転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2213話

 その報告が入ったのは、俺がイフリートの操縦をしてみてから数日後の事だった。

 しかも、その報告を持ってきたのはルナ・ジオン軍の面々でもなく、シャドウミラーの政治班でもなく……ルリとラピスの2人だったのだから、驚くなという方が無理だろう。

 

「で? サイド6にニュータイプを研究してる研究所があるってのは、本当なのか?」

「本当です。具体的には、バルダというコロニーにあります」

 

 ルリがそう告げると、その隣でラピスも頷きを返す。

 この2人が断言するという事は、間違いなくその研究所というのはサイド6のバルダというコロニーにあるのだろう。

 もっとも、ジオン公国がニュータイプを研究するというのは、正直なところそこまで珍しい話ではない。

 今でこそジオン・ズム・ダイクンの後継者はセイラという事になっているが、それはついこの前からの事だ。

 それまでは、ジオン公国とザビ家こそがジオン・ズム・ダイクンの後継者とされていた。

 ルナ・ジオンが建国された今となっても、ジオン公国は自分達がジオン・ズム・ダイクンの正当なる後継者であるという主張は曲げていないのだが。

 そんなジオン公国だけに、そのジオン・ズム・ダイクンが唱えたニュータイプに対しての研究をするのは、そうおかしな話ではない。

 

「ジオン公国にしてみれば、異世界の存在の俺がセイラをニュータイプだと断言してるのが気にくわなかったのもあるんだろうな」

「いえ、そのような問題ではありません」

 

 ルリにしては、珍しく強い口調で言ってくる。

 ……何だ? 何か、ルリにとって絶対に許せない事でも起きているかのような、そんな態度。

 そんな俺の疑問は、ルリが見せた幾つかの映像で報告書やレポートといったものを読むと、消失する。

 そこに書かれていたのは、ニュータイプ研究の被験者に対して虐待とでも呼ぶべき行動が行われているという事だった。

 殴る蹴るの暴行は当然で、食事を与えなかったり、食事をさせるにも四つん這いになって床に置いた皿の上の食事を犬のように食わせたり、精神的に責めてみたり……といった具合に。

 中には、男女問わず性的暴行を受けたという者すらいる。

 それでも、それでニュータイプ能力が覚醒したのであれば、対応はまだマシになるが……そこまでやってもニュータイプ能力に覚醒しない相手には、より過酷な待遇が待っている。

 一言で言えば、胸糞が悪いといった表現が相応しい。

 

「面白くないな」

「はい」

 

 ルリとラピスの2人が、俺の言葉に即座に頷く。

 そんな2人の様子を見て、何を期待しているのかはすぐに分かった。

 少し考え……幾つかの理由から、このニュータイプ研究所、書類によればフラナガン機関とやらの研究所に襲撃を仕掛けるようにセイラに要請する事を決める。

 まず、最大の理由としては、フラナガン機関に現在所属するニュータイプを助け出し、確保する事だ。

 これは、何も人道的な考えからというだけではない。

 データを見る限り、既に何人かニュータイプ能力に覚醒している人物がいる以上、その者達を確保すれば、ルナ・ジオンにニュータイプが加わるという事になる。

 また、胸糞悪い内容ではあるが、フラナガン機関にあるデータや実験器具の類はルナ・ジオンやシャドウミラーにとっても有益な存在なのは間違いない。

 秘密裏に作った研究所であっても、シャドウミラーやルナ・ジオンにしてみれば見つけ出すのは難しくはないと、ジオン公国や連邦に対する脅しという意味もある。

 それと、サイド6に対する脅しという意味もあるな。

 フラナガン機関という研究所をサイド6に作ったという事は、間違いなくサイド6の中にもそれを知っていて協力している者がいる筈だ。

 賄賂を貰ったのか、それともザビ家のシンパなのか、もしくは家族や恋人を人質にでも取られたのか……その理由は分からないが、それでもサイド6に中立だからといって好き勝手やるような真似をした場合、こちらも見ているだけではないというのを示すというのは大きい。

