転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2223話

 ジョニー・ライデン。

 それは突撃機動軍に所属し、真紅の稲妻の異名を持つエースパイロットだ。

 黒い三連星が抜けた今となっては、突撃機動軍の中でも最高峰のパイロットと言ってもいいだろう。

 俺がグラナダを攻略した時は、遭遇しなかった……もしくは遭遇して気が付かなかっただけという可能性もあるのだが、ともあれそんな感じだった。

 そのような説明をシーマから受けて、連邦軍が奇襲を仕掛けたのに負けた理由に納得する。

 ……もっとも、奇襲が見つかっていない状況からのメガ粒子砲の発射であれば、それこそ幾ら異名持ちのエースでも、MSのパイロットが1人いるだけでどうにか出来るとは思わないのだが。

 もしかして、そのジョニー・ライデンもニュータイプだったりするのか?

 それなら、メガ粒子砲を発射されるよりも前に殺気の類を感じ取るなんて真似も、不可能ではない筈だ。

 

「俺がグラナダを攻略しようとした時に戦ったMSパイロットといい、黒い三連星やシーマを引き抜かれても、突撃機動軍にはまだ精鋭が結構な数残っているんだな」

「そりゃそうさね。一応、キシリアは実力があれば使うといった方針だったからね。……もっとも、あたし達のように使い捨て前提とされている者も多いけど」

 

 シーマの言葉に、話を聞いていた者の多くが微妙な表情を浮かべた。

 実際にシーマがどのような目に遭ってきたのか。それは、ここにいる者であれば当然知っている。

 直接シーマから聞いて知っている者もいるし、ルナ・ジオン建国の際の演説の時の一件で知っている者もいるだろう。

 特にラルは、自分がドズルからの命令を断った結果として、シーマの手を汚してしまったという後悔がある。

 

「ともあれ、異名持ちのパイロットがいたのなら、ある意味で納得出来ない訳でもないか。……もっとも、それで完全に納得出来るかと言われれば、そうでもないんだが」

「アクセル代表の疑問も最もですが、とにかくサイド6付近で起きた戦いで、連邦軍が負けたのは間違いのない事実です」

 

 ルルーの口から出た言葉に、俺は頷きを返す。

 実際、今回の一件はもう終わってしまった以上、ここでどうこう言っても意味はないのだ。

 ……もっとも、あの研究所の一件で少なからず連邦側に傾いた天秤が、この戦いで多少なりともジオン公国側が盛り返したというのも事実ではあるが。

 それにしても、連邦軍は物量や国力という点ではジオン軍を圧倒している割には、馬鹿をやる奴が多すぎる。

 特にルナツーにそういうのが集まっているような……

 いや、単純にルナツーが宇宙にあって、俺達が月にいるから、そういう奴が目立ちやすいのか?

 ともあれ、今回の一件でまたルナツーの戦力が減ったのは確実な訳だ。

 

「連邦軍がMSを完成させて行動に出る時に、戦力が残ってればいいんだけどな」

 

 俺の言葉に、それを聞いていた多くが同意するように頷いたり、笑ったりする。

 連邦の国力を考えれば、もしかしたらこの程度の事は特に問題がないのかもしれないが……と、そこまで考えてふと思いつく。

 ジオン軍の中にはニュータイプと思しき人物が何人もいるが、人数の差を考えれば連邦軍の中にもニュータイプがいてもおかしくはないのでは? と。

 ニュータイプ能力に覚醒していなくても、その素質を持ってる奴は連邦軍にいてもおかしくはない。

 一応、ジオン・ズム・ダイクンの説によれば、ニュータイプというのは宇宙に出た人類が得る新たな力という事になっている。

 いやまぁ、正確にはもっと色々と細かい理由やら定義やらがあるんだろうが、大雑把はそんな感じだ。

 それだけに、ニュータイプ能力に覚醒するのは宇宙にいる人間である必要があるんだが……セイラにしろシャアにしろ、生まれはコロニーであっても短くない時間、それこそ数年単位で地球にいた事があるのだ。

 それを考えれば、ニュータイプ能力に覚醒するのは宇宙にいるというだけではないのは間違いない。

 それとも、単純に宇宙にいればニュータイプ能力に覚醒しやすくなるというだけなのかもしれないが。

 ともあれ、連邦軍の方が人数は多い以上、ニュータイプは間違いなくいると思ってもいい。

 覚醒している、いないに関わらず。

 アムロとかはまだサイド7にいるのだから、そっちは置いておくとして。

 ちなみに、当然アムロの事を調べたが、アムロの出身……というか、生まれたのは地球だ。

 この点でも、スペースノイドとニュータイプの関係には色々と矛盾が生じる。

 

