転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2245話

 戦場での戦いは、まだ序盤といった感じではあったが、その序盤だけで連邦軍の戦力は驚く程に減っていた。

 特に大きかったのは、やはり黒い三連星を敵にした事だろう。

 ……とはいえ、黒い三連星は敵を出来るだけ殺さないようにするというのが伝わってなかったのか、こっちから通信を入れて殺さないようにと言う事になったが。

 とはいえ、敵の懐の中に飛び込んでいた以上、当然の話だが黒い三連星にはそこまで手加減するような余裕はなかっただろうが。

 また、ラル隊やシーマ隊といった戦力も戦場に参加した結果、連邦軍の戦力は加速度的に減っていた。

 メギロートとかも一応用意してあったんだが……これは出す必要がないな。

 ここで無駄にメギロートを出すような真似をすれば、それこそメギロートの性能を連邦軍に知られてしまう事になる。

 それは面白くなく……だからこそ、この戦いで指揮を執っているダグラスも、メギロートやバッタといった戦力を出していないのだろう。

 それでもこちらの方が連邦軍に圧倒しているのだから、ルナ・ジオン軍の練度やMSの性能がどれだけのものなのかを如実に現していた。

 そうして戦っていると、不意にグワジン級から発光弾が上がる。

 それは、全機一時撤退せよという意味を持つ発光弾。

 何があった?

 戦闘は、明らかにこっちが優勢な状況だ。

 にも関わらず、何故こうして撤退するような発光信号を撃ったのか。

 ……もしかして、操作を失敗して発光信号を撃ったって事はないよな?

 とはいえ、戦闘の最中ではあってもこうして撤退するようにという命令が来たのは事実だ。

 

「ジャン、どうする? 撤退するって事でいいのか? このまま戦っていれば、間違いなくこっちが勝てるけど」

『撤退します。他の部隊も撤退しているようですし』

 

 その言葉を聞いて周囲に視線を向けると、確かに他の部隊も撤退を開始していた。

 特に急いで撤退しているのは、一番突出していた黒い三連星だ。

 ……少し意外だったな。

 黒い三連星のガイア、オルテガ、マッシュというのは、3人が3人とも気が強いというか、我が強い。

 少なくても、撤退すると言われて、はいそうですかと頷くような性格ではない。

 にも関わらず、こうして撤退するという事は……黒い三連星の方でも何かあったのか?

 取りあえず、俺達だけで残っても戦えなくなってしまう以上、無意味だな。

 これがシャドウミラーの機体なら、基本的にはビーム兵器があり、動力炉も永久機関たるブラックホールエンジンでエネルギー切れもないし、移動するのも推進剤を必要としないテスラ・ドライブなので、パイロットの気力が保つ限りはいつまででも戦う事が出来るんだが。

 

「了解した。……クスコ、そっちはどうだ? 大丈夫だとは思うけど」

『こっちは問題ないわよ。敵の攻撃は1発も被弾してないし』

 

 元々クスコは俺と接触した事によってニュータイプ能力が上がったというのもあるし、本人にMSを操縦する高い適性があったらしい。

 そのおかげもあってか、今回の戦いではジャンを上回るだけの戦果を上げている。……一応敵は殺していないみたいだが。

 

「そうか。なら、退くか。……そう言えば、結局ダラニが破壊される事はなかったな」

『ジオン軍のMSが相手ならともかく、連邦軍の弱兵を相手にしてダラニを破壊されるような事があると思う?』

 

 いや、いると思うけどな。

 ルナ・ジオン軍には異名付きだったり、パーソナルカラー持ちだったり、精鋭と呼ぶべきパイロットが多いが、それはあくまでもそういう兵士が多いというだけであって、全体的に見ればMSパイロットになったばかりのような奴もいる。

 今日はそういうパイロットが戦場に出るようなことはなかったか、もし出ても撃破されるような事はなかったみたいだが……それはあくまでも、この戦闘が色々と特殊だったから、というのが大きい。

 ……ただ、聞いた話だと実戦に出られるようにする為の基準を上げるという話を、以前ラルがアンリとしていたのを聞いた事があったので、そのうちベテラン……とは言わないまでも、新人パイロットでもある程度の技量を持った者が多くなるのは、ほぼ間違いないと思う。

 

「まぁ、撃墜されてないならいいけどな」

 

 ダラニは基本的に使い捨てを前提として開発された兵器だ。

 だが、今回の戦いでは極力相手を殺さないようにするようにと言われていたので、そういう意味ではダラニを使った自爆を使う機会はなかったと言ってもいい。

 以前ダラニを使ったのは、確か月の近くでジオン軍と連邦軍が戦いつつ、戦場を移動してきた時の戦いだったが……あの時の戦いでも、ダラニの自爆は使われなかった筈だ。

 そうなると、もしかして……本当にもしかしてだが、ジオン軍も連邦軍も、実はダラニが自爆を前提としているという事をまだ知らないという可能性があったりするのか?

