「あー……えっと、うん。まぁ、その……ハワイにでも送っておけばいいんじゃないか？」
俺の口から出た言葉に、ラルを含めてルナ・ジオン軍の者達が微妙な表情で頷く。
今回俺が相談を受けたのは、ツィマッド社から送られてきた献上品についてのアドバイスだ。
その機体は、水陸両用MS……いや、スペック的に見ると、MSと呼んでもいいのかどうか、迷うような機体。
ただ、ツィマッド社ではこれもMSと認識しているし、SEED世界のバクゥも一応MSという認識になっているので、MSという認識でいいのだろう。……多分。
映像モニタに映し出されているのは、大きめの上半身に小さな下半身。胴体からはクチバシが生えているように見える機体で、前後対称。
そんな、非常に不格好な水陸両用MSだ。
MSM-10ゾック。
ツィマッド社が得意としているホバー性能を活かし、地上で移動する時は歩くのではなくホバー移動をするという機体。
とはいえ、色物というだけではなく、攻撃力は非常に高い。
何しろ、メガ粒子砲を8門も装備しているのだから。
つまり、近接戦闘を切り捨て、完全に後方からの援護射撃に特化した機体という事だ。
そう考えれば、そこまで悪くない機体なのかもしれないが……機動力が低いという点で、微妙な感じだ。
ぶっちゃけ、ツィマッド社もどうせ送ってくるのであればドムとかリックドムを送ってくれればいいものを。
もっとも、ドムやリックドムはジオン軍の主力機という扱いである以上、容易に俺達に流すような真似は出来ないのだろう。
これでツィマッド社がジオニック社のように、ルナ・ジオンやシャドウミラーとの関係構築に出遅れているのであれば、R2型を送ってきたように次期主力機を送ってくるという可能性も否定は出来なかったが、生憎とそこまでする必要はないという判断か。
ツィマッド社の人間に聞いてみたところ、このMSは試作品としてキャリフォルニアベースで開発された機体らしい。
……つまり、地球からわざわざ月まで持ってきたという事になるんだが……そのままハワイに持っていって欲しかったというのが、正直なところなのだろう。
シャドウミラーとしても興味がない訳ではないが、実用性という点で考えると、この機体はかなりの疑問を抱かざるを得ない。
そうなると、幾らこの世界の技術に期待している技術班でも、そこまで興味を持つとは……うーん、どうだろうな。
MSの徒花といった感じで、資料的な意味はあったりするのか？
そんな風に思いつつ、再びゾックのデータに目を通す。
性能の中でも特に目を引くのは、動力炉の出力だ。
ザクとかとはちょっと比べものにならないくらいに高い出力を持つ。
その辺りはちょっと珍しいが……だが、当然ながら今のジオン……いや、ツィマッド社の技術でそのような事をするのは多少無理があり、結果としてゾックは通常のMSに比べて上半身と下半身のバランスがおかしくなっている。
メガ粒子砲を8門も内蔵したというのは十分に凄いと思うが、これを量産するというのはちょっとな。
実際、ジオン軍でも数機試作しただけで、実際に量産化はされなかったらしいし。
だからこそ、ツィマッド社もこの機体を寄越してきたんだろうが。
「ハワイ……まぁ、水陸両用MSとなれば、ハワイでしか使いようがないか」
困った様子で、ラルが呟く。
ラルにしてみれば、ゾックのような機体は使いにくいとしか思えないのだろう。
ただ、まぁ……
「メガ粒子砲を8門装備しているとなれば、アプサラス計画の方にもある程度技術が流用出来るかもしれないし、ハワイのような島なら、水中を移動して戦うという意味でも結構使い道があるかもしれないけどな」
半ば無理矢理の理屈ではあったが、ラルはその言葉に頷く。
いや、ラルだけではなく、アンリやダグラス、シーマ、ガイアといった面々もまた、同様に頷いていた。
正直なところ、水陸両用MSという種別である以上、ハワイに持っていくしか方法はないのだから、当然だろう。
「では、この機体は次にHLVでハワイに物資や人を届ける時、一緒に送っておくように。……それで、次の話は？」
セイラの言葉でゾックはハワイに……ゲラートの指揮下に置かれる事が決まり、次の話題をと促される。
「実は、ジオン軍から……正確には地球方面軍のガルマ・ザビ司令から苦情が届いています」
ガルマ・ザビから？
そう思ったのは俺だけではなく、他の者達も同様だった。
特にラルはガルマ・ザビを直接見た事でもあるのか、その驚きは強い。
