転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2240話

 その軍艦が、ルナ・ジオンの首都たるクレイドルの軍港の中に入ってくる。

 映像とかでは見た事があるが、こうして実際に見るのは初めてのその軍艦は、ジオン軍……いや、ザビ家の象徴とも呼ばれる宇宙戦艦、グワジン級だ。

 このグワジン級が出来たおかげで、本来は戦艦という艦種だったチベ級は、重巡洋艦になったという噂もある。

 その噂が正しいのかどうかは、俺にも分からない。

 だが、グワジン級の性能がそれだけ高いものであるというのは、間違いのない事実だ。

 

「それにしても、よくこんな短時間でグワジン級の建造が出来たもんだね」

 

 俺の隣で、シーマがグワジン級を眺めながら呟く。

 元々、このグワジン級はドロス級と共にグラナダを租借地にするという事で貰った租借料の一部だ。……もっとも、ドロスの方はその巨大さ故に完成しておらず、先にこのグワジン級のみが渡される事になったのだが。

 ドロス級程ではないにしろ、グワジン級は非常に高性能な宇宙戦艦だ。

 それこそ総合的な性能という点で考えれば、恐らく現時点ではUC世界でも最高の物ではないのかと思うくらいに。

 それだけに、ジオン軍でもグワジン級はザビ家か、もしくはザビ家の信認の厚いような者でなければ、あの軍艦を与えられる事はない。

 そのようなグワジン級をルナ・ジオン軍に支払うとなると、ジオン軍にとっては面白くない奴もいるだろう。

 

「調査チームの方はどうなってるんだ?」

「その辺は問題ないよ。こちらに引き渡しが済んだら、すぐにでも調査を始める。……こういう時、コバッタや量産型Wを使えるというのは大きいね」

 

 しみじみと呟くシーマ。

 ちなみに、ここにいるのは俺とシーマの2人だけだ。

 ルナ・ジオン軍の他の幹部達は、現在セイラと共にグワジン級を持ってきた人物……キシリアと共に会談をしていたりする者もいるし、正式にルナ・ジオン軍の主力量産機となったヅダの操縦訓練をしている者もいる。

 ちなみに、ヅダの中で一番人気は当然ながら標準型。それに続いて強襲型のA型がそれなりに人気があり、SP型とE型はそこまで人気はない。

 俺が知ってる限りでは、マリオンがSP型を選んでいるが……それ以外は名前も知らない奴が数人といったところだ。

 E型にいたっては、俺の知ってる人物で使っている者はいない。

 ミノフスキー粒子散布下において、E型は縁の下の力持ちとしてかなり使える機体なのは間違いないんだけどな。

 ちなみに、シーマが乗っているのはA型だ。

 ただし、現在開発中の高機動型……R型が出来たら、そちらに乗り換えるつもりだという話を聞いた事がある。

 

「ん? どうしたんだい?」

「いや、R型の件で訓練をしてるって聞いたけど、どうなのかと思ってな」

「……厳しいね。A型ですら、アサルトブースターで結構なGが掛かる。R型はそれ以上にGが掛かるとなると……ね」

 

 そう言うシーマだったが、言葉とは裏腹に諦めているような様子はない。

 ただ、Gか。

 こうして軍服を着ていても分かる程に大きなその胸が、Gでどう潰れているのか……と、ふと思ってしまう。

 とはいえ、女の勘は鋭いのですぐに考えを変えるが。

 

「取りあえず、これでジオン軍よりも宇宙での戦闘に関しては、ルナ・ジオン軍が有利になったと考えてもいいんだろうな」

「だろうね。ヅダの改修チームがR2型を色々と調べていたようだけど、その上でヅダを自信満々に発表したって事は……そうなるんだと思うよ」

 

 シーマのその言葉通り、あのヅダの改修チームの性格を考えれば、実際に性能としてはヅダの方が上なのだろう。

 ……ジャン辺りは、かなり喜んでいるとも聞く。

 もっとも、今回は別にコンペの類があった訳でもないので、既定路線に近い状況だったのだが。

 それを乗りこなせるかどうは、また別の問題だろうけど。

 

「R2型も参考にしたって話もあったな」

「ああ、プロペラントタンクとか、脚部の構造とか、その辺だね」

 