 そんな風に考えている間に、やがて俺達はグワジン級に近づく。

 そのまま格納庫の中に入り、コックピットから出る。

 すると、すぐにジオニック社系のメカニックがこっちに近づいてきた。

 

「アクセル代表、ご苦労様です。この機体の乗り心地はどうでした?」

「そうだな、悪くないと思う」

 

 まぁ、ダラニに乗っていた状態で戦闘が終了したので、機体本来の動きというのはあまり実感出来なかったが。

 だが、これからR2型の整備やチェックをするメカニックに気持ちよく仕事をして貰うというのは、俺にとっても大事だ。

 それを思えば、こうしてお世辞を言うのは悪い事ではない。

 ……それに、実際本格的に動かした訳ではないが、FS型に比べれば随分と動かしやすくなっていたのは事実だし。

 

「そうですか、それは何よりです」

「それより、何で撤退の発光信号が上がったのか、その理由は聞いてるか?」

「いえ、残念ですが。まぁ、私はメカニックでしかないので、重要な情報がすぐに降りてくる訳でもありませんし」

 

 そう告げるメカニックの言葉に、そうだよなと頷く。

 視線を格納庫の中に向ければ、ラル隊や黒い三連星も戻ってきている。

 ちなみに海兵隊はリリー・マルレーンがシーマの旗艦なので、そっちに戻ってる筈だ。

 ザンジバル級……正確にはザンジバルⅡ級は、海兵隊の旗艦として有名だな。

 もっとも、宇宙の蜉蝣の異名を持つシーマが乗る軍艦である以上、出来れば改修してもっと性能を上げたいと、そう主張している者も多いのだが。

 グワジン級の解析である程度軍艦のノウハウも入手した以上、恐らくそう遠くないうちにリリー・マルレーンは改修されることになるだろう。

 もっとも、それがどのような改修になるのかは、俺にも予想は出来ないが。

 ただ、ザンジバル級は地球に降下しても、そのまま空中を飛ぶことが出来るという性能を持っているので、その辺りについて強化するんじゃないか、という予想は出来るが。

 もしくは、このグワジン級も今は宇宙専用艦だが、ザンジバル級のように地球に降下してもそのまま普通に使えるようにする……という風に改修される可能性はあるか。

 そんな風に考えながら、俺はグワジン級の中を移動する。

 影のゲートを使って移動すれば、それこそすぐに移動出来るのだが……緊急時以外は出来るだけ使わないで欲しいとダグラスに要請されれば、こちらとしてもその意見に従うべきだろう。

 ……実際、今この時にブリッジに影のゲートを使って転移したりすれば、間違いなくブリッジ要員は驚き……場合によってはその衝撃でグワジン級の主砲が発射され、それが連邦軍との間に致命的な亀裂を生むという可能性も否定は出来ないのだから。

 いやまぁ、こうして月に攻めてきている以上、亀裂がどうとか今更言っても、説得力の類は全くないと思うけど。

 ともあれ、ブリッジに向かう途中でケンと遭遇する。

 

「アクセル代表」

 

 そう言いながら敬礼をしてくるケン。

 出撃前もそうだったけど、どこか堅いんだよな、こいつ。

 いやまぁ、ルナ・ジオンが元々そういう上下関係に結構緩いという点があって、それで余計にそう思えるのかもしれないが。

 また、同時にケンがあまり幹部とかで開く会議に出ていないというのも、まだ慣れない理由の1つだろう。

 もっとも、それも当然の事だ。

 そもそも、ケンはあくまでも外人部隊の隊長という立場でしかないのだから。

 部隊の隊長という点では、ラルやシーマも同じだが、シーマの場合は元々率いてる海兵隊の人数が相当数だし、今ではそんなシーマに対して憧れを抱いている者も多く、その数は更に増えている。