いやまぁ、ラル家はダイクン派の中でも大きな勢力であった以上、ガルマを直接知っていてもおかしくはない。
ましてや、ガルマ・ザビはジオン公国の中でその美形ぶりからかなり人気が高いらしいし。
「ガルマ司令？ 一体どのような？」
恐らく、セイラもガルマには直接会った事がある筈だ。
……もっとも、子供の頃にサイド3から逃げ出すよりも前の話であると考えれば、セイラがその時の事をしっかりと覚えてるのかどうかは微妙だが。
「何でも、地球にあるジオン軍の補給基地がザクに襲撃されてるとか」
「……それで、何故ルナ・ジオンに苦情を？」
ジェーンにそう答えながらも、セイラはその苦情の理由を何となく理解しているように、俺には見えた。
いやまぁ、それはセイラだけじゃなくて、他の面々にしても同じような様子だったが。
ルナ・ジオンには、ジオン軍から奪ったザクが大量にある。つまり……
「ガルマ司令はジオン軍の補給基地を襲っているのが、ルナ・ジオン軍なのではないかと疑っているのではないかと」
そう、ジェーンが致命的な言葉を口にする。
いやまぁ、ジオン軍の補給基地を襲っているザクとなれば、そういう風に考えてもおかしくはない。おかしくはないのだが……
それでも、何か証拠がある訳でもないのに、こちらにクレームを入れてくるのはどうなんだ？
「ジェーン。一応聞くけど、それって明確にクレームとして向こうが言ってきたのか？」
恐らく違うだろうと思いながらも、そう尋ねる。
もし本当にガルマが……地球方面軍司令という立場にある者がそのような真似をしたのであれば、それはまさに自国を破滅に追いやるような事になってもおかしくはないという代物だったからだ。
実際、ジェーンは俺の言葉に対して首を横に振る。
「いえ、世間話に混ぜてのクレームといった形ですね」
「そうか。……さすがに真っ正直にこっちにクレームを言ってくるような真似はしなかったか」
これでそのような真似をしていれば、ジオン公国を突っつく理由の一つにはなったのだが。
「ガルマ司令は、士官学校を主席で卒業した人物だ。家の事で多少の贔屓はあっても、無能では主席になれん。違うか？」
ダグラスはラルにそう視線を向けるが……その視線を向けられたラルは、すぐに口を開くような真似はしない。
……おい、もしかして本当に家の事情だけで主席になったとか、言わないよな？
「ラル？ どうなのです？」
セイラもそんなラルの態度を不思議に思ったのか、答えるように促す。
そんなセイラの様子に、やがてラルは渋々といった様子で口を開く。
「ガルマ司令が無能ではない、という事は保証します。ですが、本当に士官学校の主席になれるだけの実力があったのかどうかは……正直、儂にも分かりません。儂が知ってるのは、ガルマ司令が士官学校に在籍していた時、校長がドズル・ザビであった事です。姫様には以前話したことがあったかと思いますが、ドズルは弟のガルマを酷く可愛がっています。だとすれば……」
最後は言葉を濁すラルだったが、俺を含めてその場にいる全員がその先に何を言いたかったのかを理解する。
つまり、弟可愛さに校長のドズルが手を回したのだろうと。
とはいえ、ガルマが本当の意味で無能であればそのような真似はさすがにしないだろう。……あー、うん。どうだろうな。
コンペの時に会った経験から考えると、弟可愛さでそんな真似をするような気がしないでもない。
であれば、もしかしたらそういう可能性もなきにしもあらず……といったところなのか？
「ともあれ、だ。……一応聞いておくけど、ルナ・ジオン軍でそんな作戦をやってたりはしないよな？」
一応、といった様子でこの場にいる面々に視線を向け、尋ねる。
ガルマがそんな通信を送ってきて、事実無根だと返事をし……だが、実はやってました。
そんな事になれば、お互いの間にある実力差から明確に責められるような事はないだろうが、それでも色々と不味い事になるのは確実だった。
おまけに、ルナ・ジオンにはザビ家に10年以上も弾圧されてきたダイクン派が多く存在し、ジオン公国に恨みを抱いている者も多いのだから、その辺は尚更しっかりと確認しておく必要があるだろう。
……上に知らせず、現場の判断でそういう真似をされていたりすれば、ちょっと洒落にならないが。
「そんな作戦は実行していないし、当然そのような命令も出した覚えはない」
アンリがきっぱりとそう告げる。