 また、当然ジオン公国にとってもフラナガン機関は重要な施設だろうから、そこには護衛のMSがいる筈だった。

 そして、俺が現在使っているイフリートは地上戦用のMSで、コロニーでの戦闘にも適している、

 MSを相手にしての、模擬戦ではなく実戦。これをやる機会を向こうから用意してくれたのだから、それに乗らないという手段はないだろう。

 後は……フラナガン機関の非人道的なやり方を公表すれば、ジオン公国にとって大きなダメージとなる。

 出来ればジオン公国と連邦軍にはもう少し均衡を保っていて欲しかったのだが、こういう事をしてるとなると懲罰を加える意味もあって公表した方がいい。

 これらの理由から、一石二鳥……いや、何鳥だ? それはちょっと分からないが、フラナガン機関を襲撃するというのは利益が多いのは確実だった。

 

「分かった。このフラナガン機関とやらの研究所を襲撃して、被験者となってる者達を助け出すようにセイラに要望しようと思う」

 

 ぱぁっ、と。

 俺の言葉を聞いたルリとラピスの2人が、嬉しそうな笑みを浮かべる。

 この2人も、何気に感情表現が豊かになってきたよな。

 

「ありがとうございます」

「ありがと」

 

 ルリとラピスの2人が、それぞれ俺に向かって礼を言ってくる。

 

「気にするな。フラナガン機関というのが気にくわないのは、俺も同じだしな。それに、フラナガン機関にいるニュータイプがこっちに協力してくれるのなら、それこそ願ってもない事だし」

 

 今回フラナガン機関の襲撃という事を考えた中でも、最大の利点がそこだった。

 現在のルナ・ジオンには、ニュータイプ能力を持つ者はセイラだけだ。

 ジオン・ズム・ダイクンの正当な後継者であるというのを示すには、やはりニュータイプが多い方がいいのは間違いない。

 ……とはいえ、セイラの性格から考えると保護したニュータイプの意思を一番に考えるといった事になりそうだが。

 

「このデータ、使わせて貰うぞ」

 

 そう告げると、ルリとラピスの2人は決意を込めた視線で頷く。

 そんな2人の頭を撫でると、俺は早速この件をセイラに……そしてルナ・ジオンの面々に知らせる為に、その場を後にする。

 撫でられたラピスは嬉しそうにしていたのだが、ルリが微妙な表情だったのは……まぁ、ルリ曰く子供ではなく少女だからという事なのだろう。

 このままだとルリが色気づいて、そのうち恋人を連れてくるとか、そういう事もあるかもしれないな。

 とはいえ、ルリはラピス共々レモンを始めとした俺の恋人達全員に可愛がられている。

 そんなルリが誰か恋人を連れてきても……うん、認められるまでにはかなりの時間が掛かりそうだな。

 そんな風に思いつつ、俺はクレイドルに急ぐのだった。

 

 

 

 

 

「アクセル? 急に会いたいという要望だったけど、何かあったの?」

 

 クレイドルの政庁にある、セイラの部屋。

 今までにも何度かセイラとお茶を飲んだその部屋で、俺はこれまでと同様に紅茶を飲んでいた。

 もっとも、今回は紅茶を楽しむ為に……ましてや、お茶菓子として用意された各種ケーキを楽しむ為に、やって来た訳ではない。

 今日は偶然、俺がセイラとの面談を希望した時、セイラが休憩する時間になっていたのだ。

 そんな訳で、丁度いいとこの部屋に通された訳だが……

 

「これを見てくれ。正直なところ、紅茶やケーキを楽しんでいる時に見たい内容ではないけどな」

 

 空中に浮かんだ映像スクリーンに表示されたのは、ルリとラピスが集めてきたフラナガン機関のデータ。

 最初はセイラもそれが何なのか分からなかった様子で軽く流し読みをしていたのだが……それが具体的にどのような事が書かれているのか、そしてどのような事が行われているのかを理解したのか、その表情は急激に厳しいものに変わっていく。

 元々医療に興味を持っていたセイラだ。当然このデータも全てを理解は出来ずとも、大まかには理解出来たのだろう。

 

「これは……本当なのね?」

「ああ。ルリとラピスがハッキングで見つけた情報だから、ほぼ間違いないと思う」

 

 正式な捜査とか何とかそういう事になると、非合法な手段で入手した情報を根拠には出来ないといった事が言われたりもするが、生憎とシャドウミラーやルナ・ジオンにはそこまで甘い事は言わない。

