転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0209話

 戦闘が開始され、まず動いたのは当然のようにアークエンジェル後方に控えていたメギロートの群れだった。ただ、全機が一斉に動いたのではなく300機程が連合軍艦隊とその甲板に乗っているストライクダガーへと向かって襲い掛かっていく。

 レモンが200機は予備戦力としたのだろう。

 襲い掛かってくるメギロートに対し、ある程度まで距離が近づくと敵旗艦と思われる強襲揚陸艦やイージス艦、潜水艦等で構成されている連合艦隊から射程の長いミサイルや速射砲、レールガン、ビーム砲と多種多様な攻撃が一斉に放たれる。

 それを回避しながら突き進むメギロートだが、さすがに全機が完全に攻撃を回避するというのは無理な話で、数機ずつではあるが攻撃を食らってビームに呑み込まれて消滅したり、レールガンで胴体を破壊されてその部品を海へと撒き散らす。だがメギロートはAI制御されている機体であり、感情なんてものは一切無い。ただレモンに指示された行動を取るべく味方機が撃墜されても全く無視して連合軍艦隊へと向かっていく。

 

「なぁ、おい。アクセル……さん、俺達は攻撃しなくていいのかよ?」

 

 ディアッカからの通信に黙って首を振る。

 

「呼びにくいようならアクセルでいいぞ。まずはこちらの量産機であるメギロートの性能をたっぷりと連合軍に味わって貰うとするさ」

 

 何せ後少ししたら次の戦場が宇宙になる関係上、このアークエンジェルやそれに搭載されているMS、俺達シャドウミラーは連合軍をどうにかしたら宇宙へと上がる予定になっている。その際オーブにシャドウミラーがいないからと、また連合軍に攻められるというのは遠慮したい。故にここでメギロートの性能とその物量を見せつけ、連合軍に俺達の実力を思い知らせておく必要があるのだ。

 

「それにあの弾幕を突破するのは大変だぞ? 特にMSに空を飛ぶ機能がなくて、グゥルに乗ってるのならなおさらだ」

 

 まあ、システムXNを使えば簡単に連合軍の懐に潜りこむのは可能なんだが……オーブの首脳陣にこの戦闘映像がリアルタイムで流されている以上は迂闊にこちらの手の内を全て見せるというのは少なくても今は遠慮したい。

 

「しっかし、凄いなメギロートは」

 

 感心したような声はムウの呟きだ。その呟きに戦場へと視線を向けると、そこではミサイルや速射砲をドーナツ状のサークル・レーザーで撃ち落としながら前進しているメギロートの姿があった。

 敵艦からの攻撃を回避し、あるいは迎撃しながら距離を詰めていくメギロート達。そしてその群れはとうとうストライクダガーをそのサークル・レーザーの射程距離へと収める。

 300機近い機体から発射されたサークル・レーザーと、ストライクダガーから放たれたビームライフルの雨。それぞれがそれぞれを狙い……

 

「……マジかよ」

 

 ディアッカの呆然とした呟きが漏れ聞こえる。

 メギロートから発射されたサークル・レーザーは多数のストライクダガーを撃破し、破壊し、損傷を与えた。だが、ストライクダガーからのビームライフルはメギロートに対して殆ど損傷を与えられなかったのだ。

 これは性能の問題もあるが、単純に連合軍のMSパイロットの腕が悪い為だろう。考えてみれば当然だが、連合軍がMSを実戦に投入したのはパナマ基地をザフトに攻められた時が最初だ。そしてパナマ基地はMS共々徹底的に破壊されており、戦闘データ等の回収も難しかった筈。そんなパナマ攻防戦からまだ2週間程度しか経っていないのだ。そんな短時間で促成栽培されたMSパイロットが乗っていると考えれば、この結果はある意味当然なのかもしれない。

 そんな風に考えていると、アークエンジェルのミリアリアから通信が入ってくる。

 

「アクセルさん、連邦軍艦隊の背後より大型機が30機程接近してきます。MSを積んだ輸送機と思われます」

 

 ……輸送機? いや、オーブの攻略を考えていたのだから、狙いは分かる。オーブの上空から空挺部隊のようにMSを降下させる予定だったのだろう。だが、それとてオーブという地面があっての話だ。海のど真ん中で……

 周囲を見回した俺の目に入ったのは、アークエンジェルの艦体。そしてその艦体にはMSが着地する事も当然可能だ。なにしろ俺がブリッツで実際にやっていたのだから、これ以上の保証はないだろう。つまり、何か? 上空からこのアークエンジェルに直接降下して攻撃すると? ……着地に失敗したら海の底に真っ逆さまだと思うが……まあ、MSだから海に沈んだからといって即溺れ死んだりはしないのか?