「なぁ、サイド6の研究所から奪ってきた資料の中に、ニュータイプの定義として強力な脳波を持ってるってのがあったよな?」

「え? いきなり何を? ……まぁ、私が見た限りでは、そうらしいわね」

 

 セイラが驚きの声を上げつつも、俺の言葉に頷く。

 ニュータイプというのは、通常の人間よりも強い脳波を出すという特徴がある。

 いや、他にも色々と……それこそ、相手の殺気を読んだり、妙な空間に精神が移動したりといった風な特徴はあるが、それは科学的にはまだ観測出来ない。

 UC世界の今の科学力で、間違いなくニュータイプとして確認出来るのが、その強力な脳波だ。

 実際、クスコやマリオンからはその強力な脳波が確認されているとデータには残っていたし、それ以外の被検者の中でも何人かからはその脳波が確認されているらしい。

 また、あの研究所から連れてきた中で幾分マシな性格をしていて、被検者達に暴力を振るったりしていなかった研究者にセイラがその測定を頼んだが、極めて強力な……それこそ、クスコとマリオン2人分を足しても足りないくらいに強力な脳波を持っていたらしい。

 あの研究所の研究者も、外道な奴ばかりではなかったんだよな。

 

「なら、その脳波を連邦軍の兵士が持ってないかどうか調べて、持ってる奴がいたら引き抜くような事は出来ないか?」

「……アクセルの考えは分かるし、ニュータイプを保護するという意味では賛成したいけど、そもそもの話、どうやってその脳波を調べるの?」

「ゴップに頼んでってのが一番無難だろ」

 

 現在、ルナ・ジオンが持っている伝手の中で一番高い地位にいるのはゴップだ。

 そうである以上、どうせ頼るのであればゴップに頼るのが最善だろう。

 ゴップの方も、ルナ・ジオンに貸しを作れると判断すれば、決して蔑ろにはしない筈だ。

 

「その脳波を持っている人物がいるかどうかを調べて貰うって……一体、どんな理由で? まさか、馬鹿正直にその脳波を持ってる人はニュータイプだと言う訳にもいかないでしょう?」

「あー……まぁ、そうだなろうな」

 

 ルナ・ジオンとは良好な関係を築いているゴップだが、それでも上に立つ者としての判断はきちんとする。

 もしニュータイプなどという者が存在し、それがMSのエースパイロットになれる素質があるのであれば、そのような逸材をわざわざ俺達に渡すような真似はしないだろう。

 それこそ、現在開発中だろう連邦軍製のMSパイロットとして使う筈だ。

 ……もっとも、ニュータイプというのはテストパイロットには向いていなかったりする。

 基本的に、ニュータイプというのは感覚派とでも言うべきか……その能力で、普通の人間、いわゆるオールドタイプでは不可能な動きをMSにさせる事が多い。

 だが、テストパイロットというのは、一般の……それこそオールドタイプと呼ばれる者達が乗るMSの開発をするのだ。

 そうである以上、ニュータイプがテストパイロットをやった場合、それは意味がない……どころか、悪影響すら与えかねない。

 勿論、ニュータイプとしての能力だけではなく、普通にMSを操縦しても十分な実力がある者であれば、話は別なのだが。

 ともあれ、感覚派とも言うべきニュータイプがテストパイロットに向いていないのは明らかだ。

 

「そうなると、ニュータイプは……MSの操縦訓練を終わらせたら、すぐにエースパイロットとして実戦に投入する、と思うか?」

「だろうね。MSを駆る連邦軍のエースパイロット。これは、間違いなく連邦軍の士気を上げるだろうしね。プロパガンダとしては最高だよ」

 

 シーマが納得したように……それでいて若干苦々しげに呟く。

 シーマのような古強者――それを口に出すと機嫌を損ねるが――にとって、そういう方法はあまり好ましくないのだろう。

 もっとも、純粋なプロパガンダという意味ではサイド6のニュータイプ研究所の件や、アフリカでジオン軍が村人を虐殺したという一件もあるのだが……正直なところ、その手のプロパガンダでは、士気は上がるものの、実際に連邦軍の戦力としての意味合いでは、いまいちだ。