 ……勿論、それが本当なのかどうかの裏付けを取ったりといった真似を普通ならするのだが……このフラガナン機関の情報が正しいのであれば、そのような悠長な真似をしている暇がないのは事実だ。

 また、ルリとラピスの集めてきた情報である以上、これが間違いではないという確信が俺の中にはある。

 

「そう。……アクセル、それでこれを私に見せてどうしろと? 何か腹案があって来たのでしょう?」

「腹案って程に立派なものじゃないけどな。簡単に言えば、そのフラナガン機関を襲撃してみないかと思ってな」

「……随分と強行的な意見ね」

「そうか? なら、このまま悠長に証拠集めをするのか?」

「いえ、アクセルの案で行きましょう。すぐに人を集めて作戦の立案に入るわ。アクセルは……どうするの?」

「当然、俺も行く。フラナガン機関でやってる事は胸糞悪いが、それでも俺達の役に立つだろう情報とか資料とかが残ってるだろうし、何より俺としてはイフリートをきちんと使ってみたい」

「まさか、それが目的ではないでしょうね?」

「正確には、それも目的というのが正しいな。ニーズヘッグは、色々な意味で有名になりすぎた。これからは、使うのは限られた時になる可能性が高い。そうなると、やっぱり他の機体にも……特にこのUC世界で活動するのなら、MSに慣れておいた方がいいしな」

 

 そう告げると、セイラの視線に若干の呆れが混ざる。

 とはいえ、セイラも俺がMSの操縦をすれば相応の強さを持っているというのは知っている為か、それを拒否するような事はしなかった。

 

「好きにしなさい。アクセルの協力が得られるのなら、こちらとしても文句はないわ」

 

 あっさりとそう告げるセイラ。

 セイラにしてみれば、俺という戦力を得られるのは損にはならないと判断したのだろう。

 実際、その考えは決して間違っている訳ではない。

 イフリートというピーキーな機体ではあるが、それを俺が操縦する事により、間違いなくその辺のザクとは比べものにならないだけの能力がある。

 一応、ジオニック社の方でも高機動型のザクとか、地上戦闘用にグフとかを開発しているらしいが……果たして、今回それらの機体が出てくるのかどうかは微妙なところだろう。

 フラナガン機関の研究所は、ジオン公国の中でも非常に機密度の高い研究所だ。

 勿論いざという時の為に防衛用のMSくらいは用意しているだろうが、新型の機体とかを用意すれば、どうしても目立ってしまう。

 そうなると、やはり通常のザクとかが一番可能性としては高いと思うのだが……あ、でもいざって時はもう研究所を放棄したりといった事をしなければならない可能性を考えると、新型が用意されていてもおかしくはないか?

 もしくは、MSでは目立ちすぎるのを考えると、MSではなく戦闘機とか戦車とか、そっち系で備えているという可能性も否定は出来ない……かも?

 そんな風に考えている俺の視線の先では、セイラが忙しく通信端末を使って、ルナ・ジオンの主要なメンバーを集めているのが見えた。

 そのメンバーを集めるセイラは、怒っている。……いや、怒り狂っていると表現した方が相応しいだろう。

 もっとも、それはルナ・ジオンの面々に対しての怒りでもなければ、今回の話を持ってきた俺に対する怒りでもない。

 間違いなく、フラナガン機関の研究所が行っている実験に対する怒りだろう。

 にしても……研究所が稼働を始めたのは今月、6月に入ってからだ。

 にも関わらず、これだけの多くの実験データやら何やらがあるという事は、フラナガンという人物はこの研究所が出来る前から実験をしていたのだろう。

 今までどこで実験をしていたのかというのは、俺にも分からない。分からないが……恐らく、ジオン公国の勢力下のどこか。

 可能性として一番高いのは、やはりサイド3にあるどこかのコロニーか。

 もしくは、グラナダ……いや、グラナダはどうだろうな。

 一応こっちが占拠したときに、データの類は殆ど抜いたし。

 その中になかったということは、多分グラナダではニュータイプの研究をしていなかったか、もしくは俺が占拠する前に完全にデータを消去したのか。

 そんな風に思いつつ、俺は怒りを抱きながらも部下に指示を出しているセイラを眺めるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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