜く為に、シャドウミラーで使用している戦車のフュルギアを譲渡したせいか?

 いや、フュルギアを譲渡したのはそんなに昔の事じゃないのを思えば、元々このドムという機体は開発されていたのだろう。

 だが、フュルギアを譲渡した事でより一層開発速度が増した……という事は考えられる。

 ヅダを入手する為とはいえ、連邦軍には悪い事をしてしまったな。

 第3勢力としては、連邦軍にも何らかの利益を与える事を考えないといけないか?

 とはいえ、連邦軍は国力が高いだけに、迂闊に兵器とかを譲渡するとMS開発やら何やらが一気に進んでしまう可能性が高かった。

 そうなると、やはり今回の一件は兵器ではなく……資源という形にした方がいいか?

 

「このドムというMS……間違いなく優秀なMSとなるであろうな」

 

 ラルもヅダの改修チームからもたらされたドムの性能を見て、そう呟く。

 ちなみにヅダの開発チームを通しての報告だったが、実際にはツィマッド社が最初からルナ・ジオンに情報を漏らすというのを目的として、この情報は流れてきたらしい。

 ……勿論、ヅダの改修チームもドムという機体の事を知っていた者はいた筈だ。

 それを意図的にこちらに情報を流さなかったのは、自分の古巣に対する義理立てといったところだろう。

 何しろ、このドムというMSが地表をホバー移動する為の最重要の熱核ジェットエンジンの土星エンジンというのは、ヅダが使っていた木星エンジンを改良した代物なのだから。

 その辺りの事情は、当然のように知っていてもおかしくはない。

 

「だろうね。ホバー移動で高い機動力を持ってるだけじゃなく、厚い装甲で実弾兵器では容易にダメージを受けることはないし、武器もザクバズーカを強化した360mmのジャイアントバズが主力兵器だ。……もっとも、この高い機動力は、並の兵士が使うとなると、戦場を選ぶだろうけどね」

 

 シーマの言葉に、ここに集まっている者の多くが頷く。

 ホバー移動という高い機動力を有しており、地上でのMSの移動速度という弱点を補ってくれる代物だ。

 だが……ホバー移動で厄介なのは、例えば森の中とか、そういう場所。

 砂漠や草原のように広い場所でなら、その防御力と強力な武器と高い機動力で、かなりの強さを誇る筈だ。

 しかし、森や林、山……そういった自然の多い場所での戦いとなると、ホバー移動を活かせるのは、本当に腕の良い一流のパイロットくらいだろう。

 勿論、現在のジオン軍にもそのような腕の立つパイロットはまだ多いだろうが……多くの精鋭をルナ・ジオンが引き抜いているのも事実。

 そんな中で、ドムという特殊なMSを乗りこなせる者が一体どれだけいるのか……それが寧ろ少し楽しみである。

 

「ともあれ、ドムという機体が高性能なのは理解した。……だが、言ってみればドムというのは地上版ヅダとでも呼ぶべき機体なのだろう?」

 

 ダグラスのその言葉に、そう言われれば……と、妙に納得する。

 機動力を重視して……いや、そこに特化して機体の性能をピーキーにし、そのピーキーにした分をパイロットの技量で補わせる。

 ある意味、ヅダと似ているというダグラスの言葉は、決して間違ってはいない。

 勿論ヅダ程に尖った性能ではなく、普通程度の技量しかないMSパイロットであっても、ある程度は操縦出来るようになっているのだろうが。

 

「そう聞かされると、ちょっとドムは手に入れてみたいな。少なくても、技術班の面々は喜ぶだろうし」

 

 技術班といった言葉を聞いた、セイラ以外の面々が微妙な表情を浮かべる。

 他の者達にしてみれば、シャドウミラーの技術班というのは、バクゥの改修をたった1日で終わらせた、信じられない存在なのだから。

 しかもやっつけ仕事という訳ではなく、UC世界仕様に改修されたバクゥは高い完成度を誇っている。

 魔法球についてはセイラ以外知らないのだからしょうがないのだが、他の面々にしてみれば、得体の知れない存在という表現が一番相応しいだろう。

 魔法球に関して隠し続けるのも、悪影響を与えるだけだろうし……いずれ、その辺りの事情もしっかりと話す必要があるだろうな。

 