 それに、そのプロパガンダが流れた後で連邦軍が惨敗したというのが流れてしまえば……うん、まぁ、連邦軍にとっては大きなダメージだろう。

 そういう意味でも、やはり実際にジオン軍のMSと戦って成果を上げられる連邦軍のパイロットというのは、連邦軍にしてみれば喉から手が出る程に欲しい存在なのは間違いない。

 

「そうなると、もし連邦軍にその脳波の持ち主を探させるにしても、何らかの別の言い訳を考える必要があるな」

「……ここまで言われても、諦めないのがアクセルの凄いところだよな」

 

 若干、褒められているのか呆れられているのか分からない感じではあったが、ともあれオルテガにそんな風に言われる。

 けど、折角のニュータイプなのだから、出来れば連邦軍から引き抜きたいと思うのは当然だろう。

 もっとも、連邦軍の中にはジオン公国憎しでスペースノイド全体を憎んでいる者も決して少なくない。

 一応月に住んでいる者はルナリアンと呼ばれてスペースノイドとは別の扱いをされているのだが、そういう連中にしてみれば地球以外に住んでいるという時点でルナリアンもスペースノイドもあまり変わらないだろう。

 ……ましてや、現在の月はルナ・ジオンという、ジオン公国とは違う別のジオンの系譜によって占領されているのだから、尚更だ。

 それこそ、ジオン公国と関係のないスペースノイドよりも、更にジオンに近い存在と思っている者は多そうだ。

 そういう連中が、もしニュータイプの力を持っていた場合……幾ら好条件で引き抜こうとしても、感情的な理由で反対するだろう。

 もっとも、ルナ・ジオンという国を建国した以上、セイラ達もそういう風に他人から見られるという事を考えていなかった訳ではないのだろうが。

 

「何にせよ、恐らくだが連邦軍……いや、軍に限らず、連邦という組織の中にはニュータイプ能力を持っている者は少なからずいる筈だ。そう考えると、やっぱりな」

「……取りあえず、その件は今は置いておきます。もっと大きな……それこそ、連邦軍がこちらに返しきれないような恩を感じる出来事があったら、それを引き換えに提案してみましょう」

「分かった」

 

 セイラの言葉に、短くそう答える。

 一瞬だけ、資源を安く売ったらどうかという考えが思い浮かんだが、ニュータイプというのは、存在すれば1人で戦局をひっくり返したりも出来るような代物だ。

 勿論、ニュータイプ能力以外にも純粋にMSの操縦技術とかが関係してくるので、誰もがそのような真似を出来る訳ではない。

 それこそ、ニュータイプと呼ばれる中でもその両方を高いレベルで両立出来ていて、尚且つその能力を活かせるMSやMAといった機体に乗っていて、初めて出来る事なのは間違いない。

 だからこそ……そう、だからこそ、出来るだけそういう相手は味方に引き入れたいのだが。

 ルナ・ジオン軍で開発されたヅダは、そういう意味では十分な性能を持ってるのは間違いないだろうし。

 そう言えば……と、そこまで考えて、ふと疑問を口に出す。

 

「セイラも高いニュータイプ能力を持っているけど、MSの操縦訓練とかはしてるのか?」

 

 その言葉は、部屋の中に沈黙をもたらす。

 特にラルやアンリといったセイラの保護者役の面々は、余計な事を! といった視線をこちらに向けてくる。

 だが、そんな2人とは裏腹にセイラと……そしてシーマは、よく言ったといった表情で視線をこちらに向けてきた。

 

「やっぱり私もMSは操縦出来た方がいいと、アクセルはそう思うのかしら?」

 

 そんなセイラの言葉に、ラルやアンリの視線が一際強くなる。

 なるほどな。あの2人はセイラにMSとかの操縦をして欲しくない訳か。

 まぁ、その気持ちも分かる。

 ラルやアンリにしてみれば、セイラは半ば自分の娘的な意味合いを持っていてもおかしくはない。

 ましてや、国を率いる女王という立場にいる者が、MSに乗って戦場に出向くというのは……普通に考えれば、有り得ない事だろう。

 もっとも、俺のような例外もいるから、絶対に有り得ないという事ではないのだろうが。

 ともあれ、そんな視線を受けつつ……

 

「そうだな。世の中には何があるのか分からない。出来るか出来ないかなら、出来た方がいいと思うぞ」

 

 そう、告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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