 ラルの方は、それこそ部隊長云々の前にダイクン派の中で最も影響力を持っていた、ラル家の後継者にして、セイラが最初に頼った人物だ。

 それを思えば、ケンとはやっぱり立場が違うという事なのだろう。

 ……そもそも、ケンの率いる外人部隊の本当のトップだったのは、ダグラスなのだから。

 ともあれ、敬礼をしてくるケンに軽く頷いてから口を開く。

 

「それで、そっちはどうだったんだ? 一応ルナ・ジオン軍側で撃破された機体はいないと聞いてるけど」

「……サラミス級のメガ粒子砲によって、ダラニを破壊された者がいます」

「あー……それはどうしようもないか」

 

 セイバーフィッシュ等の近くから攻撃してくる敵に対してであれば、対処するのも難しい話ではない。

 だが、サラミスやマゼランのように、後方から援護射撃をしてくるような相手の場合、それに対処するのは簡単な話ではないのだ。

 いやまぁ、それこそニュータイプであれば、その辺もどうにか対処出来るかもしれないが……残念ながら、ケン達は腕の良いMSパイロットであっても、オールドタイプだ。

 それを考えれば、破壊されたのがヅダではなくダラニだけというのは、寧ろよくやったと言われてもおかしくはないだろう。

 そもそも、ダラニは破壊されるのが前提としている兵器なのだから。

 

「一応聞くけど、ダラニの残骸はどうした?」

「残骸はありません、メガ粒子砲によって完全に消滅しました」

「そうか。ならいい」

 

 一応ダラニは、敵に奪われても問題ないよう、意図的に枯れた技術で作られている代物だ。

 だがそれでも、奪われないのであれば、それに越した事がないというのも、また事実だった。

 

「すいません」

「だから、気にするなって。お前も知っての通り、ダラニは破壊される事が前提の兵器だからな。そういう意味では、しっかりと役目を全うしたと言ってもいいんだ」

 

 もっとも、ダラニにはビーム砲……このUC世界のミノフスキー粒子由来とは全く違う理論で開発されたビーム砲が装備されている。

 オーバーテクノロジーは出来るだけ使わないようにしていた筈だったんだが、そういう意味ではこの世界においてビーム砲というのは完全にオーバーテクノロジーなんだよな。

 連邦軍でもジオン軍でもいいから、MSで使用可能なビーム兵器を開発してくれれば、どういう技術で作られたのか分からず、分析をする必要があるビーム兵器よりも、ミノフスキー物理学によって蓄えられてきた技術で開発されたビーム兵器の方が余程使い勝手はいいだろうから、そっちを重視するだろうが。

 そんな風にケンを励ましながら、俺達はブリッジに向かい……

 

「おう、来たな」

 

 ブリッジに入った俺とケンを見て、ダグラスがそう声を掛けてくる。

 まだ何人か来てない連中もいるが、既にそれなりに数は揃っている。

 

「ああ。いきなり撤退の発光信号を上げた以上、その理由についてはしっかりと聞かせて貰いたいからな。……あのまま戦っていれば、間違いなく勝てたのに」

「アクセルが言いたい事は分かっている。だが、まぁ、待て。どうせ全員に説明しなければならない以上、2回、3回と説明する事は避けたい。であれば、全員が揃うまで待ってくれ」

「……分かった」

 

 そう言われれば、俺もここで我が儘を口にする訳にはいかない。

 いやまぁ、ダグラスが妙な事……それこそルナ・ジオンを裏切って連邦軍に与するような馬鹿な真似をするのなら話は別だが、そんな馬鹿な真似をダグラスがするとも思えないしな。

 そんな訳で、まだ来ていない主要メンバーが来るまで、俺達は適当に話をしながら時間を潰す事になる。

 そのような中、当然のように話題になるのはヅダに関してだった。

 今までシミュレータや模擬戦といったものは何度となく繰り返してきたが、実際に宇宙空間での実戦となれば、話は別だった為だ。

 何人かの話を耳にする限り、多くの者がヅダの性能には満足しているらしい。

 あそこまで頑張った代物だと思えば、当然かもしれないが。

 幾つか気になるところがあるという者もいたが、そのような意見は後で改修チームの方に届けられ、しっかりと今後に活かされる事になるだろう。

 そうしている間に、まだブリッジに集まっていなかった面々が到着し……いよいよ、撤退信号についての話が始まるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S

海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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