ルナ・ジオン軍の元帥という立場にあるアンリとしては、俺の問いに迷う様子すら見せない。
ラルを始めとした指揮官達に視線を向けても、そこで返ってくるのはやはり首を横に振るという行為のみ。
そうなると、やはり全く覚えがないという事なのは間違いないだろう。
「まぁ、ルナ・ジオン軍が有している地上の拠点はハワイだけなんだし、当然そのハワイも連邦軍やジオン軍からはある程度監視されている筈だ。となれば、そういう派手な真似をすれば、向こうに筒抜けになってもおかしくはないしな」
こっちを監視しているというのは、別に悪い話ではない。
そもそも、ある程度のやり取りをしていても、お互いに別の勢力であるというのは間違いのない事実なのだ。
そうである以上、全面的に信じる……といった真似が出来る筈もない。
そう思えば、地上にあるルナ・ジオン唯一の拠点たるハワイを警戒するというのは当然の話だろう。
寧ろ、警戒していないとか言われれば、そっちの方が驚く。
そんな訳で、逆説的にハワイが監視されているからこそ、今回の一件はルナ・ジオン軍が行った事ではないというのを証明出来る。
……まぁ、潜水艦の類で見つからないようにハワイを出立した可能性とか、それこそハワイじゃなくて宇宙からHLVで地上に降下したのではないかと言われれば、話は別だが。
「アクセル、一応聞くが……シャドウミラーが何か動いてる訳でもないのだな？」
「ああ。シャドウミラーの方で今のところ動いた様子はない」
こちらもまた、確認の為といった様子で尋ねてくるラルに、そう言葉を返す。
とはいえ……技術班の事を考えると、微妙に心配だったりするんだけどな。
何らかの理由でUC世界の技術を欲した技術班が、量産型Wに命じて倉庫の中にあるザクを持ってきて……という可能性は、決して捨てきれない。
ただ、当然そのような行為をすれば目立つ。
それこそ、俺の空間倉庫のような能力がなければ、ゲートで移動している時に絶対に知られる。
「そうなると、考えられるのは……連邦軍だろうね」
シーマのその言葉に、皆が納得の表情を浮かべる。
実際、連邦軍は鹵獲したザクを研究して自軍のMSを開発中だった筈だし、十分にザクが揃ったのなら、それこそ余分なザクを使ってジオン軍を攻撃した……と、そう言われてもおかしくはない。
「まぁ、ルナ・ジオンでもシャドウミラーでもないとすれば、その可能性が一番高いだろうな。ジェーン、その辺は？」
俺のその問いに、ジェーンは頷いてから口を開く。
「その可能性については、しっかりと言っておきました。もっとも、向こうも別に正式に抗議をしてきた訳ではないので、こちらも直接そう言ったのではなく、臭わせる程度でしたが。……それでもガルマ司令は理解した様子でしたので問題はないかと」
さて、ジェーンが臭わせた事でガルマが理解出来たとなると、それはガルマが鋭いのか、ジェーンの話術が巧みだったと考えていいのか……どっちなんだろうな。
個人的には、後者なような気がするけど。
「ともあれ、それでジオン軍の視線が連邦軍に向けられるなのなら、こちらとしても非常に助かる。……とはいえ、宇宙と地球では連邦軍としても色々と違うだろうがな」
ダグラスが苦い表情でそう呟いたのは、やはりこの前、連邦軍が月まで攻めてきたからだろう。
あの時は結局ルナ・ジオン軍が圧倒的な力を見せたといった感じで終わったが、具体的にそれがどうなるか……と、そう言いたいのだろう。
実際、強硬派やタカ派と呼ばれているような連中が、一方的にルナ・ジオン軍に負けたという状況を受けいれられるかと言われれば……その答えは、明らかに否なのだから。
アクセル・アルマー
LV：43
PP：235
格闘：305
射撃：325
技量：315
防御：315
回避：345
命中：365
SP：1987
エースボーナス：SPブースト（SPを消費してスライムの性能をアップする）
成長タイプ：万能・特殊
空：S
陸：S
海：S
宇：S
精神：加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル：EXPアップ
SPブースト（SPアップLv.9&SP回復&集中力）
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法（炎）
魔法（影）
魔法（召喚）
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数：1435