「いや、ドムの前に……ツィマッド社から、シャドウミラーに……具体的にはアクセルに対して、贈り物がある」

「は? 俺に? ……何でまた?」

 

 こっちからフュルギアを贈った事はあったが、ツィマッド社から俺が贈り物を受け取るような理由があるとは、思えない。

 そんな俺の様子に、笑い声を上げたのはシーマだった。

 

「あははは。全く、シャドウミラーのアクセルともあろうものが、ツィマッド社の考えも分からないのかい?」

「ツィマッド社の考え?」

「そうさね。ツィマッド社にしてみれば、ヅダの一件はどうしても拭い去りたい過去だ。だが、ジオン軍の現状では改めてヅダを改修……なんて真似をする余裕はない。特に突撃機動軍が大きな被害を受けたのは、大きかっただろうからね」

 

 そう告げるシーマの言葉には、俺をからかうような色がある。

 いやまぁ、俺が突撃機動軍の本拠地たるグラナダを攻めた事が、ジオン軍にとって大きな……大きすぎる損害だったのは間違いない。

 一応資源を安く売るという形で補償のような事はしてるが、それで全てが片付く訳でもないだろう。

 

「で、だ。そんな中でルナ・ジオンがヅダの開発チームを引き取りたいと言ってきて、実際にそれを引き取ってくれた。それも、ヅダを主力量産機という扱いにするって確約と共にね」

「いや、別に確約はしたつもりはないんだが。そもそも、ルナ・ジオンの戦力なんだし」

 

 この世界独自の技術で開発された、ヅダという機体に興味を持っているのは事実だ。

 だが、それをルナ・ジオンに使わせるといった事を強制するつもりはない。

 ジン、シグー、ストライクダガー……それ以外にもリーオーやグーン、ゾノ、キャンサー、パイシース、バクゥ、ザウート、トラゴス。

 現在ルナ・ジオンにおいてはそれらの機種が使われている。

 それを知った上で、ヅダを主力量産機にしろとは……とてもではないが、言えない。

 勿論、改修されたヅダの性能がそこまで高いのであれば話は別だが。

 アプサラスにしても、この世界の技術だからこそ、あそこまで優遇してるのは間違いないし。

 

「その辺は気にしなくてもいいだろう。まだヅダの改修は完全に完了している訳ではないが、儂の見たところ宇宙でならばザクよりも圧倒的に性能が高い。……どうやら、ドムの技術もヅダには流用されているらしい」

 

 ラルのその言葉に、同じ事を知ってるのだろう他の者達も何人かが頷いていた。

 なるほど。まぁ、袂を分かったとはいえ、こうして連絡を取り合ってるんだ。ツィマッド社の同僚という事で、技術についてやり取りをしていてもおかしくはないか。

 ……ただ、そうなると、ヅダの開発チームはクレイドルでジオニック社やMIP社、連邦の技術者達と話し合って入手した技術をツィマッド社本社に流している可能性もあるのか?

 ああ、いや。でもそれだとドムとかはもっと高性能になっていてもおかしくないだろうし……そうなると、流されている技術はある程度の物だけって可能性もあるか。

 

「ともあれ、それでプレゼントというのは?」

「うむ。アクセルはグフというMSを知ってるか? ジオニック社がザクをベースにして地上用MSとして開発した機体だが」

「ああ、知っている。ゲラートから以前ちょっと聞いた覚えがあるしな」

 

 ゲラートが目を怪我して入院している時に、グフという地上用のMSの開発に多少なりとも関わったらしい。

 また、カーウィン家の伝手でルナ・ジオンにやって来たジオニック社の技術者からも、多少なとりも聞いている。

 グフというのは、誤解を承知で表現するのであれば、J型をベースにして開発された地上戦闘用のMSといったところか。

 とはいえザクをベースにしているとは言っても、全面的に改修されている為か、ザクとは違うMSとして登録されている。

 J型というのは、ザクの中でも宇宙での戦闘に必要な場所を排除して地上戦闘用に改修されたバリエーションの1つだが、グフはそのJ型以上に地上戦闘用に特化した機体だと言ってもいい。

 

「そうか。なら話は早い。実は……」

 

 おい、ちょっと待て。もしかしてプレゼントってのはグフなのか?