 高機動型ということは、当然のようにそれだけ推進剤を多く使う。

 ヅダはその辺も考慮して、出来る限りその量を多くしているのだが、それでも新人が乗れば調子に乗って推進剤を使い切ってしまう可能性がある。

 その為、ヅダを運用する上で少しでも多くの推進剤を持ち歩けるようにするというのは、必須なのだ。

 ……まぁ、実際にはヅダに乗る前にシミュレータでしっかりと訓練をするし、実機に乗るようになった後でも、きちんと機体を動かさせ、どのくらい動けるのかといった事を理解させるらしいが。

 MSの操縦訓練という意味では、ルナ・ジオンはジオン公国よりもかなり手厚くやっている。

 ……ヅダの性能からそうせざるを得ないというのもあるのだが、それが結果としてルナ・ジオン軍のMSパイロットの練度を高める要因にもなっていた。

 テスラ・ドライブを使えれば、推進剤とかの心配をする必要はないんだけどな。Eフィールドの類も使えるようになるし。

 だが……だからこそ、UC世界の技術を発展させる為にも、シャドウミラーの技術をルナ・ジオン軍に流す訳にはいかないのも事実。

 十分に技術が成熟したと、そんな風にシャドウミラー側で判断されたら、話は別だが。

 ただ、具体的にいつくらいになればそう判断出来るのかというのは、また別の話でもある。

 

「けど……今更、本当に今更の話だけど、こうして軍を整えるのはともかく、実際に戦闘になると思うのかい? 地上でならハワイを狙って妙な動きをする相手がいるかもしれないけど、宇宙で戦闘になるのかどうかは……難しいと思うけどねぇ」

「月には機動要塞群があるしな。それを思えば、迂闊に月を攻めようとしても、それこそ向こうが何らかの行動に出れば、月に攻め込むよりも前に機動要塞群からの主砲で大きなダメージが与えられる事になる」

 

 バルジ、リーブラ、ニヴルヘイム。

 それらの主砲は、それこそこの世界で最高の性能を持っているという、グワジン級とも比べものにならない程の威力を持つ。

 その主砲を相手に被害を少なくするとなれば、それこそ纏まって月に攻め込むのではなく、バラバラになって攻め込んでくるといった方法を使う事になる。

 だが、そうなればそれこそルナ・ジオン軍や、機動要塞に駐留するメギロートやバッタ、量産型Wといった兵器が出撃して各個撃破するだけだ。

 それ以外にも他に何らかの手段を取るとすれば……何だろうな。

 まずは要塞そのものをどうにかする必要がある以上、まずは月ではなく要塞を個別に攻略していくか?

 だが、そのような真似をしても、無駄に時間が経てば……それこそ、クレイドルや他の機動要塞から援軍が来る。

 

「月で……というのは難しいだろうな。そうなると、考えられるのは連邦軍の味方をするか、ジオン軍の味方をするか、それとも……第3勢力としてルナ・ジオン軍が動くか」

「そんなところだろうね。……それで、アクセルとしちゃあ、どれが一番可能性が高いと思うんだい?」

 

 グワジン級から視線を逸らし、シーマがこちらを見て尋ねてくる。

 うーん……可能性として一番高いというか、まず現状で有り得ないのは……

 

「取りあえず、今のルナ・ジオンの状況を考えると、ジオン軍の援軍として連邦軍と戦うというのは、難しいだろうな」

 

 何と言っても、ジオン公国とルナ・ジオンの関係は悪すぎる。

 元々の関係が悪かったところに、サイド6でのニュータイプ研究所の件が起きたのは痛い。

 ジオン公国は少しでもお互いの関係を修復しようとして、模擬戦だったり、コンペの招待だったりをしている。……今回のグワジン級の譲渡も、前々からの約束があったとはいえ、ここまで早く持ってきたのは関係改善を考えての行動でもあるのだろう。

 それでも、数年を掛けて関係を改善していくのならまだしも、今の状況ですぐに関係を改善……といった事は、難しい。というか、まず不可能だ。

 だが、正直ジオン公国が現在行っている独立戦争が数年続くかと言われれば……正直、それもまた難しいだろう。

 1年……何とか頑張って2年くらいか?

