転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2235話

 ギレン・ザビ。その人物を見たのは、別にこれが初めてという訳ではない。

 いや、直接見たのは初めてだったが、今まで映像やら何やらで見た事は数え切れない程にある。

 それは、ジオン公国内ではギレンの演説が何度となくTVに流れていたという事でもあり、同時にギレンが相応のカリスマを持っているという事も意味していた。

 実際こうして直接その姿を見れば、なるほど。一種のカリスマ性のようなものがある。

 そのようなものがなければ、ジオン公国を独立戦争に持っていくといった真似は出来なかっただろうが。

 噂では非常に高いIQを持っているという話だったが……ただ、ジオン公国が取った政策の中にはそのような人物が考えたのか本気で疑問に思うものがない訳でもない。

 ……もっとも、俺達シャドウミラーやルナ・ジオンの存在がジオン公国の政策に影響を与えたという可能性は否定出来ないのだが。

 

「ジオン公国総帥、ギレン・ザビである。……ルナ・ジオン代表のアルテイシア・ソム・ダイクン、シャドウミラー代表のアクセル・アルマー。……それと、ルナ・ジオン軍で海兵隊を纏めているシーマ・ガラハウ中佐。三人とも、よく来てくれた」

 

 俺達の前に移動してきたギレンは、そう言ってこちらに視線を向けてくる。

 握手を求めてこないのは、先程の俺とドズルのやり取りを見ていたからか。

 俺だって、わざわざ向こうから仕掛けてこない限りは、自分から攻撃的な対応をする訳じゃないんだけどな。

 

「キシリアにも言ったけど、ジオン軍の次期主力機のコンペに招待されたとなれば、参加しない訳にはいかないしな。それに……こう言ってはなんだけど、アルテイシアだけをジオン公国の掌中にやる訳にはいかないし」

「ほう、我が国はかなり平和な国なのだがね」

 

 そう言うギレンの言葉に、一体どう対応すればいいのか迷ってしまう。

 少なくても、独立戦争を挑んで連邦と戦争中で、しかも戦争開始直後にサイド1、2、4の3つを半ば壊滅状態にして30億人近い人間を殺した人物が言うべき事ではない。

 とはいえ、ギレンがそれを本気で言ってるのかどうかは、俺にも分からないのだが。

 寧ろこれは高いIQを持つという、ギレン流の冗談なのでは? と思わない事もない。

 

「サイド3が平和な国なら、それこそこの世界はどこでも天国に近いと思うけどな」

「ふふっ、アクセル代表も冗談が上手い」

「そう言って貰えて何よりだよ。もっとも、ギレンの口にした冗談の方がよっぽど面白かったと思うが」

 

 そう言うと、ギレンは笑みを浮かべて俺の方に視線を向けてきた。

 ……どうやら、今の俺の返答が気に入ったらしい。

 

「アルテイシア代表も、こうして直接会うのは随分と久しぶりだが……私の事は覚えているかな?」

「いえ、残念ながら全く。私達がサイド3を離れたのは小さい頃だった事を思えば、それもしょうがないでしょう」

 

 セイラはギレンとの間にそのように言葉を交わす。

 セイラにしてみれば、ギレンは……いや、ザビ家は父親の仇だ。

 いや、正確にはザビ家がジオン・ズム・ダイクンを暗殺したという証拠は残ってないので、本当に仇なのかと言われれば微妙なところなのだが……父親の死後、誰が一番得をしたのかという事を考えれば、一番の容疑者は当然のようにザビ家となる。

 また、ザビ家によって派遣された暗殺者に殺されそうになった事もあると聞けば、セイラがギレンに対して色々と含むところがあるのは間違いないだろう。

 ちなみに、ギレンとセイラでは格としてはルナ・ジオンの女王たるセイラの方が上だったりする。

 ギレンもジオン公国の総帥という立場ではあるし、実質的に現在のジオン公国を動かしているのは間違いない。

 だが……名目上の事ではあるが、ギレンの上にはまだデギンという地位が上の人物がいるのだ。

 それに比べると、セイラはルナ・ジオンの女王。

 そういう意味では、本来ならギレンがセイラに敬語を使う必要があるのかもしれないが……セイラとギレンという風に地位を抜きにして本来の能力だけで考えれば、やっぱりギレンが上なのだ。

