転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2227話

 俺と黒い三連星の面々が格納庫に行ってから、1時間程。

 現在俺の視線の先では、ヅダが3機と高機動型ザク3機がかなりの距離を取ってではあるが、向かい合っていた。

 ……もっとも、俺の視線の先と表現はしたが、実際にはブリッジにある映像モニタを通してだが。

 これって、俺はともかく他の連中にはしっかりと戦闘を見る事は出来ないんじゃないか?

 そう思って近くにいたシーマに尋ねるが、通信ポッドの類を戦場となる宙域には幾つか設置してあり、そっちから映像を送って貰う事が出来るらしい。

 模擬戦という事で、ミノフスキー粒子が薄くしか散布されてないからこそ出来る事だよな。

 ちなみに、当初はミノフスキー粒子を一切使わずに模擬戦をやるという案もあったらしいが、実戦でミノフスキー粒子が散布されない状況で戦う事は皆無……とは言わないが、可能性としてはかなり低いだろうと、結局は少しだけ散布しての戦いとなった。

 それなら、戦闘濃度でやってもよかったのではないか。

 そう思わないでもなかったが、そのような真似をすれば戦闘の映像を見る事も出来ない……というのが、その理由らしい。

 

「さて、いよいよ模擬戦となるが……どうなると思う?」

「儂としては、出来ればヅダに頑張って欲しいところだな」

 

 ラルの言葉に、全員が頷く。

 自分達の国で完成したMSだけに、それを応援するのは当然だろう。

 

「貴方、この場合はどうして欲しいかではなく、どうなるのかをきちんと予想すべきですよ」

 

 ラルの言葉にハモンがそう告げる。

 とはいえ、そういうラルも好きだと思っているのだろう。ハモンの口元には、笑みが浮かんでいた。

 この2人、そう言えばまだ正式に結婚はしてないんだよな。

 もっとも、ラルもハモンもそれが不満そうという訳ではないので、2人の間には特に問題もないんだろうが。

 

「高機動型ザクが、こっちで入手している情報からどれくらい性能が上がったのか……だろうな、問題は。ヅダは改修前でもかなりの性能を持っていた。それが、今は改修されたということを考えると、ザクがどこまでヅダに追いすがれるかというのが大きな問題になりそうだ」

 

 もっとも、多少ではあってもルナ・チタニウムを使っているという時点でヅダはかなり卑怯くさい感じなんだが。

 少なくても、高い機動力で関節部分が疲労して破壊される……というのは、まず考えなくてもいい筈だ。

 

「お、始まったぞ」

 

 ダグラスの言葉に、模擬戦がどうなるのかを話していた俺達は映像モニタに視線を向ける。

 そこでは、ダグラスの言葉通り模擬戦が始まっていた。

 音声とかそういうのは中継していないので、見えるのはあくまでも映像のみだ。

 そんな中で最初に動き出したのは、ヅダ部隊。

 それに少し遅れて高機動型ザクが動き出すも……加速力という点では明らかにヅダの方が勝っている。

 

「加速力という点ではヅダの方が上か。……だが、機動性や加速力といったものが上がれば上がる程、推進剤の消費も激しくなる。幸い、ヅダは今回の改修で推進剤の搭載量が以前と比べてかなり上がったが……ある程度実力のあるパイロットならともかく、新人はすぐに推進剤を使い切る可能性があるな」

「ジャンはともかく、クスコとマリオンの2人は一応新人と呼んでもいいと思うが?」

 

 ガイアの言葉にそう告げるが、ガイアから向けられたのは呆れの籠もった表情だった。

 

「あのな。言っておくが、あの2人はただのパイロットじゃねえだろ。ニュータイプだ。そんな特殊能力を持ってる上に、本人達の性格はともかく、操縦センスという点でもかなりのものだ」

 

 この場合の本人の性格というのは、クスコじゃなくてマリオンの事なんだろうな。

 かなり高いニュータイプ能力を持っているのだが、マリオンの性格は気弱というか、優しすぎるというか……そんな感じだ。

 そうである以上、どうしても戦闘に向かないのは間違いない。

 ルナ・ジオン軍にニュータイプパイロットの2枚看板が出来るかと思ったが、マリオンの性格を考えると、ちょっと難しいかもしれないな。

 テストパイロットの類であれば問題ないだろうが、ぶっちゃけ純粋にテストパイロットをやるだけなら、別にニュータイプ能力とかは必要ないし。

 考えられるとすれば、ニュータイプ能力を活かした機体の開発に協力する事か?