 いや、けどグフってのはジオニック社で開発したMSであって、今回俺にプレゼントするのは、ツィマッド社だろ? なら、新型MSのグフを俺に渡すといった真似は、まず無理な筈だ。

 勿論、完全に無理という訳ではない。

 裏から手を回し、ツィマッド社がグフを入手して、それを俺に渡してきた……という可能性も否定は出来ないだろうけど。

 そんな風に思いながら、ラルの話を聞く。

 

「今回ツィマッド社が用意したのは、そのグフとドムの中間に位置する機体だ。高機動の近接格闘戦に特化した機体となる。グフとドムの両方の性能を持った機体といったところだな」

「……何だ、それは。俺は一応一通りジオン軍のMSとかについての情報は得ているつもりだけど、そんな機体があるなんて話は聞いた事がないぞ?」

 

 改めて記憶を探るが、そのよう情報を見た覚えはない。

 そもそもの話、グフはジオニック社が開発したMSで、ドムはツィマッド社が開発したMSだ。

 この2社は、それこそヅダの件で決して友好的という訳ではない。

 その辺は、ヅダの改修チームを見ていれば明らかだろう。……あそこは張本人だけに多少極端だが。

 テストパイロットの1人のジャンなんかは、明確にジオニック社を敵視しているし。

 そんな状況の中で、グフとドムの……言ってみれば良いとこ取りをしたMSを開発なんか出来るのか?

 

「だろうな。儂の情報網にも殆ど情報は入ってこなかった。……この機体、MS-08TXイフリートという機体は、言ってみれば異端のMSと言ってもいい。儂がスペックを見た限りでは、かなりピーキーな機体だ。そういう意味では、アクセルが乗るのに相応しい機体なのかもしれないな」

「……そういうものか?」

「うむ。ちなみに、これがデータだ」

 

 そう言い、ラルがスペックシートを俺に見せる。

 まず真っ先に目にしたのは、高機動型と呼ぶに相応しい大推力のスラスターだ。

 うん、何が凄いのかと言えば、ヅダよりも推力が高いと言えば、どれくらいの大推力なのかが分かりやすいだろう。

 勿論推力が高いということは、それだけ推進剤の消費も激しいという事で、継戦能力という点では問題があるだろうが。

 けど、ヅダが宇宙用で推力が高いのは分かるが、イフリートは地上戦闘用MSでこの推力……それでいて、ドムのようなホバー能力がある訳でもないのを考えれば、普通に走りながらこの推力を使う訳で、ラルが言う通りかなりピーキーな機体だと言ってもいい。

 その分、使いこなせればかなりの戦力になるだろうが……問題なのは、このMSを使いこなせるだけのパイロットがどのくらいいるのかという事だ。

 ちょっとした精鋭といった程度の腕しかないMSパイロットでは、恐らくイフリートを十分にコントロールするといった真似はまず出来ない。

 それこそ、本当の意味でのエース……ルナ・ジオンではガトーのようなMSパイロットでなければ、イフリートの性能をフルに発揮するのは難しいだろう。

 そんな風に思いつつ、次は武器に視線を向ける。

 武器そのものは機体のように驚くべき事はない。

 専用の大型ヒートソードとショットガンがメイン武装だな。

 それと、頭部にバルカンがあるというのは嬉しいし、敵に接近する為のスモークディスチャージャーも装備、と。

 ……一応ザクマシンガンやザクバズーカは装備可能なので、遠距離攻撃も不足ない。

 

「結構良さそうな機体だな」

 

 総合的に見て、俺はそう告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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