 もっとも、これはあくまでもギレンとセイラが国を率いてきた年期によるものだ。

 ギレンはそれこそ10年近く国を運営してきたが、セイラの場合は父親がジオン・ズム・ダイクンであるとはいえ、数ヶ月前までは医者になる為の勉強をしていた。

 一応シャドウミラーと関わるようになって、シェリルから演技指導を受けてカリスマ性はかなり発揮するようになったし、エザリアのような政治班の面々から政治についても教えて貰っているので、将来的には能力の面でも逆転出来そうな気はするのだが。

 俺がそんな風に考えている間にセイラとギレンの挨拶は終わったらしく、ギレンがこちらに向けて口を開く。

 

「さて、では挨拶はこの程度にして……コンペが始まるのはもう少し掛かるので、もう少しお待ちいだたきだい。席の方は……あの辺りでどうだろうか」

 

 そう言ったギレンが示したのは、巨大なスクリーン……恐らくコンペの際の映像が映し出される代物の近くにある席だった。

 言ってみれば、映画館のスクリーン一番前といったところか。

 ……何気に、一番前すぎてスクリーンの全体をしっかりと見る事は出来ないんだよな。

 まぁ、コンペとかの映像なら、そこまで問題はないんだろうが。

 そんな風に思いつつ、俺達は素直にギレンに示された席に向かう。

 本来なら、一番前……つまり背後にジオン軍の面々が配置されているというのは、色々と不味いんだが……ぶっちゃけ、この世界の人間が妙な真似をしようとしても、殺気を隠すといった真似は出来ない。

 それこそ俺だけじゃなくても、シーマ辺りでも殺気を感じる事は出来るんじゃないだろうか。

 もしくは、ニュータイプでもいれば確実だろう。

 ともあれ、ギレンやキシリア、ドズルといった面々は、色々なところから俺の情報を得ている筈だった

 そうである以上、俺の生身での戦闘力に関しても理解はしているだろう。

 ここで妙な真似をすれば、それこそ自分達が死ぬだけなのだから。

 ……ん? もしかして、ここでギレン、キシリア、ドズルの3人を殺してしまえば、色々な問題が一気に解決するのか?

 ザビ家の3人が死ねば、残るのは地球にいるガルマ・ザビと半ば隠居状態のデギンのみだ。

 そしてガルマは士官学校での成績は良かったようだが、お坊ちゃん気質らしい。

 デギンは半ば隠居状態で、年齢的な問題がある。

 当然ここでギレン達が死ねば、デギンが代わりに政務を行う必要が出てくるが……それも年齢の関係で長くは続かない。

 そうなると最終的に残っているのはガルマだが、まだ若く甘さの残っているおぼっちゃま気質のガルマでは、ジオン公国を運営するような真似はまず出来ず……最終的に、ジオン公国は崩壊する事になる。

 もっとも、実際にはザビ家以外にも政務を行えるような者は少なからずいるだろうから、机上の空論でしかないが。

 ましてや、ここで暗殺のような真似をすれば、間違いなく疑われるのはルナ・ジオンだというのが不味い。

 セイラが清廉潔白といったイメージな以上、ザビ家の暗殺という手段に出るのは、短期的には利益であっても、長期的に見た場合は間違いなくマイナスの印象の方が強い。

 

「お久しぶりです、アクセル代表。それと、初めましてアルテイシア代表、シーマ中佐。エリオット・レム少佐といいます」

 

 ギレンとの……いや、ザビ家とのやり取りを聞いていた者達が多い為か、誰も俺達に近づいてこない中、唯一近づいてきたエリオットが、そう言って敬礼する。

 

「エリオット……いや、そうか。今回コンペに出るのはR型の改修機だったな。だとすれば、お前がここにいるのはおかしくないのか」

「そうなります。今回用意したR2型は、性能的にはR型とそう大きく変わるものではありませんが、色々な場所に手が入っている自信作です」

 

 そう言い、笑みを浮かべるエリオット。

 それは強がりといったものではなく、純粋に自分の開発した機体が高性能であると判断してのものなのだろう。

 ……実際、R型はヅダとの模擬戦で負けはしたが、決して性能が悪いという訳ではなかった。

 基本的には宇宙という戦場に限定はされるが、それでも現時点ではかなり高性能な機体なのは間違いない。

 

「おや、エリオット少佐もアルテイシア代表やアクセル代表にご挨拶ですか。これは1歩先を越されましたな」

 

 そう言いながらこっちに近づいてきたのは、エリオットとは違って純粋なビジネスマンといった様子の男。

 その男は、俺達に向けて頭を下げてくる。

 