 ただ、そうなれば当然のようにニュータイプ研究に参加していた連中の協力が必要となる訳で……マリオンがそれを許容出来るかどうかは、微妙なところだろう。

 

「行け、そこだ!」

 

 シーマの興奮したような声に、映像モニタに再び視線を向ける。

 そこでは、ジャンのヅダがヒートサーベルを手に高機動型ザクとの間合いを詰めているところだった。

 ジャンに狙われた高機動型ザクは、ヅダが持っているヒートサーベルから強力な武器であると認識してるのだろう。そんなヅダを近づけないように、ザクマシンガンを連射する。

 具体的に誰がそのMSパイロットをやっているのかは分からないが、その狙いはかなり正確なものだったが……ヅダの速度がまた一段と上がり、その攻撃を回避する。

 そんな動きを見ても、動揺した様子もなくすぐに次の行動に移るのは、それだけ高機動型ザクに乗っているパイロットの腕が良いからだろう。

 速度差のタイミングに合わせ、再びザクマシンガンを撃つが……ジャンの乗っているヅダは、スラスターを使って細かく動き、攻撃を回避していく。

 

『おお』

 

 ブリッジにいた面々の口から、そんなジャンの動きに驚きの声が上がる。

 ヅダの速度を自由自在に操るジャンの腕は、間違いなく一級品なのは間違いない。

 そうして近づいていき……向こうのパイロットもこれ以上は射撃武器で対応出来ないと判断したのだろう。ザクマシンガンではなく、ヒートホークを構える。

 だが、ジャンの操縦するヅダはヒートサーベルを手にしたまま、相手の構えを一切気にせずに近づき……ヒートホークを振りかぶった瞬間、ヒートサーベルを持っていない方の手と足を使ったAMBACによってヒートホークの一撃を回避し、ヒートサーベルを振るう。

 その一撃は、あっさりと高機動型ザクの胴体に一本のペイントの線を引く。

 これにより、コックピットを撃破された扱いとなって、ジャンの勝利が確定し、高機動型ザクはそのまま戦場となっている宙域から離れる。

 ちなみに、最初に動いたのはジャンのヅダだったが、残る2人の方もそれに勝るとも劣らないといったくらいに派手な戦いになっている。

 やはりマリオン1人では、模擬戦とはいえ戦いを挑むといった気にはならないのだろう。

 クスコと2人1組になり、高機動型ザクを2機同時に相手にしていた。

 ……とはいえ、前に出ているのは基本的にクスコの機体だけで、マリオンは後方から援護している形だが。

 元々援護に専念すると決めていたのだろう。マリオンのヅダが持っているのは、ザクバズーカとザクマシンガンだけだ。

 クスコとマリオンと戦っている2機の高機動型ザクは、当然ながらザクマシンガンを使って自分達に接近してくるクスコを集中して狙う。

 だが……ニュータイプとして覚醒しているクスコは、そんなザクマシンガンの弾丸を全て回避する。

 その回避力は驚異的と言ってもよく……

 

「本人の能力は凄いが、AMBACの扱いがまだまだだな」

 