 敵の狙いはともかく、わざわざ思い通りにさせる事もないだろう。

 

「分かった、残りのメギロートで対処する」

 

 ミリアリアへと短く返事をし、レモンに渡されたメギロートのコントロール用コンピュータに指示を出す。その指示を受け取ったうち、100機のメギロートがアークエンジェルの上空に展開して大型輸送機の方へと移動。同時に最後の100機が連合軍艦隊を迂回するように移動していく。

 

「動きの鈍い大型輸送機でメギロート200機をどうにか出来るんならやってみるといい。……っと、あっちも始まったか」

 

 連合軍艦隊の一部が、メギロートからの攻撃を受けてもいないのに爆発を起こして沈んでいく。レモンのギャンランドからシーリオンが出撃して攻撃を仕掛けたのだろう。

 同時に、とうとう連合艦隊へと取り付いたメギロートとストライクダガーが近距離での戦闘を開始する。とは言え空を飛ぶ事が可能なメギロートと、艦の上しか足場のないストライクダガー。今まで幾多もの惑星を攻撃してきたAIと、技量の未熟なパイロット。エアロゲイターの技術により設計されたメギロートと、ストライクの量産型のさらに簡易量産型であるストライクダガー。

 その2つが戦うとどうなるか。それが今、俺達の目の前で繰り広げられていた。

 M1アストレイのシールドさえ噛み千切る口でストライクダガーの右手を咥えたまま上空へと上がると、四方八方からメギロートが集まり、残りの四肢に頭部すら咥えて噛み千切られてバラバラにされる機体。

 自分に向かって来たメギロートへとビームサーベルを振り下ろすもあっさりとその一撃を回避され、動きの止まった一瞬の隙を突かれて至近距離からサークルレーザーを食らい爆散する機体。

 多少は腕の立つパイロットが乗っているのか、メギロートの攻撃を回避してビームサーベルで反撃した機体はさらに悲惨だった。AIに脅威度の高い機体と認識された為に、10数機のメギロートから集中攻撃を受けて噛み千切られ、焼かれた部品を大海原へと散らしていく。

 もちろん、メギロートが優勢だといっても相手も死に物狂いだ。反撃されて撃破される機体もいる。だが、全体的に見れば俺達が圧倒的に優位なのははっきりとしていた。

 

「MSで手が出ないとなると、次に出るのは……やはりな」

 

 MSより小回りは利かないが、その速度だけはMSよりも上。そして空を飛ぶ事が可能な戦闘機や旋回性能の高い戦闘ヘリが艦隊の中でも後方に位置している艦から発進してくる。

 その機体の殆どは、以前アラスカ脱出時にムウが乗っていたスカイグラスパーの開発ベースとなったスピアヘッドだ。

 

「なるほど、連合軍にもそれなりに頭の回る奴はいるか」

 

 こちらとしては最新鋭兵器のMSに執着してくれた方が都合良かったのだが。

 メギロートの飛行速度はそれなりのものがあるが、あくまでもそれなりだ。スピアヘッドのような戦闘機と比べれば大きく落ちるだろう。そうなると当然……

 

「アクセル、どうする? まだまだこちらが優位とは言え、このままだとメギロートの被害も馬鹿にならないと思うが」

 

 スピアヘッドによる一撃離脱やMSを援護する戦闘ヘリの攻撃により、徐々に損害が増えていくメギロートの群れを見ながらムウが通信を送ってくる。

 

「そうだな、このままメギロートとシーリオン任せにするというのも芸がない。それに連合軍のMSや艦隊もそれなりに被害を受けているし、そろそろ俺達が出ても構わないだろう」

 

 恐らく損害を無視すればこのままメギロートとシーリオンだけで勝つのも可能だろう。だが、俺達の勝利は戦端が開かれる前から既に分かりきっていた結果だ。この戦闘の第一目的は連合軍……というよりも、大西洋連邦にオーブとシャドウミラーの強さをその身に刻みつけて教育する事にある。本来ならブルーコスモスにこそ、その教育が必要なのだが……残念な事に狂信者には何を言っても無駄なのでそっちは置いておく。

 

「ムウとディアッカは敵航空機部隊を」

「分かった」

「任せろ」

 

 俺の指示に従い、グゥルに乗った2機がメギロートへと一撃離脱を繰り返している航空機部隊へと攻撃を仕掛ける。ストライクから放たれたアグニのビームが数機のスピアヘッドを一瞬で消滅させ、バスターが腰に装備されている砲を連結して対装甲散弾砲とし、広範囲に弾を散らす事でスピアヘッドに比べて動きの鈍い戦闘ヘリを纏めて撃破する。

 

「コーネリアとキラはまだしぶとく残っている連合軍のMSを片付けてくれ」

「うむ、任せて貰おうか」

「はい」

 

 自分達に向かって来るラピエサージュにストライクダガーがビームライフルを放つが、コーネリアはスラスターを上下左右自由自在に操り、自分に放たれたビームを回避しながら5連チェーンガンを放ってストライクダガーを撃破。そのまま敵の懐へと入り込み、振り下ろされたビームサーベルを回避しながらその胴体をコックピットごとマグナム・ビークで斬り裂いて上下に分断する。そのまま隙を見せる事なくO.O.ランチャーで自分を砲撃しようとしていた艦砲を破壊してと、まさに嵐の如き暴虐さを連合軍のイージス艦の甲板で発揮している。

 それと同じように、フリーダムもその機体名通りに自由に空を飛び回りながらビームライフルでストライクダガーを狙い撃ち、近づいてはビームサーベルでその胴体を斬り裂いていく。