 ただ、恐らく2年となるとジオン公国の国力は底をつくというのが、エザリアを始めとしたシャドウミラー政治班の予想だ。

 

「だろうね。正直、あたしもジオン軍に協力したいとは、ちょっと思えないね」

 

 シーマにしてみれば、ジオン軍という存在は自分でも知らない間に毒ガスを使ってコロニーの住人を虐殺させられた相手だ。

 おまけにその後は、口封じとも言わんばかりに汚い仕事、危険な仕事ばかりをさせられてきたのを思えば、ジオン軍に協力したくないと思ってもおかしくはない。

 また、ルナ・ジオンの中には当然ながらダイクン派と呼ばれた者達も多い。

 自分達を散々に弾圧してきたザビ家が支配するジオン軍と協力して連邦軍と戦う。

 それはちょっと……いや、かなり難しいし、半ば無茶であると言ってもいいだろう。

 

「シーマも感じてる通り、ジオン軍に協力するのは正直なところ難しい。そうなると、残るのは連邦軍か、第3者的な立場とするか……となってくる訳だ」

 

 そうなると、連邦軍に協力するかと言われると……そちらもまた、難しい。

 いや、ゴップのようにこっちの話を理解出来る相手がいるのは間違いなく、そういう意味では友好的な勢力と言えない事もない。

 だが、連邦軍はその巨大さ故に地位に見合わない無能も多い。

 特にルナツーにおいては、タカ派が散々ジオン軍に負けて、ルナツーの保有する戦力の多くが溶けて消えてしまっている。

 更に質が悪いのは、サイド3に対する強行偵察が成功してしまった事だ。

 その一件で、今までの連敗によって発言力が次第に落ちていたタカ派は、一気にその勢力を取り戻したのだから。

 連邦軍と協力してジオン軍と戦うという事は、そういうタカ派とも一緒に協力する必要がある。

 こちらが得ている情報によると、ルナツーのタカ派はルナ・ジオンの存在を面白く思っていない。

 いや、ぶっちゃけて言えば、月を連邦軍の手に取り戻す為にどうにか攻略出来ないかと頭を悩ませている状況だ。

 ……まぁ、その気持ちも分からないではない。

 そもそもの話、フォン・ブラウンを含めた月面都市は、地球圏で一大商業圏と呼ぶに相応しい場所だ。

 その辺りから連邦政府や連邦軍に流れている金は、決して小さくはない。

 特に今は、ジオン公国の独立戦争によって、サイドが3つも壊滅しているのだ。

 ただでさえ収入源が少なくなっている以上、月面都市という金のなる木は是非とも欲しいところだろう。

 何しろ、フォン・ブラウンを制する者は宇宙を制すという風に言われているのだ。

 その格言通りに考えた場合、ルナ・ジオンは宇宙を制するといった事になる。

 ゴップ辺りなら、地球に手を出さない限りはそれでも許容してくれるかもしれないが……残念ながら、ルナツーにいるタカ派のような面々には、そのような状況は許容出来ない筈だ。

 そうなると……それこそ、近いうちにタカ派が動く可能性すらあった。

 まぁ、普通に考えればジオン公国と戦っている今の状況で、わざわざこちらに手を出すような真似をするかと言われれば……正直、微妙なところだろう。

 ジオン公国にすら押されており、大量に出血する事によって何とか現状を維持出来ているのだから。

 だが……その辺りの事情を考えず、ただルナ・ジオンやシャドウミラーが気にくわないからというだけで、攻撃をしてくるような者もいるのだ。

 でもって、何故かそういう奴に限ってある程度権限のある地位にあったりするんだから、厄介なんだよな。

 その辺りの事情を説明すると、シーマは納得したように頷きを返す。

 

「なるほどね。そうなると、やっぱり一番可能性が高いのは、あたし達だけで出撃する……ってところな訳だ」

「そうなるだろうな。……出来れば、ドロス級も来てから出撃した方が、戦力的に安心出来るんだが……そっちはいつ来るか分からないからな」

 

 グワジン級が今日来ただけでも、ある意味で運が良かったという事になる以上、ドロス級の方は一体いつになるのやら。

 ジオン公国としても、ルナ・ジオンの戦力は出来るだけ増強したくはない。

 特にドロスはジオン軍にとっても非常に重要な意味を持つ。

 それこそ、機動要塞的な扱いが出来るというだけで、宇宙を拠点としているジオン軍にとっては大きいだろう。

 何しろ、ある程度好きな場所にドロスを配置出来るのだから。

 

「あたし達が第3勢力として……か。そうなると、ジオン軍と連邦軍の両方を敵に回す事になりそうだね」

「何だ、怖いのか?」

「冗談をお言いでないよ」

 

 半ば挑発するような俺の言葉に、シーマは闘争心に満ちた獰猛な笑みを浮かべつつ、俺に視線を返すのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S

海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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