 そう呟くのは、マッシュ。

 他の面々も、クスコの能力に驚きながらも、マッシュの言葉に頷く。

 実際、本来ならAMBACで回避出来る場所でも、クスコはスラスターを使って回避している。

 この模擬戦であれは特に問題ないのだが、もし実戦をする事になり、長時間の戦闘となれば、他のMSよりも推進剤が早くなくなる可能性が高い。

 ……ただでさえ、ヅダはその機動力から推進剤を多く消耗するのだから。

 その辺りは、クスコも訓練を重ねる必要があるな。

 もっとも、それでも平均的なMSパイロットに比べれば、決してクスコのAMBAC制御が未熟という訳ではないのだが。

 あくまでも、精鋭や異名付きのエースの目で見ての判断だった。

 だが、今回クスコが戦っているのはそのような精鋭である以上、クスコの行動からその弱点を見抜いても不思議ではない。

 とはいえ、マッシュの発言はヅダの性能を理解した上でのものだったが、高機動型ザクに乗っているパイロットはそれを知らない。

 いや、以前の……改修される前のヅダの性能は知っているだろうが、全面的に改修された今のヅダの性能は知らないだろう。

 だからこそ、具体的にどのくらいヅダが動けば推進剤切れになるのかという事も分からない筈だ。

 それでもすぐに決着をつけるのではなく、持久戦に持ち込もうとして近づいてくるヅダから遠ざかるように2機の高機動型ザクは下がりつつザクマシンガンを連射する。

 相手との距離が近くなればなるほど、当然のようにザクマシンガンの命中率は上がる。

 それでも、クスコはニュータイプ能力を駆使して、敵の攻撃を回避していく。……スラスターを多用しながらだが。

 それだけに、ヅダの推進剤は加速度的に減っている筈だった。

 うーん、テスラ・ドライブのように推進剤を必要としない機体なら、こういうのも問題じゃないんだが……難しいとこだな。

 取り外し出来るプロペラントタンクを取り付けるか、もしくはダラニを使わせるか。

 ……ただ、ダラニは機動力はともかく運動性に関してはそこまで高くはない。

 今のクスコのように、弾丸の雨の中を飛んでいくのは、少し難しいだろう。

 クスコが苦戦をしていると見るや否や、後方からマリオンが撃ったザクバズーカの砲弾が高機動型ザクに向かって飛んでいく。

 その上、ヒートサーベルで高機動型ザクを倒したジャンのヅダまでクスコの援護にやって来たのだから、残り2機の高機動型ザクにとってはたまったものではないだろう。

 もっとも、ジャンは最初の戦いのように自分から相手に向かっていくのではなく、あくまでも自分は援護に徹している。

 少しでもクスコやマリオンに実戦経験を積ませたいと思っての行動だろう。

 まぁ、その考えは分からないでもない。

 ジャンにとって、クスコやマリオンは間違いなく腕利きの仲間という扱いなのだから。

 仲間というだけであれば、それこそ一緒に訓練をしていた者達もいる。

 だが、腕が立つかと言えば……まぁ、素人よりはマシなのだろうが、クスコやマリオンの方が間違いなく腕は立つ。

 その上、クスコとマリオンの2人は操縦技術をどんどんと吸収していくのだ。それこそ、砂漠の砂に水が吸い込まれるかのように。

 実際、こうして戦っている状況であっても、クスコの技量は時間が経つに連れて上がっている。

 それは格段にという程ではないが、それでも見る者が見れば分かるといった具合でだ。

 ……その代わり、前線で戦っているクスコに比べると、後方から援護しているマリオンは、そこまででもないのだが。

 

「あ」

 

 戦いを見ていた中で、ふと呟く。

 今までと同じようにザクマシンガンの弾丸を回避したクスコだったが、その回避した方向が悪かった。

 丁度もう1機が、ジャンの機体の一撃を回避しながら撃った弾丸が、回避したクスコの位置に向かって放たれたのだ。

 それでも、咄嗟に左手を前に出してその弾丸を防いだのは、ニュータイプらしいクスコの咄嗟の判断と言えるだろう。

 代わりにヅダの左手には黄色いペイントが広がり、模擬戦のシステムによって左腕損壊という結果になったが。

 とはいえ、それで諦めない辺りが、クスコの心の強さだろう。

 十分敵に近づいたと判断し、真っ直ぐに高機動型ザクに向かって接近していく。

 当然ながら、左腕を破壊されたヅダを前に、2機の高機動型ザクも攻撃を集中させる。

 もしこの時、ジャンとマリオンの援護がなければ、恐らくはクスコのヅダは撃墜判定をされていただろう。

 だが、遠くから援護射撃をしてくるジャンとマリオンの攻撃を回避する必要もあるおかげで、クスコの機体は急速に相手に接近する事が出来た。

 それこそ、ヅダの機動力を最大限活かしたといったところか。

 そうして、次の瞬間には高機動型ザクの間近でショットガンを放ち、胴体を含むコックピット周辺に赤いペイントがこれでもかといった具合に広がり、撃破判定。

 続いて最後の1機……というところで、ショットガンの銃口を最後の高機動型ザクに向けようとした瞬間、クスコのヅダの胴体には、つい数秒前に自分が倒した相手と同じようにペイントが広がる。

 当然そうなればクスコの機体は撃墜判定になるが……次の瞬間、マリオンの放ったザクバズーカによる砲弾が最後の高機動型ザクの胴体に命中し、模擬戦は2機生き残ったルナ・ジオン軍の勝利で終わるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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