「初めまして。私はツィマッド社で今回のコンペを任されている。タチア・ニーノといいます」

 

 タチア、ね。ツィマッド社の人間ではあるんだろうが……少なくても、俺は会った事がない人物だな。

 いやまぁ、兵器メーカーの人間と会った事は、そう多くないし、特にツィマッド社ではヅダ関係の面々としか会った事はないのだが。

 ただ、ツィマッド社にすれば、ルナ・ジオンやシャドウミラーはヅダの改修チームを引き取ってくれたお得意様と呼んでもいい存在だ。

 そうである以上、ここでジオニック社のエリオットに先を越されてしまったのは、痛かったのだろう。

 

「そうか。俺はアクセル・アルマーだ」

 

 俺がそう言うと、セイラとシーマもそれぞれ自己紹介する。

 自己紹介が終わると、早速本題に入る。

 

「それで、わざわざ俺達に会いに来たという事は、挨拶だったのか?」

「ええ、そうなりますね。ただ、エリオット少佐の開発した機体も高性能でしょうが、私達が開発したリックドムも、その機動力は非常に高いですよ」

 

 リックドムね。

 元々は地上で高い評価を得たドムを宇宙用に改修した機体だというのは知っている。

 ただ、純粋に宇宙用として開発された機体と、地上用の機体を宇宙用に改修した機体。この差は結構大きいと思うんだが。

 ちなみに、R型はザクという形をしているが、F型やS型をベースにして改修した機体ではなく、半ば再設計と言ってもいいようにして開発された機体らしい。

 というか、F型をベースにして機動力を含めて各種性能を上げるように改修した機体がS型で、そのS型は開発者達……エリオットを含めてだが、そのS型に満足出来ずに、R型を開発した、というのが正確なところらしいからな。

 元々新型として開発された機体と、地上用の機体を無理矢理宇宙用に変えた機体。

 性能だけで考えれば、どちらに軍配が上がるのかは明らかだろう。……あくまでも、性能だけで言えば、の話だが。

 

「リックドムか。ツィマッド社お得意の高性能エンジンを使った機体だったよな」

「そうです。さすがアクセル代表、よくお分かりで。ましてや、機体は地上用のドムをベースにした物を流用出来るので、コスト的にも断然お得です」

 

 そう、これがR2型が苦戦するかもしれない、最大の理由。

 純粋な性能ではR2型の方が勝っているだろうが、コストという点で考えればR2は新型だけにかなり高くつく。

 勿論通常のザク、F型の生産ラインを全く使えないという訳ではないと思うが……

 考えてみれば、これはザクとヅダの時と同じような構図ではあるのか? ……立場は逆だが。

 もっとも、ヅダはザクよりも性能は高かったが、空中分解を起こしたのが致命的だった。

 R2型なら、そういう事にはならないと思うから、完全に同じという訳ではないのだろうが。

 性能ではR2型、生産性ではリックドム。後は、ジオン軍がどちらを重視するかといったところだな。

 

「そうか。なら、コンペは楽しみにさせて貰おう」

「ええ、楽しみにしていて下さい。……負けませんよ?」

 

 タチアは自信に満ちた表情で俺にそう言うと、最後にエリオットに向けて宣言する。

 エリオットの方も、自分の開発したR2型には自信がある為か、その宣言……一種の挑発に、頷きを返す。

 

「ええ、こちらも負けるつもりはありません。今回のザクは、私達が出せる最大限の力を結集して開発した機体ですので」

 

 そう言い、お互いに俺の前から去って行く。

 それを見送っていると、今のやり取りを見ていたセイラが口を開く。

 

「アクセルは、今回のコンペでどちらが優勢だと思うの?」

「……正直、難しいところだな。R2型がリックドムの性能を大きく上回っていれば、そちらが選ばれるだろうけど」

「ルナ・ジオンなら、R2型なんだろうけどね」

 

 シーマがそう、口を挟む。

 実際、その言葉は間違っていない。

 コストという問題に関しては、キブツを持つシャドウミラーがルナ・ジオンを保護国としている。

 そのおかげで、資源的な意味でのコストは、殆ど問題にならない。

 何しろ、ヅダは関節部分を始めとした一部だけではあるが、ルナ・チタニウムが使用されているのだから。

 正直なところ、ヅダのコストはR2型よりも高いと思う。

 ……そんな風に思いながら、俺はコンペが始まるのを待つのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S

海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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