 コーネリアにしろキラにしろ、その技量はさすがと言うべきでどちらも甲乙つけがたいレベルに達していた。もっとも、キラの場合はSEEDの覚醒というさらに上の段階があるのだが。

 

「ん? 戻ってきたか」

 

 視界に入ったのは、大型輸送機の迎撃に出していたメギロートの群れだ。こちらの計算通りに正面から100機のメギロートが30機の大型輸送機の相手をしている間に、回り込んでいた残り100機のメギロートがその横腹を突いたのだろう。折角のMSも輸送機に乗ったままでは殆ど性能を発揮出来無かったと見える。

 

「エキドナ、俺達は艦隊を片付けるぞ」

「了解しました」

 

 エキドナが頷き、グロウセイヴァーと共にヴァイサーガが空を駆る。取りあえず最初に視界に入ったイージス艦の上空を飛びながら意識を集中させる。

 

「ファントムっ!」

 

 T-LINKシステムが俺の意志に反応して20機のファントムが発射され、射出されたファントムはレーザーブレードを展開して真下に存在するイージス艦へとその牙を突き立てて内部へと突入して行く。イージス艦の中へと侵入したファントムは、手当たり次第に内部でレーザー弾を発射する。イージス艦の内部から放たれたレーザーに運の悪いストライクダガーが数機貫かれていたが、特に気にする事なくファントムを空中へと呼び戻す。再度レーザーブレードを展開してイージス艦を突き破ってきたファントムをグロウセイヴァーの後方へと待機させ、武器ラックからハルバートランチャーを取り出し、既に半ば沈没寸前のイージス艦へと狙いを付け……

 

「沈め!」

 

 その声と共に放たれた複数の光線がイージス艦へと突き刺さり、艦体を真っ二つにへし折って海中へと沈んでいく。

 ファントムを機体に戻しながらチラリとエキドナの様子を見ると、五大剣で駆逐艦の砲塔を斬り裂き、迎撃用の装備だろうバルカン砲塔へと烈火刃を複数投げつけ爆発させ、地斬疾空刀によりブリッジを破壊していた。

 

「さて、ここまでやればどんなに現実を見ない者でも、通常の戦力で俺達に勝ち目は無いと悟る筈だが」

 

 そしてそうなれば、当然頼る事が出来るのは大西洋連合の切り札である後期GAT-Xシリーズの3機のみだろう。俺のその予想が正しかった事はアークエンジェルのミリアリアからの通信ですぐに証明された。

 

「アクセルさん、敵艦隊の旗艦と思われる艦から未確認MSが3機出撃しました」

 

 その通信を聞きながら連合艦隊へと視線を向けると、シーリオンやメギロート、それと俺達の波状攻撃の為か既に当初の半分程まで数を減らしていた。残っている艦にしても多かれ少なかれ損傷を負っているのが殆どで、無傷なのは艦隊の最後尾付近に位置していた極少数だけだ。

 

「ミリアリア、ギャンランドのレモンに連絡を。シーリオン隊の攻撃は停止しても構わない。ただし、旗艦は俺の合図があったらすぐに撃沈出来るよう狙いを付けておくように言っておいてくれ」

「え? あ、はい。分かりました」

 

 本来ならこの場で全艦撃沈した方がいいのかもしれないが、それだと俺達の強さを連合軍に広めてくれる奴がいなくなるからな。オーブで流れている映像を流すにしても大西洋連邦がそれを認めないだろうし、捏造だ何だと騒がれるのは目に見えている。それにあの生き残りにしてもこの圧倒的な戦力差を見て、それでも尚オーブへと侵攻しようなんて馬鹿な考えは起こさないだろう。……そうなると残るは3機のガンダムとアズラエルのみ。

 俺の言葉に頷いたミリアリアがギャンランドへと通信を繋げているのを横目に、コーネリア、エキドナ、キラ、ムウ、ディアッカへと通信を送る。

 

「あの未確認のMS3機は俺だけで相手をする。お前達は下がっていてくれ」

「おい、本気か!? 折角有利な状況なのに、わざわざ1対3で戦うってのかよ!」

 

 ディアッカが信じられない、といった様子で返事をする。ムウとキラも言葉には出さないが似たような表情をしていた。

 だが、グロウセイヴァーに乗った時の俺の実力を知っているエキドナ。そして中華連邦の艦隊を単機で滅ぼした事を知っているコーネリアは特に何を言うでもなく頷き、機体をアークエンジェルまで後退させる。

 

「シャドウミラーを率いる者というのはどういう力を持っているのか、しっかりとその目で確認するといい」

「……大丈夫なんだな」

「誰に言っているんだ?」

 

 問いかけてきたムウだったが、俺の言葉に苦笑を浮かべながら後方へと引いていく。それを見たキラとディアッカも同じく退いていく。

 こうしてこのオーブ侵攻戦における最後の戦いが始まろうとしていた。




名前:アクセル・アルマー
LV:36
PP:185
格闘:254
射撃:274
技量:264
防御:264
回避:294
命中:314
SP:446
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:292

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